本の森

中学生からの作文技術 (朝日選書)

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本多 勝一
朝日新聞社
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一口コメント

「中学生からの」としたことで、本多さんの論争癖が押さえられ、読みやすくなった。語順と、読点が、「目玉」だが、この本の指摘する原則を頭の隅に置いて書くだけで文章の読みやすさはずいぶん変わるだろう。ただこの原則も十分に面倒くさいが。

コメント

本多さんには、もともと「日本語の作文技術 」、実戦・日本語の作文技術 という朝日文庫の本があり、これから「最低限これだけ習得すればいい部分を抽出」したものだそうだから、本多さん特有の、読んでいていやになる攻撃的な部分、独断的な部分も「最低限」で、要点だけ書かれていてお得だ。「日本語の作文技術」の主語廃止論、かかる言葉と受ける言葉(述語にかかる格助詞の成分は「補語」で、あとは修飾語と理解すればいいのだろう。「入門 日本語の文法」(村田水恵:アルク))もそのまま受け取ればいいだろう。今の外国人教授用の日本語文法(日本人のための日本語文法入門)と同じセンスと思われるので、このようなとらえ方に先見の明があったことは間違いない。

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本の森

原沢 伊都夫
講談社
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一口コメント

三上章とか大野晋とかに触発され、実際問題として何の役にも立たず困ったものだと思っていた橋本文法(学校文法)とは全く違う、外国人への日本語教授から生まれた明晰、明快な日本語文法の体系が、短い新書に凝縮している。これは今後の日本語文法論、ライティングの基礎として十分に使える。

簡単なまとめ

網羅的な「教科書」だから、一応、全体をじっくり読むのがよい。ただ、私たちは既に日本語を使用できるわけだから、その使用実態、方法を自覚的にとらえ直すこと、就中、論理的な文書を書くという観点から読み込むのがよい。以下、本書の要点を挙げてみよう。

日本語文の中心となるのは述語であり、述語になるのは、動詞、形容詞(イ形容詞、ナ形容詞)、名詞である。

文の成分と述語の関係を示すのが格助詞である。格助詞は、全部で9つあり、ガ格(主格(主語))、ヲ格(目的語)、ニ格(場所、時、到達点)、デ格(場所、手段・方法、原因・理由)、ト格(相手)、ヘ格(方向)、カラ格(起点)、ヨリ格(起点、比較)、マデ格(到達点)であり、鬼までが夜からデート(ヲニマデガヨリカラデヘト)と覚える。

成分には、必須成分と随意成分があり、必要最小限の組み合わせを文型という。

日本語文は、客観的な事柄を表す部分と(コト)、その事柄に対する話者の気持ちや態度(ムード)を表す部分に分かれる。「~ハ」は、ムードを表し、「主題」を提示し、述語はこれを説明する(主題-解説)。したがって、ムードには、付加部分と、「~ハ」がある。

主語は、述語との関係で、特別な存在ではない。格成分は、どの成分でも、「~ハ」によって、主題として提示される。

「自動詞」「他動詞」、「ボイス」、「アスベクト」、「テンス」、「ムード」

「は/が」の使い分け(150~157頁)

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