社会と世界

この投稿記事は、固定頁のコンテンツ「問題解決と創造」、「環境:自然・人工物・情報」のうちの「情報」を、見やすく整理するために「環境」の下位項目に移転するに際し、投稿記事にしたものです。今後、固定記事の方が、修正されます。

情報

この項目は、「環境:自然・人工物・情報」の一分野として、「情報」の基礎的な問題についての考察を提供します。なお「IT・AI・DX」で、「情報技術」について「DSを支える理論と技術」で、デジタル情報の問題を「デジタル情報とネット・ITをめぐる諸問題」で取り上げ、「サイバー空間の病理と対応」を現代社会・世界の問題として捉え返せば、「世界の複雑な問題群」で検討する「デジタル情報の氾濫と法とルールの破綻」の問題となる。

今世界は

なぜ「情報」が、「環境」の「自然」と「人工物」に続くのか、不思議な気がするかもしれないが、「自然」と「人工物」に秩序を与える存在が「情報」だと考えれば、おかしな話ではないだろう(物質、エネルギー、情報を、宇宙や自然の3要素としてあげることは、「情報と秩序:セザー・ヒダルゴ」をはじめ、数多い。)。

そのような巨視的な観点を除くと、「情報」はこれまで、コミュニケーション論、メディア論、あるいは諜報論として、それなりに大きく位置づけられてきた。

しかし、今、世界は、コンピューター技術の発展に支えられたIT、AIによる「デジタル情報」流通の劇的増加、高速化によって、まさにハリケーンに急襲された状態だ。

今後中長期的に、IT、AIが世界に何をもたらすのか、実は誰にもわかりはしないのだ(「世界の現在と未来を知るために」)。

情報の基礎

そもそも情報とは何で、どうしてデジタル情報によって「まさにハリケーンに急襲された状態」のようなことが起きているのかを、原理的に説明できるかが情報論の課題である。

それについて真正面から説明しようとする試みに、西垣通さんの「基礎情報学」がある(例えば「生命と機械をつなぐ知-基礎情報学入門」(Amazonにリンク))。基礎情報学は、情報を、生命情報、社会情報、機械情報に分類して考察する。そして各情報を、システム、メディア、コミュニケーションとプロパゲーションに位置付け関係付けて考察しており、情報の基礎と問題点を学ぶには十分の本だ(ただ「情報科学」の本とは違い、哲学的な考察を導入して議論の広がりがあり、全体を把握するのは大変だ。)。因みに、生命情報の最初はアフォーダンスのようなことから説明されているので、どうして物的世界の情報の流れが生命情報になるのかというところは、「哲学入門」(著者:戸田山和久)(Amazonにリンク・本の森にリンク)が参考になる。私は、「行動論」で取り上げるアフォーダンスとオートポイエーシスはどういう関係かなあと戸惑っていたが、西垣さんはそのそれをかなり詳細に検討しており(「こころの情報学」第4章「アフォーダンスとオートポイエーシス」)、その問題の所在の把握力は、評価できる。

その他、「情報と秩序-原子から経済までを動かす根本原理を求めて」(セザー・ヒダルゴ)(Amazonにリンク)(冒頭は、「宇宙はエネルギー、物質、情報からできている。だが、宇宙を興味深いものにしているのは情報だ」から始まる。)や、「インフォーメーション-情報技術の人類史」(ジェイムズ・グリック)(Amazonにリンク)も、情報の基礎を別の観点から明らかにするものとして参考になるだろう。

デジタル情報を流通させるためには、論理的で正確な手続が必要だが、一方、今、流通している大量の情報には内容がでたらめなものが多いという事態はどこから生じるのか、どう対応すべきかは、すぐに答えの出る問題ではないが、カッカせずに、情報の基礎に立ち返って考察を重ねるべきであろう。

それはさておき、今「情報技術」は、様々な分野で、現在と未来の「世界」の動向を支配するもっとも重要な要素だ。それらを正確に理解するためには、「情報の基礎」(ここでは「情報とサイバー空間」と捉えよう。)を押さえることが不可欠だ。

放送大学の情報コースで提供されている講義

「情報」に関する基礎から応用までの知識は、「放送大学」の「情報コース」でほぼ網羅的に提供されている。ただ「情報コース」は科目が多いのにその相互の関係が分かりにくく、一応「履修科目案内図」が作成されているものの、それも最後の一歩の整理に欠けている。そこで私は、私用に少し手を加えて「情報コース の科目概要」を作成した。情報コースの、各「ソフトウェア系、情報数理系、マルチメディア系、ヒューマン系、情報基盤系」で、基盤科目、導入科目、専門科目、総合科目でそれぞれ何を学べばいいかが分かる。背景を黄色にした科目は、既に私が印刷教材を入手したものだが(2020年10月)、結構ばらばらであることが分かる。ただ私がそのような情報を入手しないまま、いずれの系にせよ入門に当たる「遠隔学習のためのパソコン活用」と「情報学へのとびら」、締めくくりの「情報技術が拓く人間理解」と「AIシステムと人・社会のとの関係」を購入済みなのは、悪くない(自画自賛)。ここではその4講義と各回の内容を挙げて置こう。

  • 遠隔学習のためのパソコン活用(’17)Personal Computers for Distance Learning 名:秋光 淳生、、三輪 眞木子
    • 第1回 パソコンの基本操作、第2回 インターネットのしくみとWebの活用、第3回 インターネットを利用した学習、第4回 電子メールのしくみと利用、第5回 セキュリティと情報倫理、第6回 ソーシャルネットワークと学び、第7回 図書館の利用方法、第8回 電子情報源の利用方法、第9回 表計算の基本、第10回 図表作成の技法、第11回 文書作成の基本、第12回 文書作成の技法、第13回 プレゼンテーションの基本、第14回 プレゼンテーションの技法、第15回 パソコンを今後の学習にどう生かすか
  • 情報学へのとびら(’16)Introduction to Informatics:加藤 浩、大西 仁(放送大学教授)
    • 第1回 情報化する社会を生きる、第2回 情報のデジタル表現とマルチメディア、第3回 コンピュータの構成要素とその機能、第4回 インターネットの歴史としくみ、第5回 インターネットの応用、第6回 情報リテラシーと情報倫理、第7回 情報社会のリスク、第8回 情報セキュリティ、第9回 情報社会と法律情報、第10回 プログラミング(1)、第11回 プログラミング(2)、第12回 ユーザインタフェース、第13回 データベースの基礎、第14回 ソフトウェアの開発、第15回 情報通信技術が変える社会
  • 情報技術が拓く人間理解(’20)Understanding the Humans through Information and Communication Technologies: 仁科 エミ、辰己 丈夫
    • 1 科目の全体像、2 遣伝情報の基本原理、3 遺伝情報からの人間理解、4 生命体のなかでの情報の働き、5 イメージング技術が描き出す脳内情報伝達、6 視聴覚情報メディアの発展と人間の応答、7 非言語行動に着目した会話インタラクションの理解、8 ライフログ技術を使った社会活動の理解と活用、9 博物館・美術館での情報技術の利用と展開、10 人間の学習行動と学習環境のデザイン、11 人間を理解するためのロボット、12 データサイエンス・ビッグデータ、13 データクレンジング・人工知能の登場と倫理、14 人工知能の活用と人間理解、15 まとめと展望
  • AIシステムと人・社会との関係(’20)Relationships between AI Systems and Human Society: 山口 高平、中谷 多哉子
    • 1 AIの誕生と1960年代第1次ブーム、2 1970年代第1次停滞期(第2次ブームの準備)、3 1980年代第2次ブーム、4 1990?2000年代第2次停滞期(第3次ブームの準備)、5 2010年代第3次ブームと未来社会、6 スポーツデータマイニング、7 自動運転、8 ロボット飲食店、9 間接業務とAI、10 社会インフラを支えるAI、11 クラスルームAI、12 知的パートナーAI、13 AI技術の適用可能性と限界、14 AIシステムを組み込む社会、15 AI国家戦略

「情報・サイバー空間」の構成

基本書

以上の常識的な放送大学の講義を踏まえつつ世界の問題解決を準備する「情報・サイバー空間」は、「情報総論」、「情報法と判例」、「サイバー空間の病理と対応」に分けて論じよう。情報技術の問題は、「IT・AI・DX」の「DSを支える理論と技術」で検討しよう。

全体を通じて参照すべきは、次の本である。

  • 「サイバー空間を支配する者-21世紀の国家・組織・個人の戦略」(著者:持永大, 村野正泰, 土屋大洋)(Amazonにリンク

関連記事

なお「情報」全体への導入として、次の記事を作成しているので紹介しておく。

情報をめぐって

やり残したことども」の「続情報をめぐって」の部分

情報総論

参考書

  • 「生命と機械をつなぐ知-基礎情報学入門」(著者:西垣通)(Amazonにリンク))
  • 「こころの情報学」(著者:西垣通)(Amazonにリンク
  • 「情報と秩序-原子から経済学までを動かす根本原理を求めて」(著者:セザー ヒダルゴ)(Amazonにリンク
  • 「情報-第2版」(著者:山口 和紀)(Amazonにリンク
  • 「インフォーメーション-情報技術の人類史」(著者:ジェイムズ グリック)(Amazonにリンク
  • 「IT全史-情報技術の250年を読む 」著者:中野明)(Amazonにリンク

情報法と判例

導入と基本書

どうして複雑な世界の問題解決にアクセスする「問題解決と創造」の「情報とサイバー空間」に、「情報法と判例」という法律マターが入っているのかという疑問がありうるだろう。それは、「サイバー空間」は、いわばいい意味でも悪い意味でも「無法地帯」なので、これに関わるときに、一体、何がルールとされているのか、そのルールから逸脱するとどうなるかについて、法と実際例(判例)を見極めておくことが、「サイバー空間」で適切に行動するために重要だと考えるからである。そのためにお薦めするのは、次の2冊である。

  • 「情報法入門【第5版】-デジタルネットワークの法律」(著者:小向 太郎)(Amazonにリンク
  • 「新・判例ハンドブック 情報法」(編者:宍戸 常寿)(Amazonにリンク

これらについては行動規範として、おおまかな目次が頭に入っていた方がいいので、目次を掲記しておこう。

「情報法入門」
  • 1 デジタル情報と法律(デジタル・ネットワークの衝撃/デジタル・ネットワークと法律/情報化関連政策) 
  • 2 ネットワーク関連事業者(通信と放送/ネットワーク上の媒介者/プラットフォーム事業者) 
  • 3 情報の取扱いと法的責任(取得・保有・提供/サイバー犯罪と青少年保護/知的財産の保護/個人情報保護)
「新・判例ハンドブック 情報法」
  • 第1章 情報流通の自由(知る権利 /意見の表明 /報道取材の自由 /選挙過程)
  • 第2章 内容に着目した情報の規律(わいせつ /児童ポルノ /青少年保護 /名誉棄損-社会的評価の低下等 /名誉毀損-公益性・公共性 /名誉毀損-真実性・相当性 /名誉毀損-公正な論評 /名誉毀損-救済 /その他)
  • 第3章 プライバシー・個人情報(肖像権 /表現の自由とプライバシー /個人情報の保護 /労働関係 /インターネット)
  • 第4章 知的財産法による情報の規律(著作権-著作物・著作者 /著作権-著作者人格権 /著作権-著作権の内容 /著作権-権利制限規定 /著作権-侵害と救済 /著作権-著作権による保護を受けない情報 /著作権の保護対象 /パブリシティ権)
  • 第5章 情報流通の担い手(放送 /通信 /プロバイダ /情報流通の場)
  • 第6章 情報と経済活動(広告 /独占禁止法 /商標・不正競争 /電子商取引 /情報と金融)
  • 第7章 情報と行政過程(行政調査 /行政機関と個人情報 /情報公開 /行政による情報提供)
  • 第8章 情報と刑事法(情報(システム)の保護 /捜査と情報)
  • 第9章 情報と裁判過程(裁判の公開 /取材源の秘匿 /文書提出命令)

放送大学の講義

  • 情報・メディアと法

参考本

  • 「データ戦略と法律-攻めのビジネスQ&A」(著者:中崎隆)(Amazonにリンク
  • 「インターネット訴訟」(著者:上村哲史 他)(Amazonにリンク

サイバー空間の病理と対応

基本書

「サイバー空間の病理と対応」について、「サイバー攻撃」、「サイバー煽動・戦争」、「サイバーセキュリティ―」に分けて考察する。当面、ここが極めて重要な部分である。全体を通じて参考になるのはやはり次の本である。

  • 「サイバー空間を支配する者-21世紀の国家・組織・個人の戦略」(著者:持永大, 村野正泰, 土屋大洋)(Amazonにリンク

参考本

(サイバー攻撃)
  • 「サイバー攻撃-ネット世界の裏側で起きていること」(著者:中島明日香)(Amazonにリンク
  • 「炎上と口コミの経済学」(著者:山口真一)(Amazonにリンク
  • 「初心者のためのハッキング2019」(著者:Shekhar mishra)
  • 「ハッキング・ラボのつくりかた-仮想環境におけるハッカー体験学習」(Amazonにリンク
(サイバー煽動・戦争)
  • 「フェイクニュース-新しい戦略的戦争兵器」(著者:一田和樹)(Amazonにリンク
  • 「情報戦争を生き抜く―武器としてのメディアリテラシー」(著者: 津田大介) (Amazonにリンク
  • 「情報参謀」(著者:小口 日出彦)(Amazonにリンク
  • 「情報隠蔽国家」(著者:青木理)(Amazonにリンク
  • 「誰もが嘘をついている-ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性」(著者:セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ)(Amazonにリンク
(サイバーセキュリティ)
  • 「サイバーセキュリティ」(著者:谷脇 康彦)(Amazonにリンク
  • 「サイバーセキュリティ読本【完全版】-ネットで破滅しないためのサバイバルガイド」(著者:一田 和樹)(Amazonにリンク
  • 「決定版 サイバーセキュリティー新たな脅威と防衛策」(著者:ブループラネットワークス)(Amazonにリンク
 

本の森,社会と世界

「人間をお休みしてヤギになってみた結果」(著者:トーマス トウェイツ)(Amazonにリンク

若きデザイナー(無職?)の果敢な挑戦

著者のトーマス トウェイツは,「気になっていたこと」でも引用した「ゼロからトースターを作ってみた結果 」(Amazonにリンク)を書いた,目の付け所が極めて優れている,イギリスの若き(あまり忙しそうではない)デザイナーである。

今回は,ヤギの骨格を模した装置を装着して移動し,草を食べてみた「結果」を本にした。最初は心配事や,人間でいることの痛みから解放されることを目指し,象になることを志したが,象は大きすぎて首が短く鼻が長いので,そのような装置を作成しても,人間の力だけでは操作が不可能なこと,常時草を食べていなければならないこと,しかも象は「道徳」を理解するらしく「人間」から離れるという目的にそぐわないこと,等からこれは断念し,哲学的考察,シャーマンの「アドバイス」,ドラッグ経験等を経てヤギになってみることにしたということだそうだ。

ヤギというと,私は牧歌的にメ~となく動物という印象だったが,Wikipediaでは「高くて狭い場所、特に山岳地帯の岩場等を好む種が多く、人間がロッククライミングをしないと登れないような急な崖においても、ヤギは登ることができる。古くから人類に親しまれている家畜ではあるが、人馴れしていない個体は見知らぬ者を見ると攻撃してくることがあり、その際の突進の力は強力なものである」と紹介されている。そういえば横浜のどこかの動物園で,高いところに駆け登るヤギを見かけたことを思い出した。

著者は,ヤギになるからには,ギャロップをし,草を食べ,アルプス越えをしようと計画する。動物になるということでいえば,「「動物になって生きてみた」を読む」を紹介したことがあるが,そちらは本当に動物目線で生きてみようとする訳の分からなさがあって迫力満点だったが,「人間をお休みしてヤギになってみた結果」は,出発点が「心配事や,人間でいることの痛みから解放される」といっても,そういってみているだけで,デザイナーとしてのしゃれた試みに見受けられる。

各章の内容

本書の「第1章 魂」には,ヤギになってみようとするまでの経緯が書いてあって,入り組んでいて読みにくいのだが,ヤギになることを決めた後の「第2章 思考」以下(第3章 体,第4章 内臓,第5章 ヤギの暮らし)は,抱腹絶倒の面白さがある。

例えば,第2章では,ヤギ行動学のエキスパート、アラン・マックエリゴット博士と次のような話をする。

「なぜ君はヤギになりたいんだ?」,「ええと,実はシャーマンに会いに行きまして,彼女が僕にヤギになれと言うんですよ~」, 「へえ,なるほどね」。一瞬の沈黙の後、彼は続けた。「なぜシャーマンに会いに行ったんだ?」,「実は,象になろうと思って行き詰まっちゃいましして」,「そりゃそうだろうね」,「敢えて質問するけれど、なぜ象になりたかったんだ?」 「ああ、象ね……。えっと,人間の存在とその考えの詰まった世界を重く感じちゃったんです。つまり,動物になった方がラクじゃん? って考えたんですよ。動物になれば悩みもなくなるんじゃないかって。いわゆる、人間特有の悩みっていうやつですが。ヤギは悩んだりするのかな?って思って」 「悩むね,実のところ、,自身はそれを〝悩む〟とは言わないけどね。不安になる……つまりストレスを感じるということだろう」。

その他,人間がヤギになる装置をつけてギャロップしようとすると鎖骨が折れる話,どちら(性別)のヤギになりたいのかという話,死んだヤギの解剖を手伝い動物は管とその付属機関であると認識したこと,草を食べて動物の消化器官内の液を自分の大腸に移植し,あるいは外部装置に入れて草を消化して食べようとして止められた話等々(まだまだあるので,気が向いたら追加しよう)。

ギャロップをすること,草を食べてみることも,テクノロジーを研究して乗り越えようとするが,うまくいかず,結局,実行したことは,体力を要する装置を動かし,短い期間ヤギと過ごし(一頭に気に入られた),アルプス越えをするという,体力勝負が前面に出た根性物語に近くなっている。その意味では,ウルトラマラソンやトレラン(「BORN TO RUN 走るために生まれた―ウルトラランナーVS人類最強の走る民族」(著者:クリストファー・マクドゥーガル )(Amazonにリンク),冒険譚(「人間はどこまで耐えられるのか」(著者:フランセス・アッシュクロフト)(Amazonにリンク)を読む面白さがある。

ただこれらの試みは,人間と動物を別物としているわけではない。人間を動物の一亜種としてとらえ,動物になることで動物である人間をよりよくとらえようとしているのである。しかしイギリス人は,面白いことを考え,実行するなあ。これが「文化」だろうね。

 

 

本の森,社会と世界

この記事は,「問題解決と創造に向けて」「環境:自然・人工物・情報の続き」として「情報」全般について論述した固定記事を投稿したものです。固定記事の方は,逐次,内容を更新していますので,最新版は,そちらをご覧ください。

情報とサイバー空間

今世界は

なぜ「情報」が,「環境」の中の「自然」と「人工物」の間に入るのか,不思議な気がするかもしれないが,「自然」と「人工物」に秩序を与える存在が「情報」だと考えれば,おかしな話ではないだろう(後記「情報と秩序」)。

「情報」はこれまで,コミュニケーション論,メディア論,あるいは諜報論として,それなりに社会に大きく位置づけられてきたが,今,世界は,コンピューター技術に支えられたIT,AIによる「情報」流通の劇的増加,高速化によって,まさにハリケーンに急襲された状態だ。今後中長期的に,IT,AIが何をもたらすのか,実は誰にもわかりはしないのだ(「世界の現在と未来を知るために」)。

それはさておき,今「情報」は,私の4要素5領域の分類の中でも,人の仕事の「PC・IT,AI技法」として,企業の「経営」を支える重要なツールとして,政府の「政策」として,そして現在と未来の「世界」の動向を支配するもっとも重要な要素だ。それらを正確に理解するためには,「情報」の基礎(ここでは「情報とサイバー空間」と捉えよう。)を押さえることが不可欠だ。

「情報」の構成

導入

「情報とサイバー空間」は,「情報総論」,「情報法と判例」,「サイバー空間の病理と対応」に分けて論じよう。

全体を通じて参照すべきは,次の本である。

  • 「サイバー空間を支配する者-21世紀の国家・組織・個人の戦略」(著者:持永大, 村野正泰, 土屋大洋)(Amazonにリンク

なお「情報」全体への導入として,次の記事を作成しているので紹介しておく。

情報をめぐって

やり残したことども」の「続情報をめぐって」の部分

情報総論

<検討すべき何冊かの本>

  • 「情報と秩序-原子から経済学までを動かす根本原理を求めて」(著者:セザー ヒダルゴ)(Amazonにリンク
  • 「情報-第2版」(著者:山口 和紀)(Amazonにリンク
  • 「生命と機会をつなぐ知-基礎情報学入門」(著者:西垣通)(Amazonにリンク
  • 「インフォーメーション-情報技術の人類史」(著者:ジェイムズ グリック)(Amazonにリンク
  • 「IT全史-情報技術の250年を読む 」(著者:中野明)(Amazonにリンク

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情報法と判例

<これだけは押さえよう>

どうして複雑な世界の問題解決を試みる「問題解決に向けて」の「情報とサイバー空間」に「情報法と判例」という法律マターが入っているのかという疑問がありうるだろう。それは,「サイバー空間」は,いわばいい意味でも悪い意味でも「無法地帯」なので,これに関わるときに,一体,何がルールとされているのか,そのルールから逸脱するとどうなるかについて,法と実際例(判例)を見極めておくことが,「サイバー空間」で適切に行動するために重要だと考えるからである。そのためにお薦めするのは,次の2冊である。

  • 「情報法入門【第4版】-デジタルネットワークの法律 」(著者:小向 太郎)(Amazonにリンク
  • 「新・判例ハンドブック 情報法」(編者:宍戸 常寿)(Amazonにリンク

これらについては行動規範として,おおまかな目次が頭に入っていた方がいいので,掲記しておこう。

「情報法入門」

1 デジタル情報と法律(デジタル・ネットワークの衝撃/デジタル・ネットワークと法律/情報化関連政策) 2 ネットワーク関連事業者(通信と放送/ネットワーク上の媒介者/プラットフォーム事業者) 3 情報の取扱いと法的責任(取得・保有・提供/サイバー犯罪と青少年保護/知的財産の保護/個人情報保護)

「新・判例ハンドブック 情報法」

第1章 情報流通の自由(知る権利 /意見の表明 /報道取材の自由 /選挙過程)第2章 内容に着目した情報の規律(わいせつ /児童ポルノ /青少年保護 /名誉棄損-社会的評価の低下等 /名誉毀損-公益性・公共性 /名誉毀損-真実性・相当性 /名誉毀損-公正な論評 /名誉毀損-救済 /その他)第3章 プライバシー・個人情報(肖像権 /表現の自由とプライバシー /個人情報の保護 /労働関係 /インターネット)第4章 知的財産法による情報の規律(著作権-著作物・著作者 /著作権-著作者人格権 /著作権-著作権の内容 /著作権-権利制限規定 /著作権-侵害と救済 /著作権-著作権による保護を受けない情報 /著作権の保護対象 /パブリシティ権)第5章 情報流通の担い手(放送 /通信 /プロバイダ /情報流通の場)第6章 情報と経済活動(広告 /独占禁止法 /商標・不正競争 /電子商取引 /情報と金融)第7章 情報と行政過程(行政調査 /行政機関と個人情報 /情報公開 /行政による情報提供)第8章 情報と刑事法(情報(システム)の保護 /捜査と情報)第9章 情報と裁判過程(裁判の公開 /取材源の秘匿 /文書提出命令)

<検討すべき何冊かの本>

  • 「情報法入門【第4版】-デジタルネットワークの法律 」(著者:小向 太郎)(Amazonにリンク
  • 「新・判例ハンドブック 情報法」(編者:宍戸 常寿)(Amazonにリンク
  • 「データ戦略と法律-攻めのビジネスQ&A」(著者:中崎隆)(Amazonにリンク
  • 「インターネット訴訟」(著者:上村哲史 他)(Amazonにリンク

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サイバー空間の病理と対応

「サイバー攻撃」,「サイバー煽動・戦争」,「サイバーセキュリティ―」に分けて考察する。当面,ここが極めて重要な部分である。全体を通じて参考になるのはやはり次の本である。

  • 「サイバー空間を支配する者-21世紀の国家・組織・個人の戦略」(著者:持永大, 村野正泰, 土屋大洋)(Amazonにリンク

<検討すべき何冊かの本>

(サイバー攻撃)

  • 「サイバー攻撃-ネット世界の裏側で起きていること」(著者:中島明日香)(Amazonにリンク
  • 「炎上と口コミの経済学」(著者:山口真一)(Amazonにリンク
  • 「初心者のためのハッキング2019」(著者:Shekhar mishra)
  • 「ハッキング・ラボのつくりかた-仮想環境におけるハッカー体験学習」(Amazonにリンク

(サイバー煽動・戦争)

  • 「フェイクニュース-新しい戦略的戦争兵器」(著者:一田和樹)(Amazonにリンク
  • 「情報戦争を生き抜く―武器としてのメディアリテラシー」(著者: 津田大介) (Amazonにリンク
  • 「情報参謀」(著者:小口 日出彦)(Amazonにリンク
  • 「情報隠蔽国家」(著者:青木理)(Amazonにリンク
  • 「誰もが嘘をついている-ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性」(著者:セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ)(Amazonにリンク

(サイバーセキュリティ)

  • 「サイバーセキュリティ」(著者:谷脇 康彦)(Amazonにリンク
  • 「サイバーセキュリティ読本【完全版】-ネットで破滅しないためのサバイバルガイド」(著者:一田 和樹)(Amazonにリンク
  • 「決定版 サイバーセキュリティー新たな脅威と防衛策」(著者:ブループラネットワークス)(Amazonにリンク