様々な情報源にアクセスし、検索して「回答データ」を得る
問題解決のために、「問い」を発し、ⅰ解決につながるデータを有していると思われる様々な「情報源(データ群)にアクセス」し、ⅱ「検索」(思考)して、ⅲ「回答データ」を得てそこからまた「問い」を発する過程を、「調査(リサーチ)」と呼ぼう。
つまり、「調査(リサーチ)する」とは、問い→情報源(データ)群にアクセス→検索→「回答」(データ)→問いの循環過程だ。ということは、無限ループもありうるだろう。
調査(リサーチ)の前提には、当然、問いがある。「リサーチ論」で挙げる本は緻密なリサーチ方法を展開しているが、つまらない「問い」のために力を尽くすのは空しい。
検索の基本
論理演算子と検索式について後記の「スキルアップ! 情報検索―基本と実践 新訂第3版」を参考にしてまとめておく。また末尾にWindowsでの検索のショートカットを掲載しておく。
検索がうまくなる!論理演算子「AND, OR, NOT」
1. 検索の精度を上げる「論理演算子」
複雑な検索をしたいとき、複数の検索キーワードを効果的に組み合わせるための道具が論理演算子です。情報検索の世界では「ブール演算」とも呼ばれるこの仕組みは、主に以下の3つの演算子から成り立っています。
- AND (論理積): 複数の条件をすべて満たすものを探します。
- OR (論理和): 複数の条件のうち、少なくとも1つを満たすものを探します。
- NOT (論理差): ある条件から、特定の条件を満たすものを除外します。
2. 論理演算子の仕組み
2-1. AND検索:結果を「絞り込む」
A AND B と検索すると、AとB、両方の条件を満たすものだけが結果として返されます。
キーワードを追加すればするほど、条件が厳しくなり、結果が絞り込まれます。これにより、より正確で的を射た情報を見つけやすくなるのがAND検索の大きなメリットです。
2-2. OR検索:結果を「広げる」
A OR B と検索すると、AまたはBのどちらか一方、あるいは両方の条件を満たすものがすべて結果として返されます。
OR検索を使うと、検索結果は増えます。例えば、同義語や関連語(例:「ネコ OR 猫」)を使って、網羅的に情報を集めたいときに非常に便利です。
注意点:日常会話で「AかB」と言うと「どちらか一方」を指すことが多いですが、論理演算のORは「AとBの両方を満たす場合」も必ず結果に含まれます。
2-3. NOT検索:結果から「除外する」
A NOT B と検索すると、Aの条件を満たすものの中から、Bの条件を満たすものを除外した結果が返されます。例えば、伝説の生物である「巨人」について調べたいけれど、プロ野球の「巨人」に関する情報は不要な場合、「巨人 NOT 野球」と検索すると、ノイズを除外して目的の情報にたどり着きやすくなります。
【最重要ポイント】順番が結果を変える
ANDやORとは違い、NOT検索では条件の順番が結果に大きく影響します。
A NOT B: Aを対象とし、その中からBの要素を取り除くB NOT A: Bを対象とし、その中からAの要素を取り除く
この2つの検索結果はまったく異なるものになるため、どちらから何を除外したいのかを意識して使うことが重要です。
3. 演算子を組み合わせる応用テクニック
複数の演算子を組み合わせることで、より複雑で的確な検索が可能になります。ただし、そこには一つ注意点があります。
3-1. 演算子の優先順位に注意!
論理演算子には、処理される順番(優先順位)があります。 例えば、「京都か奈良の名所」について調べたいと思い、次のように検索したとします。京都 OR 奈良 AND 名所
この場合、意図した結果は得られません。なぜなら、多くの検索システムでは、ANDがORよりも優先して処理されるからです。これは、数学の計算で掛け算が足し算より先に計算されるのと似ています。
そのため、上記の検索式はシステムに「(奈良 AND 名所) OR 京都」と解釈され、「奈良の名所」または「京都」に関する情報がすべてヒットしてしまいます。
3-2. 優先順位をコントロールする「括弧( )」
この優先順位の問題を解決するのが括弧 **( )** です。括弧で囲んだ部分を先に処理させることができます。
先ほどの例で、意図通り「京都か奈良のどちらかにある名所」を検索するには、次のように入力します。(京都 OR 奈良) AND 名所
こうすることで、「まず『京都または奈良』という条件をひとまとめにし、その結果と『名所』の両方を満たすもの」を探すことができ、期待通りの検索結果が得られます。
同様に、A AND (B OR C) のように括弧を使えば、さらに複雑な条件を正確に指定することが可能です。括弧は、あなたの検索意図をシステムに正しく伝えるための強力なツールなのです。
このように、検索キーワードと論理演算子を組み合わせたものを検索式(クエリ)と呼びます。検索式を正しく組み立てることが、的確な情報検索の鍵となります。
4. まとめ:今日から使える検索のコツ
4-1. 論理演算子おさらい表
これまで学んだ3つの演算子の特徴を一覧表にまとめました。検索の目的によって使い分けましょう。
| 演算子 | 日本語名 | 働き(目的) | 検索結果 |
| AND | 論理積 | 絞り込み | 少なくなる |
| OR | 論理和 | 網羅・拡張 | 多くなる |
| NOT | 論理差 | 除外 | 少なくなる |
4-2. 検索システムごとの違いに注意
最後に、とても大切な実践的アドバイスです。 キーワードをスペースで区切って入力した場合(例:奈良 名所)、多くの検索エンジン(Googleなど)では自動的にAND検索として扱われます。しかし、システムによってはOR検索と解釈するものも存在します。
もし期待通りの結果が得られなければ、使っている検索システム(Google、図書館のデータベース、論文検索サイトなど)のヘルプやマニュアルを確認してみましょう。そのシステム独自のルールを理解することで、より確実な検索が可能になります。
ショートカット
- 検索(Find):Ctrl + F
- 置換(Replace):Ctrl + H
- 次を検索:F3(または Enter)
- 前を検索:Shift + F3(または Shift + Enter)
なお、末尾に「検索のための正規表現備忘録」を掲載しておく。
リサーチ総論
リサーチ総論の基本書として、次の6書を取り上げ、その要約と詳細目次を作成・掲載しておこう。
1が基本、2ないし4は応用、5は仕事、6は生成AIへの架橋と考えよう。これらを身に付けることで、「知的生産にかかる地力は大いにアップするだろう。
リサーチ総論基本6書
- スキルアップ! 情報検索―基本と実践 新訂第3版 :中島玲子、安形輝、宮田洋輔(日外アソシエーツ )
- 実践 自分で調べる技術:宮内泰介,上田昌文 (岩波新書)
- 調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス :小林昌樹(皓星社)
- もっと調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス2:小林昌樹
- ずるい検索 賢い人は、「調べ方」で差を付ける: 江尻俊章
- 検索から生成へ 生成AIによるパラダイムシフトの行方:清水亮
基本6書を調べる_要約と目次






リサーチ各論
リサーチ総論をふまえ、各分野の情報にアクセスし、リサーチするための各論書として、次の7冊を挙げておく。ここに目次と要約を載せると情報量が多くなるので、追って下位項目とする。
- 記者のためのオープンデータ活用ハンドブック:熊田 安伸(新聞通信調査会)
- リーガル・リサーチ:いしかわ まりこ、藤井 康子、村井 のり子(日本評論社)
- ビジネス・リサーチ:佐藤 郁哉(東洋経済新報社 )
- 武器としての情報公開─権力の「手の内」を見抜く :日下部聡(ちくま新書)
- 記者のための裁判記録閲覧ハンドブック :ほんとうの裁判公開プロジェクト(新聞通信調査会)
- 調べる技術 書く技術 誰でも本物の教養が身につく知的アウトプットの極意 :佐藤優(SB新書)
私のリサーチ情報源総論
私が検索(思考)するにあたって利用するリサーチ情報源をまとめておこう。2は最近のお気に入りだ。5の国立国会図書館は最近新たなデジタル資料が利用できるようになったようだ。速やかにフォローしたい。
それぞれの項目(特に図書館)や「基本6書」の情報源をまとめた「様々なリサーチ情報源」を展開する必要がある。またこれらの情報源を介することなくGeminiで集めた「日本・世界の地理&経済・社会&環境・気候のデータサイト」も掲載しておく。
- Kindle本・R本の「本の森分類表」とそのハイライト、テキスト、PDF等を利用する
- NotebookLM、Deep Reseach
- 放送大学図書館を利用する
- 弁護士会図書館を利用する
- 国立国会図書館を利用する
- 神奈川県立図書館を利用する
- 放送大学で学ぶ
- Udemyを学ぶ
- 日弁連研修を学ぶ
- The Great Cource Plusを学ぶ
- 弁護士ライブラリー・判例秘書を利用する
- 松岡千夜千冊を利用する
- 週刊東洋経済デジタル情報
- 日経新聞デジタル情報
日本・世界の地理&経済・社会&環境・気候のデータサイト一覧
生のデータにアクセスするという趣旨で、下位項目に「日本・世界の地理&経済・社会&環境・気候のデータサイト一覧」を作成した。
様々な情報源
国会図書館(NDL)
「調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス :小林昌樹」、「もっと調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス2:小林昌樹」のフィールドである「国立国会図書館(NDL)」での検索について次の下位項目で紹介する。両書で焦点を当てている「人文リンク集」も掲載しておく。

「スキルアップ! 情報検索―基本と実践」のリンク集
第I章 情報検索基本編
4 サーチエンジンの使い方
PCのヒント
bショートカットキーを使いこなそう
第II章 情報検索実践編
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第III章 情報検索応用編
3 忘れられる権利
5まとめて探す? 個別に探す?
6 引用文献検索
8 「調べ方案内」を活用する
9 Webの検索に向かない情報
10 情報収集にSNSを活用しよう
第IV章 検索裏ワザお役立ち情報編
1 フィールド別に検索しよう
2 検索語の数はひかえめに
4 ゆるやかに探してキュッと締める
6 考えないと思わない
7 フィードバックの活用
9 懐かしいWebページを求めて
10 日本語のみ頼らない
11 機械翻訳を使いこなす
12あの言葉で見つけたい
検索のための正規表現備忘録
正規表現(せいきひょうげん、英: Regular Expression)は、文字列に対するパターンマッチングを行うための式です。主にテキスト検索や置換、検証などに使用される。正規表現を使うことで、特定のパターン(例えば、メールアドレスや電話番号、特定の単語など)を簡単に検出したり、置換したりすることができる。
(参考)サルにもわかる正規表現入門
正規表現の基本構文
(): グループ化。パターンの一部をひとまとめにする。
.: 任意の1文字(改行以外)
^: 行の先頭
$: 行の末尾
[]: 文字クラス。例えば、[abc]はa、b、cのいずれか1文字にマッチ。
|: OR(または)。例えば、abc|defはabcまたはdefにマッチ。
*: 直前の文字が0回以上繰り返す場合にマッチ。
+: 直前の文字が1回以上繰り返す場合にマッチ。
?: 直前の文字が0回または1回にマッチ。