法とルール

この頭は動作していません??

前回,「このページは動作していません」という記事を投稿してから1か月が経過してしまった。この間必ずしも「この頭は動作していません」という状態にあったわけではなく,2週間は次の投稿記事を考えていたが,その後は,ある事件の「控訴理由書」の作成に追われ,数日前にやっと完了して,息をついたところだ。

前回の投稿時から考えたこと

著作権法判例百選第5版事件はどうなったか

前々回の投稿が2月22日の「最近の知財法改正を一覧する」だから,その頃,一生懸命に,知財,著作権について考えていた。

「こうして知財は炎上する-ビジネスに役立つ13の基礎知識」(著者:稲穂健市)の中に,次のような紹介があった。

「『判例百選(第4版)』の編者のひとりとされた大渕哲也・東京大学教授は,改定版である『判例百選(第5版)』の編者から自らを除外されたことにより著作権と著作者人格権を侵害されたとして,第5版の出版差し止めの仮処分を東京地裁に申し立て,東京地裁は出版を差し止める仮処分決定を出したが,知財高裁は仮処分の決定を取り消した。これにより,約1年遅れて第5版は無事に出版された(筆者の「なぜこんなことになったのか筆者にはよくわからないが,「著作権村」のパワーバランスが関係しているのかもしれない」とのコメントがある。)。

この「著作権判例百選事件」,果たして『著作権判例百選(第6版)』に掲載されることになるのだろうか?」

これを読んで私は出版を楽しみにし,出版直後の3月14日に購入した(その時は気が付かなかったが,Kindleのプリント・レプリカ形式でも出ている。)。

なんと,出ていた(18事件)が報告が遅くなった。あまり知性を感じない事件ではある(著作権紛争にはそういう事件が多い。)。

働き方改革をめぐって

そういえばこの4月から「働き方改革」に関する法令の多くが施行されるのできっちりまとめておく必要があるだろう。

厚労省は「働き方改革」の実現に向けて」の冒頭に「我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。」とする。支離滅裂でひどい書きぶりだと思うが,できたものは労基が罰則付きで強制するように跋扈するだろうから,関係する会社がこれで足をすくわれないよう,しっかり対応できるように目配りしていくしかない。

法とルールの基礎理論をめぐって

政府が進める知財法,情報法,会社法,労働法,行政法等(その他すべて)についての理念,手法なき法令の複雑化がこのまま進めば社会は窒息するので,使いやすくわかりやすいルールを策定し,施行するにはどうすればいいかの検討は必須であるとずっと言い続けているが,どう取り組むべきかは極めてむつかしい。

知財法は,とりあえずレッシグをよく読んでみよう。

基本は,進化→行動→法とルール←システムという構造の中で,使いやすくわかりやすく機能する法とルールは,どうあるべきかということであるが,この構図のままでは抽象度が高すぎて,「理念,手法」の提示まではまだ遠い。もう少し時間が必要だ。

ITと進化をめぐって

ITが社会や政治にもたらす影響について,様々に論じられているが,ネット上の言説は何でもありで攻撃的だし,それが押えられないことは所与の前提とするしかない。

ところで最近,これって「万人は万人に対して狼」,「万人の万人に対する闘争」というホッブスの世界ではないかということにふと気が付いたのである。ホッブスは近代国家論の端緒を開いたといわれるが,ホッブスの死後およそ350年が経過して,社会は闘争状態に回帰した。

しかし,「万人の万人に対する闘争」についてのホッブスの具体的な認識は,人間を進化論的に見たときどうなんだろうか(「リバイアサン」の翻訳本に少し目を通してみたが,全然古臭くないが,ダーウィン200年前の人である。)。多少なりとも,ダーウィンがもたらした知見と重なっているだろうか。更には現代の進化論を踏まえる,行動分析学,オートポイエーシス,アフォーダンスから見てどうなんだろうか。ITを突破口にする 法とルールの基礎理論へのルートもありそうだ。

このところKindleのIT本が安くなっていたので,何点かの「PC・IT・AI技法」の本も買った。

いろいろと乗りかかった船を進めよう。

 

IT・AI・DX,日々雑感

何が起こったのか

すこし前になるが,このWebをいじっていて,あるページに移動しようとしてクリックすると,下記の表示が出て移動できないことがあった。

「このページは動作していません。××でリダイレクトが繰り返し行われました。クッキーを消去してみてください。ERR_TOO_MANY_REDIRECTS」。

何てことだ。そこでクッキーを消去してみたが事態は変わらない。そのときはそのページはあまり利用しないので放っておき,その後削除したかもしれない。

ところがこの土日に「法と弁護士業務」に関する記事を「弁護士の仕事を知る」にまとめようと思い,あれこれメニューをいじり,記事を移動しているうちに,ふと気が付くと(移動した(これも後で気がついたが))「分野別法律問題の手引」「新しい法律問題」「法を問題解決と創造に活かす」に上記の問題が発生してしまった。これらはハブになるページだから放っておくわけにもいかない。すこし,ググってみたが,それらの記事をみても何をどうすればいいかわからない(もちろんクッキーは消去してみた。ほとんどは,WordPress.orgの問題のようだ。)。

パーマネントリンク

ところでググったある記事に,設定の「パーマリンク設定」の「変更を保存」をクリックしてみればいいとあったので,クリックしてみたが,もちろん何も起こらない。私の「パーマリンク設定」は日本語にしたままなので,URLになると長い記号となり,見たくもない領域なので,くわばらくわばら。

だがしばらくして,ふと,私がしたことは記事の移動である,そうするとそれによってリンクがおかしくなり,リダイレクト(無限ループ)がおこった可能性があるなあという思いがしてきた。そこでこわごわと,問題となる記事のパーマリンクの編集で,その記事の題名を書き換えてみた。

これなんだ。うまくいった。下位メニューもちゃんと書き換えられている。さすがコンピューターだ。これで問題解決。つかれるなあー。

ところで,Wordpress.comは,決して安くない有料サービスなのに,英語でしか問い合わせできないとはどういうことだ。このままでは仕方がないので,うまくいかなかった場合は,英語で問い合わせるしかないと,更に暗くなっていた私であった。

人の心と行動

最近の知財法改正を一覧する

問題の所在

知財法は,古くからの歴史の風雨にもまれてきたわけではなく,新しい,したがって多くは人為的な法令であるから,政府が理解するその時々の社会・経済状況に応じて,次々と手が加えられやすい。我が国の知財法もその例にもれず,改正を追っかけるのが大変だ。

それでも当該法令が真正面から改正の対象となっているときは,まだ目に入りやすいが,他の法令の改正に伴って改正される場合は,本当にわかりにくい。

そこで,未施行分も含めて,最新の法令を調べるにはどうしたらいいのかを検討し,最近の知財法改正を一覧することにした。

法令検索

それにしても,政府がe-Gov(電子政府の総合窓口)で「法令検索」(外部サイトの記事にリンク)を提供していることは高く評価できる(一方,「行政文書」を隠そうとすることは,時代の流れに逆行し,そのうち破たんするだろう。)。

まず,「法令検索」の「法令名」で当該法令を検索すれば,「施行日」現在の最新の法令と「未施行」部分があることが分かる(「目次」の右隣にある)。

ただし,「データベースに未反映の改正がある場合があります。最終更新日以降の改正有無については、上記「日本法令索引」のリンクから改正履歴をご確認ください」とあるように,「施行日」が過ぎていても,条文に反映されていないことがあるが,せいぜい長くて2か月程度のタイムラグのようだ。その場合は,国立国会図書館が作成している,「日本法令索引」の改正履歴を見れば,どの法律による改正が反映されていないのかある程度の見当は付くが,複数の改正法があったり,法律の成立と施行日がずれていたりすることから,どの法律のどの部分がいつから施行されるのかは,「附則」等を確かめなければわからないので,一目瞭然とはいかないようだ。別の情報を探した方がいいかもしれない。このあたりはもう少し調べてみよう。

それと今気が付いたが,「未施行」欄には,未施行部分が施行されたときの将来の法令が出ている。上記のタイムラグがある場合も,ここに反映されていればいいのだが,どうだろうか。確認出来れば,ここの記述に反映しよう。

概説書を理解するために

ところで最新の法令を知りたいということとは別に,概説書等を読むためには,その概説書が書かれた後の法令改正も頭に入れておく必要がある。特に,頻繁に改正されることが多い知財法分野では,その必要性が大きい。

そこで試みまでに,知財5法プラス不正競争防止法について,平成26年以降の改正,及び未施行部分を網羅してみることにした。

作業は,当該法令の検索,未施行部分のピックアップ,及び当該法令について「日本法令索引」に記載された平成26年以降の部分をピックアップするということである。もっとわかりやすくまとまられている情報もあるだろうが,これも大事な作業である。ただこれに熱中すると,どうしても中味がおろそかになる。役所はどうだろうか。