アイデアをカタチにする_支援法務
アイデアをカタチにする
弁護士として「アイデアをカタチにする」活動を支援する法務ができないかと考えている。これは、通常、弁理士や弁護士がする知的財産権等関係の法律事務も関係するが、それは一部に過ぎず、それも含むより創造的な(不定型な)ビジネスや公共活動の支援法務に関わろうということだ。「アイデアをカタチにする」の本体は、「残された日々を生きる」の1項目にあり、ここはその支流である。
このアイデアは6年以上前に一度、国際医療搬送業務を立ち上げようとしたときに頭を過って投稿もしていたが、それが頓挫してそのままになってしまった。その間、少し大変なこともあって、このようなことを考えていたことも忘れていたのだが、生成AIの登場によって思いつく必然性があったのであろう。この項目は「 弁護士が取り組むこれからの法律事務」の下位頁である。
今考えていること
今、私が考えていることは、クライアントが「アイデアをカタチにする」新しい商品、サービス、システム、事業、及び公共活動等を創造、起動することを、法務面から支援しようということである。現時点では「アイデア」は、クライアントから持ち込まれるしかないが、態勢が整えば、自分でもアイデア造りに取り組もうと思っている。 創造、起動の対象は、①Things(モノ)、②IoT、③サービス、④システム、⑤事業(組織)のブランディング、⑥事業(組織)のスタートアップ、⑦表現、⑧公共活動等々に分類することができるだろう。 あらゆることの複雑化に生成AIが加わり、ビジネスのみならず科学分野でも様々なアイデアが又、加速度的に生み出されているが、カタチになるのはごく一部である。大部分はそれでいいのだろうが、「あのアイデアがGoogleに!アーア」ということもある。もっともカタチになったとしても、人々に受け入れられ、ヒット、大ヒットするのはごく一部だろうが、でもカタチにしないと消え去るだけ。今のビジネスは、数撃つしかないベンチャーキャピタルの投資と似通っている。結果はどうなるにせよ、少しでも充実したカタチを造ることが重要である。 カタチにしたものを「権利」として確保することや、カタチにする過程でも、知的財産権は重要ではあるが、今の激変する時代の中で、カタチは次々と変わっていくから、確保より、次々に新しい形を作っていくことが重要なことが多いだろうと私は思っている。「アイデアをカタチにする」の「「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法」にも同じ指摘がある。
アイデアをカタチにする方法
アイデアをカタチにする方法を5W1Hの観点から検討すれば、WHEN、WHERE、WHOが、「今、ここで、私たち」であることは、明らかだから、WHAT、WHY、HOWを検討することになる。「Q思考:ウォーレン・バーガー」では、「なぜ?」「もし〜だったら?」「どうすれば?」の3つのアプローチが重要とされているが、実質的には同じことである。
ところで、「アイデアをカタチにする」ということは、見方を変えれば、マイナスの「問題」はその「問題を解決する」こと、そしてプラスの「価値を創造する」ということだといえる。そこで、アイデアをカタチにするWHAT、WHY、HOWについて、従前「問題解決学」(佐藤允一さん)や「創造学」(中尾政之さん)(さらにその源泉には発明的な問題の解決手法である「TRIZ」がある。)として議論されてきたことを、その方法の中心として検討すればよい。これは「問題の発見・解決と創造」に記述している。 ここでは、参考のために上記の「Q思考:ウォーレン・バーガー」の詳細目次を掲記しておこう。
Q思考:ウォーレン・バーガー
- Introduction 「美しい質問」だけが美しい思考を生む
- アイデアはつねに「疑問」から生まれる
- 「世界の変化」のスピードに対応する
- 質問をし続ける方法を見つけ出せ
- 質問の多さと出世のスピードは比例する
- 質問は脳に負荷がかかる
- 3つのアプローチ「なぜ?」「もし〜だったら?」「どうすれば?」
- グーグルには絶対に予測できない質問
- 第1章 「Q」で思考にブレイクスルーを起こす──次々と問いを重ねる思考法
- 人を月に送れるなら、まともな足ぐらいつくれるのでは?
- 「質問家」が示す明確な兆候
- 疑問を抱かなくなった瞬間に成長は止まる
- 自分で行動しなければ、疑問は「ぼやき」になる
- 質問には「何」ができるのか?
- 「何を知らないか」に気づく
- 正しい問いは「洗練された思考」になる
- 「どんな質問をするか」で、住む世界は決まる
- 自分がいる業界はどんな業界か? そこにはまだ私の仕事はあるか?
- 自分を状況に「適応」させていく
- 「知っていること」を次々と更新していく
- 質問は答えより価値が高くなっているのか?
- 情報の真偽を知るために問う
- コンピューターが人の質問力を磨く
- 「知る行為」は時代遅れか?
- 質問で無限のリソースにアクセスする
- 何もかもが「なぜ?」から始まるのはなぜか?
- ほかの人よりも「早く」問題を発見する
- 「Q+A」が結果を生む
- 問題解決の合理的なプロセスとは?
- どうすれば、問いを「行動」に移せるか?
- 「組み合わせ」が新たな発想を生む
- 「試して検証」を繰り返し続ける
- 人を月に送れるなら、まともな足ぐらいつくれるのでは?
- 第2章 子どものように「なぜ」と問い続ける──質問し続けるアタマをつくる
- なぜ、子どもはあんなに質問するのか?
- 「複数の答え」への想像力が問いを生む
- 一度「分類」すると、問題が見えなくなる
- リラックスした環境でこそ、創造性は開花する
- なぜ、質問の回数が突然減るのか?
- お手本があると「問い」を拒絶してしまう
- だれもが「疑問」を抱かないように教えられてきた
- 生産性を高めて成功するには何が必要か?
- 「質問に立脚した学校」は成立し得るだろうか?
- 5つの「思考の習慣」で問いを深める
- 「地図の真ん中」に何を置くべきか?
- 知識は押しつけても身にならない
- ベゾス、ブリン、ペイジの共通のルーツ
- クラスの中で質問できるのはだれか?
- 「恐れの感情」が好奇心を邪魔する
- 質問がいくら得意でも、まったく質問できなくなる環境
- 生まれながらの「質問魔」に、なぜ質問を教える必要があるのだろう?
- 正しく質問できないと「損」をする
- 「何を尋ねていいかわからない」から抜け出す
- 「正しい問い」にたどりつく6つのステップ
- 良い質問は「自然」には生まれない
- 質問の仕方は自分に教えられるか?
- 「匿名性」が質問を後押しする
- 「変化をつくりだす方法」を観察する
- なぜ、子どもはあんなに質問するのか?
- 第3章 「美しい質問」を自分のものにする──Q思考の「3ステップ」をマスターする
- なぜ、写真ができるのを待たなければいけないのか?
- 最初の「なぜ?」からフル回転で大量の疑問を考える
- 最初の「20段階」を進むと?
- 鋭い「なぜ?」を生み出す条件
- なぜ、一歩下がると前に進めるのか?
- 「前進」を強いるプレッシャーに打ち克つ
- 「知っている」というのは、ただの感覚にすぎない
- 「もう一度説明してほしい」と繰り返す
- 初心者の心は「空」である
- ジョブズの奇妙な禅解釈
- 「休みの日の7歳の子ども」になりきる
- なぜ、ジョージ・カーリンには他の人が見逃したものが見えるのか?
- だれも持っていない視点をつかむ「ヴジャデ発想法」
- 時間をかけて「目の前にあるもの」を発見する
- 私には余分なマットレスがあるのに、なぜ彼はベッドがなくて困らなければならないのか?
- なぜ、この問題を「追求すべき」と思えたのか?
- 「挑戦的質問」という方法
- 「では、どうすべきか」は言えなくていい
- なぜ、私たちは「質問について質問」しなければならないのか?
- 「5なぜの法則」で心理の限界を超える
- 「開いたり閉じたり」して質問のレベルを上げる
- 「正しい問い」をつかむには、問題との距離を縮める
- 「観察」と「実体験」が答えを生む
- 疑問を抱くだけでなく「執着」する
- もし、音楽のDNAをマッピングできたら?
- 「音楽の遺伝子」を発見する
- 「実現可能性」を考えずに空想しつくす
- 既存のアイデアから「スマートな再結合」をする
- 「AとB」ではなく「Aと26」を組み合わせる
- もし、脳が木の生い茂った森だったら?
- もし、疑問を抱いて寝たら? (答えと一緒に目を覚ますだろうか?)
- 情報を集めて、寝転がる
- 「散歩」や「ドライブ」で考えずに考える
- もし、アイデアがでたらめで靴下が左右違っていたら?
- 辞書を使って「でたらめ」に考える
- 「仮定」で現実をひっくり返す
- どうすれば、質問をかたちにできるのか?
- 具体化の課題が背中を押す
- 「一つのアイデア」に絞り込み、他人に話す
- 紙でもデジタルでもいいので「描いてみる」
- 考え込む前に「人に見せる」
- どうすれば、倒れない「マシュマロ・タワー」を建てられるか?
- 検討するより「試す」ほうが早い
- 「試して学ぶ」と大きな変化をつくりだせる
- どうすれば、折れた足を愛せるようになるのだろう?
- 「否定的意見」を最大限に利用する
- ダメージを受けながら「少しずつ」進む
- どうすれば、シンフォニーを一緒につくれるだろう?
- 「世界中の頭脳」を使う
- いまや「不可能」はなくなっている
- 「人と動く」段階が必ずくる
- 「問い」を抱え込んでいても意味がない
- 「最終的な答え」は存在しない
- なぜ、写真ができるのを待たなければいけないのか?
- 第4章 ビジネスに「より美しい質問」を与えよ──あなたの仕事を劇的に変える「Q」
- なぜ、賢いビジネスパーソンが大失敗をしでかすのか?
- 優秀なのに「まっとうな選択」ができない
- 「存在理由」を問うことから始める
- 「早い結果」を求めると、疑問が抜け落ちる
- なぜ、私たちはビジネスをしているのか? (そもそも何のビジネスをしているのか?)
- 定期的に「過去の理想」を振り返る
- だれがどのように使い、何を求めているのか?
- いま残っている「不都合」を解決する
- 「自分たちは何をしているのか?」を掘り下げる
- もし、この会社がなかったら?
- 「やめるべきこと」を決める
- 「もし〜だったら?」で想像力が爆発する
- もし、たんなる金儲けをやめて理念を貫いたとしたら?
- 「お金がなくても食事できる店」は可能か?
- 「私たちから買わないでください」という広告
- どうすれば、もっと良い実験をできるだろう?
- 「やってはいけないこと」ができる場所をつくる
- 質問についてブレイン・ストーミングをしたら、ひらめきが下りてくるだろうか?
- 「Qストーミング」で質問を改善する
- この「3語」が思考のスイッチを入れる
- 野心的な「HMW的質問」を考える
- 「HMWアプローチ」は伝染する
- 曖昧なリーダーに人はついていくだろうか?
- 「いま起きていること」の本質をつかむ能力
- 賢人はあえて「無知」な質問をする
- いつ質問をやめればいいのか?
- ミッション・ステートメントはミッション・クエスチョンになるべきか?
- 「ミッション」を全員のものにする
- 数万人単位でも議論できる
- どうすれば、探求の文化をつくれるだろう?
- 「最も厳しい質問」が「最も素晴らしい質問」になる
- 質問すると「得をする」仕組みをつくる
- 「一歩下がる」時間がなければ成功しない
- 上司を置かず、「ネットワーク」で仕事を回す
- 仕組みで、会社を「学び」の場に変える
- 「くだらない質問」ばかりになるという問題
- 自由に「外に出られる」ようにする
- 質問を使って「質問家」を見つけだす
- なぜ、賢いビジネスパーソンが大失敗をしでかすのか?
- 第5章 「無知」を耕せ──問いであらゆる可能性を掘り起こす
- なぜ、私たちは「問いと生きる」べきなのか?
- 自分の人生で「最も重要なこと」は何か?
- 壁にぶつかったら「なぜ?」で乗り越える
- 人が「本当にほしいもの」を中から考える
- 「不安」を飲み込み、好奇心に従う
- なぜ、あなたは山を登っているのか?
- 「じっくり考えること」から逃げ続けている
- なぜ、あなたは探求を避けているのか?
- 選択はすべて「質問」のかたちをしている
- 「いつか人生に向き合える」と誤解している
- 「もやもや」を抱えながら前進する
- 「リーン・イン」の前に、一歩下がったらどうなるだろう?
- 「ハイテク安息日」をつくる
- 考えるとは「一つのことに集中する」こと
- すでに持っているもので始めたらどうだろう?
- なぜ、「彼ら」のほうが幸せそうなのか?
- 幸せにつながらないことに時間を使っている
- 自分を「美しく」感じられるのは、どんなときか?
- なぜ、そのとき「輝いている」と感じるのか?
- ほんの少し変えてみたらどうなる?
- 「聖書男」が発見した人生の秘密
- 変化を生むコツは「ふりをする」こと
- 「経験のバリエーション」を持てるように工夫する
- 失敗しないとわかっていたらどうする?
- 「失敗への恐怖」が行動を妨げている
- 何もしなかったらどうなるのか?
- どうすれば、蓋をこじあけてペンキをかきまわせるだろう?
- 「自分で考える」ように仕向ける
- 質問で「共通項」を見つける
- 「考えの違う人」の視点で考える
- 疑問を「疑問視」する
- どうすれば、「美しい質問」を見つけられるだろう?
- 「外」と「内」に答えを探す
- 「力強い疑問」は眠らない
- 「美しい質問」の見つけ方
- 群衆の狂気に敏感になる
- 自分は「何」を言いたいのだろう?
- 「知らないこと」を質問で耕していく
- なぜ、私たちは「問いと生きる」べきなのか?
- 訳者あとがき
また「知的財産権」の実務書も参考になる。 「知的財産権法務実務書・体系書詳細目次」参照(これは少し古いので、可及的速やかにバージョンアップする)。
ビジネスを支援する法務
さて弁護士は、ビジネスについての「アイデアをカタチにする_支援法務」として、何ができるだろうか。
調査
まず弁護士としては、持ち込まれたアイデアをよく理解する必要がある。そして特にそのアイデアがこれまでの歴史や経緯の中で、どう位置づけられるのか、新規性があるのか、関連分野でどのような研究が進展しているのか、そのアイデアと他の権利との関係はどうか、そのアイデアをカタチにするために必要となる技術や知財は何か等々を、調査する必要がある。
起案
対象事業の進展に応じて弁護士がすべきことは、ルール化、制度化である。
①ルール(外部ルール(法令等)や外部との合意、内部ルール)の設定、及び当該ルールによって展開するビジネス(ゲーム)の追跡、ルール逸脱への対応等に係る実行態勢の確立と整備、運用
②内外の情報流通へ対応とコントロール
③当事者についての合理的な契約関係による規律の設定
④これらに係る法務全般
プラスαとして。
⑤資金調達のアシスト
⑥人材確保のアシスト
⑦必要となった技術・知財の獲得のアシスト
⑧多言語対応
⑨事業進展に応じた関与者の心身の健全性への留意
分業と全体の把握・統括
これらは、少し事業の規模が大きくなると、一人の弁護士ができるようなことでないから、適宜分業しなければならないが、全体は一人の弁護士が把握し統括しなければならない。
権利確保 そして、知的的財産権として権利確保が必要だと判断されれば、それに応じて手続を取ることになる。
これからの準備
まず調査方法を具体化し、「アイデアをカタチにする_支援法務」については典型的なケースをモデル化しておく必要があるだろう
アイデアをカタチにする対象を探して
私が考えている、アイデアをカタチにする創造・起業の対象である「商品・サービス・組織」等を考えてみれば、私たちの身の回りには、「アイデアをカタチ」にしたいことが、山のようにある。 このサイト全体を通じて「アイデアをカタチにする」作業をしていこう。