今から学び始める方法-オンライン講義と読書

2020-10-13

数条の道

何かを学ぼうとし、その方法を、学校に行くか独学するかから選ぶとすると、とにかく独学は難しいねということになる。では学校に行くかというと、それは大半の社会人にはなかなか難しい。そこでやはり独学にしてその方法を工夫しようということになる。

独学論はもうすぐ読書猿さんの「独学大全」がKindle本になるので、それを読めばあれこれ参考になる技法が紹介されていると思うが、ここでは当面私が考えている独学法を記述しておこう(読書猿さんのWebは、「読書猿 Classic: between/beyond readers」(https://readingmonkey.blog.fc2.com/)。「独学大全」の詳細目次(技法)も掲載されている。私はこれまでこのWebを知らなかったが、このようなものがあると単なる本の紹介は空しくなるなあ。いや私は「問題解決だ」、といっても、読書猿さんには「問題解決大全」もある。ただ私とは居場所も向き合っている問題も違うことは間違いないから、くじけず行こう。)。

学ぶということが、「身につける」ということであれば、急がば回れである。学校は往き帰りの時間がかかるし、その講義が適切な内容かどうかも分からないが、しかし自分の身体を講義の声が通過するということには(たとえうつらうつらしていても)意味がある。往々にして声を追うのは時間の無駄だから、本を読んだ方が速いし、声のように消え去らないからいいのではと思いがちだが、それは違うというのが、私の体験的な「感想」だ。だからこれからは、少なくてもある何事かの全体を身につけるためには、講義に踏み止まろうと思う。

放送大学

学校には行かないが講義を聴きたいとなれば、今はオンラインであるが、一押しは(多分)放送大学だ。ここには300ものオンライン講義(動画か音声)が用意されている。講義の印刷教材も書店で購入することが出来る(3000円前後で少し高いが。)。本来は「大学」で単位を取る仕組みなのだろうが、「聴講生」として自分で300の講義から取捨選択してパソコン、スマホで、いつでもどこででも聴講して身につけていけるということは、これまでには考えられないことであった。週1回の放送を聴講することは、通学と同じぐらい敷居が髙かった。

もちろん講義によってはどうなの(内容よりもしゃべり方が大きいな。)ということもあるが、とにかく講師は、千、万単位の受講生を相手にしてしゃべり、評価され、数年ごとに内容を改訂していくという仕組みだから、その分野全体を理解している講師が担当し(複数講師が担当することも多い。)ある水準が確保されていることは安心していい。

1年間全部のオンライン講義を利用するためには、1科目を受講する選科履修生になるが、費用は1年間につき入学金込みで2万円だ。手続は放送大学のWeb(https://www.ouj.ac.jp/)を見ればいいが、制度自体が改変に次ぐ改変だから、どこに何が書いているから極めて分かりにくい。要は、何かの科目を選び(私は「管理会計」だ!印刷教材が送られてきて、提出課題、試験もあるが、さてそれはどうしよう。)、選科履修生になれば良い。来年4月の入学の申込みがそろそろ始まる。

私は当面、数学を含む自然科学、人類のこれまでと今後の環境問題を含む人類学、経済社会学、情報科学、情報法、著作権法等20科目程度を選び、今後の学習計画を立てている。1科目は、1回45分、15回だから、1日、1時間半(2科目)視聴すれば、1ヶ月で4科目視聴できる。1年間継続すれば50科目になる。ただ最初は数学を含む自然科学に重点的に取り組むから、なかなか予定どおりには行かないだろうが、とにかく年内には、数学数科目と物理、化学の基礎は押さえよう、そこを超えられれば、私が解読できる世界は随分と広がる。

WONDRIUM

こちらはアメリカの大学レベルのオンライン動画講義だ(https://www.wondrium.com/)。もとはThe Great Coursesといったが、しばらく前から他のコンテンツも含めて拡大した。講義数は数えにくいが、200は超えているだろう。基礎的な分野もあるが、IT,応用科学、趣味や旅行の科目もある。なによりカラー写真、動画が美しい。講義は1回、ほぼ30~40分、回数は科目によって違うが、10~数十回である。特筆すべきは、通常の講義には、数十~数百頁のPDFのガイドブックが付されており、加入すると無料でダウンロードできる。

費用は、年会員だと年額2万円だ。奇しくも放送大学と同じだが、これを使いこなすのは、少し英語に習熟してからであろうが、提供されている科目が楽しいので、すぐ視聴したくなってしまう。アメリカらしい歴史や宗教科目、「Big History」、「Geological Wonders」、「Oceanography」「Yoga」等々、とても魅力的だ。ただ空回りしないようにしなければ。

その他

コロナ後はますますオンライン講義が増えるだろう。従前からMOOCが注目されてきたが、いささか敷居が高いので、まず、上述した、放送大学、The Great Courses Plusを先行させてみたらどうだろう。

弁護士には、日弁連が総合研修サイトで充実したオンライン講義を提供しているし、多くのビジネス向けの講義も提供されている。時間は、学ぶことに「浪費する」のがいいなあというのが最近の実感である。

読書を考える

私は今までは、酒好きを除けば読書と登山が「趣味」であった。

しかし最近、ちゃんと「身につくような読書」ができているんだろうかという問題を、ひしひしと感じている。

私は、①教科書、基本書(法律)という分野、②文学の分野、③思想書の分野を読んで育ち、弁護士になって暇なときに読む本は、④(自然、社会、人文を問わず)ポピュラーサイエンスと呼ぶべき翻訳書がほとんどであった。①②③は、読み方がはっきりしている。①は隅から隅まで時間をかけて読み、その分野で身につけた知識の運用が出来るようにすること、②はおもしろければ最後まで引き込まれて熟読し、つまらなければ何のためらいもなく投げ捨てる。③は、少々分からなくてもこちらが背伸びしてでも対峙することで、十分に読めた。いずれも自分が息をするのとシンクロして読んでいけばいいのであって、読む方法に疑問は感じなかった。

しかし④の類の本(要はこのWebで紹介する大半の本だ。)の読み方は難しい。一方には、スキャン読み(速読)でいいのではという考えがあり、一方には、メモをとりながら時間をかけて丁寧に読めば、飛躍的に理解力があがるという考えもある。要は急がば回れである。前者であればそんなつまらない本は読まなければいいのではないかという気がするし、後者であれば4000冊を超えたKindle本、いったん大量処分したにも拘わらず2000冊近くになったR本をどう読むのかという問題がある。

しかもむつかしいのは、デジタルシフト時代になって人の注意力は散漫になり、とりわけデジタル(Kindle本)読書はその最たるものではないかということである、

ここはうまく纏められないが、しばらくは、仕事とオンライン講義の受講の合間に、満を持して選択したKindle本をメモをとりながら時間をかけて丁寧に読むということをやってみようと思う。