ブログ本の森から山ある日々へ,戯れ言日録

野毛山公園の桜始開

 

野毛山公園の桜

3月20日が24節気の春分の日であったが、昨日(3月25日)から72候の「櫻始開」(さくらはじめてひらく)である。2日ほど朝ジョグしなかったが、今日近所の野毛山公園を朝ジョグすると、確かに「櫻始開」で、桜が綺麗に咲いていた。この週末はいろいろと愉しみだ。

24節気と72候

24節気と72候は、中国発のようだが、72候は日本でいろいろとアレンジされ、今使われているものは、明治時代に改訂された「略本暦」だそうだ。
もう少し詳しくなったら詳細に語ろうと思うが、「暮らし歳時記-日々是活き生き」というWebで、きれいな絵や写真と文章でわかりやすい説明されているので、まずはこちらを案内しよう。
絵が楽しいということでいえば、「令和の新時代、「旧暦」の世界を浮世絵の名作とイラストで存分に味わう」という触れ込みの「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候:水野 久美」(Amazonにリンク)が素敵だ。
中国にまで遡って研究するには「 二十四節気 で 読み とく 漢詩:古川末喜」(Amazonにリンク)が良さそうだ。

春分から次の「清明」までは次のとおりだ。

3月20日(土)春分  雀始巣 すずめはじめ てすくう
3月25日 (木) 櫻始開  さくらはじめてひらく
3月30日 (火 ) 雷乃発声 かみなりすな わちこえをはっす

4月4日(日 ) 清明 玄鳥至 つばめきたる

72候に乗せて日々の創意工夫を語ろう

24節気と72候が楽しいのは、さて措き、72候は、ほぼ5日ごとに変わる。そして新しい現実を呼び込む。

これに乗せて、私の日々の動き(あれば、創意工夫)を語ればどんなに楽しいだろう。ということでいきなり「72候プロジェクト」が開始されたのであった。

IT・AI,学ぶ

坂村健さん

先日(2021年3月16日)、あるオンラインセミナーで坂村健さんの話を聞いた。話したことは「イノベーションはいかに起こすか AI・IoT時代の社会革新 (NHK出版新書) :坂村 健」(Amazonにリンク)のエッセンスだといっていたから、聞く機会のなかった人はこれに目を通せばいいだろう。

まず話の核心部分はとても有益であること、そしてまずは私自分がノベーションを試みなくては駄目だよなということは前提にしよう。

その上で、何点かコメントしよう。

まず坂村さんの視点は「専門分野」の「高み」にあり、そこから見える「今現在」の問題点を指摘するのだが(その限りでは優れている、)、そこから降りてもっと根本的な観点から問題を考察しようとはしないように思われる。

生物である人のこころの働きや行動、あるいは社会が複雑なシステムであること(例えば西垣通さんの「基礎情報学」では、情報を、生命情報、社会情報、機械情報に分別するが、坂村さんは、ほぼ機械情報岳を見据えているように思われる。ただ西垣さんは西垣さんでその分析で足踏みをしているような感じで、坂村さんが問題にしているような「今現在」の問題には、なかなか届かない。)。

あと政府とか法制度の捉え方が、単純すぎる。坂村さんも西垣さんも社会情報については不十分だ。といっても、この分野は法律実務家こそが追い詰めなければならない問題であり、文句があるなら要は私がやらなければならないことだ。文句のある私がちゃんと法の基礎理論を踏まえ、(坂村+西垣)問題を検討すればいいのだ。

足りないのはイノベーションの考察

坂村さんは、DXとそれを支えるイノベーションを持ち上げるのだが、残念ながら取り上げた「ケーススタディ」が、AI、プログラミング教育 、フィンテック、電子政府(それと自身の東洋大学やTRONの経験も入るだろう。)なので 、イノベーション論が足りない。これは買ったばかりでまだ論評できないが「人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する:マット・リドレー」(Amazonにリンク)が役立ちそうだ。しかしマット・リドレーさんは、分業を取り上げた「繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史」(Amazonにリンク)、大きな変化を起こす意図のない無数の人によってもたらされた「ボトムアップ」による偶然で予想外の現象が人類に進歩を切り拓いてきたとする「進化は万能である 人類・テクノロジー・宇宙の未来」(Amazonにリンク)も、全体の構想と材料の収集がすばらしい。多分「人類とイノベーション」も期待を裏切らないだろう。イノベーションというと必ずシュンペータ-が出てくるが、ウルリケ・ヘルマンはシュンペーターの「競争は…売上げや既存の会社の限界収益を増やすのではなく,その土台とその存続を揺るがす」を引用し、「シュンペーターは新古典派の決定的誤りを非常に明快に批判する。新古典派は「資本主義が既存の構造をいかに管理運営しているか」を記述すれば事足りると信じているが、「資本主義がその構造をいかに創出し、破壊しているかということこそが重要な問題なのだ」とする(「スミス・マルクス・ケインズ――よみがえる危機の処方箋」(Amazonにリンク))。理解して持ち上げるのならいいのだが。

戦略も見据えよう

「今現在」の問題は、イノベーションだけではなく戦略(経営戦略に止まらない)という観点から考えるのも重要だろう。これも経営学者はうっとおしいので(ドラッカーはファンなので、例外にさせてもらおう。)、生物の進化から考えると、面白い。稲垣栄洋さんの「弱者の戦略」(Amazonにリンク)や、「Learned from Life History 38億年の生命史に学ぶ生存戦略」(Amazonにリンク)で、生物進化の場面でリアルに考えたい

そういえば生物からイノベーションを考える「生物に学ぶイノベーション 進化38億年の超技術:赤池学」(Amazonにリンク)も面白かった。

以上、乱暴な記述で申し訳ないが、これからは余り問題を抱えこむことなく、以後の作業のために、アイデアの「備忘」として適宜このような記事を作成しようと思う。関係者には不愉快かも知れないが、主観的な備忘なのでご容赦いただきたい。

環境と資本主義,学ぶ

プラトンとフッサール

さて前回の記事が1月25日なので2ヶ月近く間が空いてしまった。

ただこの間、(本人としては)無駄に過ごしていたわけではなく、竹田青嗣さん(「哲学とは何か」(Amazonにリンク))や西研さん(「哲学は対話する」(Amazonにリンク))が注目し新しい目線で切り拓いたプラトン(アリストテレス)、フッサールを見て、いったん別れを告げ、認知科学に入り込んだ。そうこうしている間に少し忙しくなってしまった。

フッサールは、人は自分の認識世界から出られないという当たり前のことを確認したわけだが、それがどうしたの、人の実際の認識世界がどうなっており、どのように活用するかが問題である。

こころの材料

認識世界のたどり方はあれこれあるが、まず神経心理学の山鳥重さんを読んでみた(精神現象学から認知科学へ)。この人は医師として、脳に障害があることから生じる失語症等と向き合い、人のこころの世界を「情・知・意」でとらえ(「知・情・意の神経心理学」(Amazonにリンク)、「心は何でできているのか」(Amazonにリンク))、豊富にこころの材料を提供する。

認知科学とマインドフルネス

ただ、材料としてのこころだけでは、現実を動かすツールとしては不十分なので、認知科学(「脳神経科学がわかる、好きになる:櫻井武」(Amazonにリンク)、「基礎から学ぶ認知心理学 人間の認識の不思議 (有斐閣ストゥディア):服部 雅史/ 小島 治幸/ 北神 慎司」(Amazonにリンク)を一瞥したあと、後者で紹介されていた「シャーロック・ホームズの思考術 (ハヤカワ文庫NF) :マリア コニコヴァ」(Amazonにリンク)にたどり着いた。

これは問題解決学としては面白いのだが、この人の叙述は若干混乱している(本人もどこかに自分は文章が余りうまくないと書いてあった気がする。)。そこで問題をより広く捉えていると思われる「フォーカス:ダニエル・ゴールマン」(Amazonにリンク)を読み返したが、これは各章のつながりを故意に分かりにくくして読者が注意深く整理しろと挑戦しているように思われ、読み解くのが大変だ。

これらが方法としてマインドフルネスを挙げていたのでそれを一瞥し(「スタンフォード大学 マインドフルネス教室 :スティーヴン・マーフィ重松」(Amazonにリンク)、「心と体をゆたかにするマインドエクササイズの証明 :ダニエル・ゴールマン 、リチャード・J・デビッドソン」(Amazonにリンク))、ついでにマインドフルネスがもっとも効果をもたらすと思われる依存症の脱却をテーマとする、「あなたの脳は変えられる:ジャドソン・ブルワー」(Amazonにリンク)も復習だ。

問題解決の思考

依存症と並ぶ個のもう一つの問題である課題の設定・達成としては、チップ・ハース, ダン・ハースの「決定力! 正解を導く4つのプロセス」(これは意思決定論)(Amazonにリンク)、「 スイッチ! ― 「変われない」を変える方法」(これは変革・行動論)(Amazonにリンク)、「アイデアのちから」(これは表現・説得論)(Amazonにリンク)も面白い。

ロルフ・ドベリの「Think right 誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法」(Amazonにリンク)、「Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」(Amazonにリンク)、「Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法」(Amazonにリンク)は、行動経済学+ストア派というところだろうか。

これらのあとは、問題解決を支える高度な思考論として「認知言語学:大堀壽夫」(Amazonにリンク)と「数学の認知科学:レイコフ, G., ヌーニェス, R.E」(Amazonにリンク)まで行き着きたいが、その前に読むことについてのメアリアン・ウルフの「プルーストとイカ」(Amazonにリンク)と「デジタルで読む脳×紙の本で読む脳 「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる」(Amazonにリンク)は外せないだろう。

そしてこの流れは「情報論」に集約される。西垣通さんの一連の「基礎情報学」には、システム論、オートポイエーシス、アフォーダンス等々盛りだくさんで面白い。ただ現実を動かすツールとしては不十分な気がする、私の興味は今後この辺りに収斂されそうだ。

体の問題

しかい頭だけでは人の問題は解決しない。「GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス:ジョンJ.レイティ, リチャード・マニング」(Amazonにリンク)、「脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方 :ジョンJ.レイティ」(Amazonにリンク)は面白いのだが、特に前者は「言い過ぎ」だ。年寄りにはきつい。

システムの問題

個の問題の他に、他(組織)との関係、全体的なシステムの問題があるとすれば、やはりこれからの「経済」が気になるので、ドイツから見たウルリケ・ヘルマンの「資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか」(Amazonにリンク)、「スミス・マルクス・ケインズ―よみがえる危機の処方箋」(Amazonにリンク)に目を通し、「中学の教科書から学ぶ 経済学サク分かり (朝日新書) :菅原 晃」(Amazonにリンク)も見たが、最後のは優等生過ぎて問題を捉え切れていないと思われた。三面等価は整理方法に過ぎない。

その間に最近近所で鳥の鳴き声を聞くことが多いと気づき、鳥にも興味をもって何冊か読んでみた。「ヤマケイ新書 鳥ってすごい!:樋口 広芳」(Amazonにリンク)、「身近な鳥の生活図鑑 (ちくま新書) :三上修」(Amazonにリンク)、「くらべてわかる野鳥:叶内 拓哉」(Amazonにリンク)、「庭や街で愛でる野鳥の本:大橋 弘一」(Amazonにリンク)、「身近な鳥の生きざま事典-散歩道や通勤・通学路で見られる野鳥の不思議な生態:一日一種」(Amazonにリンク)等々。

これらのお陰で最近カラスと見つめあうことも多くなった。

今回の最後は、「WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か:ポール・ナース」(Amazonにリンク)だ。

でも一体私はどこに行くのだろう。STEP BY STEPだ。