本の森

一ヶ月ぶり

ここしばらくの間,時間を取られる仕事が続き,記事を作成できなかった。今見ると前回記事を投稿してから1か月近く間が空いている。その間,涼しい夏から始まったものの,猛暑,台風,暴風雨が続き,やはり地球湯温暖化を前提として対処していかなくてはならないのかなというのが多くの人の実感だろう。

前回の投稿後も,次の記事の作成に向けてあれやこれや本を読んだり,購入をして準備はしていたから,全く手付かずだったのは,半月ちょっとだろうか(それでも購入本だけは増えていくが。)。

どんなことをやりかけていたか,取り急ぎ,思い出さないと半月もたつと忘れてしまう。

「問題解決と創造の方法と技術」の基本書の追加

まず「問題解決と創造の方法と技術」の基本4書として,「問題解決入門」,「創造はシステムである」,「アイデア大全」,「問題解決大全」をあげたが,「コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法」(著者:名和高司)(Amazon)は題名があまりにもぴったりなので,ビジネス編としてを追加しようと思っている。

そして問題解決のためのインプット-プロセス-アウトプット(結果)という展開において,プロセスには介入できないということが前提だが,プロセスには物的なものだけではなく,人間の相互作用も含まれる。人間の相互作用を分析するのが「ゲーム理論」であるから,「問題解決と創造の方法と技術」としてTRIZだけでなく,「ゲーム理論」も組みこむべきであろう。「ゲーム理論」の本もたくさんあるが,ここでは岡田章さんの「ゲーム理論・入門 新版 人間社会の理解のために」(Amazon),「ゲーム理論ワークブック」(Amazon),「ゲーム理論 新版」(Amazon)を読み込み,基本書に追加していきたいと思っている。

社会的課題を解決する

「コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法」には,社会的課題の解決として「ボストン コンサルティング グループ出身の社会思想家としては,アンドリュー・ウィンストン氏の活躍が注目される。かれは最新書『ビッグ・ピボット』で環境問題,資源問題,企業責任(村本注:簡単に言えば,暑い,足りない,隠せないということだ。)という三つの社会課題を解くための包括的なアプローチを提言している」と紹介されている「ビッグ・ピボット」(著者:アンドリュー・S・ウィンストン)(Amazon),あるいは,一度取り上げたことのあるマイケル.E.ポーターの「経済的価値と社会的価値を同時実現する 共通価値の戦略」(本の森)等も取りあげられている。両書とも私好みだ。今までは,企業が社会的課題の解決に取り組むと言っても嘘っぽいだけだったが,確かに,「暑い,足りない,隠せない」時代の中でそんな事は言っていられなくなったのだろう。

社会的課題としての「地方再生」

我が国における社会的課題として解決が望まれる大きな問題のひとつは「地方再生」である。そのため,国レベルで,地域再生法や,まち・ひと・しごと創生法等が立法され,多額の交付金が流れているが,その現状にも批判も多い。

「地方再生」のためのプレーヤーは,「地方政府」「中央政府」「地方企業」「住民」「中央企業」というところだろうが,「中央政府」「中央企業」が,国全体の経済について将来像を切り開けず迷走する中で,「地方政府」「地方企業」「住民」がする「地方再生」がうまくいかないと言って「監督」できるというのは,思い違いである。国全体の経済については現にうまく行っている国があるのだから,我が国の「中央企業」と「中央政府」の振る舞い方がまずいのだというこはよく分かるが(ただ,簡単なことだと言っているわけではない。),人口減少,経済の大きな変容の中で,「地方再生」をうまくいかせるのは至難の業だ。それをふまえてこれからどうすべきかが問題である。大都市の「町内会」も含めて地方だとすれば,どこにも課題がある。

ここでも初回すべき本が何冊かあるか,これは独立した問題だから別途紹介しよう。

価値創造と自立

個人が抱える生活・仕事・文化の「問題解決と創造」,さらには社会的課題の解決を行うためには,自戒を込めて言うのだが口先ばっかりではなく,「問題解決と創造の方法と技術」を身に付けてこれを駆使し,価値創造を実践し,それによって自立することが重要だとつくづく思う。

もちろん人は相互に影響作用し,相互に依存しているが,いつも何かに頼りっぱなしで自立できないのでは,少し困難な問題に直面すると,問題の解決ができなくなってしまう。中央の,政府も,企業も,立派なことを言うけれども,実態は,過去のストックや権力,権威に依存し,自立できておらず,困難な問題に直面すると,解決できないことが多い。

価値創造を行い,それによって自立するためには,昔取った杵柄は横に置き,新しいことを身に付け,発信していくことが必要不可欠であろう。そのための道筋をどうつけるか。

自立への道筋

思い返せば,私もずいぶん長い間弁護士の仕事をしてきたが,あまり仕事疲れしてなくて,仕事に限らず新しいことには興味を持つ方だ。

これについては,以下の4冊の本で流れをつけることができそうだ。

最近,「LIFE SHIFT」(著者:リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット)(Amazon)という本があり,人生100年だから,学び直しとスキルの再習得が重要だということが強調される。そこで「マインドセット」(著者:キャロル・S・ドゥエック)(Amazon)が重要で,「硬直マインドセット」ではだめで,「しなやかマインドセット」が必要だということになる。

次に「しなやかマインドセット」に基づいてどのように学び直しとスキルの再習得をすればいいかについて「Learn Better」(著者:アーリック・ボーザー)(Amazon)が科学的に説明している。これは学習本としてなかなかの良書だ,要約箇所をあげよう。

「①価値を見いだす:学びたいと思わなければ学ぶことはできない。専門知識を習得するには,そのスキルや知識に価値があるとみなさなければならない。さらに,意味づけを行わなければならない。学習とはすなわち対象の意味を知ることである。②目標を設定する:知識を習得する初期の段階においては,集中が重要だ。何を学びたいのかを厳密に見きわめて,目的と目標を設定しなければならない。③能力を伸ばす:練習にも,他人と差がつく力をつけられるようなものがある。学習のこの段階では,スキルを磨き,パフォーマンスを向上させるためにそのことに特化した手段を講じる必要がある。④発展させる:この段階では,基本から踏み出して,知識を応用したい。スキルと知識に肉付けして,より意味のある形の理解を形成したい。⑤関係づける:すべてがどう噛み合うかがわかるフェーズである。私たちは結局,個別の事実や手順だけを知りたいのではなく,その事実や手順が他の事実や手順とどう関わり合うかを知りたいのだ。⑥再考する:学習には間違いや過信がつきものだから,自分の知識を見直し,自分の理解を振り返って,自分の学習したことから学ぶ必要がある。」。

学び直しとスキルの再習得について,アウトプットという観点から細かい技法を説明したのが「学びを結果に変えるアウトプット大全」(著者:樺沢紫苑)(Amazon)である。これは参考程度でいいだろうが,著者が本の中に書いてあるとおりの成果を上げているのだとすれば,参考にするに足る。

ここに上げた本はみんなベストセラーのようで,誰も学び直しとスキルの再習得の必要性を痛感しているということだろう。

隠せない時代

もう一つ関心事を上げておこう。

今は,戦後続いてきた理性尊重の時代から,米日の政府トップがそうであるような感情の時代だ(「経済の不都合な真実」(著者:ルディー和子)(Amazon)。それはそういうものとして捉え,対処するしかない。そういう中で,心の闇と憎悪がネット上で荒れ狂い,情報は隠せず(「炎上と口コミの経済学」(著者:山口真一)(Amazon),検索行為というビッグデータを通じて人の行動が明らかになりつつある(「誰もが嘘をついている」(著者:セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ)(Amazon)。これも同時代を知るという意味では,とても重要だし興味深い。

事程左様に新しい問題が押しかけつつあるので,もう一度態勢を整理しよう。

 

 

日々雑感,本の森

未読・半読・一読の本 4  (180708)

Kindle本は時々安くなる。特にIT系や自然科学系の比較的高価な本,あるいは新書類は,数か月から1年に1回くらいは,ほぼ4分の3から半額になるセールがあるような印象だ。

私は,すぐに読みたかったり必要となったりしたわけではないが,興味を惹かれたKindle本は,サンプルをダウンロードしておく。そして時間を置き,購入する気になった本を購入する。もちろん購入しないままで終わる本も多い,ただ半額になるセールがあると,購入しようという気になることも多い。

半額になったのでここ何日かで購入したKindle本

➀「Pythonゲームプログラミング 知っておきたい数学と物理の基本」(著者:田中 賢一郎)

②「人狼知能で学ぶAIプログラミング 欺瞞・推理・会話で不完全情報ゲームを戦う人工知能の作り方」(著者:狩野 芳伸)

③「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」(著者:石川 聡彦)

④「弁護士が教える IT契約の教科書」」(著者:上山 浩)

⑤「知財戦略のススメ」(著者:鮫島 正洋)

⑥「実践フェーズに突入 最強のAI活用術」(著者:野村 直之)

⑦「マンガでわかる神経伝達物質の働き ヒトの行動、感情、記憶、病気など、そのカギは脳内の物質にあった!」(著者:野口 哲典)

⑧「勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意」(著者:児玉 光雄)

 

このうち➀~④は,サンプルをダウンロードしてあって,機会があればと思っていた本である。②は,私が,ゲーム制作会社の社外監査役となったのでぜひ勉強したいと思った本,④は仕事の参考になると思っていた本ではあるが,少し高額だったので,セールがあれば購入しようと思っていた。➀③は,半額になったので,その気になった。

⑤は,仕事で探していて内容が優れておりしかも半額だったので即決で購入した。

⑥は,ITとビジネスを考えるうえで参考になりそうだったので,半額につられて購入した,

⑦⑧は,半額になる新書があったので面白そうなものを探して購入した。

Kindle本の値引きについて

安くなった時にKindle本を買うのは快感であることは間違いない。ということは,高い値段で購入した本が半額になったのを見ると,なんとも悔しい気がする。しかしそういう経験を多く重ねてきたので,後者はあまり気にならなくなった。半額を生かす方が生産的だ。でも,未読・半読・一読の本が増える一方だ。困ったもんだ。

 

本の森

未読・半読・一読の本 5 (18/07/06)

IT・IAの技術的な面とは別に,IT・AIがビジネス,文化,社会に及ぼす影響やその動向をしっかりと見きわめていこうと思い,あれこれ本を買ったり買おうと思ったりしているが,さすがにIT・AI本がたまる一方では視野から雲散霧消してしまうので,ここに備忘のために掲記しておこう。これらを「本の森」に紹介する日が来るであろうか。

ビジネス・法実務を支えるテクノロジーからみたIT

和書2冊を読む

  • 「ビジネススクールで教えている武器としてのITスキル」(著者: グロービス経営大学院
  • 「エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業」(著者:増井 敏克)

英書2冊を読む

  • Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future  :by Richard Susskind
  • Artificial Intelligence and Legal Analytics: New Tools for Law Practice in the Digital Age :by Kevin D. Ashley

ITが切り開く社会を考える基礎となる4冊

この4冊は,重要な4冊だ。ポストキャピタリズムは,すでに「本の森」で紹介した。

  • 「限界費用ゼロ社会 ~〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭」(著者:ジェレミー・リフキン)
  • 「テクニウム ~テクノロジーはどこへ向かうのか?」(著者:ケヴィン・ケリー)
  • 「プラットフォーム革命 ~経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか」(著者:アレックス・モザド, ニコラス・L・ジョンソン)
  • 「ポストキャピタリズム」(著者:ポール・メイソン)

社会の行方を読む本4冊

これについては,すでに簡易な目次だけだが,「本の森」の「社会の行方を読む本4冊」で紹介した。次の4冊である。

  • 「遅刻してくれて、ありがとう(上) (下)常識が通じない時代の生き方」(著者:トーマス・フリードマン)
  • 「シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国」(著者: ルチル・シャルマ)
  • 「拡張の世紀―テクノロジーによる破壊と創造」(著者:ブレット・キング)
  • 「世界経済 大いなる収斂 ITがもたらす新次元のグローバリゼーション」(著者:リチャード・ボールドウィン)

誰もかれもが飛びつくAI・IT本

最近の和書だが,時流に乗っただけか,核心を突く内容か。

  • 「ブロックチェーンをめぐる実務・政策と法」(著者:久保田 隆)
  • 「AIの法律と論点」( 著者:福岡 真之介)
  • 「ロボット・AIと法」(著者:弥永 真生他)
  • 「弁護士が教える IT契約の教科書」(著者:上山 浩)
  • 「AI経営で会社は甦る」(著者:冨山 和彦)
  • 「実践フェーズに突入 最強のAI活用術」(著者:野村 直之)

その他

  • 「チューリングの考えるキカイ ~人工知能の父に学ぶコンピュータ・サイエンスの基礎」(著者:阿部 彩芽, 笠井 琢美)
  • 「ベイズ推定入門 ~モデル選択からベイズ的最適化まで」(著者:大関真之)
  • 「Pythonゲームプログラミング~知っておきたい数学と物理の基本」(著者:田中 賢一郎)
  • 「人狼知能で学ぶAIプログラミング~欺瞞・推理・会話で不完全情報ゲームを戦う人工知能の作り方」(著者:狩野 芳伸)
  • 「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」(著者:石川 聡彦)
  • 「モデルベース要件定義テクニック」(著者:神崎善司)