「現代哲学」を読む
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一口コメント
昔読んだとき、よく整理されていて良い本だと思った記憶がある。それで、今、物事を分析するとき、例えば「○○とは何か」について考えるとき、「○○とは××である」と記述することはどういうことで何に配慮すればよいのかというようなことの、アンチョコとして使えないかなと思ってひっぱりだしてみたが、実にこの本は、哲学とは自然主義について「反自然主義的な問題の場の定立と、反自然主義的への哲学的批判という二つの側面を、ともに含んだ運動」であるという観点から、知識、言語、行為について書かれているということが分かってびっくりだ。
最近、「哲学入門」(戸田山和久)を読んで、自然主義の軍門に降った私も、これを読むと、自然主義対反自然主義のせめぎ合いが連綿と行われてきたことの意味合いがリアルに感じられる。私が前にこれを読んだときは、反自然主義派として、ヴィトゲンシュタインやソシュールの「言語」の分析に一番心を寄せたのだと思うが、今は、「言語」はさておくことにして、この本の「知識」と「行為」についての問題の所在の指摘が、実に戸田山哲学入門の前振りになっていることに改めて感銘を受けた。実際この本を読んで、戸田山哲学入門を読めば、何が問題であり、現代の自然主義がそれをどのように解決しようとしていることが、よくわかる。
これまでは、反自然主義の批判の対象となった自然主義が未熟であったので、そのような事態を生んだのではないか。現代科学を踏まえた自然主義の展開はこれからだろう。