学びを極めたシニアに学ぶ本2冊
学びを極めたシニアに学ぶ本2冊
学びを極めたと自負していると思われる男女のシニアによる、それぞれ「学び」のエッセンスを主張する2冊の本が目に止まった。これこそが本当の「学び」だと主張している本は世の中に何十冊もあるが、たまたま私とほぼ同年代で、学びの経験を重ねたシニアが、それぞれ目次に学びのエッセンスとなる項目を掲記するという共通性のある本を出していたので取り上げてみた。
1冊目は、「何歳からでも結果が出る 本当の勉強法:望月 俊孝」、2冊目は、「メタ認知で〈学ぶ力〉を高める:認知心理学が解き明かす効果的学習法:三宮真智子」である。
といっても私は無条件でこれらを押す気はない。それぞれ著者が学んだ上で、人に提供している「知的サービス」があまり気に入らない。望月さんの「売り」は、望月俊孝オフィシャルブログ「3つの宇宙法則で魂の次元上昇」Powered by Ameba。三宮さんは「メタ認知」を専門とする認知心理学者であるが、上記の本の「第2部 メタ認知的知識を学習と教育に活かす」の内容、整理の仕方は、「メタ認知」心理学者としての立論としては幼稚に思える。
ただいずれも、How To本として、自分にとっての引っかかりをチェックしてみるという意味はあると思うので、それぞれ目次にある「学び」のチェック項目を掲記しておく。なお望月さんの本の目次の各項目はどちらかが「正しい選択肢」であるとして○と×が付いているのだがそれは省略した。
誰にとっても何個かの項目は参考になるだろう。著者の理由付けを知りたければ、Kindle本に当たられたい。
でもこれを見ているだけでは、「学び」は全然楽しくなさそうだ、
何歳からでも結果が出る 本当の勉強法:望月 俊孝
目次
- はじめに
- 第1章 Start 勉強をはじめるときの「迷い」を断ち切る
- 01
- 人は死ぬ間際に「もっと遊べばよかった」と後悔する
- 人は死ぬ間際に「もっと勉強すればよかった」と後悔する
- 02
- 勉強は、「完璧」を目指すもの
- 勉強は、自分なりの「完成」を目指すもの
- 03
- 最初から「崇高な目的」のために勉強をする
- 勉強は「欲望」ではじめて、「やりがい」で続ける
- 第2章 Plan 学習目標を定め、計画をつくる
- 04
- 学習とは、1つでも多く「間違い」に気づくこと
- 学習とは、1つでも多く「正解」すること
- 05
- 試験勉強とは、内容を「読み直す」作業である
- 試験勉強とは、内容を「思い出す」練習である
- 06
- 試験を突破する人は、「一夜漬け」の達人である
- 試験を突破する人は、「一夜漬け」の真逆である
- 07
- 勉強時間で大切なのは、「長さ」を守ること
- 勉強時間で大切なのは、「開始時刻」を守ること
- 08
- 学習量の目安は、長いスパンでざっくりつくっておく
- 学習量の目安は、毎日しっかりとつくっておく
- 09
- 「熱意」が、あなたの能力を覚醒させてくれる
- 「期限」が、あなたの能力を覚醒させてくれる
- 10
- 勉強は、集中できるまとまった時間でやらないと効果は薄い
- 勉強は、スキマ時間で積み重ねたほうが効果的
- 11
- 正しい勉強をすれば、最初から楽しくて仕方がない
- どんな正しい勉強法も、最初はつらく感じる
- 12
- 問題は、最後に解く
- 問題は、最初の段階で一度解いておく
- 13
- 「合格体験談」の逆転ストーリーを100%信じる
- 「合格体験談」には、2つの限界がある
- 第3章 Do 何歳からでも結果が出る一生モノのインプット術
- 14
- 試験で使える記憶術は、時間をかけて習得するべき
- 試験で使える記憶術は、たった2行で説明できる
- 15
- 覚えにくい暗記事項は、何度も書いて覚える
- 覚えにくい暗記事項は、手書きイラストにして覚える
- 16
- 音で覚えたい場合は、プロが吹き込んだ音声教材を使う
- 音で覚えたい場合は、自分で音読してみる
- 17
- よりくわしい説明をされると、記憶量が増える
- 背景にある物語を知ると、記憶量が増える
- 18
- 記憶量は、かけた時間に応じて増える
- 記憶量は、体感した時間に応じて増える
- 19
- 記憶作業は、一気に集中しておこなう
- 記憶作業は、間に睡眠をはさむ
- 20
- 記憶作業を減らすには、覚える項目を絞る
- 記憶作業を減らすには、記憶のつながりを増やす
- 21
- 人は「整理されているもの」のほうが覚えやすい
- 人は「ごちゃ混ぜのもの」のほうが覚えやすい
- 22
- 年を重ねると、記憶力の低下は避けられない
- 年を重ねても、脳はアップデートできる
- 23
- 記憶力を高める必要があるのは、若者だけである
- 高齢化社会では、記憶力訓練はラジオ体操のように日常になる
- 24
- 講義メモは、スマホやPCでおこなう
- 講義メモは、やはり手書きでおこなう
- 25
- 最初から、大切なところには蛍光ペンを使う
- 全体を2回読み直すまでは、蛍光ペンは我慢する
- 26
- 学習ノートは、覚えたいことを自由にまとめる
- 学習ノートの理想は、「If-thenモデル」のシンプルなもの
- 27
- 論文口頭試験では、多く論拠を述べたほうが勝ち
- 論文口頭試験では、挙げるべき論拠は「3つ」に絞る
- 28
- 究極の読書法は、1分間で本を読み切ること
- 究極の読書法は、「9割捨てる」こと
- 第4章 Check 自分自身で勉強を適切に評価する
- 29
- 本番までに、モチベーションを上げておく
- 本番までに、課題の分析力を上げておく
- 30
- ベストを尽くすとは、ひたすらがんばること
- ベストを尽くすとは、ベストを数値化すること
- 31
- 勉強の成果は、反省すれば改善される
- 勉強の成果は、計測するだけで改善される
- 32
- 常に、ゴールと現状のギャップを意識する
- 勉強開始時は、現状の「うまくいった点」だけを見る
- 33
- 「未来の自分はきっと成長している」と考える
- 「未来の自分に警告してくれる協力者」を用意する
- 34
- ひたすら新しい単元に進むことを最優先にする
- 間違えた問題の解き直しを最優先にする
- 35
- 復習は、同じ教材を繰り返しておこなう
- 復習は、同じ教材をほんの少し内容変更しておこなう
- 36
- 練習量と成果は比例する
- 先生からのフィードバック環境と成果は比例する
- 37
- 苦手分野は集団クラス、得意分野は個別学習で学ぶ
- 苦手分野は個別学習、得意分野は集団クラスで学ぶ
- 38
- 「わからない」と言うのは、不勉強の証拠
- 「わからない」と言えるのは、勉強を重ねている証拠
- 第5章 Improve 勉強法をさらに改善する
- 39
- 勉強のやる気は、自ら奮い起こすものだ
- 見るものを変えると、やる気ゼロでも勉強が進む
- 40
- 落ち着いて着席できる状態が、学習力をアップさせる
- 動かない状態は、むしろ人の学習力をダウンさせる
- 41
- 20分休憩があったら、スマホを見る
- 20分休憩があったら、自然のなかを歩く
- 42
- 勉強中は、よそ見禁止
- 勉強中は、「緑の自然」をよそ見する
- 43
- 勉強中は、スマホを時計代わりにする
- 勉強中は、スマホを別の部屋に置く
- 44
- どんな場所でも勉強できるようにする
- 勉強する「ホームグラウンド」を徹底的につくる
- 45
- イメトレでは、「合格した喜びのなかの自分」を想像する
- イメトレでは、「困難を乗り越えている自分」を想像する
- 46
- 勉強からの現実逃避は一刻も早くやめる
- 徹底的に逃避することで、勉強の意味が見つかる
- あとがき 参考文献
メタ認知で〈学ぶ力〉を高める:認知心理学が解き明かす効果的学習法:三宮真智子
- はじめに
- 第1部 メタ認知を理解するための20のトビック
- 認知とは何か,メタとはどういう意味か
- メタ認知とは何か
- メタ認知的知識とは何か
- メタ認知的活動とは何か
- メタ認知という言葉が使われるようになった背景
- 記憶関連のメタ認知(メタ記憶)の発達
- 理解関連のメタ認知(メタ理解)の発達
- 「視点取得」とメタ認知
- 「心の理論」とメタ認知
- 学習に困難を抱える子どもの支援とメタ認知
- 協同学習における他者とのやりとりとメタ認知
- 学習における加齢の影響とメタ認知
- メタ認知が働かなくなる場合
- 「不明確な問題」が要求するメタ認知
- メタ認知を司る脳の部位
- 自己調整学習とメタ認知
- 頭のよさ(知能)とメタ認知
- 意欲(動機づけ)とメタ認知
- 感情とメタ認知
- メタ認知の問題点・留意点
- 第2部 メタ認知的知識を学習と教育に活かす
- Section1 意識・注意・知覚編
- 睡眠をとることが頭の働きをよくする
- 睡眠中にも学習は進む
- 意識せずに学習できることがある
- 学習やテストに適した緊張感(覚醒レベル)がある
- カフェインの覚醒効果を濫用することは危険
- 音楽で覚醒レベルをコントロールできる
- 注意を向けなければ,見れども見えず聞けども聞こえず
- 頭を休めている間に解決策がひらめく
- 努力せすに長時間,没頭できる状態がある
- ノートの情報をグループ化しておくとすばやく関連づけられる
- アンダーラインの活用で重要な点が一目でわかる
- Section2 知識獲得・理解編
- 一度に記憶できる範囲は限られている
- 最初と最後に学習したことは忘れにくい
- 情報を目立たせると記憶に残りやすくなる
- 知識はネットワークの形で蓄えられている
- 覚えたい内容に対して深いレベルの処理をすると忘れにくい
- 自分に関連づけると覚えやすい(精緻化1)
- 自分で考えたことや自分で選んだことは覚えやすい(精緻化2)
- テキストの内容をイラストで表すと覚えやすい(精緻化3)
- 語呂合わせをすると数字を覚えやすい(精緻化4)
- バラバラの記号や単語などはストーリーにすると覚えやすい(精緻化5)
- 環境手がかりを利用すると覚えたことを思い出しやすい
- 視覚情報を言語化すると記憶が歪む場合がある
- コンセプトマップを描くことが理解・記情を促す
- これから学ぶ内容のテーマや要約を先に見ておくと理解しやすくなる
- テキスト学習には,「SQ3R法」を取り入れると理解・記憶を促す
- テキストを読みながら聞かされると理解・記情が妨げられる場合がある
- 習熟度が低い場合には,パフォーマンスの自己評価はあてにならない
- テストは記憶の定着を促す
- Section3 思考・判断・問題解決編
- 思い込みが創造的問題解決を妨げる川
- 習熟による「慣れ」がよりよい問題解決を妨げることがある
- 命題論理では「真か偽か」の判断をまちがえやすい
- 三段論法では結論のもっともらしさに惑わされる
- 事例の思い出しやすさに惑わされる
- 最初に目に飛び込んだ数字に惑わされる
- 「偶然」には気づきにくい
- 仮説は修正されにくい
- ストーリーに惑わされると問題の本質が見えなくなる
- 質問の仕方が答を誘導する
- 代表値の用い方で判断が変わってくる
- 因果推理は短絡的になりやすい
- ・アイデアの量と質とは比例する
- 「創造性は特殊な才能」という考えが創造的思考を邪魔する
- 粘り強く考えると,よいアイデアが出るに
- アイデアをどんどん外化することが発想を促す
- Section4 意欲・感情編
- 「この学習は自分に役立つ」ととらえることが意欲を高める
- 「自分にはできる」と考えると,やる気が出るに
- ・難しすぎず易しすぎない課題には最もやる気が出る
- 外発から内発へと,意欲(動機づけ)には段階がある
- がんばってもうまくいかないことを何度も経験するとやる気を失う
- 好きで学習していることにご褒美を出されると,逆にやる気がなくなる
- 学習の成果は自分次第であると考えると学習意欲が高まるい
- 自分で選べるという感覚がやる気を高める
- 評価ばかりを気にすると学習における新たな挑戦意欲が低下する
- 過度にがんばりすぎると,その後しばらく自制心が働かなくなる
- 自分が学習の主体だと感じれば学習者は能動的になる
- 多少苦手な科目も頻繁に接していると親しみが湧く
- 気分がよいと発想が豊かになるい6
- テスト不安はテスト成績を低下させる
- 楽観的な気持ちで臨むと学習もうまくいく
- ネガテイプな感情は書き出すことで和らぐ
- Section5 他者との協働・コミュニケーション編
- 他者に教える(説明する)ことは理解を促進する
- 他者との自由なやりとりは創造的思考を促す
- あいづちとうなずきがアイテアを引き出す
- 他者の考えに触れることが発想力を高める
- 頻繁な発話交替が問題解決のアイデアを出しやすくする凵6
- 個人思考と協同思考をうまく使い分けることが大切
- 討論は複眼的なものの見方を助ける
- 討論でものごとを決める場合,思慮が浅くなることがある
- 討論では同調圧力が生じることがあるい
- グループワークで社会的手抜きが生じることがある
- Section6 行動・環境・時間管理編
- 自分で自分を条件づけて学習行動を引き出すことができる
- 他の人が学ぶ様子を見ることは学習行動を促す
- 大変そうな学習も少しずつに分ければ楽にできる
- とりあえず学習を始めれば,そのまま続けられる
- 机が散らかっていると作業効率が落ちる
- 物理的な学習環境が学習効率を左右するい
- 学習計画がうまくいくためには,すべきことと所要時間の可視化が必要
- 環境を変えれば学習行動が変わる
- 引用文献
- 索引