すぐやる・続ける・やり抜く力_への道標
書誌_すぐやる、続ける、やり抜く力 100冊読んで分かった!目標達成力を高めるシンプルな方法
すぐやる、続ける、やり抜く力 100冊読んで分かった!目標達成力を高めるシンプルな方法:習慣化研究会(Amazonにリンク)
本書は、Kindle本しかないようです。
短い紹介と概略目次
400字の紹介文
目標達成に関する本いくらを読んでも行動が変わらない、という課題は普遍的である。本書は、その根源的な問いに対し、体系化された具体的な技術をもって応える一冊だ。著者らは100冊もの関連書籍を分析・統合したとしており、その網羅性と客観性は、読者が陥りがちな「より良い方法を探し続ける」「何から手をつけるべきか分からない」「方法が具体的でない」といった行動を阻む要因に終止符を打つ。本書が提示するのは単なる精神論ではない。まず「自信の醸成」で心理的土台を築き、次に「目標設定と細分化」で実行戦略を設計、最後に「失敗との向き合い方」で継続の技術を習得するという、行動変容に至る一貫したプロセスである。知識を行動へ転換するために構築された本書は、これまで変われなかった読者にとって、行動変容を実現するための実行可能な設計図となるだろう。
概略目次
- はじめに
- 1-1 『自信を持つ(成功の可能性を信じる)』
- 1-2 『客観的な視点を持つ』
- 1-3 『自分ができることに集中する』
- 2-1 『理想像をイメージする』
- 2-2 『人生の使命を決める』
- 2-3 『実行する目的を考える』
- 3-1 『目標を明確化する』
- 3-2 『目標の細分化をする』
- 3-3 『興味を基準に目標を選ぶ』
- 4-1 『行動に優先順位をつける』
- 4-2 『todoリストを利用する』
- 4-3 『達成までの戦略を考える』
- 5-1 『やらなければいけないと感じる状況を作り出す』
- 5-2 『オンとオフの切り替えをする』
- 5-3 『計画の完遂に強制力を持たせる(コミットメント)』
- 6-1 『ひとつ上のレベルのコミュニティに所属する』
- 6-2 『スキマ時間を活用する』
- 6-3 『時間を作り出す』
- 7-1 『小さなことからはじめる』
- 7-2 『自分自身の気分を高める』
- 7-3 『思い立ったらすぐやる』
- 8-1 『目標達成のプロセスを楽しむ』
- 8-2 『主体的に行動する』
- 8-3 『完璧主義をやめる』
- 9-1 『ほんの僅かな時間でも継続的に行う』
- 9-2 『自分自身に効果的な報酬を与える』
- 9-3 『進捗の見える化をする』
- 10-1 『失敗をポジティブに解釈する』
- 10-2 『失敗への不安を軽減する』
- 10-3 『うまくいかなかったときに自分を責めない』
- 11-1 『実行記録をつける』
- 11-2 『取り組みの分析をする』
- 11-3 『取り組み方法を改善する』
- おわりに
一口コメント
本書は一応網羅的に「行動論」を捉えているので、本書を基盤として行動論を考察しよう。ただ100冊も読むと普通は行動したくなるが。
すぐやる、続ける、やり抜く力_要約と詳細目次(資料)
序論:なぜ「やろう」と思っても行動できないのか
「いつかやりたい」と願いながら行動に移せない。目標を立てたはずなのに、いつの間にか挫折している。この「理想」と「現実の行動」の間にあるギャップは、多くのビジネスパーソンが直面する普遍的な課題です。なぜ私たちは、自ら望んだ目標に向かって力強く歩み続けられないのでしょうか。
本書はその問いに答えるための、体系的かつ実践的なガイドです。目標達成と習慣形成の道を阻む心理的・物理的な障壁を乗り越えるため、科学的知見に基づいた33の具体的メソッドを解説します。これは単なる精神論や一時的なモチベーション術ではありません。
信頼性の基盤は、関連書籍100冊を徹底的に分析・統合した網羅的アプローチです。読者が「もっと良い方法があるのではないか」と探し続ける 非生産的なサイクルから解放されるための戦略的措置です。専門家が共通して重要だと指摘する本質的なテクニックを一つのツールキットに集約することで、あなたは「最適な方法を探す」段階を終え、「実行する」段階に集中できます。
近年、『GRIT:やり抜く力』の概念が注目を集め、「才能よりも情熱や粘り強さが成功を左右する」という考えが広まりました。本書もその思想を尊重しつつ、さらに一歩踏み込みます。GRITを先天的資質として諦めるのではなく、後天的に鍛え、誰もが習得可能な「技術」として体系化することに焦点を当てます。以下の33のメソッドは、あなたの「やり抜く力」を科学的に強化するための具体的なツールキットとなるでしょう。
第1部:基盤の構築— 思考とビジョンを確立する
あらゆる行動は、その質と持続性を決定づける内面的準備から始まります。このセクションでは、行動を起こす前の最も重要な土台、すなわち思考とビジョンの確立に焦点を当てます。これは単なる準備運動ではなく、目標達成というシステム全体の「動力源と誘導装置」を構築する戦略的プロセスです。ここで確立する自己認識、成功への信念、明確な長期的ビジョンがなければ、第2部の計画は目的を失い、第3部の実行力は浪費されます。この思考の基盤こそが、今後のすべてのステップを支える礎です。
• 1-1. 自信を持つ(成功の可能性を信じる)
自分の能力は固定的ではなく、努力と工夫で向上するとする「グロースマインドセット」が自信の核です。根拠がなくても「自分なら達成できる」という根拠なき自信も有効ですが、より実践的なのは「根拠の薄い自信」を持つことです。例えば、自信を持つ条件を「模試でA判定」から「C判定」へ戦略的に引き下げることで、小さな成功体験から自信を育て、行動への勢いを生み出します。また、「やり方がわからない」という「できない理由」に対して「本当に知る方法はないのか?」と自問することで、言い訳を具体的な行動への道筋に転換できます。
• 1-2. 客観的な視点を持つ
合理的な判断を下すためには、感情から距離を置き、物事を公平に捉える視点が不可欠です。自分の悩みを、まるで親しい友人にアドバイスするかのように考えるワークは効果的です。自分の状況を友人のケースに置き換えることで感情的バイアスを取り除き、より冷静で合理的な解決策を導き出せます。また、意見対立時には「なぜ相手はそう主張するのか?」と自問し、相手の視点に立つことで主観的思い込みから脱却し、最適な結論に至ることが可能です。このメソッドは感情的消耗を防ぐ戦略的防御策でもあります。
• 1-3. 自分ができることに集中する
他人の評価や経済状況など自分でコントロールできない要因に気を取られず、現在自分が直接コントロールできる行動に全リソースを集中することが着実な前進を生み出します。このアプローチは「できないからやらない」という思考停止を防ぎます。困難に直面した際は「この状況を打開するために、今自分に何ができるか?」と自問する習慣をつけましょう。また、タスクを「今できること」と「今はできないこと」に分類し、できることから即座に着手する手法も有効です。
• 2-1. 理想像をイメージする
目標達成後の状態を具体的かつ鮮明に想像することは強力なモチベーション源です。目標達成による利益、周囲の反応、自分の感情を、実際に体験しているかのようにリアルにイメージします。これにより、遠い未来の報酬を「今」感じられ、日々の努力に意味が生まれます。効果を持続させるために、既存の習慣(トイレに行く、作業を終えるなど)と結びつけて理想像を定期的に見直す「アクショントリガー」を構築することが重要です。
• 2-2. 人生の使命を決める
「自分は何を成し遂げるために生まれてきたのか」という人生の使命は、長期的行動のブレない軸(羅針盤)となります。使命感は困難な状況で「これを達成せずにはいられない」という強靭な精神的支柱となり、挫折を防ぎます。使命を見つけるには、過去に心が動かされた瞬間(喜び、怒りなど)を振り返り、そこに隠された価値観を探るワークが有効です。すぐに見つからなくても焦る必要はなく、まずは「使命(仮)」として設定し、行動しながら検証するアプローチが現実的です。重要なのは、社会貢献など高尚なものに固執せず、自分の心が真に望むものを選ぶことです。
• 2-3. 実行する目的を考える
「目標」が達成すべき具体的地点(WHAT)であるのに対し、「目的」は「なぜそれを達成したいのか」(WHY)という行動の根本的理由です。目的意識が明確であれば、困難に直面しても「このためにやっているんだ」という強い動機が行動を支えます。目的を見つける最もシンプルな方法は、設定した目標を疑問形に変えて自問することです。「なぜ1年以内に英語を話せるようになりたいのか?」と問うことで、「海外プロジェクトに関わりたいから」といった本質的でパワフルな理由が明らかになります。
内面的な動力源と羅針盤が整ったら、次はそのビジョンを具体的な行動計画に落とし込む段階です。目的地までの最も効率的な航路図、すなわち戦略的な「設計図」を描きましょう。
第2部:行動計画の策定— 戦略的に計画し、優先順位を付ける
抽象的なビジョンや使命感を現実の成果へ転換するには、緻密な設計図が不可欠です。このセクションではその設計図、すなわち行動計画の策定に焦点を当てます。この段階がなければ、第1部で築いた基盤は方向性のないエネルギーとなり、第3部で発揮する実行力はインパクトの低い活動に浪費され、結果的に燃え尽きにつながります。曖昧な夢を具体的な目標へ落とし込み、巨大な目標を実行可能なタスクへ分解し、最も重要なものを見極めることが、無駄な努力を排除し最短距離でゴールに到達する鍵です。
• 3-1. 目標を明確化する
漠然とした「いつかできたらいいな」は行動につながりません。夢を行動計画の出発点となる「目標」に変えるには3つのステップが不可欠です。第一に「数値化」(例:「痩せる」→「3ヶ月で5kg減量」)。第二に「達成期限の設定」(例:「いつか高得点」→「来年9月までにTOEICで800点」)。第三に「達成状態のイメージ」です。目標達成後の周囲の反応や新しい挑戦を10分間、身体で感じられるレベルで鮮明に想像します。これにより、脳は目標を現実的な課題として認識し、達成に向けたリソースの動員を開始します。
• 3-2. 目標の細分化をする
大きすぎる目標は「何から手をつければいいかわからない」という心理的抵抗を生み、行動を麻痺させます。これを克服する鍵が目標の細分化です。「夢 → 大目標 → 中目標 → 小目標 → タスク」と逆算し、自分にとって現実的に感じられる難易度のステップを設定しましょう。これにより、巨大な山も一歩ずつ登れる丘の連続に変わります。
• 3-3. 興味を基準に目標を選ぶ
長期的継続の最も強力なエンジンは「好き」「楽しい」という内発的動機です。給料や世間体など外部基準で選んだ目標は、困難時に挫折リスクが高まります。自分の興味に基づいた目標はプロセス自体が報酬となり、困難を乗り越える力になります。親や社会の期待といった他人の意見に流されず、自分の意志で決断することが、やり抜く力の根本を支える重要な選択です。
• 4-1. 行動に優先順位をつける
「時間がない」という問題の本質は時間の絶対量ではなく配分戦略です。有限なリソース(時間とエネルギー)を最大活用する第一歩は、目的達成への貢献度が低い活動をやめる戦略的撤退です。そうして生まれた時間で取り組むべきは「重要だが緊急でない」活動です。スキルアップや健康維持など、この領域への投資が長期的成功に最も大きな影響を与えます。
• 4-2. todoリストを利用する
やるべきことをリスト化することは、脳のワーキングメモリを解放する強力な手法です。記憶という低付加価値な認知負荷を外部ツールに委託し、解放されたリソースを高付加価値なタスクに集中させます。毎朝5分でその日やるべきことのリストを作成し、完了したタスクを可視化することで達成感が得られ、次の行動へのモチベーションになります。
• 4-3. 達成までの戦略を考える
目の前のタスクをこなすだけでなく、目的達成までの全体像を鳥の目で俯瞰し、長期的視点で最適な手段を選ぶ「戦略的思考」が重要です。短期的な結果に一喜一憂せず、その行動が長期的にどのような影響を及ぼすかを常に考えましょう。「自分の視野が狭まっていないか?」「これは目的に対する最適な手段か?」と自問することで、より賢明で持続可能なアプローチを選べます。
緻密な計画が完成したら、次はいよいよその計画を実行に移し、力強いスタートを切るための方法論へ進みます。設計図を現実に変えるための最初の一歩、すなわち「着火剤」を手にしましょう。
第3部:実行力の強化— 行動の勢いを生み出す
優れた計画も実行されなければ空想に終わります。このセクションでは、計画を具体的行動へ転換し、最初の力強い勢いを生み出す「着火剤」的テクニックに焦点を当てます。多くの人が挫折する「最初の一歩」の壁は意志力だけの問題ではありません。重要なのは、意志力に頼らず環境、仕組み、心理的テクニックを駆使して行動へのハードルを極限まで下げることです。これらのメソッドは先延ばし癖を断ち切り、「すぐやる」を現実にする強力な武器となります。
• 5-1. やらなければいけない状況を作り出す
自分一人の意志力には限界があります。そこで他者の視線や社会的約束(パブリックコミットメント)を利用し、行動せざるを得ない外部プレッシャーを意図的に作ります。例:友人や上司に「1年後にTOEICで800点を取る」と公言すれば、「実行しないと面目が立たない」という健全な圧力が生まれます。また、自宅で集中できないなら図書館やカフェなど人の目がある場所で作業することも効果的です。
• 5-2. オンとオフの切り替えをする
持続的パフォーマンスは集中と休息のリズムから生まれます。時間を「高負荷作業タイム」(執筆など)、「低負荷作業タイム」(メール整理など)、「リラックスタイム」の3つに枠組み化し、エネルギーレベルに合わせたスケジュールを組むことが有効です。意図的に「何もしない時間」をスケジュールに入れることで燃え尽きを防ぎ、次の「オン」に向けて確実に再充電できます。
• 5-3. 計画の完遂に強制力を持たせる(コミットメント)
自分との約束を守らせるため、達成できなければ金銭的ペナルティが発生する仕組みを導入します。これは、人が得る喜びより失う痛みを強く感じる「損失回避性」や「保有効果」を利用したものです。例:友人に1万円を預け、「目標を達成できなければ、そのお金で自分の嫌いな政党に寄付してもらう」と約束する。この「ばかげた使い方」が戦略的ポイントで、逃げ道を塞ぎ強烈な動機付けになります。
• 6-1. 一つ上のレベルのコミュニティに所属する
人は所属する集団の基準に強く影響されます。成長を加速させる最も効果的な方法は、自分より少しレベルの高い人たちが集まる環境に身を置くことです。彼らの「当たり前」に触れることで、無意識に自分の目標設定や努力量が引き上げられます。ただし、既存の友人関係を能力で選別するような非情な考え方ではなく、意図的に自分をストレッチできる新しい環境を選ぶことが重要です。
• 6-2. スキマ時間を活用する
「時間がない」と感じる日でも、通勤電車の中や就寝前など既存の習慣の前後には必ずスキマ時間が存在します。この短時間を有効活用するために「電車の中ではリスニング教材を聴く」など、スキマ時間に適したタスクを予め決めておくことが重要です。塵も積もれば山となるように、日々のスキマ時間の活用が長期的に大きな差を生みます。
• 6-3. 時間を作り出す
時間を確保するには能動的に時間を創出する姿勢が必要です。そのためのアプローチは3つ。第一に誘惑への事前対策(例:作業中はスマホの電源を切る)。第二に重要でない不要な誘いを断る勇気。第三に家事代行などを活用し、自分以外でもできる作業を外部に依頼することです。これにより、自分にしかできない価値の高い活動に集中する時間を確保できます。
• 7-1. 小さなことからはじめる(スモールステップ)
大きな目標は行動開始時の心理的抵抗を増大させます。これを防ぐ鍵は行動を限界まで小さく分解して始めることです。例:「毎日腕立て伏せを1回だけやる」「ランニングウェアに着替えるだけ」といった、失敗しようがないほど簡単なステップから始めます。これにより「行動すること」自体へのハードルが劇的に下がり、行動のリズムが生まれます。一度リズムに乗れば量を増やすのは容易になります。
• 7-2. 自分自身の気分を高める
行動は感情に左右されます。やる気が出ないときは無理に行動するのではなく、まず意図的に気分を高める儀式(ルーティン)を取り入れましょう。作業前に背筋を伸ばして姿勢を正すだけで血流が改善され気分が向上します。また、特定の音楽を聴いたり勇気づけられる言葉を読み返したりすることも、行動への精神的エンジンをかける有効な手段です。
• 7-3. 思い立ったらすぐやる
「やろうかな」と思ってから行動に移すまでの時間が長いほど、「面倒くさい」といったネガティブな思考が入り込みます。これを防ぐには「3秒ルール」のように、やりたいことが頭に浮かんだら深く考えず即座に体を動かすことが効果的です。この「とりあえず動く」行為が、やる気を後から引き出す「作業興奮」を促し、先延ばしの連鎖を断ち切ります。
第3部の「着火剤」で得た推進力はスタート時に強力ですが、エネルギーは有限です。長期的な飛行を持続させるには、長距離航行用に設計された高効率エンジンが必要です。次のセクションではそのエンジンを構築する技術を学びます。
第4部:継続と忍耐— 長距離を走り抜くための技術
目標達成は短距離走ではなく長距離マラソンです。最初の勢いだけでは走り切れません。ペースを維持し、途中で燃え尽きないための戦略が不可欠です。このセクションでは、一時的なモチベーションに依存せず長期的に行動を続けるための仕組みと心構えを解説します。退屈な作業を乗り越え、多忙な日々の中でも着実に歩みを進める持続可能な技術を身につけましょう。
• 8-1. 目標達成のプロセスを楽しむ
退屈な作業を継続する鍵は、プロセス自体に楽しさやゲーム性を見出すことです。例:英単語暗記なら「20単語を覚えるまでの時間を計測し自己ベストの更新を目指す」。汚れが綺麗に落ちて気持ちいいといったささやかな楽しさを見つけるだけでも苦痛は軽減されます。プロセスを楽しむ工夫が継続の最大の味方になります。
• 8-2. 主体的に行動する
「みんながやっているから」という他人の価値観に縛られた行動はやらされ感を生み、継続を困難にします。自分の内なる価値観に基づき「自分が正しいと思うからやる」という主体的な姿勢で行動することで前向きな気持ちが生まれ、継続性が高まります。時には「今やっている方法は本当に正しいのか?」と社会常識や既存のやり方を疑うことも重要です。これにより、自分に最適化された持続可能なアプローチを発見できます。
• 8-3. 完璧主義をやめる
100%の完成度を目指す完璧主義は挫折の大きな原因です。戦略的に継続するためには、完成度80%で十分と考える「80点主義」が有効です。その根拠は「80%の完成度を100%にするには、0%から80%にするのと同程度の時間がかかる」というリターンの逓減にあります。残りの20%に固執せず、浮いたリソースを次の重要なタスクに振り分けることで、生産性と継続可能性が向上します。
• 9-1. ほんの僅かな時間でも継続的に行う
継続において最も避けるべきは「ゼロの日」を作ることです。一度でも行動の連鎖を断ち切ると再開には大きな精神的エネルギーが必要になります。多忙や疲労で予定量がこなせない日でも「1分だけやる」「準備だけする」といった僅かな行動を実行することが重要です。これにより行動のリズムが維持され、「自分は継続できている」という意識が途切れません。
• 9-2. 自分自身に効果的な報酬を与える
モチベーション維持のため報酬を戦略的に活用します。重要なのは目標の大きさに合わせて報酬を設計することです。日々のタスク完了には「好きなお菓子を食べる」といった小さな報酬を、テキスト1冊終了など大きな目標には「欲しかったものを買う」といった大きな報酬を用意します。これにより日々の努力がすぐに報われ、モチベーションの好循環を作れます。
• 9-3. 進捗の見える化をする
自分の努力の軌跡を視覚的に確認することは強力なモチベーション装置です。最も簡単なのは行動を完了した日にカレンダーに印をつけること。日々印が増えていくのを見ることで「これだけ続けてきた」という行動実感が湧き、自信となって次の行動を後押しします。「記録→確認→モチベーション向上→次の行動」のサイクルが継続の強力なエンジンになります。
長期的な継続の過程では、どれほど入念に計画し努力を続けても、必ず失敗や停滞が訪れます。しかしそれは終わりを意味しません。次に、困難を乗り越え失敗すら成長の糧に変えるための改善技術を論じます。
第5部:学習と改善— フィードバックループを回す
目標達成とは単に計画を一直線に実行する作業ではなく、行動し結果を分析し次の行動をより良くしていく継続的な「改善サイクル」を回す学習プロセスです。このセクションでは、失敗や停滞を挫折の原因ではなく成長の機会に変えるフィードバックループの構築に焦点を当てます。結果から学び方法を改善し続ける能力こそが、最終的に目標を達成する人と途中で諦める人を分ける決定的差です。
• 10-1. 失敗をポジティブに解釈する
失敗を人格の欠如と結びつけず、「成功に不可欠な学習プロセス」と捉え直すことが重要です。特に「数撃ちゃ当たる」アプローチでは、失敗の価値を数値化する思考が有効です。例:20回の営業コールで1件(利益5万円)の成約が取れるなら、1回の失敗(断られること)には2500円の期待値があると解釈できます。これにより個々の失敗に一喜一憂せず着実に前進しているという実感を保てます。
• 10-2. 失敗への不安を軽減する
行動を妨げる「失敗への恐怖」を克服するには二つの心理テクニックが有効です。一つは起こりうる最悪のケースを具体的に想像すること。漠然とした不安の正体を明らかにすると「思ったほど大したことではなかった」と気づくことが多いです。もう一つは挑戦を「実験」と捉えるアプローチです。「今回はこの仮説を検証する実験だ」と考えることで、失敗は単なる「予想と違った結果」となり心理的負担が軽減されます。
• 10-3. うまくいかなかったときに自分を責めない
失敗時に過去の自分を繰り返し責める「反芻思考」は精神的エネルギーを消耗させます。これを断ち切るには、大切な友人を慰めるように自分に優しい言葉をかけるワークが効果的です。「今回は運が悪かっただけだよ」「あの状況では仕方なかった」と自分に言い聞かせることで自己批判の悪循環から抜け出せます。
• 11-1. 実行記録をつける
客観的な自己評価と改善の土台となるのが日々の行動記録です。人
間の記憶は都合よく改ざんされがちで「頑張ったつもり」になってしまうことを防げます。日付、実行時間、取り組み内容、気づきをシンプルに記録するだけで十分です。この記録は後の分析で「なぜうまくいったのか」を解明する貴重なデータになります。
• 11-2. 取り組みの分析をする
記録を基に定期的に自分のパフォーマンスを分析します。まずは設定した行動目標に対する達成率を計測します。次に成功または失敗の「根本要因」を突き止めるために「なぜ?」を繰り返す手法が有効です。例:「時間がなかった」→「なぜ?」→「家事に時間がかかった」と深掘りすることで表面的問題の奥にある本質的課題を発見できます。
• 11-3. 取り組み方法を改善する
結果が出ないのは才能のせいではなく、単に「方法」が間違っているだけと考えましょう。分析で見つかった根本課題に対し具体的な問いかけを通じて改善案を考え、実行します。重要なのは改善案を試してみて、うまくいかなければ別の方法を試すというトライ&エラーを恐れない姿勢です。このサイクルを回し続けることで、自分に最適な方法論が磨かれていきます。
ここまで解説してきた33のメソッドは、それぞれが独立したテクニックであると同時に、相互に連携して目標達成という一つの目的を支える体系的システムを形成しています。これらを身につけることは単なるスキルアップではなく、自己変革のためのOSをインストールすることに他なりません。
結論:目標達成は「技術」である
本書を貫く一つの真実は、目標を達成しやり抜く力は一部の特別な人に与えられた才能ではなく、誰もが学び習得できる「技術」の集合体であるということです。
思考の基盤を築き、戦略的な計画を立て、力強く行動を開始し、忍耐強く継続し、失敗から学び改善する。この一連のプロセスは感覚や気合に頼るものではなく、一つひとつの具体的なスキルによって支えられています。自信の持ち方から時間の作り方、失敗の乗り越え方に至るまで、本稿で紹介したテクニックはそのスキルを体系的に身につけるためのものです。
最後に重要なことを伝えます。33のメソッドすべてを一度に実行する必要はありません。まずは、あなたが今最も必要だと感じるものを一つか二つ選んで、今日から生活に取り入れてみてください。
その小さな一歩が、これまでの行動パターンを変える最初のきっかけになります。そしてその一歩が次の変化を呼び、やがてあなた自身とあなたの未来を大きく変える力となるでしょう。目標達成は特別な才能ではなく、正しい技術を知り実践することから始まります。
- はじめに
- 1-1 『自信を持つ(成功の可能性を信じる)』
- 自信を持つ(成功の可能性を信じる)メリット
- 自信を持つ(成功の可能性を信じる)方法
- まとめ ~自信を高めるために~
- 1-2 『客観的な視点を持つ』
- 客観的とは何か
- 客観的な視点を持つメリット
- 具体的な取り組み方
- まとめ ~客観的な視点を持つために~
- 1-3 『自分ができることに集中する』
- 自分ができることに集中するメリット
- 自分ができることを見つけるための方法
- まとめ ~自分ができることに集中するために~
- 2-1 『理想像をイメージする』
- 何となくで終わってしまう「理想」
- 理想をイメージするメリット
- 具体的な取り組み方
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~理想像をイメージするために~
- 2-2 『人生の使命を決める』
- 人生の使命をもつメリット
- 挫折しづらくなる
- 人生の使命を見つけるための方法
- 思いついたものを深く考えずに書き出してみる
- 人生の使命を見つける際の注意点
- まとめ ~人生の使命を決めるために~
- 2-3 『実行する目的を考える』
- 目的とは何か
- 実行する目的を考えるメリット
- 目的を考える方法
- まとめ ~実行する目的を考えるために~
- 3-1 『目標を明確化する』
- 目標を明確化するメリット
- 目標の明確化の方法
- 夢を目標にする
- まとめ ~目標を明確化するために~
- 3-2 『目標の細分化をする』
- 夢を目標へ、目標をタスクに
- 目標を細分化するメリット
- 夢をタスクに変える4ステップ
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~目標を細分化するために~
- 3-3 『興味を基準に目標を選ぶ』
- 仕事選びの軸は何か
- 興味を基準に目標を選ぶメリット
- 興味を基準に目標を選ぶ方法
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~興味を基準に目標を選ぶために~
- 4-1 『行動に優先順位をつける』
- 優先順位付けをするメリット
- 優先順位付けの実行方法
- まとめ ~行動に優先順位をつけるために~
- 4-2 『todoリストを利用する』
- todoリストを利用するメリット
- todoリストの効果的な利用方法
- 取り組みやすさを向上させるために
- まとめ ~todoリストを効果的に利用するために~
- 4-3 『達成までの戦略を考える』
- 視野を広く持つ
- 戦略を考えるメリット
- 具体的な取り組み方
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~効果的な戦略を考えるために~
- 5-1 『やらなければいけないと感じる状況を作り出す』
- やらなければいけないと感じる状況を作り出すメリット
- 具体的な取り組み方
- まとめ ~やらなければいけないと感じる状況を作り出すために~
- 5-2 『オンとオフの切り替えをする』
- 仕事とプライベートを明確に分ける
- オンオフの切り替えをするメリット
- 具体的な取り組み方
- まとめ ~オンとオフの切り替えをするために~
- 5-3 『計画の完遂に強制力を持たせる(コミットメント)』
- 達成しないといけない仕組みをつくる
- コミットメントを行うメリット
- コミットメントの実行方法
- コミットメントを行う際の注意点
- コミットメントのメカニズムの心理学的裏付け
- まとめ ~計画の完遂に強制力を持たせるために~
- 6-1 『ひとつ上のレベルのコミュニティに所属する』
- 周囲の人間からの影響を有効に活用しよう
- 一つ上のレベルのコミュニティに所属するメリット
- コミュニティへの入り方
- 実行における注意点
- まとめ ~所属するコミュニティを考える~
- 6-2 『スキマ時間を活用する』
- 時間の使い方について
- スキマ時間を活用するメリット
- スキマ時間の活用方法
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~スキマ時間を活用するために~
- 6-3 『時間を作り出す』
- 時間を作り出すメリット
- 時間を作り出すための方法
- まとめ ~時間を作り出すために~
- 7-1 『小さなことからはじめる』
- いきなり頑張りすぎていないか
- 小さなことからはじめるメリット
- 小さなことからはじめるための方法
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~小さなことからはじめるために~
- 7-2 『自分自身の気分を高める』
- 自分の気分を高めるメリット
- 具体的な取り組み方
- まとめ ~自分自身の気分を高めるために~
- 7-3 『思い立ったらすぐやる』
- 「動かない」は「何もしていないと」同じ
- 思い立ったらすぐやるメリット
- 思い立ったらすぐやる方法
- 取り組む際の注意点
- 行動を起こせば後からやる気がついてくる
- まとめ ~思い立ったらすぐやる~
- 8-1 『目標達成のプロセスを楽しむ』
- プロセスを楽しむメリット
- プロセスを楽しむための方法
- まとめ ~プロセスを楽しむために~
- 8-2 『主体的に行動する』
- 周囲の目を気にしないためには
- 主体的に行動するメリット
- 具体的な実践方法
- まとめ ~主体的に行動するために~
- 8-3 『完璧主義をやめる』
- 完璧主義をやめるメリット
- 完璧主義をやめるための方法
- まとめ ~完璧主義をやめるために~
- 9-1 『ほんの僅かな時間でも継続的に行う』
- 途切れさせないことには大きな意味がある
- ほんの僅かな時間でも実行するメリット
- 具体的な実践方法
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~ほんの僅かな時間でも継続的に行うために~
- 9-2 『自分自身に効果的な報酬を与える』
- むやみに自分自身にごほうび(報酬)を与えていないか
- 効果的な報酬を与えるメリット
- 自分への効果的な報酬の与え方
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~自分自身に効果的な報酬を与えるために~
- 9-3 『進捗の見える化をする』
- 進捗の見える化をするメリット
- 進捗を見える化する方法
- 取り組む際の注意点
- まとめ ~進捗の見える化をするために~
- 10-1 『失敗をポジティブに解釈する』
- 失敗をポジティブに解釈するメリット
- 失敗をポジティブに解釈するための方法
- まとめ ~失敗をポジティブに解釈するために~
- 10-2 『失敗への不安を軽減する』
- 失敗への不安を軽減するメリット
- 失敗への不安を軽減する方法
- まとめ ~失敗への不安を軽減するために~
- 10-3 『うまくいかなかったときに自分を責めない』
- 自分を責めない(反芻をとめる)
- 反芻をしないメリット
- 反芻をとめるための方法
- まとめ ~反芻をとめるために~
- 11-1 『実行記録をつける』
- 実行記録をつけるメリット
- 実行記録のつけ方
- まとめ ~効果的な記録をつけるために~
- 11-2 『取り組みの分析をする』
- 取り組み状況を分析してみよう
- 分析のメリット(目的)
- 取り組みの分析の方法
- 分析の実行のコツ
- まとめ ~効果的な分析をするために~
- 11-3 『取り組み方法を改善する』
- 取り組み方法を改善するメリット
- 取り組み方法を改善する方法
- おわりに
Mのコメント(内容・方法及び意味・価値の批判的検討)
ここでは、対象となる本の言語空間がどのようなものか(記述の内容と方法は何か)、それは総体的な世界(言語世界)の中にどのように位置付けられるのか(意味・価値を持つのか)を、批判的思考をツールにして検討していきたいと思います。ただサイト全体の多くの本の紹介の整理でアタフタしているので、個々の本のMのコメントは「追って」にします。