本の森,法とルール

方法としての哲学

実定法学から「法とルール」を眺める場合、「哲学」は役に立たないと思われていることは間違いないだろう。哲学が自然科学を含む諸学を論じていた時代には、法則とか、道徳、正義とかも含意する「法」に関する哲学は大きな地位を占めていたが、現代では「法哲学」は余り相手にされない。
しかし、「法とルールの基礎理論」を考察しようとする場合、その出発点は、人の行為、社会、ルール等々、実定法学では、せいぜい前提となる「既成概念」として扱われるだけの多くの「概念」の身分、機能等の根拠を探求せざるを得ないから、方法としての哲学を視野に入れ考察することは不可欠である。

法と社会…万人が万人を敵とする闘争状態

問題のひとつは、ホッブズ、ルソー、ヘーゲル等々が切り拓いた社会契約等の社会を規律する法という問題領域であり、これが重要なことはいうまでもない。
「社会契約」はフィクションだといわれるが、それは当然で、問題はかかる「原理」に基づく「人工物」がどこまで実際に機能するのかということである。特にホッブズが捉えた「万人が万人を敵とする闘争状態から抜け出せない」ことを中心とする国家論、自然法論は、今、ネット上の「言説」の氾濫がついにはアメリカの議事堂占拠に至る「戦争」の時代には、極めてリアリティ-を持っている。実際、ホッブズが生きたイギリスでは、宗教的、党派的な対立から悲惨な殺し合いが日常茶飯事であったことを見逃すわけにはいかない。しかもホッブスは、このような状態は、能力的に大した違いのない平等な人間が、敵愾心に基づき利益を、猜疑心に基づき安全を、自負心に基づき名声を、求めるから起こるのだとする(リバイアサン第1部12章)。非常に優れた分析だと思う。

存在、認識、実践(言語)

現代の哲学が探求すべき課題は、存在論、認識論、実践論(言語論)といわれるが、「法とルール」については、行為、言語、ルール、社会、価値等々が問題になるから、現代の最前線の哲学も必要であると一応はいえる。
ただ気がかりもある。私たちの問題は、現代の複雑な課題に対応して機能するこれからの時代の「法とルール」 を定立・運用することだとすれば、これらの哲学が対象としている問題やそこで検討される方法が役に立つかである。多分、カントとフッサール、それと併行・交錯して進行してきた経験論、言語哲学が方法論となろうが、そこに足を踏み入れるとそこで侃々諤々と論じられる固有の自足的な問題に足を取られ、そこから出て来られないような気がするのである。

哲学の出発点は、主観-客観図式の隘路といわれ、どうして主観が客観を取り込めるかが問題とされるが、哲学が想定してきた主観-客観とは異なり、現代的に捉え返した主観とは、要は「進化してきた動物としてのヒトの認知」であり(これらについては、放送大学教材の「比較認知学」、「知覚・認知心理学」を参照されたい。)、客観とは、究極的には「素粒子」で形成される、「実体」をとらえがたい物質、エネルギー、自然、情報、他人、社会、人工物等々であろう。ただしヒトの客観の認知については、「言語」が大きな役割を果たしている。

これらのスキームは、言語を除けば、従前の哲学とはずれており、今までの土俵で議論を続けても、隘路から抜け出すのは困難である。ただフッサールに始まる「協働」による「共同主観」は、不可欠であろう。

というわけで、「方法としての哲学」については、ここでは使用可能な「目録」を作成するという程度の付き合いとし、哲学という泥沼に足をすくわれないようにしよう。

法とルールの基礎理論Ⅱ・補論の目録

この目録の構成

全体を6項目に分け、最初の4項を「ホッブズ・ルソーと社会契約論」、「カントと経験論」、「ウィトゲンシュタインと言語ゲーム」、「ヘーゲル・フッサール」とし、「ヘーゲル・フッサール」に全体を概観するために竹田青嗣の「哲学とは何か」を入れ込んだ。更に5項目目に「哲学全体」を再構成しようとした「廣松渉」を、最後にその他の「法とルールをめぐる哲学」を掲載する。

それぞれの項目に現時点で取り上げた書名を掲載した。書名の前に、全体を概観する簡単なまえがきを置くが、その作業は公開後にしよう。
そして各項目の詳説、詳細目次は、それぞれの補論の記事に掲載する。ただし哲学に労力を取られるのは本末転倒なので、あくまで参照に止めたい。

各補論と掲載書

法とルールの基礎理論Ⅱ・補論① ホッブズ・ルソーと社会契約論

  • リバイアサン1、2(光文社古典新訳文庫)
  • 法の原理(ちくま学芸文庫)
  • ビヒモス(岩波文庫)
  • 物語イギリスの歴史 上下
  • 社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫):ルソー
  • 増補新版 法とは何か 法思想史入門 :長谷部恭男
  • 社会契約論 ──ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズ:重田園江
  • 近代政治哲学-自然・主権・行政:國分功一郎
  • デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する17世紀:上野修
  • 法の精神:モンテスキュー
  • 統治二論:ロック

法とルールの基礎理論Ⅱ・補論② カントと経験論

  • 現代語訳 純粋理性批判 完全版(Kindle本)
  • NHK 100分 de 名著 カント『純粋理性批判』:西 研
  • カント入門:石川文康
  • プロレゴーメナ 人倫の形而上学の基礎づけ (中公クラシックス)
  • 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫)
  • 経験論から言語哲学へ (放送大学教材):勢力 尚雅、 古田 徹也
  • 功利主義入門 ──はじめての倫理学:児玉聡

法とルールの基礎理論Ⅱ・補論③ ウィトゲンシュタインと言語ゲーム(Sprachspiel)

  • 哲学探究:ウィトゲンシュタイン(鬼界彰夫)
  • ウィトゲンシュタイン入門:永井均
  • 経験論から言語哲学へ (放送大学教材):勢力 尚雅)/ 古田 徹也
  • はじめての言語ゲーム:橋爪大三郎
  • 言語ゲームが世界を創る 人類学と科学:中川敏
  • ヒトの言葉 機械の言葉 「人工知能と話す」以前の言語学:川添 愛

法とルールの基礎理論Ⅱ・補論④ ヘーゲル・フッサールと竹田青嗣

  • (ヘーゲル)
    • ヘーゲル・セレクション
    • エンチュクロペディー ワイド版世界の大思想 第3期〈3〉ヘーゲル
    • 精神現象学 上下 (ちくま学芸文庫)
    • 法の哲学ⅠⅡ(中公クラシックス)
    • 新しいヘーゲル (講談社現代新書):長谷川宏
    • 超解読!はじめてのヘーゲル『法の哲学』:竹田 青嗣、西研
    • 超解読!はじめてのヘーゲル『精神現象学』:竹田 青嗣、西研
    • 人間の未来 ヘーゲル哲学と現代資本主義 (ちくま新書) :竹田青嗣
  • (フッサール)
    • フッサール(人と思想):加藤精司
    • フッサール・セレクション
    • 現象学の理念:まんが学術文庫
    • 現象学という思考 <自明なもの>の知へ:田口茂
    • 医療ケアを問いなおす ──患者をトータルにみることの現象学:榊原達也
  • 哲学とは何か :竹田 青嗣


法とルールの基礎理論Ⅱ・補論⑤ 廣松渉

  • 廣松渉哲学論集 (平凡社ライブラリー678):廣松 渉 and 熊野 純彦
  • 新哲学入門
  • 哲学入門一歩前 モノからコトへ (講談社現代新書) :廣松渉
  • もの・こと・ことば(ちくま学芸文庫):廣松渉
  • 役割理論の再構築のために:廣松 渉
  • 権力 社会的威力・イデオロギー・人間生態系:山本健一
  • 弁証法の論理―弁証法における体系構成法 (1980年):広松 渉
  • 身心問題:廣松渉 
  • 世界の共同主観的存在構造:廣松渉 

法とルールの基礎理論Ⅱ・補論⑥ 法とルールをめぐる哲学

  • 法の概念(ちくま学芸文庫):H.L.A.ハート
  • 二十世紀の法思想:中山竜一
  • よくわかる法哲学・法思想
  • 人間にとって法とは何か (ちくま新書) :橋爪 大三郎
  • 仏教の言説戦略:橋爪 大三郎
  • 日常世界を哲学する~存在論からのアプローチ~ (光文社新書):倉田 剛
  • ワードマップ 現代形而上学 分析哲学が問う、人・因果・存在の謎
  • 科学を語るとはどういうことか 科学者、哲学者にモノ申す (河出ブックス): 須藤靖 and 伊勢田哲治
  • 規範とゲーム 社会の哲学入門 :中山 康雄
  • システムと自己観察 フィクションとしての<法>:村上淳一
  • 行為の代数学 スペンサー・ブラウンから社会システム論へ:大澤真幸
  • 〈現実〉とは何か ──数学・哲学から始まる世界像の転換:西郷甲矢人、 田口茂
  • 法と経済学の社会規範論:飯田高
  • 公共哲学 (放送大学教材):山岡 龍一/ 齋藤 純一

本の森,複雑な問題群

デジタル・テクノロジーの氾濫と持続不可能性は乗り越えられるか

2020年末にあたって、現在から未来を俯瞰、展望してみよう。今のところ問題の焦点は、「デジタル・テクノロジーの氾濫と持続不可能性」であると考えている。取り急ぎ、V.1として公開し、年内には、最終版を公開したい。

出発点の2書

この問題へは、様々なアクセスがありうるが、暫定的に出発点を「MORE from LESS(モア・フロム・レス)   資本主義は脱物質化する:アンドリュー・マカフィー 」と「操られる民主主義:デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか:ジェイミー ・バートレット」の2書に定めよう。そしてそこから枝分かれする問題を、上下前後左右に追っていき、私の「2020年末の眺望」を見定めよう。年末までに間に合うだろうか。

なお前者は、「資本主義は持続可能な世界を実現出来るか-多角的に読む6冊の最初の2冊」の出発点にもしたが、最初にこちらの記事から完成させよう。

ところで、最近よく思うが、英書の翻訳書にはpoorな英語の読み手はとても助けられるが、題名だけはよく確かめないと、本の内容を変に誤解して選別してしまう。

前者の原題は「More from Less: The Surprising Story of How We Learned to Prosper Using Fewer Resources—and What Happens Next」である。標題はそのままだと分かりにくい点は措いても、副題の「資本主義は脱物質化する」は、カルトみたいだ(「CHAPTER 5  The Dematerialization Surprise 」とはあるが。)。

後者の「操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか」であるが、原題は「The People Vs Tech How the internet is killing democracy(and how we save it)」である。これは、原題の方がはるかにわかりやすいし適切だ(当たり前だが)。

出版社は売りたいという気持ちとわかりやすくしたいという気持ちから翻訳名を決めるのだろうが、直訳を補うくらいの方が読者としては助かる。

「MORE from LESS」と「操られる民主主義」について

「MORE from LESS 資本主義は脱物質化する:アンドリュー・マカフィー 」

「MORE from LESS」は「資本主義は持続可能な世界を実現出来るか-多角的に読む6冊の最初の2冊」でも簡単に触れたが、アメリカを含む先進国で資源消費が減少しつつあるが(脱物質化)、付加価値は増加している。それは、①資本主義と②テクノロジーの力によるのであり、更にこの趨勢を支えるのは、③反応する政府と④市民の自覚、併せて<希望の4騎士>であるとする。あくまで希望があるということであるが。

「操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか::ジェイミー ・バートレット」」

一方、「操られる民主主義」は「6本の柱」(①行動的な市民、②文化の共有、③自由選挙、④利害関係者の平等性 、⑤競争経済と市民の自由、⑥政府に対する信頼)を立てて、それを1~6章で展開しているという。しかし、翻訳を見る限り、対応関係はピンとこない。

著者の ジェイミー ・バートレット氏は、イギリスのシンクタンクにいて、デジタル・テクノロジーに大きな期待を持ちこれが実現してきたネット社会に触れ「闇(ダーク)ネットの住人たち デジタル裏社会の内幕」などを書くうちに、デジタル・テクノロジーがもたらした現状には大きな問題があるという観点を得て、この「The People Vs Tech」を書いている。その中心的な問題意識は、日々デジタル情報に晒されている「人間」がどうなってしまったのか(Chapter 1: What the Power of Data is Doing to Our Free Will、Chapter 2: Why the Closer We Get, the Further We are Apart;要は、人はデジタル情報に操られ、分断されている )ということにある。

そして、その「応用」として「2016年のアメリカ大統領選挙」(第3章  ビッグデータと大統領選 デジタル分析が政治のあり方を揺るがす)の批判があり、デジタル・テクノロジーの進展は、AI等で代替可能な中層階級を一掃し、代替不能な自らの頭と体で経営を実践するしかない上層と現場労働者に分解し、格差がますます拡大し(第4章  加速する断絶社会 AIによって社会はどうなるのか)、デジタル企業の独占もますます進む(独占される世界 ハイテク巨大企業が世界をわがものとする)と分析する。

最後に「Crypto-Anarchy」を持ち出して、これが拡大すれば国家の存続が危ういので政府の信頼を取り戻さなければというが、これは??で、第1章から第5章の現状のままでは、それだけで政府の存続(私から見れば、法とルールであるが)は危ういと思われる。

2書をぶつけ合おう

このように「MORE from LESS」と「操られる民主主義」は、「何とかなるんじゃない」、と、「このままじゃまずいんじゃない」という違いはあるが、資本主義、テクノロジー、市民、政府という分析手法をもって現実世界を解析しようとしているという点で共通項が多い。強いて言うなら前者には個人が巻き込まれているデジタル・テクノロジーの「闇」について関心が薄く、後者は世界の「持続不可能性」が余り視野に入っていないように思われる。

私はこの2書をぶつけ合って、更なる問題点、及びその相互の関係を浮かび上がらせ、総体的な問題解決に途を開きたい。

今後の分析手順

「持続不可能性」をめぐる問題は、すぐにどうこうなることでもないし、解決する方法は難しい。多分、「MORE from LESS」が期待するように、デジタル・テクノロジーが大きな意味を持つだろう。そしてこれを市民、政府が支えなければならないのであるから、まず市民、政府の、デジタル・テクノロジーの膿を開析する先にしか解決の糸口はないと思う。

市民はデジタル空間で分断されて虚偽情報をぶつけ合い、政府がそれを利用する愚かな政治家、役人によって形成されるようでは、先はない。

デジタル・テクノロジーをめぐる問題に精通する

とりあえず「操られる民主主義」を下敷きにして上下前後左右に手を伸ばそう。

1.現状を知る

サイバー空間では、現実社会のがはずれ「欲望」がかなり容易に実現可能となるので、市民は攻撃する側にもされる側にも入り込んでしまう。

現状については、次の2冊を押さえよう。

「フェイクニュースを科学する: 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ :笹原 和俊」

「闇(ダーク)ネットの住人たち デジタル裏社会の内幕:ジェイミー・バートレット」

とはいえ、サイバー空間に入り、SNSを使わなければならないことは多いから、セキュリティや情報倫理の初歩は押さえておいた方がいい。放送大学の教材を紹介しておこう。

「セキュリティと情報倫理」

2.分断を乗り越える

次に「操られる民主主義」が3番目に取り上げた「社会の分断論」は、人類と社会の関係という人類史を踏まえた人類の本質に関わる問題である。次の2書が最近出ており、いずれも本格的だ。あたりまえだが、対応策はある。

「ブループリント:「よい未来」を築くための進化論と人類史(上)(下):ニコラス・クリスタキス」

「人はなぜ憎しみあうのか 「群れ」の生物学(上)(下):マーク W モフェット」

3.私たちの仕事の行方と独占企業

「テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス:カール・B・フレイ」は、「操られる民主主義」の議論と重なっている。

これからAIが大きな影響をもたらすのはいうまでもないが、著者は、これからなくなる職業を言い出した経済学者である。ただ本書を読むとテクノロジーを「労働補完型」と「労働置換型」にわけ、産業革命時も一時的(数十年)は仕事がなくなったことを丁寧に論じており、人ごとではない。

いずれにせよ、待っていれば誰かがなんとかしてくれるわけではなく、闇のサイバー空間に巻き込まれず、自分のできる範囲でデジタル・テクノロジーを工夫として取り入れ、これを活用することは不可欠であろう。デジタル・テクノロジーは面白いから。

そのため、ここで私は何冊かの実務書を読むきである。これは読んでから紹介しよう。

社会の分断化や独占による市民の不利益を乗り越えるためには、市民がそれが出来る主体となり、そういう市民が政府を形づくれば何とかなるとは思うが、道は遠い。当面、政治家・役人には期待しない。自分で切り拓こう。

4.小括

デジタル・テクノロジーが、今後、何をもたらし、人の有り様がどうなるのか、実は誰にも分からないというのが正解だが、次の2冊で今後が占えるであろうか(占いになってしまった。)。

  1. 「TOOLs and WEAPONs――テクノロジーの暴走を止めるのは誰か:ブラッド・スミス, キャロル・アン・ブラウン」
  2. 「ソーシャルメディアの生態系:オリバー・ラケット, マイケル ケーシー」

ⅰは、Microsoftの弁護士として同社の問題解決に当たってきたブラッド・スミスが書いたもので、どうかなあ。ⅱは、ソーシャルメディアには問題もあるが、いい点もあるといいう誰もが言うが、どこがいいのか輪からに問題について、本当に信じているよう、この段階でじっくり読みたい。

人の心と行動,本の森,組織の問題解決,複雑な問題群

夜長に読むこの10+2冊

よそに鳴る夜長の時計数へけり  杉田久女

孫娘の「けろけろ時計」の不規則に叫ぶ「実家にカエラセテいただきます」、「この部屋好きケロ」、「夢は自分で見つケロ?」との声を数えながら、秋の夜長に読むこの10冊を選んでみた。というより、今このWebに手を入れていて大分形ができてきたが、ずらずらと参考本を並べるのはそろそろおしまいにして、柱になる何十冊かの本をしっかり把握して発信していかなくてはならない状況になったと思うので、比較的最近入手して柱にしようと思っている本を10冊選んでみた。これにあと2、30冊付け加えれば、おおよその道筋は開けるだろう。

10+2冊

  • 正義を振りかざす「極端な人」の正体 :山口 真一(Amazonにリンク
  • アフター・リベラル 怒りと憎悪の政治:吉田徹(Amazonにリンク
  1. ソーシャルメディアの生態系:オリバー・ラケット, マイケル ケーシー(Amazonにリンク)(「The Social Organism: A Radical Understanding of Social Media to Transform Your Business and Life」(Amazonにリンク
  2. あなたの脳は変えられる―「やめられない!」の神経ループから抜け出す方法:ジャドソン・ブルワー(Amazonにリンク
  3. BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは:青砥瑞人(Amazonにリンク
  4. 集団と集合知の心理学:有馬淑子(Amazonにリンク
  5. 持続不可能性-環境保全のための複雑系理論入門:サイモン・レヴィン(Amazonにリンク
  6. 崩壊学・人類が直面している脅威の実態:パブロ・セルヴィーニュ, ラファエル・スティーヴンス(Amazonにリンク
  7. Come On! 目を覚まそう!―ローマクラブ『成長の限界』から半世紀 ~環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか? :エルンスト・フォン・ワイツゼッカー,アンダース・ワイクマン(Amazonにリンク
  8. 出現する未来から導く ― U理論で自己と組織、社会のシステムを変革する :C・オットー・シャーマー, カトリン・カウファー(Amazonにリンク
  9. 経営改革大全 企業を壊す100の誤解 :名和高司(Amazonにリンク
  10. ビッグ・ピボット ― なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか :アンドリュー・S・ウィンストン(Amazonにリンク

 

簡単なコメント

最初の2冊は「柱」ではなく、最新のネットとそれを大きな原因とする混乱した現在の政治の情況を把握するための情報本である。そうすると10冊にはあと2冊だが、それは最近別に投稿記事にしている「集団と集合知の心理学:有馬淑子」と「BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは:青砥瑞人」を加えることにしよう。

ⅰは、上記2冊の震源ともいえるソーシャルメディアのプラス面とマイナス面を新しい世代の感覚として取り上げており、検討に値する。

ⅱは、「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法!を「マインドフルネス」から解明する非常に説得力のある依存症脱却(及び目標達成)の基本とするに足りる本、ⅲはそれをもう少し細かく脳の機能と結び付けて説明する本、ⅳは、集団(組織)を社会的認知も含めて解説し、更に新しい科学的方法も簡潔に説明してくれる親切本である。ここまでが、現実、個人、組織を捉える基本的な観点を得ることの出来る本である。

ⅴからⅷは、持続可能性を論じた本である。なお持続可能性については、様々なアクセスがあるので、一概に論じられないが、私はローマクラブ-システム思考系が十分な検討をしていると考えているので、それ(ⅶ、ⅷ)を紹介する。
ⅴは今までまったく私の視野に入っていなかった本で、著者は数理生物学の専門家で複雑系と持続可能性をつなぐ議論が期待できそうである(ただ字も小さいし難解そうである。これを読まずして何を読むかという気概で挑もう。)。ⅵは、フランスの学者の本で「自然環境、エネルギー、社会システム、農業、金融…など多くの分野で、現行の枠組が崩壊間際になっている現状をデータとともに提示する驚嘆のレポート」という紹介だが、冷静に読むこむ必要がある。
ⅶはローマクラブのメンバー(ドネラらではない)の最新作で、資源、気候、情報、資本主義等々について、最新の議論を展開している。持続不可能性を理解するこの1冊といえば、これだろう。
ⅷはシステム思考を進化させたU理論で、自己と組織、社会のシステムを変革しようというもの、私にとっては大分先の話しだ。

ⅷもビジネスを含んでいるが、視野は広い。持続可能性をにらみつつ、これからのビジネス論を展開しているのが、ⅸである。持続可能性をどう考えるかは「人それぞれ」としても、ビジネスの今後を考えるには、ⅸは不可欠な重要書だと思う。

それぞれの本の各論は、これから順次作成していくとして、この記事では詳細目次だけ掲載しておこう。

詳細目次

次の頁に掲載します。