デジタルと生産性

2019-08-23

個人と企業の生産性

生産性は、個人の場面では「知的生産」が主たる問題であり、企業の場面では「労働生産性」が問題である。
「労働生産性」を向上させようということは企業サイドで一貫していわれていたことであったが、気が付いてみると、わが国の「労働生産性」は、経済協力開発機構(OECD)加盟国35カ国では、20位以下、G7では最下位だという。換算基準の問題もあるのだろうが、わが国が「失われた!!年」でドタバタしている間に、すっと追い抜かれたということであろうか。

その原因と対策についてあれこれいわれるが(「働き方改革」もそうだという!)、ただマクロ経済の数値をいじり、経済政策を唱えてもうまくいかないだろう。ポイントは、企業における経営者、労働者、DSの「生産性」とその組み合わせがもたらす「生産性」である。その意味で、今、デジタルが注目されるのには、理由がある。
ただここからが問題であって、どうすれば企業が有効なDSを遂行できるのか、それはこのコンテンツの記事全体を通じて問題にすることである。

企業が有効なDSを遂行するために最も重要なのは、企業を構成する経営者、労働者が、DSに取り組む際の「知的生産性」(カーネマンのシステム1+デジタルを理解・運用するシステム2)である。生産性を向上させることが、企業にとっても個人にとっても有益のみならず、快感となることが重要であろう。
ただ現状は、「IT活用を妨げるもの-生産性上昇の方法」で紹介したように、「あと10年でIT活用が定着するか」ことが必要だとしても、「IT技術を支える基本を考えてみると、その中心は、<英語の略字イメージに基づく記号>の<論理的操作(数学)>である。要するに英語と数学の簡易バージョンだ。英語と数学を日常的に普通に使いこなせる能力を備えて、はじめてITの活用ができるといえよう。ITをブラックボックスにしないためには、ベンダーはもとよりユーザーも、ITを支える英語、数学の使いこなしが必須だ。そのレベルは高くはないだろうが、通常人が使用する情緒的な自然言語の世界から、頭を切り替えるのには、苦痛が伴う。それを乗り越えられるかどうかが、本当にあと10年でIT活用が定着するかどうかのポイントだろう。さてそうなると、問題はさほど簡単ではない。10年のうちに誰が何をしたらいいんだろう。私にもできることがありそうだ。少し考えてみよう」」ということだ。

そこでこの項目では、①まず「労働生産性」について書いた本を検討しよう。個人の「知的生産性」(システム1+デジタルを理解・運用するシステム2)からみて、どのような議論が展開されているかが問題である。
②引き続いて(企業や生活・仕事における)個人の「知的生産性」そのものについて書いた本を検討しよう。ただ、これは、様々な分野を対象にした本を加えるとその範囲は無限に広がる。ここでは基本的に個人の「知的生産」に限ろう。
③そして可能であれば「デジタル」によって②と①を架橋することになる。

労働生産性

  • 「生産性」(著者:伊賀 泰代)
  • 「生産性とは何か ──日本経済の活力を問いなおす」(著者:宮川努)
  • 「日本人の勝算」(著者:デービッド・アトキンソン)
  • 「新・生産性立国論―人口減少で「経済の常識」が根本から変わった」(著者:デービッド・アトキンソン)
  • 「日本再生は、生産性向上しかない!」(著者:デービッド・アトキンソン)
  • 「スティグリッツのラーニング・ソサイエティ―生産性を上昇させる社会」(著者:ジョセフ・E・スティグリッツ)
  • 「イノベーターのジレンマの経済的解明」(著者:伊神 満)
  • 「ネクスト・ソサエティ」(著者:P F ドラッカー)
  • 「THE END OF JOBS 僕たちの20年戦略」(著者:テイラー・ピアソン)
    「ネクスト・ソサエティ」(著者:P F ドラッカー)

知的生産

  • 「知的生産とその技術 Classic10選」(著者:倉下忠憲)
  • 「知的生産術」(著者:出口治明)
  • 「知的生産ワークアウト」(著者:奥野 宣之)
  • 「京大・鎌田流 知的生産な生き方」(著者:鎌田 浩毅)
  • 「知的生産の技術」(著者:梅棹 忠夫)
  • 「知的生活の設計-「10年後の自分」を支える83の戦略」 (著者:堀 正岳)
  • 「知的生活の方法」(著者:渡部昇一)
  • 「終生 知的生活の方法~生涯、現役のままでいるために~ 」(著者:渡部 昇一)
  • 「知的生産を楽しもう」【活用編】【ジョッター・Google Keep活用編】【執筆編】【正編】(著者:トーマス加藤)
  • 「知的戦闘力を高める 独学の技法」(著者:山口周)
  • 「知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ」(著者:苅谷剛彦)
  • 「THE END OF JOBS 僕たちの20年戦略」(著者:テイラー・ピアソン)
  • 「Getting Results the Agile Way: A Personal Results System for Work and Life」(著者:J.D. Meier, Michael Kropp)
  • 「世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと」(著者:クリス・ベイリー)
  • 「最高の脳で働く方法 Your Brain at Work」(著者:デイビッド・ロック)
  • 「あなたの生産性を上げる8つのアイディア」(著者:
  • 「イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」(著者:安宅和人)
  • 「Getting Results the Agile Way: A Personal Results System for Work and Life」(著者:J.D. Meier, Michael Kropp)
  • 「世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと」 (著者:クリス・ベイリー)
  • 「最高の脳で働く方法 Your Brain at Work」(著者:デイビッド・ロック)
  • 「自働大全」(著者:
  • 「仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術」(著者:
  • 「パソコン仕事最強の習慣」(著者:
  • 「パソコン仕事術の教科書」(著者:

デジタルで架橋する

知的生産を労働生産性に架橋するのは、「学び」に他ならない。まデジタル分野の「学び」は次の2書だろうか。

  1. 「リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法」(著者:Andy Hunt)(Amazonにリンク
  2. 「エンジニアの知的生産術」(著者:西尾泰和)(Amazonにリンク

私たちの世代の「学び」は、教師の説明を聞いて板書を手書きする、本を読んで要点を手書きする、何かを覚えるときに口で唱えるか、手書きするかというものであった。デジタル時代の学びは大きく異なるが、何が有効で、何が駄目なのだろうか。ただどの場合も、手書きするというのが、行動で知覚、思考する人が身に付けるための本質的な「学習方法」だと思う。

ただいきなり上記2書に飛びつく前に、下ごしらえとして、次の2書に目を通すのがようだろう。

  1. 「集中講義デジタル戦略 テクノロジーバトルのフレームワーク」(著者:根来 龍之)
  2. 「AIにできること、できないこと-ビジネス社会を生きていくための4つの力」(著者: 藤本 浩司, 柴原 一友)

その上で、学ぶ方法として「今から学び始める方法-オンライン講義と読書」をお薦めしたい。

上記で紹介したのは、放送大学とThe Great Courses Plusだが、その他、iTunes U、Podcast、様々なMOOC、gaccoもある。ただ余り散漫にならないのが重要だろう。

次に検討すべきは「デジタルで考える」、「デジタルで表現する」であろうが、これは今後の課題としよう。

デジタルで考える

デジタルで表現する

 

 

Posted by murachan54