IT・AI・DX

AIのわかりやすいとらえ方

今AIは何を目指しているのだろうか。

カーネマンのシステム1(直観的ないし無意識的思考)とシステム2(論理的思考)を持ち出すと、人間の思考は、システム1とシステム2の複雑な絡み合いで成り立っているが、生物誕生以来の進化と共にあるシステム1が圧倒的な影響力を持つと共に繁殖、生存レベルで優れているが、意識(言語)により生まれたと思われるシステム2は、科学を生み、宇宙、物質、生命を解読しつつある。

これを踏まえれば、AIは、これまでコンピュータが扱ってきた人間の論理的思考をはるかに凌駕するシステム2分野に、苦手とするシステム1分野を組み込もうとする動きだととらえることができよう。そしてコンピュータが、人間より高度のシステム1とシステム2の両者を備えれば、「汎用人工知能」の誕生といえるのだろう。ただ、それだけではどうも足りないような気がするが。

例えば、AIの動きにばかり気が取られていると、「古典を読め。歴史を知れ。」といわれると、「?」となってしまうが、少ない観察材料とほとんどない科学的知見から事柄の本質を見抜く「古典」、人のした数少ない社会実験から人間を解明する「歴史」はいずれも貴重な資産である。人はそこから学べるが、さてAIは?これは難癖に近いかもしれない。

AIの最先端を追う人々

AIの最先端を追う人々の様々な動きは、複眼的にみる必要があるだろう。

今これを開発しつつある科学者、技術者、企業は、コンピュータやインターネットが持つシステム2の能力を背景に語るので、とても大きな「存在感」があるが、よく考えれば、利用しているのは、本人自身の理科系的センスのシステム1とシステム2であるから、これまでの科学史どおり、玉石混交、試行錯誤を繰り返し、正しく未来を切り開く試みはごく僅かであろう。だがそれで十分だ。

一方、これを自身の生産活動に持ち込んで利用したいと思う人々がいる。希望と利益の両者に引っ張られるユーザーたちである。

さらにこの両者の間に介在して利益を得ようとする、販売者、ブローカー、評論家がいる。一番目立つのはこの人たちだろう。

その外枠に私のように、AIが現在何であり、近い将来的どうなるのかに、ゾクゾク、わくわくしながら随伴する人々がある。ただし私は、これを法というルールの改革に使いたいと思っているので、ゲーマーよりは、少しはいいか、どうか?

AI技術の最先端を学ぶためには

IT・AIの基礎は大事だが、玉石混交、試行錯誤を繰り返しているAI技術の最先端からも目が離せなくなる。

そのわかりやすい導入として、今私が目を通している「エンジニアのためのAI入門」はお薦めだ。おって、本の森で紹介したいと思うが、ぼやぼやしているとすぐに古くなってしまいそうだ。その場合は、この本の出版元がやっている「Think It」というWebを見ていただきたい。

AI技術の最先端を知るリンク集

AI技術の最先端ということであれば、それに取り組んでいる「人工知能学会」「NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBAI)」のWebサイトを見るのがよいだろう。

さらに個別のリンク集は、前者では「私のブックマーク」として紹介されており(更新情報はこちらにあるようです。)、後者ではその前身の「汎用知能研究会」のリンク集がある。それぞれのところから辿っていけば、海外の情報も得られるであろう。

 

法とルール

著者:佐々木隆仁

デジタル社会の難問、病理に向き合う

先日あった「シンポジウム 人工知能が法務を変える?」では、レクシスネクシスのトルコ人弁護士が「リーガルテック」という観点から、今後の弁護士業務のあり方を切り取っており、刺激的だった。その直後に本書の発刊を知り、早速入手してみた。著者は、AOSリーガルテックという会社の代表取締役であるが、本書は、会社で展開している、」あるいは今後展開したいと思っている事業から、会社色を抜いたからか、焦点が定まらない「報告書」という印象だ。強いて軸を求めるなら、現在のデジタル社会の難問、病理に向き合うのは大変だということであろうか。

まず問題が展開される場は、①アメリカ、②日本、③アメリカで事業する日本企業がある。これについて、デジタル情報が爆発的に増加している中で、ⅰアメリカの法律家が①について訴訟やeDiscovery、カルテル捜査、あるいは法情報を含む情報収集にどう対応しているかという問題、ⅱこれについて日本の法律家が③との関わりでどう対応するかという問題が、固有の「リーガルテック」の問題である。これから派生して、ⅲ②日本において、日本の法律家に、これらの流れが今後、どのように及ぶかという問題がある。

これらとは別に、ⅳデジタル情報が爆発的に増加しているデジタル社会の進展につよて、日本の社会全般に様々な難問、病理が生じており、これに向き合い対応することが必要であるという問題領域がある。この本の記述の主流は実はこちらであって、「リーガルテック」という署名がそぐわない気がするわけだ。

痕跡は消せない

この本の著者はもともと「ファイナルデータ」というデータ復元ソフトの開発・販売をしていたそうで、そういう中で、検察庁や警察の捜査に役立つ手段(フォレンジック)を提供してきたという歴史もよくわかる。

本書には、「Line の情報をデジタルフォレンジックでさらに解析すると、人間関係、行動範囲、考え方、趣味・嗜好など、あらゆる個人情報がわかってしまいます。それが、Line が犯罪捜査に活用されている理由です。」等、デジタルの痕跡は消せないこと、画像のフォーカス補正によって「見えないものがみえてくる」、「重要機密はハッキングではなく社内から漏れる」等々の記述もあって、デジタル社会の難問、病理がよくわかる。セキュリティも考え直す必要性を感じる。

楽しいかなあ

本書を通読して思うのは、デジタル社会の難問、病理に向き合う必要があるということだが、一番の問題は、「こんな社会は楽しいんだろうか。いつまでもこれでいいんだろうか。」ということである。少なくてもAIという切り口には夢がある。

 

目次

 

人の心と行動

「ジエンド・オブ・イルネス」

最近また少し体調を崩し、そろそろ「いつまでもいくら飲んでも大丈夫」とは言っておられないなあと感じている中で、たまたま目にした「ジエンド・オブ・イルネス」(デイビッド・エイガス著)(病気の消滅)を読んだ。

自分で自分を守るしかない

この本の内容は、「アイデアをカタチに」の「健康になる」との関係で、別途紹介することにするが、その中に、「がんになるのが、たいてい子どもを持つ年齢を過ぎてからなのは、偶然ではない。進化は、子どもを持つ可能性が低い40歳代、50歳代の人間を守ることには、あまり関心がないのだ。進化が気にかけているのは、あなたが、子を持てるように体のシステムを維持できるかどうか、ということだけなのだ。」、「自然は善良かもしれないが、愚かでもなければ、情け深くもない。年寄りにエネルギーを注ぐような無駄はしないのである。したがって、体が新しい生命を世の中に送り出せなくなった後は、私たちは自分で自分を守るしかない。」という記述がある。

これは、進化論を理解するとよくわかるが、要するに、「生物は繁殖度が上がるように進化する」のであるから(したがって、できるだけ多くの子孫作りさえ行われれば、様々な原因で直ちに死んでしまう動植物も多い。)、繁殖期を過ぎた動物が長生きするような手立てを進化は選択・保持していない、繁殖期後の身体は生存を継続できるような固有のメカニズムを備えていないということである。子供のころは免疫と親に庇護され、繁殖期までは「若さ」を保つ進化的メカニズムに庇護されていても、繁殖期を過ぎれば、従前の「若さ」の仕組みがある範囲で使いまわしできるだけで、あとは、「自分で自分を守る」方法を講じていくしかない。

少なくても中高年の人が健康を考える場合は、これに得心が行くか行かないかで、将来は分かれるだろう。繁殖期後は、老いて衰退するというより、いきなり姥捨て山に放り出されるというのが正しいイメージではないだろうか。

自分を守る手立ては何か

自分を守る手立ては、このブログでも一度触れたことのある「食動考」である。これに休息を付け加えてもいいだろう。

私はこれについて、今後、健康になりたいという「思い」を「実現する」プロジェクト(アイデアをカタチにする)の中で、できるだけ実行が容易なスキームを提供したいと思っている。実は私が関与していたビジネスジェットを使った「国際医療搬送事業」は、我々が作成・提供する健康管理アプリを使用する個人会員が、海外にいて救急搬送が必要となった時に、優先的に安価(無料)で提供するというスキームを検討していたが、その中で「健康管理」については、ある程度検討していた実績がある。

もっとも、そこでは、私自身は適用除外になっていたので、何度も体調不良になってしまうわけだ。今後は、繁殖期を過ぎた私は「自分で自分を守るしかない」ということを根底において、当然私にも適用され、私自身も健康になる、「食動考休システム」を検討してきたい。