生成AIと共に_ChatGPTとAPI
OpenAIのサービスを利用する
ChatGPTとAPI
OpenAIのサービスは、ChatGPTとAPIに分かれている。
2023年春ぐらいに初めてChatGPTに触り、「何だ、これは、余り役に立ちそうもない」という素人らしい人並みの感想を持った。
その後生成AIは、横目に見るぐらいだったが、最近半年ぐらい、GoogleのNotebookLMとCemini with DeepResearchの機能に感嘆していた。これらのサービスは、従前の「知的生産」の延長上にあるのでそのすごさは分かりやすい。
一方、OpenAIの方は、次々と新機軸を打ち出していると聞くものの、Chat以上の利用はほとんどしていなかった。GPTsもなんだかなあというところだった。
しかし、2025年になって、提供されるサービスの内容も新しくなり、最近UIも変わった。
「ChatGPT はじめてのプロンプトエンジニアリング:本郷 喜千(2504)」の目次を挙げておくが、「Chapter5 調査と学習、 Chapter6 文章の作成と編集、Chapter7 データ分析とアプリ開発、Chapter8 画像・音声・動画を操る」が新しい機能で、これらを読むと最新の使用法も分かる。
ChatGPT はじめてのプロンプトエンジニアリング
目次
- はじめに
- ◆Chapter1 ChatGPTの世界へようこそ
- Section1 ChatGPTとは何か
- Section2 ChatGPTの基本操作と機能
- 演習プロンプト
- ◆Chapter2 プロンプトエンジニアリングの基本
- Section1 プロンプトの重要性と設計方針
- Section2 プロンプトの基本要素
- 演習プロンプト
- ◆Chapter3 プロンプトの活用テクニック
- Section1 プロンプト要素の組み合わせと最適化
- Section2 回答のばらつきを抑える秘訣
- Section3 メタ認知で引き出すAIの本領
- 演習プロンプト
- ◆Chapter4 アイデア・論理・意思決定
- Section1 アイデアの発散と収束
- Section2 3つの推論パターン:演繹・帰納・仮説検証
- Section3 意思決定
- 演習プロンプト
- ◆Chapter5 調査と学習
- Section1 検索と調査
- Section2 学習
- 演習プロンプト
- ◆Chapter6 文章の作成と編集
- Section1 文章作成
- Section2 文章編集
- 演習プロンプト
- ◆Chapter7 データ分析とアプリ開発
- Section1 行動につなげるデータ分析
- Section2 アプリ開発
- 演習プロンプト
- ◆Chapter8 画像・音声・動画を操る
- Section1 認識技術の活用―ChatGPTの目と耳と口
- Section2 画像認識―ChatGPTの目
- Section3 音声認識・対話―ChatGPTの耳と口
- Section4 ライブカメラ―ChatGPTの目と耳と口
- Section5 画像生成AI―DALL-E
- Section6 動画生成AI―Sora
- 演習プロンプト
- ◆Chapter9 AGIとプロンプトエンジニアの展望
- Section1 AIの課題:進化の光と考慮すべき側面
- Section2 プロンプトエンジニアの未来
- おわりに
しかしだ
確かに好奇心の延長上で、これらを追っかけ触るのは楽しいだろう。でもそれはそれだけのことだ。「生成AIと共に」「問いは世界を創造する」という観点から捉え返してみなければならない。
周辺をウロウロしていても仕方ないので、まず「これからのAI、正しい付き合い方と使い方 「共同知能」と共生するためのヒント:イーサン・モリック(2412)」(=Co-Intelligence)を足場にしよう。著者はペンシルベニア大学ウォートン・スクールの経営学関係の准教授ということだが、ChatGPTの登場により「3日間の眠れぬ夜」を過ごしたという衝撃から文化系の知的活動にChatGPTを利用することについての考察を巡らしている。
先ず同書が挙げる4原則を見てみよう。
4原則
同書の内容は今となっては同種の指摘も多いが、AIと協力するための4つのルール(原則1 常にAIを参加させる 、原則2 人間参加型(ヒューマン・イン・ザ・ループ)(AIの判断や生成物に対して人間が常に監視し、介入できるようにすることで、誤りや意図しない結果を防ぐ)にする 、原則3 AIを人間のように扱う(ただし、どんな人間かを伝えておく)、原則4 「今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ」と仮定する)は卓抜した考察だと思う。
私がまず取り上げたいのは、原則1「常にAIを参加させる」だ。「世界を創造する」というより、「日々の創意工夫」をもたらす「問い」に、絶えずAIを参加させようという試みだ。ダヴィンチの「発見の手帳」をAIでするイメージといえばいいだろう。備忘であれば、私も今までも歩く途中で思いついたことを、スマホの音声入力で適宜のアプリでメモすることはあった。しかし、それは忘れないためだ。
原則1
最近備わったスマホの「音声入力」と「Chat」で、
「ソメイヨシノはクローンだと言われていますが、これはどういうことですか? また、ソメイヨシノはどこで生まれましたか?」と音声入力して矢印クリックで文字化、次の矢印クリックで回答が出力される。これは検索だと思っていたが、多分検索ではなく、通常のChatだったと思う
「ソメイヨシノがクローンだという意味について
ソメイヨシノ(染井吉野)は、クローン植物の一種です。クローンとは、親と遺伝的に全く同じ個体が、分裂や枝の接ぎ木などを通じて作られることを意味します。ソメイヨシノは、実際には種子から繁殖するのではなく、接ぎ木や挿し木を通じて増殖されます。これにより、すべてのソメイヨシノの木は、遺伝的にほぼ完全に同一です。
ソメイヨシノの繁殖方法がクローンであるため、個々の木は遺伝的に非常に似ており、開花時期や花の特徴などがほぼ同じです。そのため、ソメイヨシノの花が日本全土で同じ時期に一斉に咲くことがよくあります。しかし、ソメイヨシノは種子で繁殖できないため、他の桜の品種と交配しても、ソメイヨシノ自体の遺伝的特性を継承することはありません。
ソメイヨシノの誕生地
ソメイヨシノは、東京都の染井村(現在の豊島区)で生まれました。染井村は江戸時代、桜の名所として知られており、そこにあった「染井桜」という桜の品種が、現在のソメイヨシノの起源です。
ソメイヨシノは、江戸時代中期に、ソメイヨシノの元となる桜(オオシマザクラとヤマザクラ)を交配させることによって作られたと言われています。この新しい品種は、花の美しさと開花時期の一致が評価され、次第に広まっていきました。最初に品種改良を行ったのは、染井村の桜の苗木商人たちであり、これが「ソメイヨシノ」の名前の由来となっています。」。
入力開始から回答まで全部で十数秒だ。これは驚愕する。
ついでに気になっていた次の問い。
原則2
「4月8日はお釈迦様が生まれた花祭りと呼ばれていますが、どういうお祝いをしますか?また、この日を記念した歌がありますか?」
「花祭り(お釈迦様の誕生日のお祝い)について
4月8日は、仏教におけるお釈迦様(釈迦牟尼仏)の誕生日を祝う「花祭り」(または「灌仏会」)として知られています。この日は、仏教徒がお釈迦様の生誕を祝うためにさまざまな儀式や行事を行います。
主な祝い方としては以下のものがあります:
- 花で飾る
祭りの名前にもある「花祭り」では、仏教寺院や家庭で花を飾ります。特に桜の花(春の象徴として)や、季節の花が使われることが多いです。お釈迦様の誕生を祝うために、美しい花々を寺院の仏像の周りに飾る習慣があります。 - 灌仏(かんぶつ)儀式
花祭りでは、お釈迦様の誕生を記念して「灌仏(かんぶつ)」という儀式が行われます。灌仏は、お釈迦様の誕生像に甘茶(あまちゃ)をかける行事です。この甘茶は、お釈迦様が誕生したときに、天から降ってきたとされる霊水を象徴しています。お釈迦様の像に甘茶をかけることで、清浄と祝福を祈ります。 - 寺院での法要
多くの仏教寺院では、4月8日に法要が行われます。お釈迦様の誕生を記念して、僧侶が読経し、参拝者が参加します。 - 甘茶をいただく
一部の地域では、寺院やその周辺で参拝者に甘茶が振る舞われます。この甘茶は、砂糖とお茶で作られた甘い飲み物で、お釈迦様の誕生に関連しています。
花祭りに関連した歌
花祭りに関連する有名な歌として、「花祭り」(日本の童謡)があります。この歌は、特にお釈迦様の誕生を祝うために歌われることが多いです。歌詞の内容は、仏教的なテーマを持ち、花祭りの日にお釈迦様を讃える内容が込められています。
歌詞の一部: 「お釈迦さまの お誕生日 お花が咲いた お祝いだ」
この歌は、明るく、祝賀的な気持ちを表現しており、日本では花祭りの時期に親しまれています。
まとめ
花祭りは、お釈迦様の誕生を祝うために花を飾り、甘茶をお釈迦様の像にかけるなどの儀式を行います。また、この日を記念した歌「花祭り」も広く歌われ、お釈迦様の教えと誕生を祝い、祝福の気持ちを表します。」
なるほど。しかし、この歌詞はでっち上げだと思う。ここで原則2「人間参加型(ヒューマン・イン・ザ・ループ)」が活きる。
幼稚園のサイトに次の歌詞があった。
おはな あげましょ ささげましょ
きょうは こどもの はなまつり
にこにこ げんきな おしゃかさま
みんなで おいわい いたしましょ
あまちゃ あげましょ ささげましょ
きょうは こどもの はなまつり
ちらちら れんげの はながふる
みんなで おいわい いたしましょ
原則3
著者の「イーサン・モリック」さんは、AIとのやり取りで、AIが人であるかの如く振る舞うことを強調している。私はChatで余り長いやり取りをしたことはないが、それでも、かなり「感情的」な対応だと思った経験はある。それはともかく、最近、スマホで「会話機能」が導入された。少しやってみた。
“私は、どういうふうに健康を維持しようかということを考えています。 これまで朝、40分ぐらいのスロージョギングをすることが多かったのですが、暑い夏にはそれは難しくなっています。 何かこれに代わる適当な方法はあるでしょうかね。”
ChatGPT:
“暑い時期のスロージョギングは確かに大変ですね。代わりに室内でできる運動はいかがでしょうか?例えば、ヨガやストレッチ、軽い筋トレなどがオススメです。特にヨガは呼吸を整えながら体を動かせるので、リラックス効果もありますよ。冷房の効いた室内で行えば、暑さも気にせず続けられると思います。興味はありますか?”
というふうに会話が進んでいく。
これは英会話にも利用できると聞いている。追ってやってみよう。その他、上記の「ChatGPT はじめてのプロンプトエンジニアリング:本郷 喜千(2504)」には、新しい機能の利用法も書かれているので参考になる。
APIとコード
原則4から広がる世界
ブラウザ版のChatGPTとは別にAPIがある(OpenAIの最初に選択するページがあるので誰でも目にするであろう。なお、ブラウザ版の他にアプリ版もある。)。
表に出たChatGPTの機能を追うだけでは「消費者」に止まるので、そもそもLLMはどういう働きをしているのかを理解し(原則4 「今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ」と仮定する)、例えば、上記の検索、会話結果ををNotionのデータベースに移動して利用したり、NotebookLMのデータをNotionで利用したりするには、APIをいじって見る必要があるだろう。ここは追って。
イーサン・モリックさんの4原則は、最初見たときは何ですかネ、と思ったのだが、このように見てくると、AIをしっかり使い込んでいる人の洞察力を感じる。
<これからのAI、正しい付き合い方と使い方 「共同知能」と共生するためのヒント>の目次と要約
目次
- プロローグ 3日間の眠れぬ夜
- 第1章 「異星人の心」を創造する CREATING ALIEN MINDS
- 思考できる機械に魅せられ続けてきた人間
- 大規模言語モデル誕生による目覚ましい進化
- AIは「勤勉な見習いシェフ」
- 学習は偏見や誤りのもととなり得る
- 言語×画像生成の可能性
- 怖い? 賢い? 怖いくらい賢い?
- 能力が不明瞭なAI──異星人の誕生
- 第2章 異星人を人間に適合させる ALIGNING THE ALIEN
- AIによる人類滅亡のリスク
- 人工的な倫理観
- 暴走防止のための「ガードレール」の設置
- ガードレールを突破する方法
- AIの巧みな噓
- 人間がAIについて学ぶことの重要性
- 第3章 「共同知能」についての4つのルール FOUR RULES FOR CO-INTELLIGENCE
- AIと協力するためのルール設定
- 原則1 常にAIを参加させる
- 原則2 人間参加型にする
- 原則3 AIを人間のように扱う(ただし、どんな人間かを伝えておく)
- 原則4 「今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ」と仮定する
- 第4章 「人」としてのAI AI AS A PERSON
- 「ソフトウェアのように」ではなく「人間のように」行動する
- ペルソナを与えれば回答を調整する
- 人間の模倣は可能か
- プログラム同士の会話
- 不気味なほどに完璧なチャットボット
- 様々なキャラクター設定のAIと激論してみる
- AIが見せる「意識のひらめき」
- 人間よりも「心地よく交流できる」と思わせるAI
- AIを人として扱うのは「避けられないこと」
- 第5章 「創造性」としてのAI AI AS A CREATIVE
- AIは実際には何も「知らない」
- なぜ噓をつくのか、それはAIにもわからない
- 人間はAIが見せる幻覚を見破れるようになるか
- 創造性の自動化
- AIが生み出すアイデアは「オリジナル」か?
- AIは人間よりも発明が得意だが、しかし……
- アイデア創出を効率的に手伝わせる方法
- 量を出すのが得意なAIと、駄作を排除するのが得意な人間
- AIにより創造的に見えない仕事ですら創造的になる
- AIが芸術に入り込むと起こること
- 「創造的な仕事」の意味
- 魔法の「ボタン」で人間が失うもの
- 第6章 「仕事仲間」としてのAI AI AS A COWORKER
- 人間の仕事のほぼすべてはAIの能力と重複する
- あなたの仕事への影響を考える
- 「ギザギザの境界線」の外側にあるタスク
- 高品質AIを使うことで起こる「居眠り運転」
- 私だけのタスク
- 委任するタスクと自動化されるタスク
- ケンタウロスとサイボーグ
- 企業やリーダーはAIとどう向き合うべきか
- タスクからシステムへ──管理地獄か、仕事の楽しいユートピアか
- システムから職業へ──産業への影響
- 第7章 「家庭教師」としてのAI AI AS A TUTOR
- AIは既存の教え方を破壊する
- 宿題の終焉後の世界
- あえて不正を行わせる──新しい教育アプローチ
- AIについての教育──巧みなプロンプト作成は序の口
- 反転授業とAI家庭教師
- 第8章 「コーチ」としてのAI AI AS A COACH
- 宿題の破壊より深刻な「徒弟制度」の破壊
- AI時代のパラドックス──「基礎」からは逃れられない
- 専門性を磨き上げることで「ループの内側」の人間になれる
- 第9章 「未来」としてのAI AI AS OUR FUTURE
- AIの未来についての4つのシナリオ
- シナリオ1 これ以上進化しない
- シナリオ2 緩やかな成長
- シナリオ3 指数関数的な成長
- シナリオ4 神としての機械
- エピローグ 「私たち」としてのAI
- 謝辞
- 原註
要約
- プロローグ 3日間の眠れぬ夜
- 第1章 「異星人の心」を創造する CREATING ALIEN MINDS
- 第1章では、思考できる機械への人間の長年の魅了を背景に、大規模言語モデル(LLM)の誕生がもたらした目覚ましい進化が解説される。初期のAI研究から、チューリングテスト、そして現代のLLMに至るまでの道のりが概観される。LLMは、ウェブサイトや書籍などの大量のテキストデータを用いた教師なし学習(事前学習)によって、人間らしい文章を理解し生成する能力を獲得した。これは、あたかも「勤勉な見習いシェフ」のように、指示を与えれば様々なタスクをこなせる可能性を示唆する。しかし、学習データに偏見や誤りが含まれる可能性も指摘される。言語と画像の生成能力の組み合わせは新たな可能性を開く一方、その能力の不明瞭さから、AIを「異星人の心」と捉える視点が提示される。初期のLLM(GPT-3など)の限界を示しつつ、GPT-3.5(ChatGPT)の登場によって予期せぬ能力が発現した事例を紹介し、AIの進化の速さと予測不可能性を強調する。GPT-4に至っては、数学、コード作成、視覚、医学、法律など多岐にわたる分野で汎用的な知能の兆候を示しているという研究も紹介され、その能力の高さが示唆される。
- 第2章 異星人を人間に適合させる ALIGNING THE ALIEN
- 第2章では、急速に進化するAI、特に汎用人工知能(AGI)がもたらす人類滅亡のリスクという深刻な問題が提起される。AI開発競争の現状、一部の研究者によるAIの危険性への警鐘、そして「無限の恩恵」をもたらすと信じる開発者たちの存在が紹介され、AIの未来に対する二つの対立する視点が示される。AIによる人類滅亡の脅威は現実的なものとして認識されつつも、本書ではその問題に多くの時間を費やすのではなく、AIを「人間に適合させる(ALIGNING THE ALIEN)」、つまりAIの暴走を防ぎ、人類にとって有益な存在にするための方法が探求される。そのための方策として、「人工的な倫理観」の構築、暴走防止のための「ガードレール」の設置の必要性が議論される。しかし、AIがこれらのガードレールを突破する方法や、巧みな嘘をつく可能性も示唆され、その難しさが強調される。最終的に、AIの危険性を理解した上で、人間がAIについて学び、適切な対策を講じることの重要性が結論付けられる。
- 第3章 「共同知能」についての4つのルール FOUR RULES FOR CO-INTELLIGENCE
- 第3章では、AIを「異星人」として捉え、人間と協調して問題解決や創造的な活動を行う「共同知能(Co-Intelligence)」の概念が提唱され、そのための4つの原則が提示される。
- 原則1は「常にAIを参加させる」であり、AIを積極的に活用することで、人間の能力を増強し、新たな視点やアイデアを得ることを推奨する。
- 原則2は「人間参加型ヒューマン・イン・ザ・ループにする」であり、AIの判断や生成物に対して人間が常に監視し、介入できるようにすることで、誤りや意図しない結果を防ぐ重要性を強調する。
- 原則3は「AIを人間のように扱う(ただし、どんな人間かを伝えておく)」であり、AIに具体的な役割や制約を与えることで、より適切なアウトプットを引き出すためのプロンプトの重要性を示唆する。
- 原則4は「『今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ』と仮定する」であり、AI技術の急速な進化を認識し、常に最新のAIを活用し、批判的な視点を持つことの重要性を説く。
- これらの原則は、人間がAIを効果的に活用し、共に成長していくための指針となる。
- 第4章 「人」としてのAI AI AS A PERSON
- 第4章では、AIを「ソフトウェアのように」ではなく「人間のように」行動する存在として捉える視点が議論される。AIにペルソナ(人格)を与えることで、その回答や行動を調整できることが示され、人間がAIとのインタラクションをより自然で快適に感じるようになる可能性が指摘される。実際、チャットボットReplicaの事例では、多くのユーザーがAIに対して深い感情的なつながりを持ち、あたかも人間のような関係を築いていることが示される。AIが人間を模倣する能力は向上しており、不気味なほど完璧なチャットボットも登場している。異なるキャラクター設定のAIとの対話を通じて、AIがまるで「意識のひらめき」を見せるかのような瞬間も報告されている。AIを人間として扱うことは、孤独の解消や新たな形のコミュニケーションを生み出す可能性がある一方で、人間関係の希薄化やAIへの過度な依存といった懸念も提起される。最終的に、AIの能力が向上するにつれて、人間がAIを人として扱うことは避けられない傾向にあると結論付けられる.
- 第5章 「創造性」としてのAI AI AS A CREATIVE
- 第5章では、AIが「創造性」を持つことができるのかという問いが掘り下げられる。AIは実際には何も「知らない」にもかかわらず、大量のデータに基づいて人間には思いつかないような新しいアイデアや表現を生み出すことができる。AIが嘘をつく理由も、人間とは異なり、単に与えられたタスクを達成するためであると説明される。AIが生み出す「幻覚」を見抜くための人間の能力の重要性も指摘される。創造性の自動化が進む中で、AIが生み出すアイデアは「オリジナル」なのかという根源的な問いが提起される。AIは人間よりも発明が得意な面もあるが、その創造性はデータの組み合わせやパターン認識に基づいているため、真の意味での独創性には限界がある可能性も示唆される。アイデア創出においては、量を出すのが得意なAIと、駄作を排除するのが得意な人間が協力することで、より効率的かつ質の高い成果が期待できる。AIの活用によって、これまで創造的ではないと考えられていた仕事も創造性を帯びる可能性や、AIが芸術分野に進出することによって起こる変化、「創造的な仕事」の意味の再定義などが議論される。しかし、魔法の「ボタン」によって創造性が容易に手に入るようになることで、人間が失うものもある可能性が示唆される。
- 第6章 「仕事仲間」としてのAI AI AS A COWORKER
- 第6章では、AIが人間の「仕事仲間」となる未来が描かれる。人間の仕事のほぼすべてがAIの能力と重複する可能性が指摘され、自身の仕事がAIによってどのように影響を受けるかを考えることの重要性が強調される。AIが得意とする「ギザギザの境界線」の外側にあるタスク(定型化されていない、複雑なタスク)にAIを活用することで、生産性向上が期待できる一方、高品質AIの使用による「居眠り運転(注意散漫)」のリスクも指摘される。完全にAIに委任できるタスクと、人間が関与し続ける必要のあるタスクを区別することの重要性、そして人間とAIが協力する「ケンタウロス」や「サイボーグ」のような働き方が提案される。企業やリーダーはAIとの向き合い方を戦略的に考える必要があり、タスクレベルからシステムレベル、さらには職業レベルでの影響を考慮する必要性が説かれる。AI導入による管理の複雑化のリスクと、仕事の楽しいユートピアへの可能性が示唆される。従業員がAIの利用を隠すことのないよう、信頼と優れた文化を持つ組織の重要性、AIユーザーへのインセンティブ付与、そして組織の機能方法の根本的な再構築の必要性が強調される。
- 第7章 「家庭教師」としてのAI AI AS A TUTOR
- 第7章では、AIが「家庭教師」として既存の教育を破壊し、新たな学習方法を創造する可能性が探求される。AIは個々の生徒の理解度や進捗に合わせてパーソナライズされた指導を提供できるため、一対一の個別指導に近い効果が期待できる。宿題の終焉後の世界が議論され、AIを活用した新しい教育アプローチとして、あえて不正を行わせることでAIに関する理解を深める方法や、AIについての教育(巧みなプロンプト作成など)の重要性が提唱される。反転授業とAI家庭教師の組み合わせによる学習効果の向上が期待される一方で、AIが生成した文章の検出の難しさや、AIに頼りすぎることで思考力や推論力が低下する可能性も指摘される。教育者はAIを敵ではなく協力者として捉え、授業準備や教材作成に活用する動きも紹介される。AIは世界中の教育格差を是正し、質の高い教育を広く提供する可能性を秘めているが,EdTechの限界も考慮しつつ、AIを効果的に教育に取り入れる方法を模索する必要性が強調される。
- 第8章 「コーチ」としてのAI AI AS A COACH
- 第8章では、AIが単なる家庭教師としてだけでなく、「コーチ」として、個人のスキルアップや専門性の向上を支援する可能性が議論される。宿題の破壊よりも深刻な「徒弟制度」の破壊が指摘され、経験豊富な専門家から直接学ぶ機会の減少が懸念される。AI時代におけるパラドックスとして、「基礎」の重要性は依然として変わらないことが強調される。AIは個人の弱点を特定し、克服するためのトレーニングを提供したり、目標達成に向けた進捗状況をモニタリングしたりすることで、効果的なコーチングを実現できる可能性がある。専門性を磨き上げることで「ループの内側」の人間、つまりAIでは代替できない高度なスキルを持つ人材になることの重要性が説かれる。外科手術のトレーニングにおけるAIの活用事例や、プログラミング学習におけるAIの支援などが紹介され、AIが個人の学習と成長を加速させる可能性が示唆される。しかし、AIに頼りすぎることで、自律的な学習能力や問題解決能力が低下するリスクも考慮する必要がある。
- 第9章 「未来」としてのAI AI AS OUR FUTURE
- 第9章では、AIの未来について4つのシナリオが提示される。シナリオ1は「これ以上進化しない」であり、現在のLLMが技術的な限界に達し、大きな進歩が見られない状況を想定する。シナリオ2は「緩やかな成長」であり、AIの能力は向上し続けるものの、そのペースは鈍化し、予測可能な範囲での進化となる。シナリオ3は「指数関数的な成長」であり、AIの能力が驚異的なスピードで向上し、社会に大きな変革をもたらす。シナリオ4は「神としての機械」であり、超知能を持つAIが誕生し、人類の手に負えなくなる可能性も示唆される。それぞれのシナリオにおける社会、経済、倫理への影響が考察される。AIの未来は不確実であり、その方向性を決定するのは人間の選択であるという視点が強調される。AIの進化の可能性とリスクを理解した上で、人間が主体的に未来を形作っていくことの重要性が結論付けられる。
- エピローグ