地球環境と資本主義の行方
2052 今後40年のグローバル予測:ヨルゲン・ランダース
目次 CONTENTS |
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- 序文 未来は何をもたらすか?
- 第1部 背景 BACKGROUND
- 第1章 未来についての懸念
- 第2章 2052年に向けて危惧される五つの問題
- 第2部 私の世界予測 MY GLOBAL FORECAST
- 第3章 私の予測の根拠
- 第4章 2052年までの人口と消費
- 第5章 2052年までのエネルギーとCO2事情
- 第6章 2052年までの食料事情
- 第7章 2052年に向かう非物質的未来
- 第8章 2052年の時代精神
- 第3部 分析 ANALYSIS
- 第9章 未来についての考察
- 第10章 5つのグループの未来
- 第11章 他の未来予測との比較
- 第12章 あなたは何をすべきか?
Come On! 目を覚まそう!―ローマクラブ『成長の限界』から半世紀 ~環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか?
- 目 次
- 日本語版 はじめに
- はしがき 要旨 謝辞
- 第1章 人類の今の歩みが持続可能だなんて言わないでください!
- 1.1 はじめに:混乱の中にある世界
- 1.1.1 さまざまな危機と無力感/1.1.2 金融化:混乱現象/1.1.3 「空っぽの世界」と「いっぱいの世界」
- 1.2 『成長の限界』──その主張はどれだけ妥当だったのか?
- 1.3 プラネタリー・バウンダリー
- 1.4 人新世
- 1.5 気候変動
- 1.5.1 わたしたちには「一点集中計画」が必要だ/1.5.2 超過分をどうするか/1.5.3 マーシャルプラン?/1.5.4 人類は既に気候目標を達成する機会を逃してしまったのか
- 1.6 その他目の前に立ちふさがる災厄
- 1.6.1 技術的な未知と既知である脅威/1.6.2 核兵器──忘れられた脅威
- 1.7 持続可能でない人口増大と都市化
- 1.7.1 人口動態/1.7.2 都市化
- 1.8 持続可能でない食と農の仕組み
- 1.9 貿易対環境
- 1.10 持続可能な開発のための2030アジェンダ──悪魔は実行に宿る
- 1.11 わたしたちは揺さぶられるのが好き? デジタル革命の例
- 1.11.1 揺さぶりをかける技術──新たな誇大広告/1.11.2 デジタル化は現代の流行語/1.11.3 恐るべき「特異点」と「指数関数型技術」/1.11.4 仕事
- 1.12 「空っぽの世界」から「いっぱいの世界」へ
- 1.12.1 物理的成長の影響/1.12.2 GDPのあやまり──無視される物理的影響/1.12.3 GDPのあやまり再び──費用をあたかも便益であるかのように扱う
- 第1章と第2章との関係
- 1.1 はじめに:混乱の中にある世界
- 第2章 合わなくなった世界観にしがみつかないで!
- 2.1 ラウダート・シ──教皇が声を上げている
- 2.2 物語を変えよ、未来を変えよ
- 2.3 1991年:「第一次地球革命」
- 2.4 資本主義の思い上がり
- 2.5 市場原理の失敗
- 2.6 市場原理の理念的な誤り
- 2.6.1 アダム・スミス、予言者、道徳家、啓蒙者/2.6.2 デイヴィッド・リカード、資本移動、そして比較優位vs絶対優位/2.6.3 チャールズ・ダーウィンは地球規模貿易でなく局地的競争を意図していた/2.6.4 対照を減らす
- 2.7 還元主義思想は浅く不充分である
- 2.7.1 還元主義思想/2.7.2 技術の誤用
- 2.8 理論、教育、そして社会的現実の間にある相違
- 2.9 寛容と長期的な視野
- 2.10 わたしたちには新たな啓蒙が必要かもしれない
- 2.10.1 合理主義の再生でない、新たな啓蒙/2.10.2 陰と陽/2.10.3 排除でなく、バランスという思想
- 第2章と第3章との関係
- 第3章 さあ! 持続可能な世界を目指すわくわくするような旅に参加しよう!
- 3.1 再生力のある経済
- 3.1.1 新たな物語/3.1.2 自然資本主義:変化の物語/3.1.3 すべてを再設計する/3.1.4 再生の管理
- 3.2 ディベロップメント・オルタナティブズ
- 3.3 ブルー・エコノミー
- 3.3.1 中核的原則/3.3.2 コーヒー化学と食用キノコ/3.3.3 サルデーニャでのバイオリファイナリーとアザミの設計/3.3.4 三次元海洋養殖と気泡による釣り
- 3.4 分散型エネルギー
- 3.5 農業に関するいくつかの成功事例
- 3.5.1 持続可能な農業政策の一般方針/3.5.2 途上国における持続可能な農業/3.5.3 先進国の貢献
- 3.6 再生都市化:エコポリス
- 3.6.1 エコポリス:循環資源フロー/3.6.2 再生都市/3.6.3 都市と自然災害/3.6.4 アデレード/3.6.5 コペンハーゲン
- 3.7 気候──いくつかの良い報せと更なる挑戦
- 3.7.1 良い報せ/3.7.2 歴史的債務への対処と「炭素予算」法/3.7.3 二酸化炭素排出の価格付け/3.7.4 「戦後経済」体制で地球温暖化と闘う
- 3.8 サーキュラー・エコノミーは新たな経済論理を必要とする
- 3.8.1 経済の仕組が変わらなければならない/3.8.2 サーキュラー・エコノミーへ移行する社会的便益
- 3.9 5倍の資源生産性
- 3.9.1 運輸/3.9.2 資源効率的な建物/3.9.3 農場での水の効率的利用
- 3.10 健全な揺さぶり
- 3.10.1 情報技術を歓迎する30年/3.10.2 「良い揺さぶり」/3.10.3 そして、ここで衝撃的提言:情報税
- 3.11 金融界の改革
- 3.11.1 商業銀行と投資銀行の分離/3.11.2 負債の取り扱い/3.11.3 貨幣創造の制御:シカゴプラン/3.11.4 国際通貨取引税/3.11.5 透明性の強化/3.11.6 独立規制者/3.11.7 富裕層への課税と税の徴収/3.11.8 「ビッグ4」監査法人を監督する
- 3.12 経済制度の改革
- 3.12.1 「ドーナツ経済学」/3.12.2 多数派の支持が得られる可能性のある改革/3.12.3 グリーン転換をもっと収益が上がるものへ/3.12.4 共通善のための経済
- 3.13 良質な投資
- 3.13.1 ウォール街から慈善事業まで/3.13.2 現在進行中の構造変化/3.13.3 インパクト投資/3.13.4 主流となることが鍵/3.13.5 グリーンボンド、クラウドファンディング、フィンテック
- 3.14 GDP以外で幸福度の評価を
- 3.14.1 新たな指標への近年の研究/3.14.2 GDPとGPIとの乖離/3.14.3 ハイブリッドアプローチに向けて
- 3.15 市民社会、社会関係資本、そして共同のリーダーシップ
- 3.15.1 公的な会話:市民集会の概念/3.15.2 社会関係資本の創出:多様な利害関係者による協力/3.15.3 共同のリーダーシップの事例:コーヒーコミュニティによる共通行動規範
- 3.16 グローバルガバナンス
- 3.16.1 序論:国連システムと未来志向の考え/3.16.2 個別の仕事/3.16.3 COHAB:国民国家による共生状態
- 3.17 国家レベルの行動:中国とブータン
- 3.17.1 中国とその第十三次五ヵ年計画/3.17.2 ブータン:国民総幸福量指標
- 3.18 持続可能な文明に向けての教育 結論──わたしたちと一緒に始めよう!
- 3.1 再生力のある経済
- 本書に対する称賛の声 用語
資本主義と企業の行方
検討すべき課題
「資本主義と企業の行方」というテーマは、いささか大仰だが、これからの世界にとってもっとも切実な課題であることは間違いない。
持続可能な地球・世界・社会や、地球温暖化とエネルギー問題に対応し、降り注ぐ難問を乗り切って、将来を切り拓くためには、個人、企業、政府が、共同、協働する仕組みの確立とその運営・実行が必要だが、それがこれまでの(というよりここ数十年の)資本主義や企業のあり方がどこまで変化すれば可能かということが、資本主義の行方、企業の行方という問題である。
人は、自分の思考・行動をターゲットにし、これを変革することは(非常に難しいとはいえ)できないことはないが(だから自分が属する「組織」であれば、その「持続可能性」はターゲットたり得る。)、企業全般、ましてや、資本主義システムの全体を制御する能力はない。ただ地球のどこかで不都合が生じようと、自国(先進国)の経済の拡大や利益のみを目標としていいのであれば、資本の動きを加熱させれば部分的にはそれは可能であったし(それでも制御不能な大波は、幾度となく押し寄せてきた。)、企業、政府は、帝国主義時代から現代に至るまでそれを繰り返してきた。しかし、「満杯となった地球」、「金利の指数関数的運用の不可能性」の中で、どうすれば持続可能なのか、分業の役割が視野にない「自給自足」ではない、別の切り口はないのか、出来の悪い「評論家」でいいから、ここで少しでも問題に迫りたいと思う。
詳細な検討は、追ってということだが、当面簡単なメモと検討すべき参考本を掲載しておく。じっくり検討するしていくしかない。
資本主義の行方
コメント
こういう問題にいきなりノーベル賞受賞経済学者や、著名なエコノミストの本から入ると、私が権威主義的になってしまうので、身近な日本の少し変わり者(主流ではないという意味だが)の経済学者の本から検討しよう。
ⅰは、経済学者でさえない理科系の人だが、「資本主義」とは何かということに迫っていて世評の高い本だ。
ⅱからⅵの倉坂さん、広井さんは、どちらも千葉大学にいて(広井さんは今は京都大学のようだ)、環境を踏まえた経済、社会について論陣を張っている。入口としてまず取り組みたい。ⅶの小幡さんもいかにも変わり者という論述で、内容は新しいし大部分は面白いのだが、少し整理不足と思った。3人とも、元役人のようだ。その分、行政のどうしようもなさを踏まえているのかも知れない。
外国に目を転じると、出発点は、ローマクラブのⅷ「Come On! 目を覚まそう!」である。ⅸはノーベル賞受賞経済学者だが、様々な人と共同研究することで多くのことが目に入るらしい。ⅹからⅻは、少しずつ観点の違う資本主義の将来論である。
参考本
- 現代経済学の直観的方法:長沼伸一郎
- なぜ経済学は経済を救えないのか——資本基盤マネジメントの経済理論へ—— (上)視座と理念の転換:倉坂秀史
- なぜ経済学は経済を救えないのか——資本基盤マネジメントの経済理論へ——(下)政策展開の経済理論:倉坂秀史
- 環境と経済を再考する:倉阪秀史
- ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来 (岩波新書) :広井 良典
- 定常型社会 新しい「豊かさ」の構想 :広井 良典
- アフターバブル―近代資本主義は延命できるか:小幡 績
- Come On! 目を覚まそう!―ローマクラブ『成長の限界』から半世紀 ~環境危機を迎えた「人新世」をどう生きるか? :エルンスト・フォン・ワイツゼッカー, アンダース・ワイクマン
- 良き社会のための経済学:ジャン・ティロール
- 資本主義が嫌いな人のための経済学:ジョゼフ・ヒース
- デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか―労働力余剰と人類の富 :ライアン・エイヴェント
- ポストキャピタリズム 資本主義以後の世界:ポール・メイソン
- 増補 複雑系経済学入門:塩沢由典
- 複雑系としての経済 豊かなモノ離れ社会へ:西山賢一
- 2060デジタル資本主義 :岩田一政 and 日本経済研究センター
企業の行方
「企業の行方」は、本の選定もこれからであるが、経営改革論に止まらず、持続可能性も視野に入れているものとして、ここではとりあえず、名和高司さんと推奨する「ビッグ・ピボット」を掲載しておこう。「企業の行方」は、地球の環境問題」の「企業の取り組み」と一部重なっている。
- コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法 :名和高司
- 経営改革大全 企業を壊す100の誤解 :名和高司(Amazonにリンク)
- ビッグ・ピボット ― なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか :アンドリュー・S・ウィンストン(Amazonにリンク)