戯れ言日録,学ぶ

数条の道

何かを学ぼうとし、その方法を、学校に行くか独学するかから選ぶとすると、とにかく独学は難しいねということになる。では学校に行くかというと、それは大半の社会人にはなかなか難しい。そこでやはり独学にしてその方法を工夫しようということになる。

独学論はもうすぐ読書猿さんの「独学大全」がKindle本になるので、それを読めばあれこれ参考になる技法が紹介されていると思うが、ここでは当面私が考えている独学法を記述しておこう(読書猿さんのWebは、「読書猿 Classic: between/beyond readers」(https://readingmonkey.blog.fc2.com/)。「独学大全」の詳細目次(技法)も掲載されている。私はこれまでこのWebを知らなかったが、このようなものがあると単なる本の紹介は空しくなるなあ。いや私は「問題解決だ」、といっても、読書猿さんには「問題解決大全」もある。ただ私とは居場所も向き合っている問題も違うことは間違いないから、くじけず行こう。)。

学ぶということが、「身につける」ということであれば、急がば回れである。学校は往き帰りの時間がかかるし、その講義が適切な内容かどうかも分からないが、しかし自分の身体を講義の声が通過するということには(たとえうつらうつらしていても)意味がある。往々にして声を追うのは時間の無駄だから、本を読んだ方が速いし、声のように消え去らないからいいのではと思いがちだが、それは違うというのが、私の体験的な「感想」だ。だからこれからは、少なくてもある何事かの全体を身につけるためには、講義に踏み止まろうと思う。

放送大学

学校には行かないが講義を聴きたいとなれば、今はオンラインであるが、一押しは(多分)放送大学だ。ここには300ものオンライン講義(動画か音声)が用意されている。講義の印刷教材も書店で購入することが出来る(3000円前後で少し高いが。)。本来は「大学」で単位を取る仕組みなのだろうが、「聴講生」として自分で300の講義から取捨選択してパソコン、スマホで、いつでもどこででも聴講して身につけていけるということは、これまでには考えられないことであった。週1回の放送を聴講することは、通学と同じぐらい敷居が髙かった。

もちろん講義によってはどうなの(内容よりもしゃべり方が大きいな。)ということもあるが、とにかく講師は、千、万単位の受講生を相手にしてしゃべり、評価され、数年ごとに内容を改訂していくという仕組みだから、その分野全体を理解している講師が担当し(複数講師が担当することも多い。)ある水準が確保されていることは安心していい。

1年間全部のオンライン講義を利用するためには、1科目を受講する選科履修生になるが、費用は1年間につき入学金込みで2万円だ。手続は放送大学のWeb(https://www.ouj.ac.jp/)を見ればいいが、制度自体が改変に次ぐ改変だから、どこに何が書いているから極めて分かりにくい。要は、何かの科目を選び(私は「管理会計」だ!印刷教材が送られてきて、提出課題、試験もあるが、さてそれはどうしよう。)、選科履修生になれば良い。来年4月の入学の申込みがそろそろ始まる。

私は当面、数学を含む自然科学、人類のこれまでと今後の環境問題を含む人類学、経済社会学、情報科学、情報法、著作権法等20科目程度を選び、今後の学習計画を立てている。1科目は、1回45分、15回だから、1日、1時間半(2科目)視聴すれば、1ヶ月で4科目視聴できる。1年間継続すれば50科目になる。ただ最初は数学を含む自然科学に重点的に取り組むから、なかなか予定どおりには行かないだろうが、とにかく年内には、数学数科目と物理、化学の基礎は押さえよう、そこを超えられれば、私が解読できる世界は随分と広がる。

WONDRIUM

こちらはアメリカの大学レベルのオンライン動画講義だ(https://www.wondrium.com/)。もとはThe Great Coursesといったが、しばらく前から他のコンテンツも含めて拡大した。講義数は数えにくいが、200は超えているだろう。基礎的な分野もあるが、IT,応用科学、趣味や旅行の科目もある。なによりカラー写真、動画が美しい。講義は1回、ほぼ30~40分、回数は科目によって違うが、10~数十回である。特筆すべきは、通常の講義には、数十~数百頁のPDFのガイドブックが付されており、加入すると無料でダウンロードできる。

費用は、年会員だと年額2万円だ。奇しくも放送大学と同じだが、これを使いこなすのは、少し英語に習熟してからであろうが、提供されている科目が楽しいので、すぐ視聴したくなってしまう。アメリカらしい歴史や宗教科目、「Big History」、「Geological Wonders」、「Oceanography」「Yoga」等々、とても魅力的だ。ただ空回りしないようにしなければ。

その他

コロナ後はますますオンライン講義が増えるだろう。従前からMOOCが注目されてきたが、いささか敷居が高いので、まず、上述した、放送大学、The Great Courses Plusを先行させてみたらどうだろう。

弁護士には、日弁連が総合研修サイトで充実したオンライン講義を提供しているし、多くのビジネス向けの講義も提供されている。時間は、学ぶことに「浪費する」のがいいなあというのが最近の実感である。

読書を考える

私は今までは、酒好きを除けば読書と登山が「趣味」であった。

しかし最近、ちゃんと「身につくような読書」ができているんだろうかという問題を、ひしひしと感じている。

私は、①教科書、基本書(法律)という分野、②文学の分野、③思想書の分野を読んで育ち、弁護士になって暇なときに読む本は、④(自然、社会、人文を問わず)ポピュラーサイエンスと呼ぶべき翻訳書がほとんどであった。①②③は、読み方がはっきりしている。①は隅から隅まで時間をかけて読み、その分野で身につけた知識の運用が出来るようにすること、②はおもしろければ最後まで引き込まれて熟読し、つまらなければ何のためらいもなく投げ捨てる。③は、少々分からなくてもこちらが背伸びしてでも対峙することで、十分に読めた。いずれも自分が息をするのとシンクロして読んでいけばいいのであって、読む方法に疑問は感じなかった。

しかし④の類の本(要はこのWebで紹介する大半の本だ。)の読み方は難しい。一方には、スキャン読み(速読)でいいのではという考えがあり、一方には、メモをとりながら時間をかけて丁寧に読めば、飛躍的に理解力があがるという考えもある。要は急がば回れである。前者であればそんなつまらない本は読まなければいいのではないかという気がするし、後者であれば4000冊を超えたKindle本、いったん大量処分したにも拘わらず2000冊近くになったR本をどう読むのかという問題がある。

しかもむつかしいのは、デジタルシフト時代になって人の注意力は散漫になり、とりわけデジタル(Kindle本)読書はその最たるものではないかということである、

ここはうまく纏められないが、しばらくは、仕事とオンライン講義の受講の合間に、満を持して選択したKindle本をメモをとりながら時間をかけて丁寧に読むということをやってみようと思う。

学ぶ

「問題解決と創造」の第1次案です

これは今までの「問題解決と創造のヒント」を見直して、固サイトを表示定頁の「問題解決と創造」に切り替えるための原稿案です。固定頁は、今後、各項目をおおよそ見直した段階で掲載します。

なぜ「問題解決と創造」なのか

私たちは、日々、自分自身の現在の有り様とこれからの行く末に思い悩む。そしてそういう自分の視野を通して見える、所属する組織(企業や自治体・国、その他の組織)やこれらの間で起こっている様々な問題に直面し、その解決を迫られる。もう少し視野を広げると、人や組織は、環境(自然や人工物等)の中に存在して動いており、人・組織・環境の相互作用で構成され、激しく動いている世界には、より解決困難な問題や新しい問題が山積していることがわかる。これらの解決すべき問題は、一応、「個の問題」と「世界の持続可能性-世界の複雑な問題群」に分けることが出来る。特に現代の焦点となるのは、後者の「複雑性」と「持続可能性」の問題であるが、その解決は容易ではない。ただ「個の問題解決」(大きくは「目標の達成」と「依存(習慣)からの脱却」と捉えることが出来ようか。)がクリアにならないと、なかなか「世界の持続可能性-世界の複雑な問題群」を見通すことは出来ないだろう。

これらの問題の多くは「公共」に関連するので、その問題解決に取り組むべき役割を持つのは各国政府であるが、最近の彼我の政府や政治過程の視野の狭さには辟易するだけで、当面政府がこれらの問題を解決することは当てにしない方がよさそうだ。というより、政府自体、解決しなければならない問題の大きな対象だし、次々と新しい問題を引き起こし、持続不可能性に拍車を掛けているようにも思われる。

そこで私たちは襟を正し、自らまず世界の最小の要素である一個人として問題の解決に乗り出すべく、「問題解決学」、「創造学」、「システム思考」等々といわれる分野をのぞいてみたくなるが、百花繚乱で、何を頼ればいいのか、迷うばかり、さてどうしよう。それにビジネス分野から発信される「問題解決と創造」論は、いかにも軽率なものが多く、どうも頼りがいがない。一方、学問分野からの発信は対象範囲が狭く、しかも重くもたもたしていて、構造の記述、モデル化、分析にとどまるものが多く、なかなか「問題解決と創造」の実行に届かない。

ここでの課題は、要は、私たちが「問題」と捉えたことを「世界」の中に位置づけて記述、モデル化し、それを解決するために何をどうすればよいのかの実行手段が得られればいいわけだから、「世界」に関する知識と「問題解決と創造の方法」が結び付けられればよいわけだ。

なお「創造」は「問題解決」の枠組みにとらわれないより伸びやかなものととらえてもいいが、「問題解決と創造の方法」で検討するように、「問題解決」の一場面として位置づけることができるので、逐一区別しないことにする。

問題解決の準備

問題の定義

「問題解決」という場合の「問題」とは、普通、私たちが存在する現実の世界における「目標と現状のギャップ」と定義される(これは、ハーバート・A. サイモンが、言い出したらしい。)。問題は、既に起きてしまっている発生型問題、より高い到達目標を設定することで見えてくる設定型問題、将来的に時間と共に問題になるという将来型問題に分けることが出来る。

「問題」の対象は、大別すると、「個の問題」と「世界の持続可能性-世界の複雑な問題群」に分けることが出来ることは、上述した。

4要素5領域と問題解決の方法

ではこの「私たちが存在する現実の世界」はどのように構成されているのか。経済学等では、人(家計)、企業、政府の3主体を想定するのでこれを借用し、これに自然・人工物・情報からなる環境を加えると4要素(人、政府、企業、環境)になる。そして、これらの4要素の活動と相互作用によって、これらの複合体である現実の社会・世界が形作られていると考えることができよう(普通、これは「システム」と呼称される。)。

このような整理を前提とすると、問題解決の対象は、人、政府、企業、環境という4要素固有の各問題領域、及び4要素の活動と相互作用によって形作られる社会・世界の5領域になる。

この「問題解決と創造を学び解決する」の各項目には、このような観点から、私自身が「問題解決」を実行するために(また皆様にもその手助けとなるように)、本やWebを読みまとめ批判し、自分の頭で考察した内容の記事を蓄積していきたい。目的は問題解決の実行だから、「問題解決の方法」はできるだけプラグマティックな内容になるように心がける一方、「世界」はますます拡大していくから、4分野5領域の「世界」に関する知識はできるだけ範囲を広くとり、わかりやすく整理していきたい。ただ全部に力を入れていると二進も三進もいかないことが分かってきたので、できるだけ内容を、解決すべき問題-「個の問題」と「世界の持続可能性-世界の複雑な問題群」に絞っていきたい。

なお、プラグマティックというと、役に立たないものは排除するというイメージだが、論理的、科学的な知がいつどこで役に立つかは予測できないし(特に数学ではよく言われることだ。)、物語や哲学等々の人文畑も、個性のフレームをチェンジして人のイメージを沸き立たせ、新たな思考・アイデアを生み出すための「役に立つ」。役に立たないと断言できるのは、古い発想に固執する「学問」だけだ。

因果関係による問題の類型化(フレームワーク)

ところで、問題を解決する(現状を目標に変える)上で、実行する手段によって目標が達成されるか否かという「プロセス」=因果関係がポイントとなることは明らかである。ただ「問題解決の方法」で検討する、ごく単純と思われる「問題構造図式」でも「原因となる「入力」、「制約条件」や「外乱(不可抗力)」が影響する「プロセス」を経て、結果となる出力が生じる」とするので、これだけでも因果関係は単純ではない。

そこで問題を因果関係の明確さによって類型化する「カネヴィンフレームワーク(cynefin framework)」を導入しよう(ここではCFと略称する。)。

CFでは、問題領域を大きく3つに分ける。「秩序系」、「非秩序系」、「無秩序」である。そして因果関係の明確さによって、「秩序系」を「Obvious=自明(単純)系」と「Complicated=煩雑系」、「非秩序系」を「Complex=複合(複雑)系」と「Chaotic=混沌系」に分類する。因果関係が、自明か、煩雑か、更に、複雑でわからないか=「複合(複雑)系」、解明が不可能=「混沌系」という基準である。

そして有効な問題解決の方法として、自明(単純)系では、「実行、ベストプラクティス、標準ルール、マニュアル化」、煩雑系では、「専門家に相談する、調べる、分析する、プロジェクトマネジメンント、PDCA」、複合(複雑)系では、「試す、直感、セーフフェイルな探索をする」(人工知能や量子コンピュータを挙げる向きもある)、混沌系では、「決める、損害を抑制する、秩序を取り戻す、複合系に移動し思考や探索に時間を使えるようにする、長居しない」(緊急対応、レッド型組織、強いリーダーシップを挙げる向きもある)が挙げられている(「不確実な世界を確実に生きる」(著者:コグニティブ・エッジ))。

私が複雑な問題として捉えている多くの問題は、煩雑系、複合(複雑)系、場合によっては、混沌系であろう。CFの枠組みで、複雑系科学、システム思考等を展開すれば、かなり問題の解決に迫れるであろう。

なお「カネヴィンフレームワーク」は、デイヴ・スノーデンさんが提唱し、日本では田村洋一さんが紹介している。YouTubeで、簡単な説明が見られる(本人の説明田村さんのインタビュー)。「ソーシャル・インパクト・アクト」というWebにも紹介がある(外部サイトの記事にリンク)。

「問題解決と創造」の概要

全体の構成

「問題解決と創造」は、「問題解決の方法」、「ヒトの行動と生活」、「政府」、「企業」、「環境:自然・人工物・情報」、「社会と世界」の6項目及びその下位項目から構成する(なお、自然科学はあれこれ分散するので、「補論・自然科学」で纏めて掲載する。)ここでは「問題解決の方法」と「ヒト、企業、政府、環境、世界」の概要を説明する。

問題解決の方法

まず「問題解決と創造」の最初の項目として、問題解決のための基本的な方法を検討する「問題解決の方法」を設けた。

(前提ーヒトの進化・行動・思考・情報)は、問題解決と創造を考える場合は、前提として、進化論、ヒトの行動・思考、情報の性質を踏まえる必要があるという観点から、基本となる重要な本を何冊か読もう。

(準備2ーデータ・資料から見る問題群)は、現在とこれから予測できる世界についてのデータ・資料を集めた本を何冊か集めた。持続可能性が焦点となる。

(問題解決の基礎)は、まず<主要な理論と方法>として現時点で、【複雑系・カオス】【システム思考】【統計学・データ分析】【数理モデル】【ゲーム理論】【TRIZ】【デザイン思考】【KJ法】【基礎情報学】を紹介したい。

<問題解決論>としては、固有の「問題解決論」を何冊か紹介したい。さらに、問題解決を支援する<様々なアイデア>、<知的生産・読書・教養>【知的生産】【読書】【教養】を紹介したい。

ヒトの行動と生活・企業・政府・環境・社会と世界

これに続いて問題解決の対象となる4要素5領域の4要素(「ヒトの行動と生活」、「企業」、「政府」、「環境:自然・人工物・情報」)とこれらの4要素の活動と相互作用によって生じる問題領域である「社会と世界」の5つの問題領域について、紹介、検討する。

そして、これらのうち、

人、企業、政府、環境には、それぞれ固有の問題があり、「世界:世界の複雑な問題群」の問題を、これらの4要素をすっ飛ばして考察しても、思い付きに止まるだけだというのが、ポイントになるであろうか。

投稿記事

各項目の下位メニューに、その項目の投稿が時系列順に掲載されるので、そちらも参照されたい(分類が正確でないものも混じっているかもしれないが、ご容赦を。)。

「問題解決と創造」の全体の構成

以上述べた「問題解決と創造」の全体の構成に、下位項目を入れてまとめれば、次のようになる。今までの構成をかなりいじることになるが、完成までには今少し時間がかかろう。

ヒトの行動と生活

  • (生命・進化・生物)
  • (人類史と人体)
  • (人間科学)
    • <医学・看護学>
    • <心理学>
    • <脳神経科学>
    • <認知科学>
  • (言語・論理・哲学・思想)
  • (行動)
    • <オートポイエーシス)
    • <アフォーダンス>
    • <行動分析学>
    • <様々な行動論>
  • (思考)
    • <総論>
    • <問い>
    • <推論>
    • <問題解決>
    • <意思決定>
  • (実践)
    • <目標を達成する>
    • <学習する・表現する>
    • <上達する・創造する>
    • <習慣を変える>
    • <自然を経験する>
    • <瞑想と呼吸>
  • (健康)
    • <運動>
    • <食事>
    • <老化>
    • <ヨガ>
  • (家族とコミュニティー)
  • (生活・文化)
    • <生活論>
    • <文化論>
    • <ゲーム>
  • (仕事)
  • (教育)

政府

  • (権力と支配)
  • (政策)
  • (法とルール)
  • (日本の政治・政府論)

企業

  • (経営)
  • (会計・統治)
  • (日本の経済・企業論)

環境:自然・人工物・情報

社会と世界

補論・自然科学

その他の項目

IT・AI・DX

世界の持続可能性:世界の複雑な問題群

  • (基礎資料)
  • (社会・世界の問題群)
    • <環境問題>
    • <情報の氾濫・暴走と社会の崩壊>
    • <法とルールの破綻>
    • <資本主義の行方>
    • <日本経済と企業の行方>
    • <都市と地方の行方>
  • (個の問題-目標の達成と依存(習慣)からの脱却)

最後に

私が今、もっとも取り組みたいことは、弁護士として「法を問題解決と創造に活かす」活動であり、「問題解決と創造」は、そのための、事実と論理を踏まえた準備作業、基礎作業となることを志している。このWebサイトも、やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。まだ各項目の内容はバラバラだし、ITやAI、科学についての新しい知見・動向を知るには、英語文献、数学手法の読解が必須である。その意味で内容が整うまでには今しばらく時間がかかりそうだ。

ただ法を古臭い非科学的な「法学」という孤立峰から解き放ち、法の機能を社会の問題解決につなげようとしている試みとして、私がもっとも評価している「法と社会科学をつなぐ」(著者:飯田高)も、まだまだ準備段階である。学者と違う時間の使い方をしなければならない実務家(弁護士)である私にできることは限られている。ただ学者とは違うアイデア、ルートからの実践的なアクセスもできることを願っている。

戯れ言日録,IT・AI

私が第一に取り組むべきこと

私が今後このWebで第一に取り組むべきことは、問題解決のための「法とルール」が、適切な内容で作成されて実行され、社会をよくする方向で機能するよう、立法、行政、司法の過程を監視することだと思っています。今までは、立法、行政、司法の過程が人権を擁護する憲法に適合するかどうかということが監視の中心だったわけであり、それが重要だったことはそのとおりですが、でもこれからは、少なくても私にとっては それは課題の一部でしかなく、より重要なのは、加速度的に複雑になっている環境の中の社会、世界のシステムの中で問題解決のための「法とルール」がどうあるべきかを見定めることだと思っています。憲法適合性ならこれまでの法律の庭での問題ですが、弁護士という実務家が、社会、世界の複雑性を踏まえ問題解決のための「法とルール」のあり方を考察・監視することは、全ての時間を研究に費やせる学者の人と違って、なかなか大変です。でも、分析と説明で終わらずに、問題の焦点を「法とルール」にあわせてチェックすることは、法律実務家でこそ可能なことではないかと思っています。

今までも漠然とはこのような方向で、このWebの構成を考えてはいたのですが、なかなか焦点が絞れませんでした。ながーい中断を経てやっと構成がまとまってきましたので、これを次ページに掲載し、今後これに沿ってこのWebを作り直していきたいと思います。ただ構成そのものは今までとそれほど違ってくるわけではありません。要は、複雑性の中で「法とルール」の問題をどこに位置づけるかということです。

何が問題なのか

何が問題かというとき、<私>を前面に出せば、目をつぶれば世界は見えなくなる(端的にいえば死ねば世界はなくなる)わけですから、まず<私>から見える個の不定・不作為・依存状態を解消し、自立・充足することがもっとも重要ですが、ただ個は共同性(社会)なしには生存できませんから、社会、世界の問題を同時に視野に入れて取り組んでいかないと、個の自立・充足もできないでしょう。

さて現時の世界のもっとも重要な問題は、持続可能な地球ということです。地球の現状は、人類の活動で満杯状態なので、資源は急激に不足し、環境を汚染するので、それを前提にして、地球の資源を利用して生産、消費、廃棄等の活動をしていかないと、持続できないということです。持続できないのは、地球ではありません。今の人類です。地球は、惑星が衝突しようと、全球凍結になろうと、全面核戦争がおころうと、太陽に飲み込まれるまでは生命を育んで存続するでしょう。問題は今の人類の存続であって、地球の問題と考えるのは勘違いです。ここでも、<私>を前面に出せば、少なくても私が死ぬまでは多分人類は存続するでしょうから、子、孫の世代の人類の存続を望むかどうかという問題です。

このように数十年前から地持続可能な地球が問題とされ、それが今アップアップの状態です。それのコロラリーとして、資本主義、日本経済と企業、都市と地方がどうなるのか、どうすれば人類の破滅を招かず存続できるのかという問題も、極めて難しい問題です。

加えてもうひとつの問題は、同じ頃から始まり、最近AI・ビッグデータと共に拍車がかかりつつある<情報の氾濫・暴走と社会の崩壊>という問題です。共同性(社会システム)の要素は、コミュニケーションですが、最近のネットやメディアを流通する厖大な情報は、そのほとんどが匿名で現実との対応関係を持たない(人との関係でいえば、身体性を持たない)無意味、無内容で、かつ悪意に充ちた情報です。最近の政治状況の混乱はこれがひとつの大きな原因でしょう。情報の氾濫・暴走によって社会・世界は、統御できない状態に入りつつあり、早晩崩壊するのではないかとも思えます。そういう中で「法とルール」も同様の道をたどりつつあるように思えます。今作成される多くの「法とルール」は、複雑な社会、世界の中で、現実との対応性(リアリティ)を欠いた、言葉だけ飾り立てた、立法の根拠も、論理性も欠く、解読不能な代物の横行と捉えていいのだと思います。「法とルール」が社会の崩壊を準備しつつあるように思えます。

まずは、持続可能な地球(持続可能性)いう理解の上に立った、身体性を有する情報の確保が大切なことでしょう。

そのような方向を目指し、このWebの項目として、「法律業務案内」のほかに、「問題解決と創造のヒント」、「IT・AI・DX(情報)」、「持続可能性:世界の複雑な問題群」を作成します。

次の頁に項目の詳細を掲載します。