経済指標からマクロ経済学の入口にたどり着く

2021-03-21

もう少し整理しよう

経済指標について,先行する記事として「「経済」は分からないー経済指標にアクセスするー」,「経済指標を理解する」を掲載したが,これらはいわば食材の野菜を買ってきて並べたただけで,まだ調理する段階には至っていない(ましてや食事する段階には遠い。)。もう少し整理してみよう。

問題は,国民経済計算(SNA)及びこれに係わる経済指標の基礎・概要を理解すること,及びこれを一応の前提にして展開されるマクロ経済学の入口に立つことである。

国民経済計算(SNA)の基礎・概要

「国民経済計算は「四半期別GDP速報」(QE)と「国民経済計算年次推計」の2つからなっている。「四半期別GDP速報」は速報性を重視し,GDPをはじめとする支出側系列等が,年に8回四半期別に作成・公表されている。「国民経済計算年次推計」は,生産・分配・支出・資本蓄積といったフロー面や,資産・負債といったストック面も含めて,年に1回作成・公表されている」というのが,大まかな国の説明だ。

これについては,各省庁のWebサイトを追う前に,SNAを説明した概説書に目を通した方がよい。

「新版NLASマクロ経済学」(著者:斎藤誠他)の「第Ⅰ部 マクロ経済の計測」の「第2章 国民経済計算の考え方・使い方」,「第3章 資金循環表と国際収支統計の作り方・見方」は,基本的なことから書かれていて参考になる。産業連関表,国際収支統計,資金循環統計を含めてGDP統計を位置づけており,これだけでもマクロ経済学の教科書の記載の曖昧さ,不愉快さが半減する。

また「経済指標を理解する」で,紹介した「経済指標を見るための基礎知識」(以下「基礎知識」という。これは,「08SNA」が日本の国民経済計算(JSNA)に盛り込まれる以前の時点で書かれたものではあるが,「08SNA」にも触れられているので,さほど問題はないと思う。)は,細かいところまで書かれていて,とても参考になる。特にQE(四半期別GDP速報)と確報(年次推計)の実務的な関係がよく理解できる(なお従来,確報,確々報と呼んでいたものを,それぞれ第一次年次推計,第二次年次推計とし,新たに第三次年次推計を加えたとのことである(「国民経済計算(GDP統計)に関するQ&A」14頁))。)

「新版NLASマクロ経済学」からピックアップ

「マクロ経済の物の循環に関する基本的な情報となる産業連関表(国民経済計算の作成は,産業連関表と呼ばれる一国経済の1年間の生産構造に関する情報をまとめた表が出発点となる。)は,総務省統計局を中心として,11府省庁か作成に関わっている。国内の資金循環については,日本銀行か作成している資金循環表が基本的な情報となる。また,日本と諸外国との間における「物と資金の循環」については,財務省と日本銀行が共同して作成している「国際収支統計」によって把握することができる。」。

産業連関表

これらの統計の関係について,総務省の産業連関表の頁にある「2 国民経済計算体系における産業連関表」には,「国民経済計算体系(SNA)とは,一国の経済の生産,消費,投資というフロー面の実態や,資産,負債というストックの実態を,実物面及び金融面から体系的,統一的に記録するための包括的かつ詳細な仕組みを提示したものである。すなわち,経済活動を「取引」,取引への参加者を「取引主体」と規定し,それぞれ商品別,目的別又は経済活動別,制度部門別等の観点から分類し,その概念を統一することにより,それまで独立的に作成されていた①産業連関表,②国民所得統計,③資金循環表,④国際収支表,⑤国民貸借対照表の五つの勘定表を相互に関連付け,その体系化を図ろうとしたものである。行列の形を用いて第4表のように表されている。」とある。

また「産業連関表の構造と見方」の第2図,第5図で,「粗付加価値合計=最終需要額合計-輸入額合計」という,二面等価の関係がわかる。これは,国民経済計算の国内総生産(GDP)(生産側)と,国内総生産(支出側)に「ほぼ」対応するとされる。「ほぼ」の理由は,上記に書かれている。

資金循環統計

資金循環統計について,日銀のWebサイトのQ&Aで,「資金循環統計と国民経済計算,あるいは国際収支統計との関係を教えてください」という問いに対し,(少し引用が長くなるが)「国民経済計算と資金循環統計…国民経済計算は,一国の経済活動を,(1)付加価値が生産される過程,(2)これが経済主体に分配・消費される過程,(3)消費されなかった部分が貯蓄として資本蓄積に回される過程に分解し,それぞれのフローの動きを,生産勘定,所得支出勘定,資本調達勘定という形で記録します。また,(4)期末時点の実物資産と金融資産のストックを期末貸借対照表として計上するとともに,(5)時価変動などによるストックの再評価や,その他の資産量変動を記録する調整勘定も設けています。資金循環統計の金融取引表,金融資産・負債残高表,調整表は,それぞれ国民経済計算における資本調達勘定のうちの金融勘定,期末貸借対照表,調整勘定にほぼ対応します。また,両統計の指標のうち,国民経済計算の資本調達勘定における「純貸出(+)/純借入(−)」が,資金循環統計の金融取引表の「資金過不足」に概念上一致するという関係にあります。このように,資金循環統計は,概念上,一国全体の経済活動を表すマクロ統計の体系(国民経済計算体系)の一部を構成しており,また,これらの計数作成のための基礎データとしても活用されています。なお,国民経済計算と資金循環統計では,取引項目,評価方法,勘定体系について若干の相違があります。」,「国際収支統計と資金循環統計…国際収支統計は,一定期間における一国のあらゆる対外経済取引を体系的に記録した統計です。概念的には,資金循環統計と同じく,一国全体の経済活動を表すマクロ統計の体系(国民経済計算体系)の一部を構成し,国際標準(国際収支マニュアル第6版)に沿って作成されています。資金循環統計では,海外部門を「国際収支統計における非居住者」と定義しています。このため,海外部門の資金過不足を「国際収支統計」における「経常収支」と「資本移転等収支」の合計額に,また,海外部門の金融資産・負債差額を,同じく「対外資産負債残高統計」における「純資産残高」から,資金循環統計における「うち金・SDR等」中の貨幣用金などを調整した金額に,それぞれ一致させています(国際収支統計が「わが国」の対外債権債務という視点から見るのに対して,資金循環統計では,「海外部門」の対内債権債務という視点から捉えることから,いずれかの資産(負債)は他方の負債(資産)となります)。この調整のうち,「うち金・SDR等」中の貨幣用金を控除するのは,同項目が国内の中央銀行,中央政府の資産として計上される一方,対応する負債が存在しないためです。なお,国際収支統計と資金循環統計の間には,部門分類,取引項目,勘定体系に若干の相違があります。上記のほかにも,資金循環統計では,国際収支統計や対外資産負債残高統計を基礎データとして利用しています。」と説明されている。

国際収支統計

国際収支統計については,日銀の「国際収支統計(IMF国際収支マニュアル第6版ベース)」の解説」に記載されている。国際収支統計と国民経済計算の関係については,「国民経済計算推計手法解説書」の「第6章 海外勘定の推計」に記載があるが,特段の問題はないと思う。ただここは,「貿易赤字とは何か」という「古典的な問題」がからんでいるところで,みんな熱くなる。国際収支の構成は下記のとおりだが,問題はこれが会計原則に従って記載されているということだ。

  • 経常収支
    • 貿易サービス収支
      • 貿易収支(財輸出-財輸入)
      • サービス収支
    • 第一次所得収支
    • 第二次所得収支(経常移転収支)
  • 資本移転等収支
  • 金融収支
    • 直接投資
    • 証券投資
    • 金融派生商品
    • その他投資
    • 外貨準備

「基礎知識」を読む

大体以上のことを頭に入れて「基礎知識」に取り組むと,ずいぶん,見通しがよくなる。四半期別GDP速報(QE)と年次推計(旧称は,確報,確々報)が読めることが目標だ。

内閣府の「国民経済計算(GDP統計)」の「統計データ」に,「四半期別GDP速報」(QE)と「国民経済計算年次推計」及び「その他の統計」が掲載されている。

QE

「四半期別GDP速報」の最新年(現時点では,平成29年(2017年))をクリックし,一番上右の「統計表」をクリックすると,「四半期」や「年度・暦年」の「国内総生産(「支出側)」を把握することができる。これを見ながら「基礎知識」の第4章までは読み進めることができる。

年次推計とSNA

次は年次推計だ。

国民経済計算(SNA)は,国連等が規定する標準的な表は,一国経済全体について「生産勘定」,「所得支出勘定」,「蓄積勘定」,「貸借対照表」に分けて作成され,同じ勘定を制度部門別(非金融法人企業,金融機関,一般政府,家計,対家計民間非営利団体)にも作成する。そしてこれを一覧できる統合経済勘定表も作成される。またこれとは別に「海外勘定」も作成される。

年次推計(平成23年基準)はJSNAであり,基本的に08SNAに準拠しているが,細かい点で異なっている。気にし始めるときりがないから,とにかく「年次推計」に取り組むしかない。

上記の「統計データ」の「国民経済計算年次推計」をクリックし,現時点で最新の「平成23年基準(2008SNA)-1994年から掲載」,「2016(平成28)年度 国民経済計算年次推計(2011年基準・2008SNA)」をクリックすると,「フロー編」(Ⅰ.統合勘定,Ⅱ.制度部門別所得支出勘定,Ⅲ.制度部門別資本勘定・金融勘定,Ⅳ.主要系列表,Ⅴ.付表)及び「ストック編」(Ⅰ.統合勘定,Ⅱ.制度部門別勘定,Ⅲ.付表,Ⅳ.参考表)から構成される膨大な情報群が現れる。これが現時点で最新の「年次推計」だ。

これに従って「基本知識」を参照に読み進めていけばいいのだろうが,とりあえず何をしていいかよくわからない。そこで「国富」とされる「期末貸借対照表勘定」でも見てみようかと思い,データを抜き出してみた。平成28暦年末の正味資産は約3351兆円となっているが(国の貸借対照表),国富調査は平成45年にやっただけで,あとは推計ということのようだから,どの程度誤差があるものだか,どうだか。

こういう作業をしていくと,だんだん,SNAお宅になりそうだ。。

三面等価の原則とISバランス,政府債務残高

ここまでの知識を利用して,ISバランス,政府債務残高について調べてみよう。

三面等価の原則

まず,三面等価の原則についてまとめておこう。

三面等価とは,GDP「総生産」を,「所得(どのように使われているか)」「支出(誰によって支払われているか)」という別な面・角度から見たものといわれる。

①国内総生産(GDP)=Y産出

②国内総所得(GDI)=C消費十S貯蓄十T税

③国内総支出(GDE)=C消費+1投資+G政府支出+(EX輸出-IM輸人)

②の貯蓄とは所得から税(社会保険料 などを 含む),消費支出を差し引いた残り

とされる。

③は,総供給のY産出+IM輸人と,総需要のC消費+1投資+G政府支出+EX輸出が,均衡していると考えればわかりやすい。

一方,SNA等では,

④分配面のGDP=雇用者所得+営業余剰+固定資本減耗+間接税-補助金

⑤支出面のGDP=民間最終消費支出+政府最終消費支出+総固定資本形成(民間住宅+民間企業設備+公的固定資本形成)+在庫変動(民間+公的)+財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)

③と⑤の関係はわかるが,②は④というクッションを置き,所得から消費でも税でもない部分を,貯蓄としたもののようだ。定義と実態が,交錯している気がする。冷静に見極めればいいのだが,ここではこれを前提に先に進もう。

ISバランス(貯蓄・投資バランス)

三面等価の原則から,ISバランス(貯蓄・投資バランス)式が導かれる。

C+S+T=C+I+G+(EX-IM)

S=I+(G-T)+(EX-IM)となる。

この式は同時に2つのことを意味する(東学『 資料政・経2015』305頁。 ただし,「中高の教科書でわかる経済学マクロ篇」からの孫引きである。同書には,1つは,貯蓄S(カネ)が,どのように世の中に回つたか(誰が借りたか),もう一つはモノ・サービス(実物)を誰が購入したか(誰が消費したか)です。)とある。

(1)貸した総額=借りた総額

(2)総生産の残り=購入した主体

「基本知識」には,「確報(年次推計)で得られるデータを使った分析として,まず,ISバランス,資金過不足について説明します。各制度部門は,投資を行います。そのための資金となるのが貯蓄です。しかし,通常は投資と貯蓄は一致せず,資金が不足の場合は借入等を行い,資金に余裕があれば預金・貸出などを行います。この貯蓄(S: Saving)と投資(I: Investment)の差がISバランスです。各部門のISバランスの中長期的動向を見たものが長期的なISバランスです。1980年度まで遡って見るため,旧基準のデータを使用しています。高度経済成長時代は,家計は貯蓄がプラスで,(非金融法人)企業は貯蓄がマイナスでした。企業が投資を行うための資金は家計の貯蓄で賄われていました。しかし,成長の鈍化などにより,企業の投資意欲は減退し,最近は企業も貯蓄過剰となっています。家計の側は,貯蓄の過剰幅は,かつての半分程度になっています。しかし,企業と家計を合わせれば,貯蓄過剰の水準は高いです。一方,海外は,ほとんど一貫してISバランスはマイナスです(我が国は必要な投資を海外からの貯蓄で賄っているわけではないのがわかります)。ですが,過去に比べて大きくマイナス幅が拡大しているわけではありません。結局,政府が,高齢化などによる財政赤字の拡大で,企業と家計の貯蓄を吸収している形に変わっています。データは,推計のフロー編付表18「制度部門別の純貸出(+)/純借入(-)」にまとめて掲載されています。年度と暦年の両方のデータがあります。最初が,投資など実物取引からの推計,2番目が預金や貸出など金融取引からの推計です。この2つは概念的には一致するはずですが,推計上使用するデータ等が異なるため,計数としては一致しません。このため,「統計上の不突合」という項目が最初の実物取引からの推計の方に設けられています。」と説明されてあり,ISバランスの意味あいがよくわかる。

上記の付表から,2009年以降のISバランスを作成してみた。

政府債務残高

年次推計から,政府債務残高も把握できる。「基本知識」に「ストック編の「制度部門別勘定」中の一般政府の「期末貸借対照表勘定」(政府のバランスシートです)に,期末資産残高(土地や固定資産などの非金融資産を含みます),(金融)負債,この二つの差である正味資産残高が掲載されています。さらに,年次推計のストック編の付表3「一般政府の部門別資産・負債残高」には,一般政府を,中央政府,地方政府,社会保障基金に分けた数値が掲載されています。分析の目的に応じて,社会保障基金を除いたり,土地や固定資産などの非金融資産を除いたりする場合も見られますので,そのためにも内訳は重要です。一般政府の負債残高は,一般政府の負債残高の推移(名目GDP比)をグラフにしたものです。「グロス負債」と「ネット負債」があります。グロス負債は,負債額そのものです。一方,ネット負債は,グロスの負債から金融資産残高を除いたものです。いずれも,「政府の借金残高」です。近年,財政赤字の拡大により,いずれも増加しています。」とある。

経済指標のアンチョコ

このようにQEとJSNAを読み解くのが王道だが,森の中で道を失いそうだ。そこでネットで公開されている統計のアンチョコも見てみよう。

・「新版NLASマクロ経済学」に記載されているデータが更新されている。

・「富山統計ワールド」の「統計指標のかんどころ」は,わかりやすい。

統計ダッシュボード

・日経新聞経済指標ダッシュボード

・「日本経済入門」(著者:野口悠紀雄)の「経済データ 様々な経済データについてのリンク集

・(参考)政府の提供している統計の入口が「e-Stat」であり,主たる担当官庁が,「総務省統計局」である。

マクロ経済学の入口に立つ

以上のような,経済指標や統計を見慣れると,マクロ経済についても,あまり頓珍漢なことは,いわなくなるだろう。

次は,「新版NLASマクロ経済学」をフォローしていけばいいのだろうが,これはこれでいささか大部で大変そうなので,とりあえず「マクロ経済学の核心」(著者:飯田泰之)が読み切れれば良しとしよう。

それとは別に,上でも触れた書きぶりがいささか挑発的な「高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学」,「中高の教科書でわかる経済学 マクロ編」(著者:菅原晃)について,冷静に,いい過ぎのところ,根拠不足のところが読み取れればいいなあと思っている。

これについては追ってということにしよう。

次は,社会の中で「法を問題解決と創造に生かす」,「アイデアをカタチに」の領域に進もう。

最後に「基礎知識」の詳細目次を紹介しておく。

「経済指標を見るための基礎知識」の目次

I.経済指標入門~GDPを例に

1 GDPとは

2 需要の各分野・コンポーネント1

消費/設備投資/住宅投資/在庫/政府/輸出・輸入/まとめ

3 公表されたGDPの例

4 最近のGDPの動き

2.経済指標・統計に共通の技術的知識

1 統計はどうやって作るのか

統計調査の種類(一次統計,二次統計,業務統計)/全数調査・センサスとサンプル調査/サンプリング/調査環境の悪化と回収率の低下/様々な調査法(訪問留置調査,訪問面接調査,郵送調査,インターネット調査など)/パネル調査/平成の市町村大合併による町村の大幅減少と都市以外の地域をとらえるための課題/ハードデータとソフトデータ/作成機関・対象者・作成頻度/統計のリバイズ/統計の公表予定

2 統計の加工などの手法

名目と実質・指数算式(ラスパイレス,パーシェ,フィッシャー,連鎖)・実質値の簡易計算法と限界/季節変動とその除去法(季節調整,前年同期比など)/短期的不規則変動の処理(移動平均)/寄与度・要因分解/年率換算・簡易計算法とその限界/ゲタ(Carry over)/その他(弾性値,複利計算,反動減,特殊要因,有効数字と桁落ち)

3.GDP統計①:QEによる短期の景気動向把握を中心に

1 概略

GDPで短期的な景気動向をどう把握するか/データ改定・公表の諸段階(一次速報,二次速報,確報,確々報,基準改定)

2 各コンポーネントに共通する事項

国内と国民:かつてはGNP/デフレーター:連鎖方式への移行/一次QEと二次QEに分割された経緯/平成17年基準改定とそれに際しての概念の変更等/次回基準改定(平成23年基準改定)に向けての作業状況/FISIM(Financial lntemediation Services lndirectly Measured : 間接的に計測される金融仲介サービス)/各コンポーネントのウェイト

4.GDP統計②:GDPのコンポーネントごとの説明

1 民間最終消費支出

家計と民間非営利団体/家計消費支出の構成品目・サービス/長期的な動向(消費税率引き上げの影響を含む)/カウントされるもの・されないもの(税,社会保険料,年金,海外旅行での買い物,帰属家賃,家事,高校授業料減額など)/推計方法

2 民間住宅投資

構成要素(持家,貸家,分譲,給与)/長期的な動向/カウントされるもの・されないもの(土地購入費,着工と進捗・出来高,企業建築主,公的住宅)/推計方法

3 民間企業設備投資

実施主体/投資内容(有形,無形など)とストック/長期的な動向/カウントされるもの・されないもの(ソフトウェア,研究開発投資,土地取引,着工と進捗・出来高,消費との区別)/推計方法

4 民間在庫品増加

構成要素/在庫残高・在庫投資・その変化の区別/GDPでの位置づけ/推計方法

5 政府最終消費支出

「政府」の範囲と三分割(中央,地方,社会保障基金)/内訳・構成要素/長期的な動向/推計方法

6 公的固定資本形成

実施主体/内訳・構成要素・ストック/長期的な動向/カウントされるもの・されないもの(用地取得費,着工・進捗,消費との区別,東日本大震災関係,地方への補助/推計方法

7 公的在庫品増加

何か含まれるか/GDPへの寄与度

8 財貨・サービスの純輸出

輸出・輸入・純輸出/輸出と輸入の内訳/外需と内需・長期的推移/CIFとFOB/推計方法/輸入デフレーターの留意点:通常の感覚と逆

9 その他

様々な分類/その他QEの際に公表され短期的にも有効なもの:雇用者報酬/統計として公表されているわけではないが有用なGDPギャップ

5.GDP統計③:「国民経済計算確報」による中長期の年次の経済動向把握

1 「国民経済計算確報」とは

2 中長期の経済動向を把握するための基礎概念

三面等価/グロス(総)とネット(純)/市場価格表示,要素費用表示/国民所得/フローとストック/制度部門/海外部門

3 1Sバランス・資金過不足(含む制度部門別)

4 財政収支・債務残高

SNAベースと財政当局の予算・決算/財政収支/プライマリー・バランス(P B : Primary Balance)/政府債務残高/構造的財政収支など/国民負担率q

5 国民総所得(GNI)

はじめに/名目国民総所得の内訳:「サラリーマンの年収」に近いものは47%/「10年後に150万円以上増加」の試算/様々な所得の詳細な説明/実質国民総所得とは

6 家計貯蓄率,労働分配率,産業別GDPなど

家計貯蓄率/消費性向/労働分配率/産業別GDP・経済活動別国内総生産

7 国富など

8 GDPの各国比較

6.GDP統計④:国際基準,GDPの補完,その他

1 国際基準

①主な経緯(53SNAまで/68SNAまで/93SNAまで/08SNA)/②93SNAへの我が国の対応(93SNAに沿った我が国の国民経済計算の主な変更点/未対応事項)/③08SNAの詳細と我が国の状況など(93SNAから08SNAへの主な変更点/各国の対応状況/我が国の対応)

2 幸福度などGDPを補完する動き

従来の試み/最近の国際的な動き/我が国の状況

3 その他

①県民経済計算/②サテライト勘定(趣旨/環境関係/無償労働/非営利関係/介護・保育関係)/③月次GDP

7.GDP以外の横断的な経済指標

1 はじめに:月次も含む様々な指標でチェックする重要性・公表時開

2 景気動向指数と景気基準日付

景気循環の局面の分け方と発生要因/景気動向指数(CI,DI)/景気基準日付

3 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(日銀短観,短観)

概要/調査方法・作成方法/DI以外の注目指標:設備投資計画・物価見通し等/法人企業景気予測調査等との違い・多くの統計を利用できるのはメリット

4 景気ウォッチャー調査

概要/調査方法/速報性・コメント集・地域性

5 鉱工業指数と在庫循環

概要/計算方法・公表される指数・ラスパイレスバイアス/在庫循環図

8.個別経済指標

1 個人消費

消費総合指数/消費動向調査(消費者態度指数)・所得との関係/家計調査(消費支出と消費性向)/販売統計(小売業,百貨店,スーパー,コンビニ,新車,旅行)

2 民間設備投資

法人企業統計・稼働率・設備過剰感/機械受注・資本財出荷・建築着工/設備投資アンケート調査(日銀短観,日本政策投資銀行,日本経済新聞社,法人企業景気予測調査等)

3 住宅建設

住宅の分類/建築着工統計・着工戸数・着工床面積・平米単価・GDP統計との違い/マンション販売,住宅展示場来場者など

4 公共投資など

予算・契約・着工・出来高・決算の流れとGDP統計/前払金保証請負額・受注額・出来高の各統計や政府消費・在庫/公共事業予算(国,地方)とその執行

5 輸出・輸入・国際収支

GDP統計と貿易統計と国際収支の違い/貿易統計と輸出入数量/輸出入価格・金額/国際収支(貿易収支,貿易・サービス収支,第一次所得収支,経常収支)

6 企業収益・倒産

経常利益とGDP/倒産件数・負債金額など

7 雇用情勢

労働力(労働力人口・就業者・雇用者・完全失業者,常用雇用者,正規・非正規,フルタイム・パート,完全失業率)/労働時間(所定内,所定外)/求人(有効求人数,新規求人数,倍率,内定率,求人広告/賃金(現金給与総額,所定内,所定外,特別)

8 物価

物価指数の体系・変動は前年同期比で/消費者物価指数(総合,コア,コアコア,全国と都区部,PCEデフレーター/国内企業物価・輸出入物価・企業向けサービス価格/インフレ予想・燃料価格

9 その他

地価は一物多価/地域データ/金融と海外関係(当社別資料の紹介)

9.統計制度,景気判断や予測など

1 統計に関する国の制度・組織

日本政府の統計機構は分散型/統計委員会/総務省による統計調査の審査・調整/オーダーメード集計と匿名データの利用/国内の産業分類基準など/統計の国際基準

2 景気動向の判断,統計発表値の予想,経済予測等

政府や日銀による判断と見通し(公式判断)/民間機関・マーケットによる統計発表値の予想と情勢判断/民間機関による短期・中長期の経済予測/ESPフォーキャスト/国際機関による判断と見通し/景気判断や予測が行われる時期のまとめ

10.(補論)SNAの勘定体系の解説と諸勘定の統合による内訳等の作成法

1 国連などによるSNAの諸勘定の基本的枠組み

表章形式/諸勘定の概要/生産勘定/所得支出勘定/蓄積勘定/貸借対照表/統合経済勘定表/海外勘定

2 確報における推計方法等の理解のために

産業連関表/支出面の推計とコモディティ・フロー法/四半期分割と年度ベースへの変換/付加価値推計法/分配面の推計

3 我が国の「国民経済計算確報」の表章

概説/国連SNAと我が国の国民経済計算確報の勘定の比較/海外勘定の国連SNAと我が国「確報」での扱いの相違/「国民経済計算確報」の諸表のまとめ

4 諸勘定の統合による内訳の作成方法など

家計部門の所得支出勘定の統合による収入・支出・貯蓄の関係/一般政府の所得支出勘定・資本調達勘定の統合による収入・支出・財政赤字の関係など/一般政府から家計への移転(社会保障関係)の明細表と社会保障負担の明細表/その他

巻末資料:SNAで見た財政における収入と支出の内訳・意味