相対化する知性_への道標
書誌_相対化する知性-人工知能が世界の見方をどう変えるのか:西山 圭太; 松尾 豊; 小林 慶一郎

短い紹介と大目次
短い紹介
本書は、人工知能(AI)の出現と社会実装が人間の知識体系や社会の価値観にどのような影響を与えるかを多角的に考察する。三部構成で、第1部はAIの爆発的進展の核であるディープラーニングの技術的側面、特に「深い関数を用いた最小二乗法」といった単純かつ汎用性の高い原理や、CNNやRNNといった主要アーキテクチャが画像認識や時系列データ処理にもたらした進歩に焦点を当てる。続く第2部・第3部では、AIがもたらす人間中心主義の「認知構造の相対化」と、AIとの共存・競争社会における新たな公共性の価値について、哲学的・社会的観点から問題提起を行い、AIをめぐる幅広い教養の獲得を促す。特にディープラーニングが「エンド・トゥ・エンド学習」という新たなソフトウェア開発パラダイムを築きつつある点が強調される。。
大目次
- はじめに
- 第 1 部 人工知能 ディープラーニングの新展開
- 第 1 章 人工知能のこれまで
- 第 2 章 ディープラーニングとは何か
- 第 3 章 ディープラーニングによる今後の技術進化
- 第 4 章 消費インテリジェンス
- 第 5 章 人間を超える人工知能
- 第1部のキーワード
- 第 2 部 人工知能と世界の見方 強い同型論
- 第 6 章 人工知能が「世界の見方」を変える
- 第 7 章 認知構造はどう変わろうとしているのか
- 第 8 章 強い同型論
- 第 9 章 強い同型論で知能を説明する
- 第 10 章 我々の「世界の見方」はどこからきてどこに向かう
- 第2部のキーワード
- 第 3 部 人工知能と社会 可謬性の哲学
- 第 11 章 人工知能と人間社会
- 第 12 章 自由主義の政治哲学が直面する課題
- 第 13 章 人工知能とイノベーションの正義論
- 第 14 章 世代間資産としての正義システム
- 第 15 章 自由の根拠としての可謬性
- 第3部のキーワード
- あとがき 参考文献
一口コメント
本書は2020年3月の刊行であり、生成AI登場以前である。それだけに基本に返って考察できる。しっかり読み込む必要がある。
要約と詳細目次
相対化する知性:人工知能がもたらす認知と社会の変革
本書は、人工知能(AI)の出現と社会実装が人間の知識体系や社会の価値観にどのような影響を与えるかを多角的に考察する。三部構成で、第1部(松尾豊)はAIの爆発的進展の核であるディープラーニングの技術的側面、特に「深い関数を用いた最小二乗法」といった単純かつ汎用性の高い原理や、CNNやRNNといった主要アーキテクチャが画像認識や時系列データ処理にもたらした進歩に焦点を当てる。続く第2部・第3部では、AIがもたらす人間中心主義の「認知構造の相対化」と、AIとの共存・競争社会における新たな公共性の価値について、哲学的・社会的観点から問題提起を行い、AIをめぐる幅広い教養の獲得を促す。特にディープラーニングが「エンド・トゥ・エンド学習」という新たなソフトウェア開発パラダイムを築きつつある点が強調される。
要旨
本書『相対化する知性――人工知能が世界の見方をどう変えるのか』は、人工知能、特にディープラーニングの出現と社会実装が人間の知の枠組み、社会統合の理念、価値観に与える根本的影響を考察する三部構成の論考である。AIの登場は中世から近代への転換に匹敵するインパクトを持ち、人間理性を絶対的地位から相対化し、より一般的な「知」の概念へ置き換える可能性を示唆している。
第1部「技術」:ディープラーニングの新展開
ディープラーニングは「深い階層を持つ関数を用いた最小二乗法」として捉えられる。画像認識など身体性の領域で顕著な成果を上げてきた。今後の課題は、身体性のシステムに言語や論理を扱う記号システムを統合することであり、その先に人間の直感的理解を超えた新たな科学の地平が広がっている。
第2部「知」:強い同型論
AIという人間理性を超える理性が実在可能になったことで、人間中心主義的認知構造は変革を迫られる。近代科学革命以降、人間理性を特権視する世界観が支配的だったが、今後は人間理性の知もAIの知も、万物に共通する秩序形成メカニズムの一形態と見なされるようになる。この新しい認知構造は、存在(あること)と認識(知ること)の生成メカニズムが同じであるとする「強い同型論」によって説明される。
第3部「価値」:可謬性の哲学
AIの出現は、現代の政治哲学が直面する公共性の空洞化に対し、新たな解決を提示しうる。個人の価値観から距離を置く現代の公共哲学に対し、AIによって無限に拡張されうる「知の進歩」に究極的価値を置くことで、「拡張された人間中心主義」とも呼べる新たな公共性を構想する。これにより、人間社会の持続性を再生する可能性を探る。
本書は技術(松尾豊)、知(西山圭太)、価値(小林慶一郎)の三側面からAI時代の人間と社会のあり方を多角的に論じ、新しい時代の教養となるべき知の枠組みを提示する。
第1部 人工知能──ディープラーニングの新展開の要約
第1部では、第3次AIブームの中核技術であるディープラーニングの技術的本質、その発展段階、今後の進化の展望を詳述する。人間の知能を「身体性のシステム」と「記号のシステム」の二層構造と捉え、AIがこれらをいかに統合し人間を超える可能性を持つかを論じる。
ディープラーニングの本質と発展段階
ディープラーニングとは何か
ディープラーニングは、専門家向けでない言葉では「深い関数を用いた最小二乗法」である。従来の機械学習が線形関数などの「浅い」関数を用いていたのに対し、ディープラーニングは複数の関数を直列につないだ「深い」階層構造を持つ関数を用いる。これにより、非線形で複雑な入出力関係をモデル化する高い表現力を獲得した。
- 技術的成功の要因:2012年にジェフリー・ヒントンらが画像認識で高い精度を示して以降、急速に発展した。成功の背景には膨大なデータ量と計算機パワー(特にGPU)の向上がある。
- 歴史的インパクト:アンドリュー・エンが「人工知能は21世紀の新しい電気である」と述べるように、その汎用性と基盤性からトランジスタやインターネットに匹敵する発明と見なされている。
IT活用の3段階
社会におけるAI活用は段階が混同されがちである。これを三段階に整理する。
- 段階1:ITの活用— プログラムによる定型業務の自動化や数値計算。多くの産業ではまだ不十分である。
- 段階2:データの活用— 大量データを処理し、統計分析や機械学習で検索や推薦などの価値を生み出す。
- 段階3:ディープラーニングの活用— 大量データと深い関数を用いてコンピュータが自ら特徴量を学習する。画像や音声など、従来は特徴量設計が困難だった領域で顕著な効果を発揮する。
ジェフリー・ヒントンによる警鐘:「現在では産業界や政府が『AI』という言葉を深層学習の意味で使っているため、非常に混乱した状況になりがちです。…彼らは従来型AIの論文引用数を示して、深層学習のために拠出された資金の分け前がほしいと言ってきたのです。そんなわけで、このAIの意味の混乱はかなり深刻なものです。『AI』という言葉を使わないだけでも、状況はかなり良くなるはずです。」
AIの今後の技術進化と知能の全体像
ディープラーニングの進化は特定応用を超え、人間の知能の仕組みに迫る可能性を秘めている。
知能の二層構造モデル
人間の知能は二つのシステムから構成されるという仮説が提示される。
- 知覚運動系RNN(動物OS):環境を知覚しモデル化し、運動制御を行うループ。画像認識や深層強化学習はこの領域で成果を上げており、生存に直結する身体性(embodiment)と深く関わる。今後の課題は、世界の3次元構造や物理法則をモデル化する「世界モデル」の構築である。
- 記号系RNN(言語アプリ):言葉を理解し、論理的思考や対話を行うシステム。知覚運動系の上に構築され、人間に特有の高度な知能を担う。
この二つのシステムが連携することで「意味理解」が生まれる。言葉(記号系)が知覚運動系を駆動して映像や疑似体験を生成することが「意味を理解する」ことであり、逆に思考を言葉にするのがその逆過程である。この連携の実現がシンボルグラウンディング問題解決の鍵となる。
社会的蒸留と消費インテリジェンス
社会における概念形成もAIの進化で説明可能になるかもしれない。
- 社会的蒸留:専門家が学習を通じて得た概念に名前を付け(離散化)それを他者が学習データとして利用することで、知識が効率的に伝達・発展するプロセス。
- 消費インテリジェンス:ビッグデータとAIを用いて消費者を科学的に理解する試み。消費者の嗜好が社会的概念としてどのように形成され、細分化・成熟していくかを分析する。これは記号システムが社会で機能する一例である。
人間を超える人工知能
AIは以下の点で人間の知能の限界を超える可能性がある。
- 生命的制約からの解放:人間の知能は自己保存や再生産という生命目的に縛られるが、AIは目的に依存せず特徴量を発見できる。これにより、人間が恐怖心などで見過ごしてきた戦略や概念を発見しうる。
- 多数パラメータの科学:人間の認知は言語化や再現が容易な「少数パラメータ系」に偏ってきた。ディープラーニングは数千万〜数億のパラメータを扱う「多数パラメータの科学」を可能にし、熟練技や暗黙知など従来はモデル化困難だった領域を解明しうる。
- ハードウェアの限界突破:人間の知覚運動系は3次元空間での訓練に最適化されているが、AIはシミュレータ上で高次元空間を「体験」し、そこでの法則やパターンを発見できる。これにより数学や物理学の未踏領域を切り拓くことが期待される。
第2部 人工知能と世界の見方──強い同型論の要約
第2部では、ディープラーニングを契機とするAIの発展が技術革新に留まらず、科学革命以降に共有されてきた「認知構造」そのものを根本的に変えようとしていることを論じる。その核心には、存在(あること)と認識(知ること)のメカニズムが共通であるとする「強い同型論」がある。
認知構造の転換
ディープラーニングの成功は、これまで人間理性の特権とされてきた高次の知的活動が、記号操作以外のメカニズムでも実現可能であることを示した。これは人間を尺度とする近代の人間中心主義的認知構造に揺さぶりをかける。
- 科学革命以降の認知構造:世界の諸事象は素粒子など基礎的法則に還元できるとする還元主義と自然主義が支配的だった。
- 還元主義への疑念:「モア・イズ・ディファレント(量は質の違いを生む)」の考えのように、ミクロの法則からマクロの複雑現象(生命、社会など)を完全に再構成することはできず、各階層で新たな特性が立ち現れる(エマージェンス)という認識が広がっている。
- AIがもたらす変化:ディープラーニングはミクロなデータからマクロな特徴量を記号を介さずに抽出することに成功した。これは知能の本質が還元主義だけでは捉えられないことを技術的に示し、認知構造の転換を加速している。
強い同型論:存在と知の統一原理
新しい認知構造の理論的基盤として「強い同型論」が提示される。これは、世界に複雑な秩序が立ち現れるメカニズムと、知能が世界を認識するメカニズムが同型であるとする理論である。
同型性の二つのメカニズム
- マルコフ・ブランケット(Markov Blanket):システムが内部と外部を区別し、外部環境からの「サプライズ」を最小化するように自己の状態を維持・更新するメカニズム。細胞が膜を通じて内外を区別し恒常性を保つ働きや、知能が環境を予測して適応する働きはこのメカニズムで説明される。内(自己)と外(環境)を分ける境界自体が感覚(センサー)と行動(アクチュエータ)を兼ねる。
- エマージェンス(立ち現れ):ミクロな構成要素の振る舞いには還元できないマクロな秩序や特性が創発するメカニズム。生命体が遺伝子情報の総和以上の複雑な形態を形成することや、ディープラーニングの隠れ層が入力データから高次の特徴量を学習することは、このメカニズムの現れである。
同型論モデル
この二つのメカニズムに基づき、F.A.ハイエクの『感覚秩序』で提示されたモデルを刷新する「同型論モデル」が構築される。
| モデル | ハイエク・モデル | 同型論モデル |
|---|---|---|
| 関係性 | 物理的秩序(外界)を神経秩序(脳)が感覚を通じて捉え、現象的秩序(認識)を形成する。物理的秩序と現象的秩序は相似だが別物。 | 物理的秩序(存在)が立ち現れるメカニズムと、記号秩序(認識)が立ち現れるメカニズムは同型。両者は同じメカニズムの側面に過ぎない。 |
| 前提 | 人間の認識を起点とする(唯名論的)。 | 存在と知に共通するメカニズムを起点とする(脱唯名論的)。 |
| 知能の捉え方 | 人間の知能(神経秩序)を特殊なものとして捉える。 | 人間の知能もAIも生命も、同型のメカニズムを持つ「知一般」の一部として捉える。 |
新しい認知構造の特徴
強い同型論に基づく新しい認知構造は次の特徴を持つ。
- 人間を超える知性の許容:人間理性を絶対視せず、「知一般」の運動の一部として相対化する。
- 階層性(ディープさ)の重視:世界も知能もミクロからマクロへ至る多層的階層構造を持つと理解する。
- 「図と地」の関係の逆転:近代的な「まず空間(地)があって、そこにモノ(図)が配置される」という認識から、個々のモノ(図)の関係性から空間(地)が立ち現れるという観点へ回帰する。
- 還元されない多様性:世界は単一原理へ還元され尽くすことはなく、多様性は保持・発展されると理解する。
第3部 人工知能と社会──可謬性の哲学の要約
第3部では、AIがもたらす新しい認知構造の下で、人間社会がどのような公共哲学を採りうるかを考察する。現代の自由主義が直面する課題を乗り越え、社会の持続性を確保するための新たなヴィジョンとして、AIによって拡張される「知の進歩」を社会の究極目標に据える「イノベーションの正義論」を提示する。
自由主義の政治哲学が直面する課題
ジョン・ロールズ流の自由主義は、個人の多様な価値観(善)に中立であろうとするあまり、社会が共有すべき目標(正義)を空疎にしてしまった。
- ロールズの政治哲学:宗教や文化が異なる人々が共存するため、社会の基本ルール(正義)は個々人の人生の目的(善)から独立した「政治的構想」であるべきだと主張する。「正義は善に優先する」とし、個人の価値観には踏み込まない。
- 公共性の空洞化:この価値中立的姿勢は、社会が個人の人生の目的を積極的に是認しないことを意味する。結果として、人々は社会とのつながりを実感できず、ハンナ・アーレントが指摘する「見捨てられていること」という孤独感に苛まれる。
- 大きな物語の凋落:かつてはヘーゲルの歴史哲学に代表される「理性の進歩」という大きな物語が個人の活動を社会全体の進歩に位置づけていた。しかし全体主義の経験などを経て理性への素朴な信仰が失われ、この物語は衰えた。これにより個人の善を社会の中で位置づけることが困難になっている。
新しい公共哲学の構想:イノベーションの正義論
「大きな物語」が失われた現代において、AIの出現は新たな希望をもたらす可能性がある。
- 人工知能によって拡張される理性:人間の理性の進歩には限界があるかもしれないが、AIによって拡張された「知」の進歩には当面限界が見えない。この「拡張された理性の永続的進歩」を社会の究極目標に据えることで、新たな大きな物語を再構築できる可能性がある。
- イノベーションの正義論:この物語に基づき、新たな政治哲学として「イノベーションの正義論」を構想する。これは知の進歩(イノベーション)に究極的価値を置き、それを促進する社会制度を正義とみなす考え方である。
- 正義のシステムの価値:正義のシステムは、個人の善(効用)を最大化するから価値を持つ。
- イノベーションの役割:正義のシステムをより良く更新するための知識は、AIによって拡張された理性が行うイノベーションによって得られる。
この哲学の下では、個人の活動は社会全体の目標である「知の進歩」に貢献するものとして積極的に是認・意味づけられる。これはAI時代における「拡張された人間中心主義」とも呼べ、ロールズ流の哲学がもたらした公共性の空洞化を克服し、社会の持続性を再生するヴィジョンを提示する。
- はじめに
- 第 1 部 人工知能 ディープラーニングの新展開
- 第 1 章 人工知能のこれまで
- 1・1 ディープラーニングの出現
- 1・2 人工知能の虚実
- 第 2 章 ディープラーニングとは何か
- 2・1 深い関数を用いた「最小二乗法」
- 2・2 なぜ深いことが重要なのか
- 2・3 階層と構成性
- 2・4 画像を認識する:CNN
- 2・5 時系列の情報を扱う:RNN
- 2・6 エンド・トゥ・エンド学習
- 2・7 ディープラーニングの理論
- 2・8 アーキテクチャの探索
- 2・9 ディープラーニングとは結局どういうことか
- 第 3 章 ディープラーニングによる今後の技術進化
- 3・1 身体性
- 3・2 世界モデル
- 3・3 記号との融合
- 3・4 シンボルグラウンディング
- 3・5 知識獲得のボトルネックとフレーム問題
- 3・6 記号系RNNの独立
- 3・7 社会的蒸留
- 第 4 章 消費インテリジェンス
- 4・1 消費インテリジェンスの背景
- 4・2 ウェブから概念の広がり具合を知る
- 4・3 概念の精細化
- 4・4 消費インテリジェンスの活用
- 第 5 章 人間を超える人工知能
- 5・1 人間としての知能
- 5・2 多数パラメータの科学
- 5・3 ハードウェアの限界
- 第1部のキーワード
- 第 1 章 人工知能のこれまで
- 第 2 部 人工知能と世界の見方 強い同型論
- 第 6 章 人工知能が「世界の見方」を変える
- 6・1 ディープラーニングが「世界の見方」を変える
- 6・2 ホモ・サピエンスと認知構造の進化
- 6・3 第2部の構成
- 第 7 章 認知構造はどう変わろうとしているのか
- 7・1 知の極限に何をおくのか──科学革命と還元主義
- 7・2 「モア」とは何か
- 7・3 「知る」ことはどうして可能だと考えられてきたのか
- 7・4 「ある」と「知る」との関係──実在論と唯名論
- 第 8 章 強い同型論
- 8・1 複雑性はなぜ生まれ増大するのか
- 8・2 同型性のメカニズム(1) ──マルコフ・ブランケット
- 8・3 同型性のメカニズム(2) ──エマージェンス
- 8・4 強い同型論
- 第 9 章 強い同型論で知能を説明する
- 9・1 情報と人工物
- 9・2 強い同型論をもとにハイエク・モデルを書き直す──同型論モデル
- 9・3 情報と意味
- 9・4 記号秩序の同型性
- 9・5 「強い同型論」から見た今後の人工知能の開発アジェンダ
- 9・6 人間は人工知能を理解できるのか
- 9・7 同型論モデルはどこまで拡張できるのか
- 9・8 強い同型論は還元主義になるのか
- 第 10 章 我々の「世界の見方」はどこからきてどこに向かう
- 10・1 新しい認知構造
- 10・2 強い同型論には「先例」がある
- 10・3 第2部の結びにあたって
- 第2部のキーワード
- 第 6 章 人工知能が「世界の見方」を変える
- 第 3 部 人工知能と社会 可謬性の哲学
- 第 11 章 人工知能と人間社会
- 11・1 合理的期待均衡としての「新しい認知構造」
- 11・2 人工知能のディストピア的展望
- 第 12 章 自由主義の政治哲学が直面する課題
- 12・1 ロールズの政治哲学
- 12・2 善は正義と独立に存立しえない
- 12・3 ヘーゲルの哲学──理性の進化としての歴史
- 12・4 理性の病理としての全体主義
- 12・5 大きな物語の凋落
- 12・6 議論のまとめ──記号を使って考える
- 第 13 章 人工知能とイノベーションの正義論
- 13・1 人工知能によって拡張される理性
- 13・2 イノベーションの正義論──アブストラクト
- 13・3 イノベーションとは何か
- 13・4 利己的個人は社会契約が決めるイノベーションを行うか
- 13・5 穏当な包括的教説
- 13・6 イノベーションの正義論を記号で考える
- 13・7 経済成長主義から知の成長へ
- 第 14 章 世代間資産としての正義システム
- 14・1 時間整合性の問題
- 14・2 資産としての正義
- 第 15 章 自由の根拠としての可謬性
- 15・1 ハイエクの知識論
- 15・2 イノベーションと新しい経済学
- 15・3 無謬性への希求から可謬性へ
- 15・4 人工知能とデータ独占禁止政策
- 15・5 可謬性と自由
- 15・6 超人類は人間を淘汰するか
- 第3部のキーワード
- 第 11 章 人工知能と人間社会
- あとがき 参考文献
Mのコメント(言語空間・位置付け・批判的思考)
ここでは、対象となる本の言語空間がどのようなものか(記述の内容と方法は何か)、それは総体的な世界(言語世界)の中にどのように位置付けられるのか(意味・価値を持つのか)を、批判的思考をツールにして検討していきたいと思います。ただサイト全体の多くの本の紹介の整理でアタフタしているので、個々の本のMのコメントは「追って」にします。