本の森

イソップ寓話は英語の学習に役立つか

私は,これまでイソップ寓話(童話)に興味を持ったことはなかったが,その英訳(新訳)のKindle本とAudibleが手許にあったので,速読用にどうかなと思って試してみた。単語は基本的に簡単だが(ただし,動植物名は分からないものも多い。),修飾関係,構文はかなり複雑なので,英語の頭の体操(読解)用にいいかなと思い,勉強を始めている。

その帰趨は追ってということにして,目に入った話の中から二つほど紹介してみたい。人に言いたくて,黙っておられないほど面白い。紹介はKindle本の英訳(新訳)ではなく,「アイソーポス著作 イソップ物語寓話単位に英日対訳方式採用」を使用した。訳はそのままである。

The Man,the Horse,the Ox,and the Dog

人が馬と牛と犬を助けたら,動物たちが感謝の気持ちから,人間の寿命を3つに分けて,それぞれの時期の気質を受け持ってくれることになった。若い時期は馬で,激しく頑固で,執拗に自分の意見を主張し,中年は牛で,仕事を好み,冨を蓄え,倹約する。さあ,最後は犬だ。

The end of life was reserved for the Dog, wherefore the old man is often snappish, irritable, hard to please, and selfish, tolerant only of his own household, but averse to strangers and to all who do not administer to his comfort or to his necessities.

最後の部分はイヌが受け持った。それ故年寄りは,怒りっぽく,短気で気むずかしく,我が儘で,そして自分の家族には寛容だが,よそ者や,自分の好みでないものや, 自分に必要でないものは,全て嫌悪する。

自戒しよう。

The Man and His Two Sweethearts

これは訳がない方がいいだろう。

A MIDDLE-AGED MAN, whose hair had begun to turn gray, courted two women at the same time. One of them was young, and the other well advanced in years. The elder woman, ashamed to be courted by a man younger than herself, made a point, whenever her admirer visited her, to pull out some portion of his black hairs. The younger, on the contrary, not wishing to become the wife of an old man, was equally zealous in removing every gray hair she could find. Thus it came to pass that between them both he very soon found that he had not a hair left on his head.

Those who seek to please everybody please nobody.

要は,二股かけてつきあった女性に会うたびに,年上の女性は黒い毛を抜き,若い女性は白髪を抜くので,禿げちゃったということだ。私が,"no hair left on my head"であっても,これが原因ではない。

読者プレゼント?

動植物名の英語を頭に入れるために,イソップ寓話の表題とその訳の一覧表を作ったので,私がイソップ式英語学習法に挫折しても,どなたかに使用していただくために「読者プレゼント.pdf」?として掲載しておく。

これは,上記した「アイソーポス著作 イソップ物語 寓話単位に英日対訳方式採用」によって作成したものである。なおこの本は値段が100円ちょっとなのであまり文句は言えないが,一部編集がおかしい。最初は,英語,和文の順で対応しているが,164話あたりで対応関係がおかしくなり,和文が次の英文の訳になっている(リンクが間違っている。)。そして282話あたりから正常に戻っているので,嫌にならずに取り組もう。もちろん私は犬のように,いったんは嫌になりかけた。

英語の勉強やイソップ寓話自体の研究が進んだら,また報告しよう。

社会と世界

未読・半読・一読の本 1 (180411)

いろいろな問題を考えるとき,それを世界史(これは文明発祥以降になるので,できれば「サピエンス史」を踏まえる方が視野が広がる。)の中に位置付けて考えることが重要だ。ただ世界史の迷路に踏み込むと出て来らなくなるので,ここでは,その「案内図」のさらに「概要」を頭に入れておくことを考える。

改めて知る国ごと、地域ごとにまとめ直した高校世界史(上・中・下)

改めて知る国ごと、地域ごとにまとめ直した高校世界史 増補版<上巻>,増補版<中巻> ,増補版<下巻>」(八尾師 誠(監修), 川音 強(著)は,高校世界史が,あちらこちらに飛びながら説明している錯綜する内容を,各国別(地域)別にまとめ,足りない部分は補足しているので,頭の整理にいい。

上巻は,西ヨーロッパ史,南ヨーロッパ史,中巻は,東ヨーロッパ史,北ヨーロッパ史,キリスト教史,北アメリカ史,中・南アメリカ史,オセアニア史,アフリカ史,下巻は,東アジア史,中央アジア史,南アジア史,東南アジア史,西アジア史という構成である。そして例えば,西ヨーロッパ史は,さらにイギリス史,アイルランド史…スイス史の,8国に分けられている。

西アジア史は,古代メソポタミア史,イスラーム帝国史,アラブ近・現代史,イラン史,トルコ史,ユダヤ民族史に分けるという工夫がされている。別にキリスト教史が設けられているのもいい。

R本は,1冊1944円であるが,KIndle本は,1冊900円なので,急いで買っておいた。今だけ安いのか,通常の価格設定なのかは分からない。ただKIndle本の目次のリンク等が今一つ使いにくい。

英語で読む高校世界史

あと,高校教科書『世界史B』(東京書籍・2012年版)の英訳版である,「英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY」は,英語圏の人と,知的な会話をしようとする場合に,手助けとなる。ただここまで来ることは大変だが。

その他,普通の高校世界史を読もうと思えば,「もういちど読む 山川世界史」がある。「世界史年表」(R本だが,地図も載っている。ただ字が小さい。)も身近にあった方がいいだろう。

ここから世界史は無限に広がる。逆にいえば,言いたい放題の混乱世界である。

 

本の森

未読・半読・一読の本 序 (180410)

「未読・半読・一読(みどく・はんどく・いちどく)の本」では,ざっと目を通し,あるいはそれも途中で止めてしまった本,買っただけで目も通してもいない本,さらにはKindle本でサンプルだけダウンロードしそのうち買おうと思っている本,まとめれば積読本(つんどくぼん)を紹介していこうと思います。

本の森

これまで本の森で紹介する本は,主として「詳細目次」を紹介することだけでも意味があると思う専門書,一般教養書といわれる部類の本を対象としてきたが,そのような本の内容にきちんとコメントしようと思うとなかなかエネルギーがいるし,私の関心もどんどん目移りしていくしで,どうしても作業は「詳細目次」を作成するだけで停滞し,いつしか日の目を見ないままま埋没してしまうので,精神衛生上よろしくない。心の底では,紹介は,松岡正剛さんの「千夜千冊」ぐらいの詳細,緻密な記述にしたいという思いはあるが,あちらは優秀なスタッフを抱えたプロ,こちらは弁護士の仕事の片手間では,レベルが違い過ぎる。このような思いは,かえって埋没に拍車をかけてしまう。

ところで久しぶりに「千夜千冊」のことを思い出したので,Webを見てみると,最新の本(1670夜)は「国語入試問題必勝法(著者:清水義範)」であった。今,清水義範さんとは意表を突かれる思いだが,紹介された内容は,今読んでも昔と変わらず楽しい。

改めて「千夜千冊」にどんな本が紹介されているかを見ると,松岡さんの関心の広さには驚嘆する。私が手に取ったことがあるであろう本は約4分の1,内容に見当がつく本でもせいぜい半分というところだろうか。私も法律書は別にして,様々な機会に5000冊は処分(寄付)し,いまKindla本2500冊,リアル本1500冊ぐらを保有している,個人としてはまあまあの愛書家のつもりだったが,桁が違う。それに登山に情熱を傾けていた約10年間は,本よりも山の風が好きだったから,大きな差が開いてしまった。

松岡さんの基本は,思想・文学を中核にして,文化,歴史,社会にアプローチするということだろうか。それと松岡さんは,編集工学を提唱され,情報史にも興味をお持ちなので,その意味での広がりもある。「千夜千冊」もわかりやすいし,面白い。しかし松岡さん自身が書くものは「参考書」としては面白いが,問題に切り込む凄みに欠けるような気がしていた。

私は思想・文学を捨て,科学・論理を中核にしてアプローチするスタイルに転向したので,松岡さんのリストを見ると,松岡さんの関心外の本も,守備範囲であることが分かる。だから今後は,本の森本編では,私が立てた問題(このWebで紹介しているような問題だ)を解決すべく,主としてそのような本に切り込もう。

未読・半読・一読の本を紹介する

最近,山へも行かず,お酒も(少し)控えめなので,本を読んだり,勉強したりする時間が割とある。あるいは,出張に行くと往復の乗物だけでも時間があり,スマホでKindle本を読むのに最適の環境だ。先週,一泊で長崎に出張したが,新書のKindle本2冊全部と,その他にも目を通すことができた。

あるいは,昨日だったか久しぶりに「俳句 4合目からの出発(著者:阿部ショウ人)」という本が目に入ったので読み始めたが止まらない。Amazonのカスタムレビューに「俳句を絶対に作らせないという趣旨の本としか思えない。腐すこと腐すこと全編その姿勢」とあるように,あることをけなすにはどう表現すればいいかについての達人の書だ。あるいは題名だけは頭にこびりついている「読んでいない本について堂々と語る方法(著者:ピエール バイヤール )」は,その内容は忘れてしまったが,題名が魅力的なので,もういちど読みたいと思う。ただ単行本は捨てて(寄付して)しまったようなので,文庫本を買おう。

このように,上段に構えて真正面から振り下ろすのでなく,ざっと一読しただけの本,半分読んでやめてしまった本,あるいは未読の本,要するに積読だけの本も,備忘のために記録しておくことも大事だろう。

年をとってくると最も懸念されることは,一度買った本をもう一度買うことだが,幸いなことにKindle本ではその警告が出るので(過去にR本を買った場合も同じだが,R本はAmazonで買わないことも多い。),それは気にしないで済む。しかし,本が何千冊単位になると本の存在すら忘れてしまい,意識に上らなくなる。意識に上らないということは存在しないということだ。だから思い出すに足る本は,備忘のための記録をつけることには意味がある。

ということで,これから備忘のために記録しておいた方がいいと思う本は,できるだけ「未読・半読・一読」に記録することにしよう,それすらも忘れてしまうと困るが(これは,近未来の冗談です。)。