市民・企業の法律問題の入口
市民・企業の法律問題の入口
市民や企業が解決を迫られている法律問題は,それこそ無限にあり,具体的な事実関係も,千差万別だが,よくある問題,典型的な問題といっていいものがある。
ただそれを説明していくのも煩雑に過ぎるので、市民,企業それぞれについて「参考になる実務書」1冊(+1冊)を,紹介する。「分野別法律問題の手引き」及び「今知りたい「法律問題」一覧」はこの頁に続くものである。
市民の法律問題
「市民の法律問題」のポイント
私たちが,市民として生活したり仕事をしたりする上で,よく直面するであろう法律問題について,簡単ではあるが,そのポイントを紹介したい。
一昔前であれば,市民が直面する法律問題は,金銭貸借,不動産,労働,交通事故,親族,相続がらみの紛争と裁判(調停),執行手続及び刑事事件ぐらいであったろうか。もちろんこれらは今でも重要な問題であり,弁護士はその解決にあたるが,今はこのような問題の他に,消費者トラブル,ネットトラブル(含著作権)が市民を苦しめている。
ただ消費者トラブル,ネットトラブル(含著作権,個人情報)は,それまでの問題とは2桁も3桁も多く頻発する問題であって,弁護士が直接受任することは多くはない。役所を含む公的機関が関与して解決にあたろうとすることが多いであろう。弁護士としては,正確に問題を理解し,情報提供することが必要だ。非常に大雑把にいえば,消費者トラブルはすぐに対処することが重要であること,ネットトラブル(含著作権,個人情報)は,そこだけ取り上げてもあまりうまくいかないことを前提に,全体を見まわして解決をはかることが重要である。
参考になる1冊
以下「参考になる実務書一冊」として,「必携 実務のための法律相談ハンドブック」」第一東京弁護士会全期旬和会編) を紹介する。これは法律相談にあたる側を意識して書かれた本であるが,それだけに概ね細部まできちんと書かれているので,市民の方にとっても参考になるだろう。
必携 実務家のための法律相談ハンドブック:第一東京弁護士会 全期旬和会
- 第1章 消費者問題
- 第1 消費者契約法に関する法律相談
- 【1】 不実告知による取消し
- 【2】 不利益事実の不告知、断定的判断の提供による取消し
- 【3】 不当条項
- 第2 特定商取引に関する法律・割賦販売法に関する法律相談
- 【4】 訪問販売とクーリング・オフ
- 【5】 クーリング・オフの権利行使期間
- 【6】 クーリング・オフとクレジット
- 【7】 訪問販売と過量販売解除権
- 【8】 特定継続的役務提供契約と中途解約権
- 第3 説明義務違反・適合性原則に関する法律相談
- 【9】 説明義務違反
- 【10】 適合性原則
- 第1 消費者契約法に関する法律相談
- 第2章 交通事故
- 第1 事故直後から症状固定までの法律相談
- 【11】 賠償手続の流れ
- 【12】 物損事故と人損事故
- 【13】 交通事故と健康保険
- 第2 症状固定後、等級認定までの法律相談
- 【14】 等級認定
- 【15】 同一部位の等級認定
- 第3 等級認定後、示談までの法律相談
- 【16】 兼業主婦の休業損害
- 【17】 異時共同不法行為
- 【18】 人身傷害保険と搭乗者傷害保険
- 【19】 労災保険と通勤災害
- 第4 裁判・調停とADR
- 【20】 ADR等
- 第1 事故直後から症状固定までの法律相談
- 第3章 債務整理
- 第1 方針決定段階における法律相談
- 【21】 相談時の聴取事項
- 【22】 方針決定
- 【23】 家計状況の見直し
- 第2 任意整理に関する法律相談
- 【24】 任意整理
- 第3 自己破産・個人再生に共通する法律相談
- 【25】 破産・個人再生に要する費用と期間
- 【26】 退職金・生命保険の取扱い
- 【27】 住宅ローンの取扱い
- 第4 破産に関する法律相談
- 【28】 破産をしたときのリスク・デメリット
- 【29】 免責
- 第5 個人再生に関する法律相談
- 【30】 個人再生全般
- 第1 方針決定段階における法律相談
- 第4章 債権回収
- 第1 債権の管理に関する法律相談
- 【31】 貸金と保証
- 【32】 消滅時効の成立
- 【33】 取引開始時の留意点
- 第2 請求・保全に関する法律相談
- 【34】 債権回収の実践(保全手続等)
- 【35】 交渉による債権回収
- 【36】 訴えの提起
- 【37】 債務名義の種類
- 第3 執行に関する法律相談
- 【38】 和解的な解決の合理性・留意点
- 【39】 金銭執行手続の概要
- 【40】 執行前の情報収集
- 第1 債権の管理に関する法律相談
- 第5章 労働
- 第1 労働契約に関する法律相談
- 【41】 採用に関する問題
- 第2 労働条件の変更に関する法律相談
- 【42】 労働条件変更の手段
- 第3 割増賃金の請求に関する法律相談
- 【43】 割増賃金の請求
- 【44】 割増賃金に関する争点
- 第4 人事権・セクハラ・パワハラに関する法律相談
- 【45】 業務命令・懲戒処分を行う際の注意点
- 【46】 セクハラ・パワハラの法的責任と防止措置
- 第5 退職・解雇に関する法律相談
- 【47】 退職後の問題
- 【48】 労働契約の終了に関する問題
- 【49】 解雇された労働者の取り得る手段
- 第6 労働審判に関する法律相談
- 【50】 労働紛争の解決手段
- 【51】 労働審判
- 第1 労働契約に関する法律相談
- 第6章 不動産
- 第1 不動産の特定とその評価方法に関する法律相談
- 【52】 不動産の価値の調査
- 第2 不動産売買に関する法律相談
- 【53】 不動産売買における留意点
- 第3 不動産賃貸借に関する法律相談
- 【54】 借地権譲渡に伴う名義書換料と条件変更承諾料
- 【55】 賃料に関する諸問題
- 【56】 建物明渡手続
- 【57】 無断転貸
- 【58】 正当事由及び立退料
- 【59】 騒音トラブル
- 【60】 賃貸借契約締結上の説明義務
- 第4 区分所有法に関する法律相談
- 【61】 管理費の滞納
- 第1 不動産の特定とその評価方法に関する法律相談
- 第7章 知的財産
- 第1 知的財産権に関する法律相談
- 【62】 知的財産全般に関わる相談
- 【63】 特許権
- 【64】 実用新案権
- 【65】 意匠権
- 【66】 商標権
- 【67】 著作権
- 第2 不正競争防止法に関する法律相談
- 【68】 不正競争防止法全般に関わる相談
- 【69】 周知表示混同惹起・著名表示冒用
- 【70】 営業秘密
- 第3 ユーザーデータに関する法律相談
- 【71】 ユーザーのデータと知的財産権
- 第1 知的財産権に関する法律相談
- 第8章 親族
- 第1 離婚に関する法律相談
- 【72】 離婚の準備
- 【73】 有責配偶者からの離婚請求
- 【74】 不貞行為
- 【75】 財産分与
- 【76】 婚姻費用
- 【77】 養育費
- 【78】 氏
- 第2 親権に関する法律相談
- 【79】 親権の定め方
- 【80】 面会交流
- 第3 内縁に関する法律相談
- 【81】 内縁解消と財産分与
- 第1 離婚に関する法律相談
- 第9章 相続
- 第1 遺言の作成に関する法律相談
- 【82】 遺言の方式
- 【83】 相続させる旨の遺言
- 【84】 遺言書の開封・検認
- 【85】 信託
- 第2 遺産分割等に関する法律相談
- 【86】 戸籍の収集
- 【87】 特別受益・寄与分
- 【88】 遺産分割の対象となる相続財産の範囲
- 【89】 遺産分割の裁判手続
- 第3 遺留分減殺請求に関する法律相談
- 【90】 遺留分額の算定
- 【91】 遺留分減殺請求権の行使
- 第1 遺言の作成に関する法律相談
- 第10章 IT(インターネット)
- 第1 発信者情報開示請求に関する法律相談
- 【92】 発信者情報開示請求の相手方
- 【93】 発信者情報開示請求の手続
- 【94】 発信者情報開示請求に対する意見照会書
- 第2 削除請求等に関する法律相談
- 【95】 削除請求の手続
- 【96】 個人の誹謗中傷に対する慰謝料請求
- 【97】 削除請求の対象
- 第3 インターネット上の取引に関する法律相談
- 【98】 電子契約の注意点
- 【99】 利用規約の契約への組込み
- 【100】 ネットオークションの注意点
- 【101】 仮想通貨の取引の注意点
- 第4 インターネット上の犯罪行為に関する法律相談
- 【102】 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
- 【103】 不正アクセス禁止法
- 第1 発信者情報開示請求に関する法律相談
- 第11章 税務
- 第1 不動産売買に関する法律・税務相談
- 【104】 個人の土地・建物の売買
- 【105】 法人の土地・建物の売買
- 第2 不動産賃貸に関する法律・税務相談
- 【106】 土地の賃貸借
- 第3 会社関係の法律・税務相談
- 【107】 株式の譲渡、配当、相続
- 【108】 会社の取引関係(欠損金)
- 第4 損害賠償等に関する法律・税務相談
- 【109】 損害賠償
- 【110】 相続・遺贈
- 【111】 離婚・財産分与
- 【112】 遺留分減殺請求と経営承継円滑化法
- 【113】 取引先の倒産・再生、子会社の特別清算
- 第1 不動産売買に関する法律・税務相談
- 第12章 刑事
- 第1 捜査段階における刑事弁護に関する法律相談
- 【114】 刑事手続の流れ
- 【115】 被疑者の権利
- 【116】 不起訴に向けた弁護活動
- 【117】 告訴
- 第2 公判段階における刑事弁護に関する法律相談
- 【118】 保釈
- 【119】 証拠提出方法
- 【120】 裁判員裁判
- 【121】 証拠調べ請求に対する意見
- 【122】 自白の証拠能力
- 【123】 情状弁護
- 【124】 一部執行猶予
- 第3 不服申立てに関する法律相談
- 【125】 不服申立て
- 第1 捜査段階における刑事弁護に関する法律相談
企業の法律問題
「企業の法律問題」のポイント
企業をめぐる様々な法律問題に対処することを「企業法務」ということがあるが,このような特別な法律分野があるというよりも,弁護士が企業の法務支援をする対象となる法律問題をまとめたと考えるのがよいであろう。「分野別法律問題の手引」、「今知りたい「法律問題」」の多くの項目は,「企業法務」の問題でもある。
ここでは,主として中小企業(といっても,その規模は,千差万別であるが)を念頭に置いて,私が顧問先企業と締結する「企業との顧問契約書」1項を示そう・簡単ではあるが,そのポイント(参照)について情報提供していくことにしたい。ただ,中小企業には,M&Aを含む事業承継については,特有の問題があるといえるだろう。
企業との顧問契約書
私が,企業と顧問契約を締結するとき,次のような文言をいれることが多いが,次の1項の1から5に掲げた問題が,典型的な「企業法務」といってよいであろう。そのうち私が特に重要と考える3分野を挙げれば,会社内部の紛争(会社法),労働問題,業界法による規制だろうか。
- 1項 依頼者と顧問弁護士は,顧問弁護士が行う法律事務として次の内容が含まれることを確認するが,これに限られるものではない。
- 1.会社法,ファイナンス・会計・税務関係法等(会社の総務)
- 2.行政法,経済法,業界法等(行政との対応)
- 3.取引法,契約法,消費者法,知財法等(取引先・消費者との対応)
- 4.労働法等(従業員との対応)
- 5.不法行為法,刑事法
- 2項 弁護士は顧問就任時に依頼者と協力し,依頼者が対応,遵守しなければならない前項に含まれる法令,ガイドライン,業界団体の自主規制,自社規則等を一覧摘示し,その遵守状況を調査して爾後の遵守態勢の確立について助言するとともに,以後適宜,その遵守状況をチェックし,必要な助言をする。ただし,依頼者と顧問弁護士は,本項の業務について別途の定めをすることが出来る。
参考になる2冊
(中小)企業法務の実務書として,上記の「実務家のための法律相談ハンドブック」企業版、及び「中小企業法務のすべて」(日弁連中小企業法律支援センター 編) を紹介したい。問題が網羅されていて,参考になるだろう。大企業であれば,法務部もあるし,それぞれの弁護士が関与するのもその一部だが,多くの弁護士が日常的に接する中小企業は,スペシャリストなどといっておられないから,ここに記載されたような多くの分野に通暁することはとても大切だ。なお私は,「中小企業…機構」の顧問弁護士をしているので,その意味でもおろそかにすることはできない。
必携 実務家のための法律相談ハンドブック 顧問先等企業編:第一東京弁護士会 全期旬和会
- 第1章 顧客・取引先対応
- 【1】 顧客対応
- 【2】 クレームストーカーへの対応
- 【3】 カスタマーハラスメントからの従業員保護
- 【4】 消費者契約法による契約の取消し
- 【5】 消費者契約法により無効となる契約条項
- 【6】 親事業者の下請事業者に対する禁止行為
- 【7】 コンテンツ作成の委託に対する下請法の適用
- 【8】 独占禁止法にまつわる問題(優越的地位の濫用)
- 【9】 製造物責任法にまつわる問題
- 【10】 製造物責任の内容と免責事由等
- 【11】 商品に景品を付ける場合の規制
- 【12】 商品の表示に関する規制
- 【13】 割賦販売法の規制
- 【14】 割賦販売法の改正と加盟店の義務の強化
- 【15】 特定商取引法の規制
- 【16】 特定商取引法の改正
- 【17】 フランチャイズ契約(加盟時の情報提供義務)
- 【18】 フランチャイズ契約(フランチャイズ契約後の関係)
- 第2章 人事労務に関する法律相談
- 第1 募集・採用
- 【19】 募集時の個人情報収集
- 第2 労務管理
- 【20】 従業員の私的電子メールの調査・監視
- 【21】 就業時間の管理
- 【22】 配転・出向・転籍
- 第3 懲戒処分・解雇
- 【23】 試用期間満了による本採用拒否
- 【24】 経歴詐称
- 【25】 私生活上の非違行為と解雇
- 第4 ハラスメント
- 【26】 パワーハラスメント
- 第1 募集・採用
- 第3章 情報管理に関する法律相談(個人情報保護)
- 【27】 個人情報の利用管理
- 【28】 安全管理措置
- 【29】 不適正な利用の禁止
- 【30】 情報漏えいとその対応
- 【31】 第三者提供の制限
- 【32】 社員による情報漏えい
- 【33】 訴訟と個人情報
- 【34】 利用停止・消去請求
- 【35】 罰則
- 第4章 会社に関する法律相談
- 【36】 法人設立(個人事業主の法人化)
- 【37】 法人設立の手続
- 【38】 企業の組織
- 【39】 株主総会
- 【40】 内部統制システム
- 【41】 取締役の責任
- 【42】 取締役の第三者に対する責任
- 【43】 廃業手続
- 第5章 事業譲渡・事業承継に関する法律相談
- 【44】 事業承継の方法
- 【45】 親族内承継の問題
- 【46】 親族内承継における経営権の集中
- 【47】 親族内承継における税務
- 【48】 企業内承継の問題
- 【49】 企業内承継における後継者への経営資源の集中
- 【50】 社外への引継の方法
- 【51】 M&Aを行う場合の留意点
- 【52】 事業承継の実施前のリスクへの対応
- 第6章 知的財産に関する法律相談
- 【53】 コピー商品(不正競争防止法)
- 【54】 周知性(不正競争防止法)
- 【55】 営業秘密(不正競争防止法)
- 【56】 損害額の推定
- 【57】 著作権
- 【58】 特許権侵害の警告書に対する対応
- 【59】 職務発明
- 【60】 意匠・デザイン
- 【61】 ライセンス契約
- 【62】 知的財産取引における独占禁止法上の問題
- 第7章 債権回収に関する法律相談
- 【63】 債権回収の一般的方法
- 【64】 仮差押え
- 【65】 詐害行為取消権
- 【66】 連帯保証
- 【67】 動産売買先取特権
- 【68】 破産申立て
- 【69】 誤振込みと債権回収
- 【70】 財産開示
- 【71】 強制執行
- 【72】 少額債権の回収
- 第8章 不祥事対応・危機管理・反社会的勢力対応に関する法律相談
- 【73】 危機対応のための事前準備
- 【74】 内部通報制度
- 【75】 不祥事に対する対応一般
- 【76】 社内対応の進め方
- 【77】 調査結果の取扱方法
- 【78】 責任追及等の方法
- 【79】 第三者委員会
- 【80】 反社会的勢力の接近対策
- 【81】 反社会的勢力であると発覚した際の対応
- 【82】 反社会的勢力による妨害行為
- 第9章 IT・インターネットに関する法律相談
- 【83】 契約の電子化
- 【84】 インターネット記事に対する対抗措置
- 【85】 削除請求
- 【86】 発信者情報開示請求・発信者情報開示命令
- 【87】 名誉権侵害
- 【88】 営業権侵害
- 【89】 仮処分
- 【90】 投稿者に対する対応
- 【91】 インターネット事業者に対する対応
- 第10章 税務に関する法律相談
- 【92】 中小企業の税制概要(一般に適用される税制)
- 【93】 中小企業の税制概要(中小企業の投資や賃上げ関連)
- 【94】 中小企業の税制概要(研究開発、イノベーション関連)
- 【95】 中小企業の税制概要(事業承継、M&A関連税制)
- 【96】 留保金課税制度(特定同族会社の特別税率)
- 【97】 繰越欠損金
- 【98】 設備投資に関する優遇税制
- 【99】 IT関連投資
- 【100】 接待交際費の課税
- 【101】 出張旅費規程と税法
- 【102】 節税対策と税理士の責任
- 【103】 個人版事業承継税制のあらまし
- 【104】 個人版事業承継税制(贈与税の納税猶予・免除)
- 【105】 個人版事業承継税制(相続税の納税猶予・免除)
- 【106】 法人版事業承継税制のあらまし
- 【107】 法人版事業承継税制(贈与税の納税猶予・免除)
- 【108】 法人版事業承継税制(相続税の納税猶予・免除)
- 事項一覧
中小企業法務のすべて〔第2版〕:日本弁護士連合会; 日弁連中小企業法律支援センター
- 第 1 部 弁護士・弁護士会による中小企業支援
- 第 1 章 弁護士・弁護士会による中小企業支援のあり方
- 1 個々の弁護士による支援
- ⑴ 中小企業の法的課題と弁護士の関与の現状
- ⑵ 現状での中小企業の法的課題解決方法
- ⑶ 個々の弁護士による支援のあり方
- 2 弁護士会による支援
- ⑴ 弁護士会による中小企業事業者の直接の支援
- ⑵ 関連団体との連携
- 3 中小企業センターによる支援
- ⑴ 中小企業センター
- ⑵ 中企庁との連携
- ⑶ 各関連団体との連携
- ⑷ 新しい需要への対応・会員への研修
- ⑸ 全国レベルの基盤整備(ひまわりほっとダイヤル)
- ⑹ 中小企業支援に関する意見交換会モデル
- 4 今後の弁護士・弁護士会による中小企業支援のあり方
- ⑴ 2022年版中小企業白書における中小企業の課題
- ⑵ 中小企業の課題への法律支援
- 1 個々の弁護士による支援
- 第 2 章 中小企業を取り巻く状況
- 1 中小企業の定義と関連立法
- ⑴ 中小企業関連法制
- ⑵ 中小企業政策の対象範囲
- ⑶ 中小企業関連法の紹介
- 2 政府統計にみる中小企業の存在意義
- ⑴ 経済、雇用の担い手
- ⑵ 産業のバリューチェーンの一角
- ⑶ 伝統、革新の担い手
- 3 中小企業数と開廃業率の推移
- ⑴ 概要
- ⑵ 弁護士による開廃業支援
- 4 中小企業が直面する課題と展望・
- ⑴ 経営者の高齢化と後継者不足
- ⑵ 経営基盤の脆弱性
- ⑶ 労働力不足
- ⑷ 労働生産性の低さ
- ⑸ デジタル化・IT化
- ⑹ グローバル化
- ⑺ 企業の社会的責任
- ⑻ リスクへの対応の脆弱性
- ⑼ 展望
- 5 中小企業を支えるプレーヤー
- ⑴ 政府・公的機関
- ⑵ 商工団体
- ⑶ 金融機関
- ⑷ 士業その他の専門家
- ⑸ 法的サービスへのアクセス障害と支援の必要性
- 1 中小企業の定義と関連立法
- 第 2 部 各 論
- 第 1 章 創業支援
- 1 創業支援の必要性
- ⑴ 創業の社会経済的な意義とわが国の創業活動の動向
- ⑵ 創業支援における弁護士の関与についての課題
- 2 創業の段階別の支援内容
- ⑴ はじめに
- ⑵ 情報収集段階における支援
- ⑶ 創業計画の作成段階における支援
- ⑷ 事業の準備行為時における支援
- ⑸ 事業開始時および開始直後の支援
- 3 中小企業が事業主体として選択可能な法人類型
- ⑴ 法人化のメリット・デメリット
- ⑵ 代表的な法人類型
- ⑶ 各法人の比較と選択のポイント
- 4 創業時の資金調達・
- ⑴ 概説
- ⑵ 創業資金の資金調達手段と留意点
- 5 新規株式上場(IPO)
- ⑴ IPOの意義
- ⑵ 上場申請および審査の手続と上場審査基準
- ⑶ IPOにかかわる主な関係者とその役割
- ⑷ 資本政策
- ⑸ IPOに関して弁護士が貢献できること
- 1 創業支援の必要性
- 第 2 章 日常的な中小企業法務
- 1 身近な相談相手としての弁護士
- 2 ビジネスの適法性のチェック
- ⑴ はじめに
- ⑵ ビジネス全般に関する法規制
- ⑶ 消費者取引に関する規制
- ⑷ 企業間取引に関する規制
- 3 契約
- ⑴ はじめに
- 4 会社組織
- ⑴ 中小企業の機関設計
- ⑵ 株主総会に関する支援業務
- ⑶ 取締役会に関する支援業務
- ⑷ 取締役に関する支援業務
- 5 労務管理
- ⑴ 中小企業法律支援における労務管理の重要性と弁護士の役割
- ⑵ 労働条件に関するリスク
- ⑶ 労働条件の変更のリスク
- ⑷ 労使協定
- ⑸ 従業員管理・労働安全衛生管理・安全配慮義務に関するリスク
- ⑹ 非正規雇用労働者に関するリスク
- ⑺ 個別的労働紛争における中小企業の傾向
- ⑻ 集団的労働関係紛争のリスク
- ⑼ 行政との関係におけるリスク
- ⑽ 紛争解決手段
- 6 知的財産権の管理
- ⑴ 知的財産権概要
- ⑵ 特許権
- ⑶ 実用新案権
- ⑷ 意匠権
- ⑸ 商標権
- ⑹ 著作権
- ⑺ 不正競争防止法
- ⑻ まとめ
- 7 資金調達
- ⑴ 総論
- ⑵ デット・ファイナンス
- ⑶ エクイティ・ファイナンス
- ⑷ 補助金の活用
- ⑸ 資金調達において弁護士に期待される役割
- 8 債権回収・保全
- ⑴ 企業における債権回収・保全の必要性
- ⑵ 信用調査の必要性
- ⑶ 証拠書類の確保
- ⑷ 契約書の作成
- ⑸ 債権保全のために有効な契約条項
- ⑹ 担保権の設定(物的担保)
- ⑺ 保証人(人的担保)
- ⑻ 債権回収
- ⑼ 時効の管理
- 9 営業秘密の保護
- ⑴ 中小企業における営業秘密保持の問題点
- ⑵ 企業間の営業秘密漏洩防止
- ⑶ 従業員による営業秘密漏洩防止
- 10 個人情報の保護──個人情報保護法
- ⑴ 個人情報保護法成立および改正の経緯
- ⑵ 「個人情報」の定義
- ⑶ 個人情報取扱事業者の義務
- ⑷ プライバシーポリシー
- 11 トラブル・悪質クレーム対応
- ⑴ 総論
- ⑵ 悪質クレーム・不当要求
- ⑶ 悪徳商法対応(事業者の消費者被害等)
- ⑷ 反社会的勢力対応
- ⑸ インターネットトラブル
- 12 コンプライアンス
- ⑴ 中小企業とコンプライアンス
- ⑶ コンプライアンス違反の責任
- ⑷ コンプライアンス違反の原因
- ⑸ コンプライアンス違反の防止
- ⑹ 弁護士によるコンプラ
- イアンス支援
- 第 3 章 事業拡大時の問題
- 1 M&A
- ⑴ M&Aの基本概念
- ⑵ M&A取引の契約
- ⑶ 法務DD
- ⑷ 中小PMIGL
- 2 各種の提携契約
- ⑴ 総論
- ⑵ 販売提携(販売店契約)
- ⑶ 技術提携(技術ライセンス契約)
- ⑷ 生産提携(生産委託契約)
- ⑸ 合弁契約
- 3 支配権争い・
- ⑴ 支配権争いの場面
- ⑵ 取締役の解任と新たな取締役の選任
- ⑶ 取締役の地位をめぐる攻防(訴訟手続)
- ⑷ 取締役の地位をめぐる攻防(保全手続)
- ⑸ 新株発行をめぐる争い
- ⑹ 株主権をめぐる争い
- 1 M&A
- 第 4 章 国際業務支援
- 1 中小企業の国際業務における法的支援の必要性
- ⑴ 予防法務とトラブル発生時の初期対応の重要性
- ⑵ 海外展開の 3つの類型と類型ごとの法務ニーズ
- ⑶ 日本の弁護士による支援の意義
- ⑷ 日弁連中小企業国際業務支援弁護士紹介制度
- 2 契約書の重要性
- ⑴ 合意内容を明確化
- ⑵ 国際取引の条件は複雑
- ⑶ 準拠法の明確化
- ⑷ トラブル発生時の拠りどころ
- 3 貿易取引と代表的リスク
- ⑴ 取引開始時の注意点
- ⑵ 代金回収リスク
- 4 間接進出と代表的リスク
- 5 直接進出(直接投資)の代表的リスク
- ⑴ はじめに
- ⑵ 直接進出の手法
- ⑶ 合弁会社
- ⑷ 現地法人の管理
- 6 トラブルへの対応
- ⑴ 貿易取引・間接進出において発生しやすいトラブル
- ⑵ 現地法人(直接進出)において発生しやすいトラブル
- ⑶ 事業再編・撤退
- 7 越境EC
- ⑴ 越境ECとは
- ⑵ 越境ECの留意点
- ⑶ トラブル時の責任対応
- 8 留意すべき外国法
- ⑴ 個人情報保護法関連
- ⑵ 外国公務員贈賄関連
- 9 外国人労働者の雇用
- ⑴ はじめに
- ⑵ 外国人労働者の雇用と法令遵守
- ⑶ 日本の法令遵守の先へ
- 1 中小企業の国際業務における法的支援の必要性
- 第 5 章 事業承継・
- 1 事業承継総論
- ⑴ 事業承継とは
- ⑵ 現在の中小企業の状況
- ⑶ 中小企業の事業承継対策の状況
- ⑷ 事業承継の形態とその傾向
- ⑸ 事業承継関連施策
- 2 中小企業の事業承継の準備と課題
- ⑴ 中小企業の特徴
- ⑵ 事業承継の最適年齢・
- ⑶ 事業承継準備期間中のリスク
- ⑷ 事業承継の相談体制
- 3 事業承継計画書の作成
- ⑴ 事業承継書を作成する意義
- ⑵ 事業承継書の作成手順
- 4 親族内承継
- ⑴ 親族内承継の内容とその流れ
- ⑵ 相続
- ⑶ 中小企業における経営承継円滑化法
- ⑷ 事業承継の方法──株式や事業用資産の承継方法
- 5 企業内承継
- ⑴ 意義
- ⑵ 想定される候補者
- ⑶ 想定される企業側の事情
- ⑷ 方法
- ⑸ 企業内承継における課題・問題点
- ⑹ 具体的な方法
- ⑺ 事例
- 6 第三者承継
- ⑴ M&Aによる事業承継
- ⑵ 中小企業の第三者承継の方法
- 7 戦略的な事業承継スキーム
- ⑴ 総論
- ⑵ 各スキームの活用例と弁護士の役割
- 1 事業承継総論
- 第 6 章 事業再生
- 1 事業再生総論
- ⑴ 事業再生とは
- ⑵ 中小企業の力と早期事業再生の必要性
- ⑶事業再生の近時の歴史
- ⑷ 手続選択
- ⑸ 特定調停
- ⑹自然災害による被災者の債務整理に関するGL
- ⑺ 中小企業版私的整理GL
- 2 民事再生
- ⑴ 民事再生とは
- ⑵ 再生手続の流れと標準スケジュール
- ⑶ 再生計画のスキーム
- ⑷ 再生計画の条項
- ⑸ 監督委員による履行の可能性の検証
- ⑹ 再生手続におけるM&A
- 3 私的整理
- ⑴ 私的整理とは
- ⑵ 活性化協議会における再生手続
- ⑶ 再生計画策定支援改良案件のフォローアップ
- ⑷ 中小企業版私的整理GL
- ⑸ 中小企業再生における私的整理の利用方法(メリット・デメリット)
- 4 特定調停
- ⑴ 日弁連策定の新しい特定調停スキーム
- ⑵ 自然災害債務整理ガイドライン(コロナ特則)
- ⑶ 東京地方裁判所での特定調停の新運用
- 5 経営者の保証債務
- ⑴ 事業再生において経営者の保証債務を整理する意義・必要性
- ⑵ 経営者保証GLの策定
- ⑶ 経営者保証GLを利用した保証債務の整理
- ⑷ 特定調停スキームにおける経営者保証GLの活用
- ⑸ その他の準則型手続における経営者保証GLの利用
- ⑹ 経営者保証GLによらない保証債務の整理手段
- 1 事業再生総論
- 第 7 章 廃業支援・第二創業支援
- 1 総論──今なぜ廃業支援が必要か
- ⑴ 本章の概説
- ⑵ 中小企業の廃業状況
- ⑶ 廃業における課題
- ⑷ 廃業手続の多様化
- 3 過大な負債処理を行う場合の経営者の保証債務
- ⑴ 経営者保証GL
- ⑵ 清算型の場合の経済合理性の有無
- 4 特定調停スキーム(廃業支援型)の概要
- ⑴ 特定調停スキーム廃業支援型のメリット
- ⑵ 特定調停スキーム(廃業支援型)の活用事例
- ⑶ 特定調停スキーム(廃業支援型)の要件
- ⑷ 自然災害債務整理ガイドラインの特則
- 1 総論──今なぜ廃業支援が必要か
- 編者紹介・執筆者紹介
- 事項索引