問題解決と創造の知識

今まで「新しい社会とビジネスを創る」としていた項目を,「問題解決と創造の頁」に改めることにしました。それを説明した「固定ページ」を投稿しておきます。これに応じて,あちこち見直す必要があるので面倒くさそうです。

「問題」を生活・仕事,政府・企業,環境という観点から考える

このメニューはこれまで「新しい社会とビジネスを創る」としていたが,考えてみれば私が注力したいと思っていることは,このWebのキャッチフレーズとしている「法を問題解決と創造に活かす」ことなのであるから,その準備作業を志す本メニューのネーミングも,「問題解決と創造の頁」の方がより適切であることに気がついたので,変えることにした(いったん,「生活・仕事と組織」にしたが落ち着きが悪い。)。

私は何かに依拠して「新しい社会とビジネス」を創ろうと思っているのではない。私にとって最も重要な問題は,私の日々のあり方(生活・仕事)を充実させることであり,人から独立した存在として迷走する組織(政府や企業等)を適切に制御する企てに参加することである。更に生活・仕事,政府・企業の活動の環境,場となる「自然とテクノロジー」を理解し,利用,制御することである。

このように,現在,私あるいは現代社会が直面している多くの問題について,生活・仕事,政府・企業,環境の5つ要素から(更には,その複合する場合も含めて),分析,考察を巡らせ,当該問題を順次解決していくことができれば,「新しい社会とビジネスを創る」という価値創造に結実するであろうと考えているのである。

生活・仕事,政府・企業,環境について考える

現代社会は,人の基本的な活動である生活と仕事,及び人の集団である組織(支配し公共サービスを提供する「政府」及び,商品・サービスを提供する「企業」)の活動から構成されている。現代社会が抱える問題を,生活・仕事,政府・企業という観点からとらえ,解決策を考えることは,ひとつの仮説であるが,かなり有効だと思う。

農業革命以前,人の生活・仕事・組織は,分化していなかったと考えていいだろう。

しかし農業革命により人の生活・仕事・文化が分化し,その余剰生産物を収奪する「権力集団」(政府)が生じた(もっとも現在のほぼすべての政府は,民主制に基づく(支配者と被支配者が同一)と主張している。)。そして,分業の進展によって,更に「産業革命」によって決定的に,人の仕事の領域から分化した「企業」が大きな勢力となり,現在に至っているとまとめることができよう。

生活・仕事

人の生活・仕事は,いずれも進化論(繁殖,生存に有利な形質が自然選択される)を踏まえて考えるべきである。繁殖,生存の根底に性的な衝動があるとしても,ソフィストケートされたレベルでは,生活は,健康な活動を支える「食動考休」,仕事は,知識・能力の獲得と生産性の向上を目指す「アイデアをカタチに」であるとまとめていいだろう。

政府・企業

一方,組織のうち政府は,民主制のもとでは,政治参加(投票)による公共政策の実行,制御の問題である。ただし,政府を主導する政治家,官僚は,公共政策に失敗することのみならず(悲惨な被害が生じるのは戦争であろう。),その権力を冒用し私的利益を図ろうとする強いインセンティブがある。

利潤追求を目標とする企業の活動により,たとえ「見えざる手」によって資源の最適配分が図られるとしても,様々な立場の人々(消費者,取引先,株主,経営者,従業員,政府等々)に,様々な利害を与えるから,その活動が適切に制御されなければならない。

そして組織の行動については,複雑系の観点が欠かせない。

環境

人の生活・仕事や政府・企業の活動は,環境の中で(自然,及びテクノロジーを利用して)展開される。生活・仕事,政府・企業の問題解決のためには,自然とテクノロジーを理解し,利用,制御することが必須である。

まとめ

個人が,自らの意思で可能な(はずの)生活と仕事の改革・充実の問題と,独立した存在として独自のメカニズムで行動する「企業」,「政府」等(家族・地域共同体,宗教団体,学校等)の改革・制御の問題。更には自然とテクノロジーの開発・統御,保全は,それぞれ別の視角・方法によって,検討されなければならない。

このようにとらえて,現代社会(個人+組織)の「問題解決と創造にむけて」の準備作業をしよう。

メニューの構成

「問題解決と創造の頁」の暫定的なメニューは,次のとおりとする。ただし,順次手を入れていくので,当面,古い記事がそのままになっている項目も多い。

社会とビジネスの基礎

政府:力と公共政策

企業:経営と統治

問題解決と創造の方法と技術

生活:食動考休

環境:自然とテクノロジー

方法論の基礎

ITとAI

各メニューの説明

「社会と経済の基礎」には,全体の総論にあたる記事と「社会と経済の基礎となる8冊-試論」を掲載する。

これを踏まえ,「政府」について「力と公共政策」,「企業」について「経営と統治」,「仕事」について「アイデアをカタチに」,これらを支える個人の生活について「食動考休」にまとめる。更に,これらの活動の場となる「環境」について「自然とテクノロジー」にまとめる。

これに付加する「方法論の基礎」が異質だが,ここには私の基本的なスタンスである,人間と社会を,進化論,ファスト思考とスロー思考,複雑系ネットワークと分業等からとらえる基本的な考察と,数学,統計学,論理学,哲学等の方法のメモ(備忘録)を集めたいと思っている。現代の,多様な広がりのある経済学は,こちらで検討しよう。

さらに今後,「政府」,「企業」,「個人」を通じて生産性上昇をはじめ,あらゆる場面で活用されるであろう「ITとAI」についてこれまで細々と作成してきた記事を拡大して,いろいろなことを考察したい。

最後に

私が今,最もやりたいことは,弁護士として「法を問題解決と創造に活かす」活動であり,「問題解決と創造の頁」は,そのための,事実と論理を踏まえた準備作業となることを志している。このWebサイトも,やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。ただITやAI,科学についての新しい知見・動向を知るには,英語文献の読解が必須なので,その意味での準備に今しばらく時間がかかりそうだ。

 

 

日々雑感

ここ2週間ほど,土日も含めて,朝から晩まで,大半の時間をある事件の準備(陳述書及び準備書面作成)のために費やしてきた。内容は主として経理的な問題ではあるが,その背景に複雑な事情があるので,確認のために逐一当事者や証拠にあたる必要があり,膨大な時間を要した。私は1年に数回そのような書面書きがある。その間,このWeb記事には手がつかなかった。

このような状態になると何が起こるかというと,夜まで仕事をして終わった後「いっぱい」食べ飲んで帰る,朝は5時くらいまでには起き,事務所へ行く,を繰り返す。

結果,太る。最近よくいうのだが,飲まないと機嫌が悪い,飲むと体調が悪い,ということになってしまう。

この間にも,「テクニウム」や技術,科学畑の本を買ったほか,ロバート・H・フランクの「幸せとお金の経済学」,「ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益」,石津朋之らの「戦略原論 軍事と平和のグランド・ストラテジー」を買っている。材料はたくさんある。手が空いたら,もう少し社会の問題を多様に考えていきたい。

その関係で,これまで「新しい社会とビズネスを創る」としていたメニューを「問題解決と創造の頁」に変えることにした。これだけでは何のことか分からないであろうから,その説明を参照していただきたい。

本の森

未読・半読・一読の本 2 (180412)

先週金,土と仕事で長崎に行き,その行き帰りと宿泊先で,3冊ばかりのKindle本に目を通した(おいしい魚のお店で一杯やることも忘れなかった。)。今見ると,1冊は前日,もう一冊は滞在中に購入している。

教養としてのテクノロジー

教養としてのテクノロジー AI,仮想通貨,ブロックチェーン」( 著者:伊藤 穰一, アンドレー・ウール)は,今作成中の「これからの社会と経済を理解するためのこの4冊」の準備として目を通してみた。

私は,今現在の社会と経済を理解するために,「社会と経済の基礎となる8冊―試論」という記事を作成したが(「社会と経済」という言い方は見直したいと思っているが,制裁付きのルールの下で展開される仕事と生活ということである。),これを土台として「これからの社会と経済を理解するためのこの4冊」を作成中である。過去,現在を踏まえ,未来を展望しようという試みだ。

まず出発点として,未来の動向に大きな影響のあるテクノロジー(中心は,AI,IT,IoTの動向だ。)を概観する「この1冊」を取り上げようと思っている。

そしてそれを基盤にして,「限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭」(著者:ジェレミー・リフキン)に進み,さらにビジネスについては「プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか」(著者:アレックス・モザド, ニコラス・L・ジョンソン)に,社会の仕組みについては「ポストキャピタリズム」 (著者:ポール・メイソン)で,さらに詳細に検討しようという運びだ。

最初テクノロジーは,「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」(ケヴィン・ケリー。原書:The Inevitable: Understanding the 12 Technological Forces That Will Shape Our Future)で決まりと思っていたのだが,読み返してみると,これは「テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?」( What Technology Wants」の応用編という位置づけで,出発点としてはおそらく「テクニウム」の方がよさそうだが,これは翻訳のKindle本が4500円もする。外れだとつらい支出なので,まだ購入していない。そこで伊藤穣一さんの「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」もよかったなと思いだしたが,もっと基本なら最新刊で「教養としてのテクノロジー」があることに気が付いたので,これを読むことになった。

内容は網羅的だが(目次は,はじめに/「AI」は「労働」をどう変えるのか?/「仮想通貨」は「国家」をどう変えるのか?/「ブロックチェーン」は「資本主義」をどう変えるのか?/「人間」はどう変わるか?/「教育」はどう変わるか?/「日本人」はどう変わるべきか?/「日本」はムーブメントを起こせるのか?),切り取り方が簡潔,単純に過ぎ,「この一冊」としては適当でなさそうだ。伊藤穣一さんは,しばらく前から名前を聞いていたが(MITのメディアラボの所長),その立場で自由自在に人をつなげて動かし,大活躍していることが分かる。私にとって今一番うらやましい人だ。この本の中でも盛んにメディアラボは営利目的ではない,自由にいろいろな試みができることが繰り返されている。我が国にもこのようなものがあればいいなと思うのだが。ただ官僚的とは正反対の組織のようだから,この国では難しいかな。この本の中で,仮想通貨について詐欺的に使われるとして警戒しているのは,冷静だなと思った。

マネーロンダリング入門

次に「マネーロンダリング入門 国際金融詐欺からテロ資金まで」(著者:橘玲)だ。しばらく国際取引とは関わりを持っていなかったが,私が関与していた頃はあまりマネーロンダリングということは言われていなかったので,普段からよく読む橘玲さんの本を読んでみた(目次は,山口組の指南役になった日/世にも奇妙な金融犯罪/プライベートバンクの憂鬱/北朝鮮はなぜ核兵器が必要なのか/ 世界でいちばん短いマネロンの歴史/誰でもできるマネロン)。

「犯罪収益移転防止法」制定前の2006年の本で,その頃の実情が書かれているが,要は資産家がころりと騙される話,資金受入れ側も騙しながら自転車営業している話,ドル決済はどのように行われているかという話,脱税というけれど国境に何の意味があるのだろうという話等々,みんな面白いけど,10年ふた昔という感じだ。プライベートバンクとして出てくる,クレディスイス,シティバンク,そして犯罪銀行BCCIの名前は忘れるわけにはいかない。

英会話不要論

英会話不要論」(著者:行方昭夫)は国際取引にかかわる前に,またぞろ英語を勉強しなくてはと思って手に取った本だ。,一口でいえば,文法を頭に入れた英文読みができれば,なれれば英会話はできるよという本だ。ごもっとも。