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システム思考・制度論・ビッグヒストリー

「持続可能な社会」を実現するために働き掛ける対象は,「問題解決のヒント」で分類した,4要素5領域(人・企業・政府・環境+世界)のすべであるが,ここでは4要素が複雑に相互作用するシステムである世界(制度)について,記述し,モデル化してその解決(操作)方法を検討する場合の主要な方法である「システム思考・制度論」及びそれの材料となる「ビッグヒストリー」を簡単に概観しておく。「ビッグヒストリー」という大きな視座から「制度」をとらえ,その要素を「システム思考」によって動かしてみるということには,大きな可能性を感じている。

システム思考」については,「「行動分析学」と「システム思考」で世界を見る」(このサイトの記事にリンク),「ビッグヒストリー」については,「138億年!!」(このサイトの記事にリンク),「に簡単に紹介してある。

まず,各分野の主要な本を掲記しておこう。

システム思考…複雑な問題の解決

システム思考へのアクセス

システム思考は,社会分析というより,ビジネスへの適用が目立っているが,非線形な分析なのでさほど簡単ではない。しかしシステム思考の応用形である「学習する組織」や「U理論」は,最近,割とよく目にする。まずシステム思考へのアクセス方法を紹介しよう。
システム思考の前史となる一般システム理論,サイバネティックスは置き,システム思考は,MITのジェイ・フォレスターさんが,経営や社会システムにフィードバック制御の原理を適用してはじめた「システム ダイナミクス」(システム内でつながり合う要素同士の関係を、ストック・フロー・変数・それらをつなぐ矢印の4種類で表し微積分やコンピュータソフトによって定量分析する)について,このままでは専門的でわかりにくいので,「因果ループ図」を用いて,変数のつながりやフィードバック関係を直感的にわかりやすく説明し,複雑な事象の振舞いについてその特徴を把握し定性的な分析を行う「システム思考」が提唱された。システム思考は,「学習する組織-システム思考で未来を創造する」(「The Fifth Discipline」。初版は「最強組織の法則」)(著者:ピーター・センゲ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)で,ポピュラーになったといえる。

「システム思考」は,その誕生時からコンピュータを用いたシミュレーションを特徴としていたが,現在のデジタルの急速な進歩は,「システム思考」に大きな前進をもたらすことが期待できる。

MITの「システムダイナミクス」の研究グループや連携する研究者には,ピーター・センゲさんの外,ジョン・スターマンさん,デニズ・メドウズさん,ドネラ・メドウズさん,ヨルゲン・ランダースさんらがいる。彼らの業績や日本での紹介等をふまえ,「システム思考」を3つに分けることができるだろう。

システムダイナミクスに基づいた「成長の限界」の考察

上記のグループには,システムダイナミクスを踏まえ地球の持続可能性を真正面から検討したローマクラブの「成長の限界」(1772),これに続く「限界を超えて 」(1992),「成長の限界・人類の選択」(2005),さらにヨルゲン・ランダースさんの「2052」(2012)(Amazonにリンク・本の森のリンク成長の限界)がある。

既に亡くなられたドネラ・メドウズさん,デニズさん,後記の枝廣も含めた共著の「地球のなおし方 限界を超えた環境を危機から引き戻す知恵」(2005)(Amazonにリンク・本の森の紹介)もある。

世界の社会,経済や地球の自然,生態系の今後を検討するうえで,必読の文献だ。

システム思考を社会,経営に適用する…Vensimを利用する

システム思考は広く複雑なシステムの問題に適用できるが,その基本として「世界はシステムで動く- いま起きていることの本質をつかむ考え方」(著者:ドネラ・H・メドウズ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)や,「システム思考―複雑な問題の解決技法」(ジョン・D・スターマン)(Amazonにリンク・本の森の紹介),更には,「学習する組織 システム思考で未来を創造する」(著者:ピーター・センゲ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)は,重要だ。社会の変革を対象とした「社会変革のためのシステム思考実践ガイド-共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する」(著者:デイヴィッド・ピーター・ストロー)もある。

なお上記したように「システム思考」には,「因果ループ図」を用いるが,その作画ができるソフト(Vensim)が無料で提供されている。

この利用法については,後記の日本未来研究センターのWebでの紹介のほか,「Vensim Fast Guide: Martín García, Juan.」がある。

システム思考の日本での展開

日本では,前項の本を翻訳している 小田理一郎さん,枝廣淳子(チェンジ・エージェント社を作り,わかりやすい記事を提供している。)が書いた「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方」(Amazonにリンク・本の森の紹介)や「もっと使いこなす!「システム思考」教本」(Amazonにリンク・本の森の紹介)がある。たしかにわかりやすいが,前項で紹介した本も十分にわかりやすい。

その他にも日本で書かれた本はいろいろあるが,ここまでの紹介で十分だろう。

なお,システム思考を紹介する活動として,日本未来研究センターシステムダイナミックス日本支部システム思考・デザイン思考で夢をかなえる/(株)Salt,,應義塾大学大学院ステムデザイン・マネジメント研究科,,慶応丸の内シティキャンパス(慶応では思考デザイン×システム思考が追求されている。このシステム思考は,広義のシステム思考だという説明をどこかで見た。)等があり,参考になる。日本未来研究センターは,上記の「Vensim」のマニュアルの翻訳,紹介をしている他,代表者が英文で長大な「貨幣とマクロ経済ダイナミックス−会計システムダイナミックスによる分析」を表しているが,読みきれない。

とにかくシステム思考が,現在と将来の世界を考えるために重要な方法(技法)であることは間違いない。ビジネス書にあれこれ目を通す暇があったらこれに習熟したほうが良さそうだ。ただ日本での普及は今ひとつのようだ,欧米でもあまり歓迎はされていないか?

「シスム思考」の本の紹介

  1. 「世界はシステムで動く- いま起きていることの本質をつかむ考え方」(著者:ドネラ・メドウズ)
  2. 「システム思考―複雑な問題の解決技法」(著者:ジョン・D・スターマン)
  3. 「学習する組織 システム思考で未来を創造する」(著者:ピーター・センゲ)
  4. 「2052」(著者:ヨルゲン・ランダース)
  5. 「地球のなおし方 限界を超えた環境を危機から引き戻す知恵」(著者:ドネラ・メドウズ)
  6. 「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方」(著者:枝廣 淳子, 小田 理一郎)
  7. 「もっと使いこなす!「システム思考」教本」(著者:枝廣 淳子, 小田 理一郎)
  8. 「社会変革のためのシステム思考実践ガイド-共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する」(著者:デイヴィッド・ピーター・ストロー)

「制度論」

「制度論」は,システムの要素を,形式的に4要素5領域(人・企業・政府・環境+世界)ととらえるのではなく,より機能的に捉える(したがってこれを改変する)ヒントとなる。青木昌彦さんは,「青木昌彦の経済学入門-制度論の地平を拡げる」の中で,経済交換,政治交換,社会交換,組織内交換を挙げ,同書で青木さんと対談している山形浩生さんは,レッシグが4つの要素として,「法(Law)」,「規範(Norm)」,「市場(Market)」,「アーキテクチャ(Architecture)」を挙げていることを紹介している・
「制度論」ではないが,哲学者の河野哲也さんは,ギブソンを参考にしながら「人間的環境を五つの構成要素に分類することができるであろう。すなわち、改変環境、構築物、道具、他者、社会制度である」とする(意識は実在しない 心・知覚・自由 )。

制度論の本の紹介

制度論については次のような本があるが,なかなか読み切れない。ⅰ~ⅲあたりが必読書だろう。

  1. 「現代経済学-ゲーム理論・行動経済学・制度論」(著者:瀧澤 弘和 )
  2. 「制度とは何か-社会科学のための制度論」(著者:フランチェスコ・グァラ)
  3. 「ダグラス・ノース 制度原論」(著者: ダグラス・C・ノース)
  4. 「制度・制度変化・経済成果」(著者:ダグラス・ノース )
  5. 「経済史の構造と変化」(著者:ダグラス・ノース)
  6. 「経済史」(著者:小野塚 知二)
  7. 「青木昌彦の経済学入門-制度論の地平を拡げる」(著者:青木昌彦)
  8. 「比較制度分析序説-経済システムの進化と多元性」(著者:青木昌彦)
  9. 「社会制作の方法-社会は社会を創る,でもいかにして?」(著者:北田暁大)
  10. 「比較制度分析・入門」(著者:中林 真幸)

「ビッグヒストリー」

ビッグヒストリーの本の紹介

  • 「ありえない138億年史~宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー~」(著者:ウォルター・アルバレス)
  • A Most Improbable Journey: A Big History of Our Planet and Ourselves  by Walter Alvarez
  • 「ビッグヒストリ- われわれはどこから来て、どこへ行くのか―宇宙開闢から138億年の「人間」史」 (著者:デヴィッド・クリスチャン)
  • 「ビッグヒストリー入門 」(著者:デヴィッド・クリスチャン)
  • This Fleeting World: A Short History of Humanity (This World of Ours)  by David Christian
  • Origin Story: A Big History of Everything (English Edition) by David Christian
  • 「ビッグ・ヒストリー入門 地球宇宙平和研究所所報第8号 (地球宇宙平和研究所所報) 」(著者:吉野良子・遠藤美純)
  • 「ビッグ・ヒストリーと21世紀の国際秩序」(著者:中西治・桜井薫・辻村伸雄・片山博文)
  • 「ビッグ・ヒストリーの実用 (自然・戦争・平和) 」(著者:中西 治)

ビッグヒストリーのための物理学・化学