コーポレートガバナンスの基礎2…「これならわかる コーポレートガバナンスの教科書」を読む

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著者:松田千惠子

はじめに

問題の所在

「コーポレートガバナンスの基礎1」で,コーポレートガバナンスの問題は,経営者,使用人の業務執行について,取締役会の監督,監査役の監査が実効的な機能を果たしているのかということであることに行き着いた。会社法では,この問題に対応する特別の仕組みとして,(指名)委員会等設置会社,遅れて監査等委員会設置会社が設けられているが,それでうまくいくのだろうか(それにしても,なんと覚えにくく,言いにくい,独りよがりの命名だろう。)。

そこで,コーポレートガバナンス全般について論じている「これならわかる コーポレートガバナンスの教科書」(以下「本書」)に目を通してみた。

本書でも紹介されているように,現時点でのコーポレートガバナンスをめぐる議論は,平成26年8月の伊藤レポート「「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト最終報告書」,平成26年9月(平成29年5月改定)の「スチュワードシップ・コード」,平成27年6月の「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえたものとなっている。

もっとも関係が深く重視されているのは「コーポレートガバナンス・コード」であり,これは東京証券取引所が制定したものである。これならば,上場企業の規律の問題であることがはっきりする。

大きなお世話

コーポレートガバナンスをめぐる議論を聞いていると,「大きなお世話」ではないかと思う議論が頻出する(因みに本書では「大きな世話」とするところが2か所登場する。)。会社制度は,委託者,受託者の私的な関係なのに,どうして国や有識者が出てきて,もっともらしいお説教をするのか。あなたの所属する組織のガバナンスはどうなのと,突っ込みの一つも入れたくなる。

この点,東京証券取引所であれば,自分が取り扱う商品(株式)の品質,価格を向上させたいので,上場してお金を集めたい会社は「コーポレートガバナンス・コード」に従ってねということで,とても分かりやすい。ただ東京証券取引所は,他にあおられて歩調を合わせてしまい,美辞麗句を並べたててルールを複雑化させ,企業に無意味な負担をさせない英知が必要である。本当に実効性のある核心を突く仕組みを確立し,運用しなければ,「コード」の中にコーポレートガバナンスは埋もれてしまうだろう。

私にとって不可解なのが,機関投資家に対する「スチュワードシップ・コード」である。金融庁のWebで「スチュワードシップ・コードの受入れを表明した機関投資家のリストの公表」もされているが「踏み絵」?(今は「絵踏み」が普通らしい。)。この問題の「公共政策」としての検討は後日を期そう。

また本書によれば,伊藤レポートは,ROE(株主資本利益率)について8%を上回ることを最低ラインとし,より高くを目指すとしたことが,衝撃を与えたそうである。しかし,これは,誰が誰に対して,どのような資格に基づいて,どのようなツールが使用できるので,ここに書かれたことが実行できると「提言・推奨」をするのか,私には分からない(なお,平成29年に伊藤レポート2.0「持続的成長 に向けた長期投資(ESG・無形資産投資) 研究会報告書」,平成30年に伊藤レポート2.0「バイオメディカル産業版」「バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会報告書」というものもある。)。

本書に戻って

なるほど

本書の著者は,豊富な実務経験があるらしく,地に足に着いた議論が随所に見られる。最初にHD(持株会社)と子会社の問題は,ガバナンスの問題であるという,「コロンブスの卵」を紹介しよう。

要は,あなたの会社は,株主をどう見ていますか(うるさい?て適当にあしらえ?口を出すな?),(買収した)子会社も,あなたの会社を,同じような株主として見ています。これを頭にたたき込まないと「グループ会社の経営」はできません。なるほど。

本書の構成

本書の構成は,次のように後記の「コーポレートガバナンスコードの基本原則」に対応した内容になっているとされる。

「第1章 企業をめぐる環境変化とコーポレートガバナンス」は,一般的な,「基本・概要」である。

「第2章 身も蓋もないガバナンスの話」(株主に関する論点…基本原則1【株主の権利・平等性の確保】,2【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】),「第3章 「マネジメントへの規律づけ」は機能するのか」(経営者と取締役会に関する論点…基本原則4【取締役会等の責務】),「第4章 「カイシャとあなた」は何をしなければならないか」(情報開示に関する論点…基本原則3【適切な情報開示と透明性の確保】,5【株主との対話】)が,コードに対応している。

最後の「第5章 「ガバナンスの担い手」になったらどうするか グループ経営とガバナンス」は「応用・グループ経営と子会社ガバナンス」である。

しかし本書のような内容の本の「章名」を「身も蓋もないガバナンスの話」などとすると,かえって何が書かれているのかわからなくなるし,また記述内容にもねじれや飛躍もあり,そこで何の議論をしているのかわかりにくいところもある。

本書の,実務経験に基づく具体的な記述は高く評価するが,全体の体系や構成,章名,見出しの命名は,工夫の余地がある。

ここは頭に入れたい

本書から,特に頭に入れたいところを,何点か取り上げて考えてみよう。

取締役と監査役の関係再考

もともとわが国の株式会社制度は,取締役は,取締役会(ボード)のメンバーとして,業務執行の監督をする,重要な業務執行の決定をする,業務執行は代表取締役と業務執行取締役がするという制度であった。そして監査役は,取締役の業務執行を監査するとされていた。この仕組みは,上場企業から中小会社まで同じで,それなりに定着していただろう。

ただ海外の投資家は,監査役に取締役会での議決権がないので,監査の実効性がないとみていることが指摘されていた。しかし,監査役が重要な業務執行の決定に参加した場合,それについて監査できるのだろうか。本当は,こういうことを言う海外の投資家は,業務執行をする取締役という概念を受け入れがたかったのだろう。

これに対応するために(指名)委員会等設置会社ができたわけだ。これなら海外の投資家も理解できるが,あまり使われていない。

しかも同時に会社法の立案者たちは「取締役は,定款に別段の定めがある場合を除き,株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する」としてしまい,我々の頭には,取締役=業務執行というスキームまでインプットされてしまった。これではいくら制度をいじっても彼我の認識の距離が縮まるはずがない。

業務執行取締役を含む取締役会の監督と監査役(会)の監査という制度の中で,どのようにコーポレートガバナンスの実効性を確保するかを考える方がはるかに大事だろう。しかもこれは上場企業に限られない問題だ。本書も,考え方の道筋はともかく,同意見だろう。

取締役会の監督と監査役(会)の監査の関係,上場企業における社外取締役と社外監査役は何をすべきなのか,これは別の稿で改めて考えよう。

マネジメントの監視(監督・監査)

会社のマネジメント(経営)は,大きく,経営戦略・マーケッティング,人事・組織,会計・財務に分けることができる。監査役というと会計・財務に目が行くが,それでは,マネジメント(経営)の重要な部分が欠落してしまう。

取締役と監査役は,取締役会に上程されるこれらに関する議事について,その問題の所在を理解して問題点を把握し,いろいろな言い方があり得るが,例えば企業価値向上につながるかという観点から,あるいは合理性・適性性の観点から,意見を言い,議決権を行使し,あるいは他に経営上の問題があれば,取締役会の外でも監視する義務がある。要は,株主に代わって監視するのだ。

一方,マネジメントとオペレーションは違うという観点も重要だろう。本書に,「オペレーションは優秀だがマネジメントのない日本企業」という記述がある。そこを引用してみよう。「日本の企業の多くは,「課長」級という意味でのマネジャーを生み出すことには大変長けていますが,「経営者」という真の意味でのマネジャーを生み出す仕組みを持っていません。」。「内部昇格の人々は,いったいいつ「経営者」になるのでしょうか。いつマネジメントとしてのスキルや資質を身につけるのでしょうか。平社員から課長になった時? 部長になった時? 確かに,部下が付いたことによって学ぶことは多いでしょう。チームを率いていかなければならず,リーダーシップも養われるかもしれません。業務知識も身につくし,管理のノウハウもだんだんわかってくるでしょう。しかし,それだけで経営者になれるでしょうか。残念ながらなれません。課長であっても部長であっても,しょせんは決められた業務の範囲内で,与えられた資源配分の範疇で,既存の業務をより良くすることが仕事の中心です。経営者は違います。決められた業務をやっているのではなく,次の一手を新しく考えなければなりません。資源配分は自分で考えなければなりません。その際には様々な利害の衝突や相反が出てきます。あちらを立てればこちらが立たず,といった場面も多いでしょう。ここで投資をすれば儲かりそうだが,おカネはないし,やる人もいない,などといった状況も考えられます。それらのバランスを取るためには,財務や人事などの知識も身につけておかなければなりません(これは,細かい業務知識ではありません。全体的なおカネの動きや人の心のマネジメントの話です。)。もちろん,業務知識があれば役に立つこともありますが,細かい知識よりも必要なのは戦略的な思考や大局を見る力です。そして何と言ってもリスクを取る意思決定をしなければなりません。そもそもリスクが何であるかを理解し,それを引き受けることを決定し,その責任を持たなければなりません。また,外部に対する発信力も必要です。」。そして「マネジメントが不在ならばガバナンスも不要です。」。

取締役と監査役は,当該企業にとって大切なことを見抜き,それについて的確に意見を言うことが肝要である。マネジメントには積極的に口を出すべきだが,オペレーションをあれこれ言うべきではない。ポジション取りはなかなかむつかしい。本書に,「暴走老人」と「逃走老人」を止めろとある。もちろんこれは経営者のことであるが,自分が「暴走老人」と「逃走老人」になってしまわないことも考えよう。。

マネジメントの情報開示

取締役と監査役がなすべき監視は,株主が何を知りたいかという情報公開の観点から見るのも分かりやすい。

株主が知りたいのは,「これまではちゃんとやってきていたのか」(過去の実績)です。満足のいく企業業績を出せていたのか? 将来を占ううえでもこの情報は重要です。これが「会計情報」です。次に,「きちんとやるような仕組みを持っているのか」(企業の仕組み)です。おカネを預けたとして,それがきちんと管理され,目的の投資が行われて成果があげられるような仕組みができているのか,怪しいことをやっている会社ではないのか,といったことです。内部統制報告書,ガバナンス報告書などもこれにあたるでしょう。最後に,これが一番重要ですが,「これから何をしようとしているのか」(将来の仮説)です。投資家が投資をするのは将来についてですから,企業がどのような将来像を描き,そのためにどのようにおカネを使って実際の成果をあげようとしているのか(そして株主に還元しようとしているのか)をはっきりさせてほしいのは当然です。この点は,これまで各企業の自発的開示に任されてきましたが,コーポレートガバナンス・コードの導入により,開示に圧力がかかることになりました。」。

本書のさわり

本書のさわりは「第5章 「ガバナンスの担い手」になったらどうするか グループ経営とガバナンス」である。

もっとも典型的なのは海外子会社のガバナンスである(経営ではない。経営するのは,現地にいる業務執行者である。)。この問題は,ガバナンスから理解し,実行すべきことである。

なおこの問題は同著者の「グループ経営入門」で,より整理された形で展開されているので「「グループ経営入門」を読む・持株会社と子会社 …コーポレートガバナンスの実践2」で紹介したい。

以上,雑駁な紹介になってしまったが,本丸はまだ先なので,本書の紹介は,一応これで終わりとする。気が付いたことがあれば,加除,訂正していく。

詳細目次とコーポレートガバナンスコードの基本原則

 

これならわかる コーポレートガバナンスの教科書

著者:松田 千恵子

目次 CONTENTS

第1章  企業をめぐる環境変化とコーポレートガバナンス

第1節 なぜ今「ガバナンス」なのか

はじめに/ そもそも〝ガバナンス〟って何?/ ガバナンスに関係するのは誰?/ あなたの将来を決めるガバナンス/

第2節 日本企業の来し方を知るとよくわかる

なぜアベノミクスで〝ガバナンス〟?/ どうして昔はうるさく言われなかったのか/ 分水嶺は1990年代後半/ ハイエナファンドが跋扈した時代/ リーマンショックのもたらした影響/

第3節 制度変化のおさらい──こんな変化が押し寄せている

矢継ぎ早の施策/ そもそも委員会設置会社とは?/ 投資家の責任を定めるスチュワードシップ・コード/ 企業にとっての本丸「コーポレートガバナンス・コード/ なぜ「法律」ではなく「コード」なのか?/ 遵守も説明もしなければどうなるか/ ROEが注目される理由/ 統合報告書とは何か/

第2章  身も蓋もないガバナンスの話

第1節 コーポレートガバナンス・コードの本質は何か

「対応」ではなく「活用」をめざせ/ 意外に多い株主の権利/ 木を見て森を見ず,にならないために/ 買収防衛策はなぜ問題なのか/ 重要なのは「利益相反」の扱い/

第2節 株主はなぜガバナンスに関心を持つ

契約で守られていない「株主」/ 規律づけられるのは「経営陣」である/

第3節 経営者に交代を迫れるか

エージェンシー問題で考えると/ コーポレートガバナンスの原点とは/ 株式会社はそもそも「怪しい存在/ 経営者を規律づける二つの仕掛け/ 有能であるほど孤独な日本の企業トップ/

第4節 いかに「責任転嫁」する仕組みをつくるか

米国型の「責任転嫁」システム/ 情報開示は株主のためならず/ 機能するには外部人材プールが必要/ 内部昇格にこだわる日本企業/ 日本の経営者報酬はなぜ少ないのか/ なぜステークホルダーが出てくるのか/ CSRとはステークホルダーへの説明責任である/ 従業員満足度サーベイもガバナンスのうち/

第3章 「マネジメントへの規律づけ」は機能するのか

第1節 なぜ「委員会」が注目されるのか

「委員会」の存在意義をおさらいする/ 監査役制度はそれほどダメなのか/ 構造論議にはほとんど意味がない/ 監査等委員会設置会社の思惑とは/

第2節 取締役会の実効性を担保する

そもそも取締役会って?/ 「暴走老人」と「逃走老人」を止めよ/ 何やら議題が多すぎないか?/ 最も重要な「問う力/

第3節 社外取締役は里山である

社外役員はすでに当たり前/ 上場会社が多すぎる/ 筆頭独立社外取締役の意味は何か?/ 誰を入れて,何を期待するか/ 社外取締役はとことん使え/ 株主目線でモノが見られるか/ 女性〝活用〟は急ぐべからず/ 「里山」は有効に活用を/

第4節 そもそも「マネジメント」はなされていたのか?

オペレーションは優秀だがマネジメントのない日本企業/ マネジメントがなければガバナンスも不要/ 経営人材をどう育てるか/ 取締役会の評価をどうするのか/

第4章 「カイシャとあなた」は何をしなければならないか

第1節 ComplyしたらExplainしなくていいのか

コーポレートガバナンス・コードが持つ説明圧力/ なぜ情報開示が大事なのか/ 実際のところは何を開示すればよいのか/ 適切な情報開示と透明性の確保/ 企業がめざすところとは何か/

第2節 自社の将来像を説明できるか

語れるような「戦略」なのか/ 捨てる勇気,嫌われる勇気/ 多くの会社は「強みは技術」と言うが/ 確かに利益を生む強みなのか/ 開示しても伝わらないのはなぜか/  必要なのは「正しさ」ではなく「確からしさ」/ ギャップの分析だけはやる/ ガバナンスは総務部の管轄?/ 内部統制は経営者のためのもの/

第3節 会社の数字をどうつくるか

ROEって本当に優れた指標なのか?/ 企業価値向上とは何か/

第5章 「ガバナンスの担い手」になったらどうするか グループ経営とガバナンス

第1節 実は難しい「子会社ガバナンス」

ガバナンスされることよりすることのほうが問題/ 「子は親にしたがうもの」ではない/ ガバナンス不在の子会社管理/

第2節 子会社は親会社の「鏡」

「任せるけれど見ている」関係と仕組みづくり/ CFOポジションを押さえる/ 子のふり見て親のふり直せ/ 内部監査機能を強化せよ/

第3節 「おカネ」によるガバナンスと経営管理

株主は多角化をどう考えるか/ ファイナンスが使えなければグローバル化はできない/ 罪つくりな〝管理会計〟という言葉/ とにかく「スペックを落とせ」/

第4節 本社力をどう鍛えるか

本社機能の「事業仕分け」/ 「部門」ではなく「機能」で見直す/ カギを握るシェアドサービスセンタ/ 日本企業の陥りやすい〝放任主義/ 遠心力型の経営にこそ必要な本社力/ 親会社が口も手も出す中央集権型/ これまでのやり方では通用しない/

第5節 「人」によるガバナンスと人材育成

「以心伝心経営」の終わり/ 具体的に使えなければ企業理念ではない/ 現地従業員の声を実際に聞くと?/ 誰がいるのかわかっていますか?/ 「グローバル人材」なんていない/ あなたが社長になる頃には/

あとがき

コーポレートガバナンスコードの基本原則

1. 【株主の権利・平等性の確保】

上場会社は,株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに,株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。また,上場会社は,株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主については,株主の権利の実質的な確保,権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから,十分に配慮を行うべきである。

2. 【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】

上場会社は,会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は,従業員,顧客,取引先,債権者,地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し,これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。取締役会・経営陣は,これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

3. 【適切な情報開示と透明性の確保】

上場会社は,会社の財政状態・経営成績等の財務情報や,経営戦略・経営課題,リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について,法令に基づく開示を適切に行うとともに,法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。その際,取締役会は,開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることも踏まえ,そうした情報(とりわけ非財務情報)が,正確で利用者にとって分かりやすく,情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

4. 【取締役会等の責務】

上場会社の取締役会は,株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ,会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し,収益力・資本効率等の改善を図るべく,(1) 企業戦略等の大きな方向性を示すこと(2) 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと(3) 独立した客観的な立場から,経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うことをはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。こうした役割・責務は,監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役会が担うこととなる),指名委員会等設置会社,監査等委員会設置会社など,いずれの機関設計を採用する場合にも,等しく適切に果たされるべきである。

5. 【株主との対話】

上場会社は,その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため,株主総会の場以外においても,株主との間で建設的な対話を行うべきである。経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は,こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け,その関心・懸念に正当な関心を払うとともに,自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い,株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と,そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。

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