資本主義と企業の行方

2020-10-18

検討すべき課題

「資本主義と企業の行方」というテーマは、いささか大仰だが、これからの世界にとってもっとも切実な課題であることは間違いない。
持続可能な地球・世界・社会や、地球温暖化とエネルギー問題に対応し、降り注ぐ難問を乗り切って、将来を切り拓くためには、個人、企業、政府が、共同、協働する仕組みの確立とその運営・実行が必要だが、それがこれまでの(というよりここ数十年の)資本主義や企業のあり方がどこまで変化すれば可能かということが、資本主義の行方、企業の行方という問題である。

人は、自分の思考・行動をターゲットにし、これを変革することは(非常に難しいとはいえ)できないことはないが(だから自分が属する「組織」であれば、その「持続可能性」はターゲットたり得る。)、企業全般、ましてや、資本主義システムの全体を制御する能力はない。ただ地球のどこかで不都合が生じようと、自国(先進国)の経済の拡大や利益のみを目標としていいのであれば、資本の動きを加熱させれば部分的にはそれは可能であったし(それでも制御不能な大波は、幾度となく押し寄せてきた。)、企業、政府は、帝国主義時代から現代に至るまでそれを繰り返してきた。しかし、「満杯となった地球」、「金利の指数関数的運用の不可能性」の中で、どうすれば持続可能なのか、分業の役割が視野にない「自給自足」ではない、別の切り口はないのか、出来の悪い「評論家」でいいから、ここで少しでも問題に迫りたいと思う。

詳細な検討は、追ってということだが、当面簡単なメモと検討すべき参考本を掲載しておく。じっくり検討するしていくしかない。

資本主義の行方

コメント

こういう問題にいきなりノーベル賞受賞経済学者や、著名なエコノミストの本から入ると、私が権威主義的になってしまうので、身近な日本の少し変わり者(主流ではないという意味だが)の経済学者の本から検討しよう。

ⅰは、経済学者でさえない理科系の人だが、「資本主義」とは何かということに迫っていて世評の高い本だ。
ⅱからⅵの倉坂さん、広井さんは、どちらも千葉大学にいて(広井さんは今は京都大学のようだ)、環境を踏まえた経済、社会について論陣を張っている。入口としてまず取り組みたい。ⅶの小幡さんもいかにも変わり者という論述で、内容は新しいし大部分は面白いのだが、少し整理不足と思った。3人とも、元役人のようだ。その分、行政のどうしようもなさを踏まえているのかも知れない。

外国に目を転じると、出発点は、ローマクラブのⅷ「Come On! 目を覚まそう!」である。ⅸはノーベル賞受賞経済学者だが、様々な人と共同研究することで多くのことが目に入るらしい。ⅹからⅻは、少しずつ観点の違う資本主義の将来論である。

参考本

  1. 現代経済学の直観的方法:長沼伸一郎
  2. なぜ経済学は経済を救えないのか——資本基盤マネジメントの経済理論へ—— (上)視座と理念の転換:倉坂秀史  
  3. なぜ経済学は経済を救えないのか——資本基盤マネジメントの経済理論へ——(下)政策展開の経済理論:倉坂秀史
  4. 環境と経済を再考する:倉阪秀史  
  5. ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来 (岩波新書) :広井 良典
  6. 定常型社会 新しい「豊かさ」の構想 :広井 良典
  7. アフターバブル―近代資本主義は延命できるか:小幡 績
  8. Come On! 目を覚まそう!―ローマクラブ『成長の限界』から半世紀 ~環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか? :エルンスト・フォン・ワイツゼッカー, アンダース・ワイクマン
  9. 良き社会のための経済学:ジャン・ティロール
  10. 資本主義が嫌いな人のための経済学:ジョゼフ・ヒース
  11. デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか―労働力余剰と人類の富 :ライアン・エイヴェント
  12. ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界:ポール・メイソン
  13. 増補 複雑系経済学入門:塩沢由典
  14. 複雑系としての経済 豊かなモノ離れ社会へ:西山賢一
  15. 2060デジタル資本主義 :岩田一政 and 日本経済研究センター

企業の行方

「企業の行方」は、本の選定もこれからであるが、経営改革論に止まらず、持続可能性も視野に入れているものとして、ここではとりあえず、名和高司さんと推奨する「ビッグ・ピボット」を掲載しておこう。「企業の行方」は、地球の環境問題」の「企業の取り組み」と一部重なっている。

  • コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法 :名和高司
  • 経営改革大全 企業を壊す100の誤解 :名和高司(Amazonにリンク
  • ビッグ・ピボット ― なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか :アンドリュー・S・ウィンストン(Amazonにリンク

 

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Posted by murachan54