2019年年賀状
謹んで新春のおよろこびを申し上げます。
皆様方にとってこの一年が希望に満ちた年でありますように心よりお祈り申し上げます。
最近,「ビッグヒストリー」という試みに関心を持っています。宇宙,地球,生命,人間と展開してきた138億年の歴史を踏まえ,現在とこれからの問題を考え,対応していこうとするものです。
最初に読む本として,6600年前の恐竜絶滅の原因であることがほぼ確実なユカタン半島への隕石衝突の現場を発見した地質学者ウォルター・アルバレスの「ありえない138億年史-宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー」(光文社)を紹介します。
これは全編とても面白く,例えば,「私たちは地球が集めた星くずでできている」,「人間の体の各部分は全く異なる時代にこの世に現れている」,「一生の間に,何とおよそ100トンの食べ物が私たちの口に入り,消化管を通過していく」,「自分が生まれる可能性は極めて少ない。一世代に生まれる子供の数を10億(10の9乗)人とし,精子,卵子数を考慮して生まれる可能性のある子供の総数をおよそ10の25乗と見積もると,私の生まれる可能性は1/(10の16乗)等々,興味は尽きません。
このようなことを考えることのできる存在となった人間は素晴らしいと思いますが,一方,多くの人間にとって,狩猟採集生活を脱した後の「文化の進化」に適応するのはむつかしく,今は,ネット上のフェイクニュース,世論操作に飲み込まれているようです。問題解決への途は,「ビッグヒストリー」から俯瞰することにあると思います。
平成31年元旦
弁護士 村 本 道 夫