地球環境と資本主義の行方
地球環境と資本主義の行方
地球環境と資本主義が今後どうなるかについて、様々な関心と手法を基に論じた本は多い。
地球環境と資本主義wお関連付けて一番古くから、熱心に、そして科学的な手法で追及してきたのは「ローマクラブ」だろう。関係者によって次のような本が刊行されてきた。
- 成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート:ローマクラブ(1972)
- 限界を超えて-生きるための選択:ドネラ・H. メドウズ,ヨルゲン ランダース ,デニス・L. メドウズ(1992)
- 成長の限界 人類の選択:デニス・L・メドウズ, ドネラ・H・メドウズ, ヨルゲン・ランダーズ(2002)
- 2052 今後40年のグローバル予測:ヨルゲン ランダース(2013)
- ローマクラブ『成長の限界』から半世紀 Come On! 目を覚まそう!―環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか? :エルンスト・フォン・ワイツゼッカー, アンダース・ワイクマン(2019)
これらをふまえて2023年に刊行されたのが「万人のための地球 Earth for All 『成長の限界』から 50年ローマクラブ新レポート」である。
4,5の方が読みやすいが、「万人のための地球」は多くの人の議論をふまえて作成された言わば「結論版」なのでこれを軸として取り上げて議論しよう。
<万人のための地球:ローマクラブ>の目次と要約
目次
- 本書に貢献した人々・翻訳者・翻訳協力者一覧・序文
- 第1 章 万人のための地球:健全な惑星で世界的な公正を実現するための 5つの劇的な方向転換
- ブレークダウンかブレークスルーか?
- 未来シナリオの来歴
- 「成長の限界」から「プラネタリーバウンダリー」へ
- 「万人のための地球」構想
- 経済システムの変革への人々の支持
- 第2章 「小出し手遅れ」か「大きな飛躍」か: 2つのシナリオの検討
- 1980年から 2020年までの簡潔なレビュー
- シナリオ1: 「小出し手遅れ」シナリオ
- シナリオ2: 「大きな飛躍」シナリオ
- 私たちは協働してどのようなシナリオを創っていくのか?
- 第3章 貧困との訣別
- 私たちの現在の問題は何か?
- 貧困の方向転換:課題への挑戦
- 解決策1:政策策定範囲の拡大と債務への対応
- 解決策2:金融構造を変革する
- 解決策3:世界貿易を変革する
- 解決策4: 技術へのアクセスの改善と技術のリープフロッグ
- 解決策を阻むもの
- 結論:貧困の方向転換
- 第4章 不平等の方向転換:「配当の共有」
- 経済的不平等の問題点
- より大きな公平性に向けた大きな飛躍
- 平等のレバーの障壁を克服するために
- 結論
- 第5章 エンパワメントの方向転換:「ジェンダー平等の実現」
- 人口
- すべてを方向転換させる
- 教育を変革する
- 経済的自立とリーダーシップ
- 安心できる年金と尊厳ある老後
- 結論
- 第6章 食の方向転換:食料システムを人間と地球の健康に寄与するもの にする
- 地球の生物圏の消費
- 解決策1:農業に革命を起こす
- 解決策2:食生活を変える
- 解決策3:食料のロスと廃棄をなくす
- 障壁
- 結論
- 第7章 エネルギーの方向転換:「すべてを電化する」
- 課題
- 上を見ないで
- 解決策1: システム効率化の導入
- 解決策2: (ほとんど)すべてを電化する
- 解決策3:新たな再エネの指数関数的な成長
- Earth4Allの分析に見るエネルギーの方向転換
- 障壁
- 結論
- 第8章 「勝者総取り」資本主義から Earth4All経済へ
- 新たな経済運営システム
- レンティア資本主義の台頭
- 人新世におけるコモンズの再考
- 従来型の経済のゲームボード
- ゲームボードを描き直す
- 短期主義:寄生的な金融システムへの道
- システムチェンジの具体化
- システムの失敗を解決する
- 結論
- 第9章 今こそ行動を
- 「万人のための地球」は思ったよりも近くにあるか?
- 湧き上がる声
- 付録 Earth4Allモデル
- モデルの目的
- モデルの歴史
- モデルの主要部門
- モデルの因果ループ図
- モデルの斬新性
- 「万人のための地球」ゲーム
- 注釈
- 原著者について
- 訳者あとがき
- 索引
論点と要約
- 主要テーマ
- 現状分析と二つのシナリオ:
- 過去のレビュー (1980-2020年): 過去40年間の経済成長は大幅な進歩をもたらした一方で、地球の限界を超過し、社会的な不平等を拡大させてきたと指摘しています。図1.1から図1.4は、GDP、海外直接投資、肥料使用量、国際観光、紙の生産量、交通量、都市人口、大規模ダムの数の急激な増加を示しており、人間活動が地球システムに与える影響の大きさを物語っています。
- プラネタリーバウンダリー: 「成長の限界」の概念を発展させ、気候変動、生物多様性の喪失、土地利用の変化など、人類が安全に活動できる生態学的上限(プラネタリーバウンダリー)の概念を紹介しています。図1.5では、既に5つの境界を超過している現状を示し、ドーナツ経済モデルを用いて、生態学的上限を超えず、社会的な基礎を下回らない「安全な活動空間」への回帰を提唱しています。
- 二つのシナリオ:「小出し手遅れ」シナリオ: これまでの漸進的な政策改善を続ける場合、2050年までに人口増加と経済成長は鈍化するものの、貧困は「世界の大半」で継続し、豊かな世界では不平等が拡大、社会的緊張が増大し、生態学的フットプリントは増え続けると予測しています。このシナリオでは、「異常事態が次々と発生することが,ニューノーマル(新しい常態)となった」と警鐘を鳴らしています (p. 48)。
- 「大きな飛躍」シナリオ: 貧困、不平等、エンパワメント(ジェンダー平等)、食料、エネルギーの5つの主要分野で劇的な方向転換を即座に導入することで、今世紀中に持続可能で公平な未来を築けると示唆しています。このシナリオは、「人新世にふさわしい新しいタイプの経済の詳細を規定している」(p. 32)と位置づけられています。
- 経済システムの変革への支持:
- 本書は、一世代以内、実際には10年以内に前例のない経済的な変革が必要であると主張し、人々の支持が不可欠であると訴えています。「経済は私たち人間が設計したシステムである」(p. xii)という認識に基づき、現在のグローバル経済が無視してきた人間の内面や長期的な視点を取り戻す必要性を強調しています。
- 5つの方向転換:
- 貧困との訣別 (第3章): 低所得国が、最も脆弱な人々のウェルビーイングを確保する新しい急成長する経済モデルを採用する必要性を説いています。具体的には、国際金融システムの改革、債務への対応、金融構造の変革、世界貿易の変革、技術へのアクセスの改善などを提案しています。「低所得国は皆,繁栄と持続的な発展を望んでいる」(p. 59)という前提のもと、公平かつクリーンで急速な経済成長は可能であると主張しています。図3.1は、政策策定範囲の拡大がこの方向転換の基礎となることを示しています。
- 不平等の方向転換:「配当の共有」 (第4章): 経済的不平等の問題点を指摘し、より大きな公平性に向けた「大きな飛躍」を提唱しています。累進課税の強化、労働者の権利拡大、市民ファンドの導入などを具体的な解決策として挙げています。「不平等が大きい国は,効果的な統治ができないためである」(p. 88)と指摘し、不平等の是正が社会の安定と進歩に不可欠であると論じています。
- エンパワメントの方向転換:「ジェンダー平等の実現」 (第5章): 女性の教育、経済的機会、リーダーシップへのアクセス改善が、より良く、より強く、より回復力のある社会を構築すると主張しています。「男子を犠牲にして女子をエンパワメントすることは逆効果である」(p. 100)という視点も提示しつつ、包摂的なジェンダー平等の実現を目指すべきとしています。
- 食の方向転換:食料システムを人間と地球の健康に寄与するものにする (第6章): 現在の食料システムの脆弱性と持続不可能性を指摘し、農業の革命、食生活の変革、食料ロスと廃棄の削減という3つの解決策を提案しています。「現在の食料システムは,ただ持続不可能であるだけではなく,極めて脆弱である」(p. 117)と述べ、食料システムの変革が急務であると訴えています。
- エネルギーの方向転換:「すべてを電化する」 (第7章): 化石燃料への依存からの脱却と、再生可能エネルギーへの指数関数的な移行を提唱しています。システム効率化の導入、(ほとんど)すべてを電化すること、新たな再エネの指数関数的な成長を主要な解決策として挙げています。「クリーン電力技術は,あらゆる場所で指数関数的に成長している」(p. 136)と述べ、エネルギー転換の可能性を強調しています。
- 「勝者総取り」資本主義から Earth4All経済へ (第8章):
- 現在の経済システムを「短期主義」と「寄生的な金融システム」と批判し、地球と全ての人々のための新しい経済運営システムへの移行を提案しています。「お金はお金に基づき創造され,そして資産価値は,株式,債券から,不動産,知的財産,暗号資産に至るまでさまざまにシフトした」(p. 159)現状を分析し、レンティア資本主義の台頭が不平等を拡大させてきたと指摘しています。市民ファンドの設立やコモンズの再考を通じて、より公正な経済システムを構築する必要性を訴えています。
- 今こそ行動を (第9章):
- 本書は、提示された「万人のための地球」構想は決して遠い夢ではなく、「思ったよりも近くにあるか?」(p. 179)と問いかけ、読者一人ひとりの行動を促しています。「大規模なシステム変革は,意外にも個人的なものである」(p. xii)と述べ、何を優先させ、何のために立ち上がるのかを決めるのは私たち自身であると強調しています。市民会議の開催や政治家への働きかけなど、具体的な行動を提案し、変化への希望を喚起しています。
- 最も重要なアイデアや事実
- 「小出し手遅れ」シナリオの悲観的な予測: このままでは、気候変動は深刻化し、社会的・経済的混乱が拡大、2050年以降に社会崩壊が始まる可能性さえ示唆されています。
- 「大きな飛躍」シナリオの実現可能性: 5つの主要分野での大胆な政策転換によって、貧困削減、不平等是正、ジェンダー平等、持続可能な食料・エネルギーシステムの構築が可能であるとされています。
- ウェルビーイング中心の経済: GDP成長至上主義からの脱却を提唱し、人間の尊厳、自然、つながり、公平性、参加といった要素を含む「平均ウェルビーイング指数」を経済の進捗を測る新たな指標として提案しています。
- 市民ファンドの重要性: 共有資源の使用料を財源とした普遍的な配当を市民に分配する市民ファンドは、不平等の是正と経済変革期のセーフティネットとして重要な役割を果たすとされています。
- 再生可能エネルギーへの加速的な移行: 技術革新と政策支援によって、クリーンエネルギーが豊富で安価になる未来が実現可能であると強調されています。
- 変革には人々の意識と行動が不可欠: システム変革は個人的な決断から始まり、市民社会の広範な参加と支持がなければ実現しないと訴えています。「知っている私たちには義務がある。妨害されても私たちは行動を起こさなければならない」(p. xv)というワンガリ・マータイ教授の言葉を引用し、行動の重要性を強調しています。
- 結論
- 「Earth for All 万人のための地球」は、現代社会が直面する複合的な危機に対する警鐘であり、同時に、大胆な行動によってより良い未来を築けるという希望を示す書です。本書は、科学的な根拠に基づいた分析と、具体的な政策提言を通じて、「大きな飛躍」の必要性と実現可能性を訴え、読者に行動を促す力強いメッセージを発信しています。
地球環境の行方
<万人のための地球:ローマクラブ>の「地球環境」問題を検討する上で参考になることを以下掲載する(これまで作成した記事である。)。
持続可能性から地球の環境問題にアクセスする
環境問題は、公害問題・地域環境問題と、地球環境問題に分けることが出来る。前者は被害が市民に直接的なのである意味で分かりやすいが、後者は、温暖化問題題、オゾン層問題、資源問等、市民が直ちにはとらえることができない問題である。
ここではまず持続可能性から見た「地球の環境問題」についてできるだけ分かりやすく情報提供したい。以下、参考になる資料を紹介しよう。なお持続可能性の考え方の概要については、「複雑な問題を検討するための方法論」で言及している。
様々な資料
放送大学の講義・教材
環境問題全般について、放送大学の講義、印刷教材が丁寧に情報提供しており、問題の把握に便利である。
- ダイナミックな地球
- 「人新世」時代の文化人類学
- 環境問題のとらえ方と解決方法
- 環境と社会
- 地球温暖化と社会イノベーション
- エネルギーと社会
- 市民自治の知識と実践
1、2は、地球と人類を理解する準備、3~5は、環境問題論(4は、経済学と環境法からのアプローチであるが、私は経済学部分には異論が多い。)、6はエネルギー問題論、7は、市民の実行論である。放送大学については、「今から学び始める方法-オンライン講義と読書」を参照。印刷教材につき、Amazonは、在庫がなくなると、定価+送料の業者を紹介するので、要注意。全国に販売する書店があるのでそこで纏めて購入した方がいいか?
持続可能性を突きつめる本
- エコロジカル・フットプリント
- 小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発:J.ロックストローム(Amazonにリンク)
1は、地球の持続可能性に、エコロジカル・フットプリントという分かりやすい指標を持ち込んだもので、何個かの本があるので、次項で紹介する。
2は、「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)の範囲内で、科学技術の発展や持続可能な社会への転換を促し、貧困の緩和と経済成長を追求する新たな発展パラダイムを提唱している」美しい写真が掲載された本である。
「エコロジカル・フットプリント」をめぐって
「エコロジカル・フットプリント」は、1990年ころ、ブリティッシュコロンビア大学の、リース教授、及び院生であったマティース・ワケナゲルが開発した、環境評価の手法である。
両名の共著「エコロジカル・フットプリント 地球環境維持のための実践ぷらニング・ツール」、別の著者にワケナゲルさんが加わった「エコロジカル・フットプリント 地球1コ分の暮らしへ」等が翻訳されているが、少し古い。雑誌の特集ではあるがWWF監修の「地球にちょうどいい生きかたの指標 エコロジカル・フットプリント入門」(BIOCITY 2013 No.56)が様々な寄稿者によって多面的に論じられており、分かりやすい。
ワケナゲルさんは、2019年9月に「Ecological Footprint 」(by Wackernagel, Mathis)を出しており、これに最新の情報が記載されている。
- 「エコロジカル・フットプリント 地球環境維持のための実践プランニング・ツール」(Amazonにリンク)
- 「エコロジカル・フットプリント 地球1コ分の暮らしへ」(Amazonにリンク)
- 地球にちょうどいい生きかたの指標 エコロジカル・フットプリント入門」(BIOCITY 2013 No.56)(Amazonにリンク)
- 「Ecological Footprint 」(by Wackernagel, Mathis)(Amazonにリンク)
問題全体を捉えるこの3冊
- 〔データブック〕近未来予測2025 :ティム ジョーンズ、キャロライン デューイング(Amazonにリンク)
- 2052 今後40年のグローバル予測:ヨルゲン ランダース(Amazonにリンク)
- Come On! 目を覚まそう!―ローマクラブ『成長の限界』から半世紀 ~環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか? :エルンスト・フォン・ワイツゼッカー, アンダース・ワイクマン(Amazonにリンク)
1は、多数の専門家から得た近未来の変化に対する回答について、世界の39都市で120のワークショップを開催して得た意見を整理して纏め(日本の都市は入っておらず、わが国の現在の位置付けが分かる。)、更にこれを専門家に投げかけて、多くの問題についての意見を、未来の、人、場所、覇権、信念。行動、企業に分けて纏めている。こういう言い方では内容が伝わりにくいのだが、世界中の少なくてもものを考えようとしている人が、今後の世界の環境問題を含む変化についてどう考えているかがよく分かる。
2は、ローマクラブで「成長の限界」の執筆にも関与した著者が、40年目の2012年に、専門家の寄稿を得、それを検討して、40年後の2052年を予測したもの。これまで一番のお薦めであった。私は2052年を生きるのだ(「2052年を生きる」というコンテンツまで作成した。)。なおこの本にあるデータや補完的情報は、<http://www.2052.info/>で入手することができる。
3は、ローマクラブのメンバーが、2017年に刊行したもので、環境問題と資本主義、更には情報の問題について詳細に検討したもので、これも私がお薦めする本である。
持続可能性への様々な取り組み
「成長の限界」や「エコロジカル・フットプリント」を追いかけるように、国連等の国際機関、日本の政府、自治体も地球環境問題に動き始めてはいるが、その関係は錯綜しているし、実効性(というより「本気度」という方が適切か)も、多くは多分に疑問である。
国際機関の取り組み
歴史的な経緯を整理しておきたいが、次の機会にしたい。
国連
現時点では、「持続可能な開発目標(SDGS)」への対応が突出している。アメリカの対応が後ろ向きで足を引っ張っているが、同国内の反科学的な世論と相まって、こんなことをしていては、早晩アメリカは、世界の問題から置いて行かれるかも知れない。
WWF(世界自然保護基金)
民間機関として立派な活動をしていると思う。 WWFジャパンにリンクしておく。
その他
日本政府の取り組み
外務省
「ODAと地球規模の課題」という項目があり(外部サイトにリンク)、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の他、気候変動、北極・南極、地球環境等の項目が記載されている。
環境省
「政策分野一覧」という項目があり(外部サイトにリンク)、総合環境政策、地球環境・国際環境協力、環境再生・資源循環、自然環境・生物多様性、大気環境・自動車対策、水・土壌・地盤・海洋環境の保全、保健・化学物質対策から構成されている。
下位項目に「持続可能な開発目標(SDGs)の推進」、別に「生物多様性」がある。
環境法
環境法を論じた本を掲記しておくが、様々「環境法」の目的文言だけ見ると、目標達成はそこまで来ているようだが、実際は、遠ざかる一方である。一番信用されていない法分野かもしれない。
- 環境問題のとらえ方と解決方法:放送大学
- 環境と社会:放送大学
- 環境訴訟法〔第2版〕:越智 敏裕
- 環境法 第4版:大塚直
- 環境法 第3版 北村喜宣
- 環境法(第2版) 有斐閣ストゥディア:北村喜宣
- 環境アセスメントとは何か――対応から戦略へ (岩波新書):原科 幸彦
- 環境アセスメント学の基礎:環境アセスメント学 編
- 自治体環境行政法 第7版:北村 喜宣
- 都市法概説[第2版]:安本典夫 R
企業の取り組み
企業の取り組みは、「CSR」(Corporate Social Responsibility)、「CSV」(Creating Shared Value)、「ESG」(Environment、Social、Governance)、「SDGs」(Sustainable Development Goals)の、それぞれ舌を噛みそうな略語を通じて捉えることができる。
CSR(企業の社会的責任)は、以前からいわれていたことで、そろそろ定着するのかなと思ったら、ポーターさんのCSVに足をすくわれ、更に最近は。ESCやSDGsに追撃されているという感じだ。でも言葉の問題ではなくて、社会における企業の捉え方の問題が基底にある。
CSR
「会社は社会を変えられる- 社会問題と事業を〈統合〉するCSR戦略」(著者:岩井 克人、小宮山 宏)(Amazonにリンク)
「CSRデジタルコミュニケーション入門」(著者: 安藤 光展 )(Amazonにリンク)
CSV
「CSV経営戦略 本業での高収益と、社会の課題を同時に解決する」(著者: 名和 高司 )(Amazonにリンク)
私は名和さんの本は「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」(Amazonにリンク)が面白かった。特にその中で「ビッグ・ピボット なぜ巨大グローバル企業が<大転換>するのか」(著者:アンドリュー・S・ウィンストン) (Amazonにリンク)を紹介していることに(日本語版の序文も書いている)大きな意味があると思っている。同書が、世界の動きを[より暑く」、「より稀少に」、「よりオープンに」ととらえていることが優れていると思うし、実践すべき「ビッグ・ピボット」もとても興味深い。
ESG
「ビジネスパーソンのためのESGの教科書 英国の戦略に学べ」(著者:黒田一賢 )(Amazonにリンク)
SDGs
「SDGsが問いかける経営の未来」(モニター デロイト :編集)(Amazonにリンク)
私たちの取り組み
私たちひとりひとりが「持続可能性」のために何ができるかはとても難しい。ただ毎日の仕事や生活をする上での「心構え」はあり得るだろう。「成長の限界」を書いたデニス・L・メドウズさんもランダースさんも、本当は地球の未来に悲観的だけれども、力を抜いて歩むことを勧めている。まずこれらを紹介し、追って、具体的に何ができるかを考えていこう。
デニス・L・メドウズさんが勧める5つのツール
- ビジョン を 描く こと、
- ネットワーク を つくる こと、
- 真実 を 語る こと、
- 学ぶ こと、
- そして 慈しむ こと
ランダースさんの 20 の個人的アドバイス
❶ 収入より満足に目を向ける
❷ やがて消えていく物に興味を持たない
❸ 最新の電子エンターテインメントに投資し、それを好きになろう
❹ 子どもたちに無垢の自然を愛することを教えない
❺ 生物多様性に興味があるなら、今のうちに行って見ておこう
❻ 大勢の人に荒らされる前に世界中の魅力あるものを見ておこ う
❼ 気候変動の影響が少ない場所に住みなさい
❽ 決定を下すことのできる国に引っ越しなさい
❾ あなたの生活水準を脅かす持続不可能性について知ろう
❿ サービス業や介護の仕事が嫌なら、省エネ関連か再生可能エネルギーの分野で働きなさい
⓬ 成長は良いことだという考え方から脱却する
⓭ 化石を基にした資産は、ある日突然、その価値を失うことを忘れないように
⓮ 社会不安に敏感でないものに投資しよう
⓯ 相応の義務以上のことをしよう。将来後ろめたい思いをしなくてすむように
⓰ 現在の持続不可能性の中にビジネスの可能性を探ろう
⓱ ビジネスで、高い成長性と高い利益率を混同しないように
⓲ 選挙で再選を望むなら、短期的に結果が出る公約を掲げよう
⓳ 未来の政治は物理的限界に左右されることを覚えておこう
⓴ 政治において、限りある資源の平等な入手は、言論の自由に勝ることを認めよ
トゥーンベリさんの取り組み
2019年9月23日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)が、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、「地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを叱責した。トゥーンベリさんは世界のリーダーを前に、時に涙を浮かべながら約5分間スピーチ。温暖化解決のための具体的な行動を取らないのであれば、「結果とともに生きなければいけない若い世代」はあなたたちを許さないと強く訴えた」ことが報じられている。
トゥーンベリさんのスピーチ全文
私から皆さんへのメッセージ、それは「私たちはあなたたちを見ている」、ということです。私は今、この壇上にいるべきではありません。私は海の向こうで学校に行っているべきです。それなのに、あなたたちは私に希望を求めてここにきたのですか?よくそんなことができますね!
あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢そして子供時代を奪いました。それでも私はまだ恵まれている方です。
多くの人たちが苦しんでいます。多くの人たちが死んでいます。全ての生態系が破壊されています。私たちは大量絶滅の始まりにいます。
それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!
30年以上にわたって、科学ははっきりと示してきました。それに目をそむけて、ここにやって来て、自分たちはやるべきことをやっていると、どうして言えるのでしょうか。必要とされている政治や解決策はどこにも見当たりません。
あなたたちは私たちに“耳を傾けている”、そして緊急性を理解していると言います。しかしどれだけ私が怒り悲しんでいようとも、私はそれを信じたくありません。
なぜなら、もしあなたたちが状況を理解していながら行動を起こしていないのであれば、それはあなたたちが邪悪な人間ということになるからです。私はそれを信じたくありません。
二酸化炭素排出量を10年で半分に減らしたとしても、地球の平均気温を1.5℃以下に抑えるという目標を達成する可能性は50%しかありません。そしてそれによる取り戻しのつかない連鎖反応を埋め合わせることは、制御不能になります。
あなた方は50%でいいと思っているのかも知れません。しかしその数字には、ティッピング・ポイント(小さな変化が集まって、大きな変化を起こす分岐点)やフィードバックループ(フィードバックを繰り返して改善していくこと)、空気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして環境正義や平等性などの要素は含まれていません。
そして、私たちや私たちの子供の世代に任せっきりで、何千億トンもの二酸化炭素を吸っている。私たちは50%のリスクを受け入れられません。私たちは、結果とともに生きなければいけないのです。
「気候変動に関する政府間パネル」が発表した、地球の温度上昇を1.5℃以下に抑える可能性を67%にするために残っている二酸化炭素の量は、2018年1月の時点で420ギガトンでした。今日、その数字はすでに350ギガトンにまで減っている。
なぜこれまでと同じやり方で、そしていくつかの技術的な解決策があれば、この問題が解決できるかのように振舞っていられるのでしょうか。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット(温室効果ガス累積排出量の上限)は、8年半以内に使い切ってしまいます。
しかしこの現状に沿った解決策や計画は作られないでしょう。なぜならこの数字は、とても居心地が悪いから。そしてあなたたちは、それを私たちにはっきりと言えるほど十分に成熟していない。
あなたたちは、私たちを失望させている。しかし、若い世代はあなたたちの裏切りに気づき始めています。未来の世代の目は、あなたたちに向けられている。
もしあなたたちが裏切ることを選ぶのであれば、私たちは決して許しません。
私たちはこのまま、あなたたちを見逃すわけにはいかない。
今この場所、この時点で一線を引きます。世界は目覚め始めています。変化が訪れようとしています。あなたたちが望もうが望むまいが。
資本主義の行方
資本主義の概念
「資本主義の行方」を考えるためには、まず「資本主義」の概念についての共通理解が必要だが、これは未だに社会主義アレルギーからミスリーディングである。それは後述するとしてまず資本主義の概念を整理しておこう。
<AI時代の資本主義の哲学>の目次と要約
目次
- はじめに
- 1 資本主義・対・社会主義
- 資本主義・対・社会主義 (1)──資本主義を克服する社会主義?
- 資本主義の概念 (1)──古典派経済学的把握
- 資本主義・対・社会主義 (2)──「現存する社会主義」と産業社会論
- 資本主義・対・社会主義 (3)──世界資本主義と世界社会主義?
- グローバル資本主義と近代としての資本主義
- 2 資本主義とは何か
- 資本主義の概念 (2)──資本主義というやり方
- 資本主義の概念 (3)──マックス・ウェーバーと資本主義の史的コンテクスト
- 資本主義の概念 (4)──イノヴェーション
- 資本主義の概念 (5)──イノヴェーションを創発する市場経済
- 3 仕組み
- 官僚制組織と資本主義 (1)
- 資本主義的企業の構造 (1)──市場と所有
- 資本主義的企業の構造 (2)──市場と組織
- 資本主義と財産権の多様性
- 4 核心
- 官僚制組織と資本主義 (2)
- イノヴェーションと資本主義
- 資本主義と多様な組織──株式会社、労働組合、その他
- 知的財産、人的資本と資本主義──あるいは産業社会論はどこで誤ったのか
- 官僚制組織と資本主義 (3)
- 5 AI時代の資本主義
- 資本主義の本質
- 資本主義における労働
- AI化と「労働なき資本主義」?
- 貨幣、信用と資本主義 (1)
- 貨幣、信用と資本主義 (2)
- AI時代の資本主義 (1)──監視資本主義
- AI時代の資本主義 (2)──ギグエコノミー
- AI時代の資本主義 (3)──AI化とバブル
- おわりに
- 補論 資本主義と国家
- 1 市場に超越する国家のイメージ
- 2 近代国家の来歴──戦争機械
- 3 福祉国家論
- 4 公共財の理論
- 5 イノヴェーションと国家・公共性
- 注
- あとがき
要約と抜粋
- 要約
- 本書は、冷戦終結後30年を経た今日、特にその終焉を物心つく前に経験した世代の責任において、「資本主義」の概念を改めて構築することを試みるものです。
- 本書は、まず「資本主義の概念分析・言語哲学」から始め、私たちが「資本主義」と呼ぶ対象がどのような性質を満たすと考えているかを探ります。これは、「資本主義とは何か」という直接的な問いよりも、「資本主義とそうではないものとの関係について考える」というアプローチを取ることを意味します。本書は大まかに前半で概念分析、後半で存在論へと重点を移していきます。
- 第一章では、資本主義という言葉遣いが確立していなかった18~19世紀の古典派経済学(アダム・スミス、カール・マルクス)と、現代の「グローバル資本主義」概念の立役者であるイマニュエル・ウォーラーステインに注目します。冷戦下では「資本主義・対・社会主義」という対立軸が一般的でしたが、社会主義の現実化とその崩壊を経て、「資本主義」という言葉はマイナスの評価語から価値中立的な言葉へと変化しました。また、「グローバル資本主義・対・主権国家」という新たな対立概念が浮上し、資本主義はグローバリズムの体現者として意識されるようになり、さらには近代社会そのものと同一視されかねない状況になっています。元来「資本主義」は現実の体制を指す言葉であり、自由主義や個人主義と結びついて正当化される一方、社会主義からの批判の対象でもありました。20世紀後半以降、「資本主義」は評価語として中立化し、思想としての「資本主義」も語られるようになります。社会主義は思想に留まらず、ソ連や中国といった政権の成立により、資本主義に代わる現実の社会経済体制となりました。
- アダム・スミスの『国富論』には、土地、資本、労働といった生産要素が市場に取り込まれ、商品化され、市場メカニズムによってその存続が規定されるという、「資本主義」概念の原型が見られます。マルクスは、「資本家的」という言葉で資本主義体制を言い表そうとし、資本主義的市場経済が資本家的階級社会を生み出し、資本家が労働者を搾取すると論じました。マルクスは、資本を単なる物的資産ではなく、資本家が労働者を支配する社会関係と捉え、技術革新こそが資本主義の成長力の核心であると考えました。マルクスは資本主義の欠点として、不平等、連帯感の喪失、疎外を挙げ、社会主義・共産主義によって克服されるべきだとしました。
- 20世紀に入り、「現存する社会主義」が登場すると、「資本主義・対・社会主義」の対立は「理想・対・現実」から、実行可能な社会体制同士の対立へとシフトしました。産業社会論では、資本主義と社会主義はともに産業化・近代化という目標を達成するための二つの代替的な戦略として捉えられました。しかし、冷戦の終結と社会主義計画経済の崩壊により、産業社会論は過去のものとなり、近代=資本主義という認識が強まりました。
- マックス・ウェーバーは、社会科学的な概念としての「資本主義」の成立にマルクスと並んで重要な存在です。ウェーバーは比較文明史的な観点から近代資本主義の本質を解明しようとし、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』において、世俗内禁欲の精神が資本主義の発展に重要な役割を果たしたと論じました。ウェーバーは、合理的な官僚制企業組織が資本主義的経営の基本型となると重視しました。ウェーバーによれば、近代資本主義以前の資本家的企業は公共事業に特化しており、政治に従属し持続可能ではありませんでしたが、近代西欧固有の要因(自治都市、法の支配、複数の主権国家の共存)が自由な市場と合理的な経営を可能にしたとしました。
- ヨゼフ・シュンペーターは、マルクスと並ぶイノベーションの経済理論家であり、資本主義のダイナミズムは経済の内側から起こる変化、すなわちイノベーションであると捉えました。シュンペーターは、競争的市場の静学的な均衡分析に対して、資本主義を特徴づける激しい変化を分析する動学の重要性を指摘し、イノベーションの担い手として「企業者」の概念を打ち出しました。コルナイ・ヤーノシュによれば、資本主義の本質はイノベーションの活発性にあり、社会主義経済が「不足経済」であるのに対し、資本主義は競争圧力を通じたイノベーションによって「余剰経済」となります。
- 本書は、資本主義を「生産要素市場が確立した市場経済」と捉え、アダム・スミスの議論をその原点とします。その上で、マルクスとシュンペーターを踏まえ、「イノベーションが恒常化した市場経済」としても資本主義を捉える立場を打ち出します。冷戦後の社会主義体制の崩壊は、部分的市場原理の導入だけでは不十分であり、体制転換が求められたのは、資本主義体制における民間営利企業のイノベーションへの強い動機付けがあったためであると説明します。
- 本書は、ウェーバー流の官僚制組織を重視する資本主義観を必ずしも取りません。スミスやマルクスも株式会社制度を認識していたものの、それを資本主義の本質とは考えていなかったことを指摘します。むしろ、資本を所有することの意味は市場に抵抗し、市場取引にすべてを委ねないことであり、資本主義における「市場と所有」の対立、緊張関係が重要であると主張します。
- 労働は資本主義にとって重要であり、マルクスは労働と労働力を区別しましたが、本書は人的資本の概念を取り上げ、労働者もまた資産所有者としての側面を持つことを示唆します。近代資本主義は、資産所有者と無産者との間の格差を広げる一方で、イノベーションを促し持続的な経済成長を可能にしました。
- 国家は、自由な市場経済の大前提となる私有財産権制度を保障する役割を持ちますが、同時に「契約しない自由」「市場に参加しない自由」も保障します。信用取引は資本主義にとって重要ですが、市民社会を破壊する危険も孕んでおり、担保制度のコントロールも重要となります。
- 本書は、近代資本主義を「生産要素市場が確立した市場経済」と捉えることで、「人々の生活の全過程が市場経済の循環に組み込まれた経済社会」が確立するとします。また、イノベーションを恒常化させるメカニズムこそが、資本主義を他の市場経済と区別する点であると強調します。公営企業におけるイノベーションの限界と、民間営利企業における競争圧力の重要性を指摘し、多くの公共サービスが民営化された背景には、イノベーションによる代替品の出現と、公営企業の革新能力の限界があると説明します。
- 最終的に本書は、ミラノヴィッチの言うように「資本主義だけが残った」という認識を示し、監視資本主義の危険性を指摘しつつ、競争的市場体制を守る必要性を主張します。資本主義を肯定する理由は、市民社会の維持、市民的自由の確保に私有財産権制度と市場経済が不可欠であり、イノベーションと経済成長も必要であるためです。ただし、格差と不平等の問題に対しては真摯な対応が必要であると警鐘を鳴らします。本書は、資本主義にとって企業組織は必ずしも本質的な契機ではなく、市場と所有との緊張関係にその特性を見出すという議論を展開します。情報通信革命とAI技術の発展が競争的市場の力を一層解放した現代において、この結論に至ったとしています。
- 本書の主張を構成する要点
- 「資本主義」という言葉は、冷戦終結後にマイナスの評価語から価値中立的な言葉へと変化し、グローバリズムの体現者、さらには近代社会そのものと同一視されかねないようになっている。
- 本書は、「資本主義とは何か」という直接的な問いよりも、「資本主義とそうではないものとの関係について考える」というアプローチを取る。
- アダム・スミスの『国富論』には、土地、資本、労働といった生産要素が市場に取り込まれた「資本主義」概念の原型が見られる。
- マルクスは、資本を単なる物的資産ではなく、資本家が労働者を支配する社会関係と捉え、技術革新こそが資本主義の成長力の核心であると考えた。
- 20世紀に入り、「現存する社会主義」が登場したことで、「資本主義・対・社会主義」の対立は現実的な社会体制同士の対立へとシフトした。
- 冷戦の終結と社会主義計画経済の崩壊により、近代=資本主義という認識が強まった。
- ウェーバーは、合理的な官僚制企業組織が資本主義的経営の基本型となると重視し、西欧近代固有の要因が自由な市場と合理的な経営を可能にしたと論じた。
- シュンペーターは、資本主義のダイナミズムは経済の内側から起こるイノベーションであると捉え、その担い手として「企業者」の概念を打ち出した。
- コルナイ・ヤーノシュによれば、資本主義の本質はイノベーションの活発性にあり、社会主義経済とは対照的な「余剰経済」となる。
- 本書は、資本主義を「生産要素市場が確立した市場経済」と捉え、さらに「イノベーションが恒常化した市場経済」としても捉える。
- 社会主義体制の崩壊は、資本主義体制における民間営利企業のイノベーションへの強い動機付けがあったためである。
- 本書は、ウェーバー流の官僚制組織を重視する資本主義観を必ずしも取らず、「市場と所有」の対立、緊張関係が重要であると主張する。
- 人的資本の概念を取り入れることで、労働者もまた資産所有者としての側面を持つことが示唆される。
- イノベーションを恒常化させるメカニズムこそが、資本主義を他の市場経済と区別する点である。
- 公営企業におけるイノベーションの限界と、民間営利企業における競争圧力の重要性が、多くの公共サービスの民営化の背景にある。
- 最終的に本書は、「資本主義だけが残った」という認識を示し、競争的市場体制を守る必要性を主張するが、格差と不平等の問題への対応も重要であると警鐘を鳴らす。
- 本書は、資本主義にとって企業組織は必ずしも本質的な契機ではなく、市場と所有との緊張関係にその特性を見出すという議論を展開する。
- 情報通信革命とAI技術の発展が競争的市場の力を一層解放した現代において、上記の結論に至った。
資本主義の行方についての夢と絶望を語る本
これからの資本主義について論じる本は数多くある。ここでは比較的新しいもの、分析視点がさほど逸脱していないものを挙げよう。要約を読んでいくだけでも楽しい。分かることはこれらは「思想」であり、今後の「行動」であるということである。
今後は、「万人のための地球 earth for all:ローマクラブ」を軸として、検討していこう。楽しそうだ。要約や概観(重要な箇所や注目すべき箇所)は、量が多くなるので、下位ページ(資本主義の行方を検討する本)に掲載する。
- 資本主義の本質について イノベーションと余剰経済 : コルナイヤーノシュ (講談社学術文庫)
- 資本主義の再構築:公正で持続可能な世界をどう実現するか: レベッカ・ヘンダーソン (日本経済新聞出版)
- MORE from LESS(モア・フロム・レス) 資本主義は脱物質化する : アンドリュー・マカフィー (日本経済新聞出版)
- 監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い :ショシャナ・ズボフ (東洋経済新報社)
- 資本主義だけ残った―世界を制するシステムの未来:ブランコ・ミラノヴィッチ(みすず書房)
- 資本主義の次に来る世界:ジェイソン・ヒッケル ( 東洋経済新報社 )
- ポストキャピタリズム―資本主義以後の世界 :ポール・メイソン(東洋経済新報社)
- 生命の網のなかの資本主義:ジェイソン・W・ムーア ( 東洋経済新報社)