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ヒトであること_身心論・行動と思考

目次

ヒトであることにどうアクセスするか

ヒトであることの核心を捉えたい

混沌とした情報世界の中で

このサイト「知的生産の学習実験室&未来の法律事務所」は、「知的生産の学習実験室」から始まる構成になっているが、目標を個人と組織の「問題解決と創造」に設定しているのであるから、理論上は「ヒトであること」から始まるのが当然である。
私は、「本の森_好奇心・問い・知識」において、人間についての本のジャンルを、「ヒト1 人類・身体論・行動」と「ヒト2 思考・思想・生活・文化」に分け、それを様々な「方法論」(「言語・論理・数学」、「情報・IT・AI・コード」、「哲学」、「問い・問題解決・創造」、「システム論」)を用いて分析する構えにしており、「ヒトであること」は、このような多様な「要素」から構成され、多様な方法論によって分析することになる。
このように混沌としたヒトに関する情報世界の中で、どうすれば「ヒトであること」を整理し、その核心にアクセスすることができるのだろうか。

前提的考察 ヒトは地球上の生物である

「ヒト」は、地球上に誕生した生命が進化し現在に至った生物であるということが、ヒトの最も基本的な「あり様」だろう。
そこで「ヒトであること」の前提的な考察として、まず「地球」と「生物」を一瞥しよう。様々なアクセス方法があるだろうが、ここでは「地球・生命」を概観する1の本を見て、「地球」について「自然と植生」という視点から空間と時間を横断、縦断して捉える2の本と、「生物」について、とにかく面白い「タイトルには「若い読者に」と書いたけれど、正確には「自分が若いと勝手に思っている読者に」だ。好奇心さえあれば、百歳超の人にも読んで欲しいと思って、この本を書かせて頂いた」とある3の本から入ろう。3には、生命、進化についても説明されている。

  1. 地球・生命-138億年の進化 宇宙の誕生から人類の登場まで、進化の謎を解きほぐす:谷合稔
  2. 気候変動で読む地球史:水野一晴
  3. 若い読者に贈る美しい生物学講義:更科功

ヒトであることを「身心論・行動と思考」から捉える

微生物が体を有して反応(行動)することを端緒とし、動物が脳・神経系を獲得したことで感覚・知覚・認知が生じた。ヒトはこれらの機能を突き抜けた「意識」に表象と言語が生まれ、思考して行動するようになったことが、他の生物と区別できる最大の特徴であると、一応は言うことができるであろう。
「身体」→「意識」→「表象と言語」をヒトの身心論の問題として検討し、その基盤の上に、ヒトの「行動と思考」が展開されるので、それぞれについてWhatとHowを問うことにしよう。これは私が考えた整理であるが、このあたりの分類や理論にこだわっていると際限がない。
哲学者は、認識論、存在論を語るが、決定的に「現実」という素材が不足している。
自然科学者は、素材をまとめるという方向での思考力に欠ける。
認知学者(知覚・心理学者も含む)は情報世界というフィールドを設定するが、その素材の把握と全体をまとめる思考力に欠ける。
その間隙を「現象学者」(間主観性論者)、「共同主観性論者」、「身心論者」(アフォーダンス、オートポイエーシス)等が駆け抜けるが、どうも蛸壺化し決定打にはならない。
「唯識3年俱舎8年」派も侮れないが、現代の科学的成果にどう位置付けるか。
ということで、一応、上記の整理で行こう。

ヒトであることを検討する手順

まず、以下の本を少なくてもその概要を頭に入れながら読むことで「ヒトであること」を捉えよう。なお以下、当面「版元ドットコム」へのリンクを掲載し、「_を読む」は順次作成する。

身心論

身心論は、その基本的な構造を捉える「人体論」と、本論である「身心論」から構成しよう。

人体論

  1. 人体の構造と機能:放送大学
  2. 人体大全―なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか―:ビル・ブライソン
  3. 人体六〇〇万年史 上下──科学が明かす進化・健康・疾病 (早川書房):ダニエル E リーバーマン

身心論

  1. 脳の大統一理論:乾敏郎
  2. 現れる存在 脳と身体と世界の再統合:アンディ・クラーク
  3. 情動と理性のディープ・ヒストリー 意識の誕生と進化40億年史: ジョセフ・ルドゥー
  4. 存在の四次元 意識の生物学理論: ジョセフ・ルドゥー
  5. 身体性認知とは何か 4E認知の地平:ショーン・ギャラガー
  6. 身体心理学 身体行動(姿勢・表情など)から心へのパラダイム:春木豊
  7. 現象学入門:ステファン・コイファー; アントニー・チェメロ

行動と思考(心的現象)の基礎

行動基礎論

  1. 行動の基礎:小野浩一
  2. 予想どおりに不合理:ダン・アリエー
  3. 行動科学/行動経済学キーワード事典:山崎由香里
  4. 進化でわかる人間行動の事典:小田亮

行動応用論は「残された日々の行動を変革すrる_実行論」で検討する。

行動科学/行動経済学キーワード事典:山崎由香里Amazonにリンク
これは、Amazonでしか購入できないのかもしれません

思考基礎論_心的現象

  1. 知覚・認知心理学:石口彰
  2. 心的現象論・本論:吉本隆明
  3. 心は何でできているのか:山鳥重

思考応用論は、当サイトの様々なところに顔を出す。ここでは今まで取り上げていない下記の書を挙げておこう。
思考力改善ドリル:植原亮

疾病と回復論

ヒトの身心・行動と思考が、不調に陥ったとき、要は病気になったときの、「疾病と回復論」も検討しておこう。類書は多くあるから追って追補しよう。
疾病の成立と回復促進 :放送大学

世界を把握する統一理論

「残された日々」に「ヒトである」私の心に現れる「世界」(内的環境及び外的環境)をどう捉えるかそれを統一して把握する理論はないのか等に関する議論は混沌としていて、整理するのがむつかしい。上記の「身心論」は多分にそれを意識しているが、 十分ではない。「 存在の四次元」はいい線に行っていると思うが「人間行動」が少し焦点から外れているか。
これについて私も前々からいいフィールドの設定はないかなあと考えていて、「情動域<情報・行動>世界」という仮説を思いついたことがある。
「情報世界」という表現は、たしか松岡正剛にもあったが、私の心に現れる内的環境、外的環境を詰め込むには、いささか軽すぎる。そこで情報世界に行動世界を対置し、それらは、情動のコントロール下にあるというアプローチである。
この時点で、「生命、微生物、神経系、動物、行動、脳、進化、認識、思考、意識等々について網羅的にかつ縦横無尽に記述・検討している<情動と理性のディープ・ヒストリー: 意識の誕生と進化40億年史:ジョセフ・ルドゥー>」を「手掛かり」として検討を進めたいとしたのだが、そのジョセフ・ルドゥーがその後「存在の四次元 意識の生物学理論」を表してより問題の核心に迫ったということである。

余説  ヒトは等身大の存在である

「ヒトは等身大の存在である」というのは、日常的な場面でのごく常識的な指摘に過ぎないが、私が年齢を重ねて一番よかったと思うのは、多くのアイデアや思想が述べられ展開された玉石混淆の成果物は、すべて先人の肩に乗り、うまくいかないことにイライラしながら巨人ならぬ等身大のヒトが苦労しながら作成・提出したものであるということが理解できたことである。どのような場面でも(罵詈雑言を浴びせかけていても)、私は、そのことだけは忘れず「微苦笑」を絶やさないようにしよう(ただ、今、多くのネットでのやりとりは、その等身大のヒトが消え、実態を伴わない罵詈雑言と情報の無内容な空中戦だけになっていることが多い。私やあなたとやり取りするのは、等身大であるヒトなのである(ネットだと、Chat Botのことも多いので問題だが)。
ただ勿論、先人の肩に乗ったうえでのある種の「才能」はあるだろう。最近吉本隆明の長女で漫画家のハルノ宵子さんお「隆明だもの」を読んでいて「〝才能〟は存在する。と言ったら、父は間違いなく否定しただろう。すべては継続と修練によって達成されると。しかし才能は確かに存在する。ただほとんどの場合そのベクトルが違ったり、環境が伴わなかったりして消えていくのだと思う。しかしその〝才能〟をたった10年間だけ、自分にぴったりの場所で開花させた人がいる。それがうちの母だった。残念ながら、この家の他の誰もそのテの才能を持たないまま仕事を続けてきた。「そんなバカな!吉本さんに才能が無かったなんて、戦後最大の思想家だぞ!」と、吉本主義者の方はお怒りになるだろうが、もしも父に才能があったとしたら、それは人並みはずれた驚異的な〝集中力と継続力〟だろう。母の才能は、文学でも詩でも短歌でもなく、ただ〝俳句〟限定で発揮された。」とあった。私はとっくに吉本主義者を「中退」いたが、この家族のあり様は確かにある種の核心をついている。
ところで、この本に描かれた隆明氏の、病気(糖尿病)、事故(溺水)、ボケ、失明・老衰、死亡の過程は、「実例」として学ぶべきものがある。これが「継続と修練を重ねた」隆明氏の老化過程である。老化に取り組まないと、だれでもこの過程を辿ることになるだろう。

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