やっとこのWebに触れる余裕ができた
長き不在
このWebの内容を充実させようと、昨年9月の公開から昨年末に向けてあれこれ題材を仕入れたり考えたりしているうちに、今年になって原稿書きの締め切りが2本あり、その合間を縫って、長大な準備書面、控訴理由書、上告受理理由書等の起案があって、このWebに向き合う時間と気力がなくなってしまった。その激動もやっと終わりつつある。
そこでこの間書いた原稿2本(確定稿ではないので、今後変更される可能性がある)と、重要な意味を持つ情報公開裁判の判決を紹介しよう。まず情報公開裁判から。
ある情報公開裁判の判決の紹介
2020年3月3日に言い渡された、私が原告代理人を務めたある情報公開裁判(被告は北杜市である)をそのまま紹介しよう。
「北杜市情報公開裁判判決」である。
原告が提訴した事件には、併合された4号事件と8号事件があるが、多少包括的に開示請求した公文書のうち、原告がその存在を知っていた公文書が4号事件で非開示処分とされたのか否か、市の対応があいまいだったので(裁判所は当初、不作為の違法確認をすべきではないかといっていた)、具体的に特定できるものを更に開示請求したところ、非開示となったので、8号事件を提訴した。
北杜市の対応は、8号事件について当初は裁判で証拠に出ているので却下だと主張していたが、これが最高裁の判決の判示に反することを知ると、今度は、非開示理由があるとの主張を維持していることをものともせず、8号事件の非開示処分を取り消して原告に全部開示し、なりふり構わず却下を求めた。原告は市の取消し処分が、市の条例に違反し目的も違法だとしてその取り消し(8号事件への実質的判断)を求めたが(市は従前の非開示理由を撤回したのではなく、裁判に証拠に出たからという理由で非開示処分を取り消したのである)、裁判所はこれを訴えの利益がないと却下し、8号事件そのものを却下した。
ただ4号事件はそのまま残っていたので(市は忘れたか、もともとの非開示がいい加減すぎて対応できなかったのだろう)、裁判所はこれについて市の主張をすべて排斥し全部開示を命じた。市は控訴しようとしたが、議会で控訴することを否決され、結局、確定した。
実は開示を命じられた文書の内容が北杜市政にとって大問題であるのだが、それは判決をじっくり読みこんでもらえれば理解できるであろう。
原告は、8号事件が却下されたままだと、北杜市の訴訟になるとなりふり構わず非開示処分を取り消して訴訟を却下させるやり方が認められてしまうのでいったんは控訴したが、市が控訴できないことになったので、判決を確定させることを優先し、控訴は取り下げた
という摩訶不思議な事件である。
「AI時代の弁護士業務」の紹介
まず「AI時代の弁護士業務」は貴記事にした。その具体的な内容については、別途検討する。
「予防訴訟と仮救済制度が問題となった事件」の紹介
「予防訴訟と仮救済制度が問題となった事件」はPDFにしておく。これは行政事件における「訴訟選択」の問題をまとめたものんあおで、参考にしていただきたい。これも、別途検討する。
私がこれから展開するこのWebの内容
サイトタイトルの変更
内容以前にサイトタイトルを「弁護士村本道夫の未来の法律事務所」に変更することにした。私の名前はどうでもいいのだが、「××未来法律事務所」という名前の本当の法律事務所がたくさんあり集客に努めているので、このままでは検索に引っかかりにくいと思い、替えさせてもらうことにした。
これからの展開
これからは当面、この間仕入れた「問題解決のヒント」を展開しよう。用意した本はおおよそ次のとおりである。どれも楽しい。追って、紹介していこう。
・オリジン・ストーリー:クリスチャン
・なぜ今、仏教なのか―瞑想・マインドフルネス・悟りの科学 :ロバート・ライト
・U理論[エッセンシャル版]― 人と組織のあり方を根本から問い直し、新たな未来を創造する:オットー・シャーマー
・超予測力:テトロック
・超一流になるのは才能か努力か? :エリクソン
・21 Lessons:ユヴァル・ノア・ハラリ
・身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質:タブレ
ジャレド・ダイアモンドやロルフ・ドベリもあるのだが、追ってにしよう。
目指すは、持続可能な社会とIT・AI・DX
問題解決のヒントも重要だが、私が目指しているのは、持続可能な社会とIT・AI・DXによるイノベーションである。問題解決のヒントはそれへの手掛かりだ。問題解決の方法論を吟味だけしていると、それだけで人生が終わってしまう。
弁護士が受任する法律事務とは
持続可能な社会とIT・AI・DXを実現するためには、言語による合意・強制である「法とルール」が重要な役割を果たす。振り返れば、私は性癖として「法とルール」を向こう側の存在と見る傾向が強かったが、これからは、持続可能な社会とIT・AI・DXを実現するための適切・有効な手段と位置付け、その中に率直に飛び込んでよりよい方向を検討していこうと思う。ただそのような立場からの紹介には、少し時間がかるかも知れない。