組織の問題解決

「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント第3版」を紹介する

G.マイケル キャンベル サニー ベーカー
総合法令出版
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はじめに

ある仕事をする中で、プロジェクト・マネジメントについて報告したことがあるので転載しておく。作成は2014年4月頃である。「続きを読む」以降の後半は、目次に若干のコメントを付けただけだが、レジュメとして利用していただきたい。

 

原題は「The Complete Idiot’s Guide To Project Management」で?と思うかも知れないが、非常に評価の高い本である。なお「ゴール」の著者ゴールドラットが「制約条件」の理論をプロジェクト・マネジメントに適用したのが「クリティカル・チェーン」という本であり、本書の中でもプロジェクトの継続的な改善手法として評価介されている(P187、188。それを日本人著者が紹介した「最短で達成する全体最適のプロジェクトマネジメント」がある。)。

また最近入手したものだで、新たなビジネスを立ち上げるという観点からその方法を検討したものに、「リーンスタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす」(「The Lean Startup」by Eric Rise)、「 スタートアップマニュアル ベンチャー創業から大企業の新事業立ち上げまで」(「The Startuo ownaer’s Manyal」 by Steve Blank and Bob Dorf)があり、これらも我々にとって非常に参考になると思われるので、今後引き続き紹介したい。

また創造的な発想を取り上げた書籍はたくさんあるだろうが、スタフォード大学集中講座1「20歳のときに知っておきたかったこと」、同2「未来を発明するためにいまできること」(ティナ・シーリグ)が斬新である。

プロジェクトマネジメントについては、アメリカのプロジェクトマネジメント協会が「プロジェクト・マネジメント知識体系ガイド」(PMBOK)を刊行している。なお本書とPMBOK(日本語版)以外は、すべてKindle本で入手できる。

読解の前提となる必須語句の説明

・スコープ

プロジェクト完成に要する作業量の規模。

・マイルストーン
「里程標」。プロジェクト実施上の重要な節目、通過点。重要な作業の完了時点に置くことが多い。

・クリティカル・パス
プロジェクトの作業をつなぐ複数の経路の中で、最長の所要時間の経路。クリティカル・パス上にある作業のどれかひとつが遅れると、プロジェクト全体の遅れに直結する。
・SOW(作業範囲記述書) Statement Of Work
プロジェクトのマスタープラン策定の中から明らかになった、プロジェクト目標や作業記述書、リスク、前提条件などをひとまとめに統合した書類。

・WBS(作業分解図) Work Breakdown Structure
プロジェクトをまず大きな単位(マイルストーンということもある。)に分解し、それを更に小さく分解して、最下位の単位であるワーク・パッケージを洗い出す。プロジェクト完成に必要な作業を組織化し、要約した文書。ただし依存関係は、表示できない。

・ネットワーク図  Network Diagram
プロジェクト作業を実施順序に従って論理的に並べた図。左から右に時間の流れをとり、各作業の依存関係を線で結ぶ。大規模プロジェクトでは、ネットワークを階層化し、第1階層にマイルストーンをすべて盛り込み、第2階層で各マイルストーンの完了に至るサブプロジェクトを示す・・などとすることもある。

・プロジェクト計画書 Project Plan

全体の流れ

・作業の過程(フェーズ)は、定義、計画、実行、コントロール、終結に分けることができるが、当面、定義、計画フェーズが重要であり、何が何でも計画フェーズの最終目標であるしっかりした「プロジェクト計画書」を作成しなければならない。それができれば、実行、コントロールフェーズも乗り切ることができ、終結(完成)を迎えることができる。

定義フェーズ

・定義フェーズにおいては、利害関係者(ステークホルダー)を明確にし(プロジェクトメンバー、取締役会、法務監査部、プロジェクトに参加する消防、医師、ジェット機関係者、役所、業者等等)、プロジェクトの目標、成果物の外、事業の範囲(スコープ)、コストとスケジュールの見込み、指揮命令系統、各人の役割とリスクと制約条件等を検討して、SOW(作業範囲記述書)を作成する。

・目標には、SMART(Specific=具体的,Measurable=測定可能,Agreed-upon=合意されている,Realistic=現実的,Time-limited=期限が明確)+C(clear responsibility=責任が明確)の基準がある。

計画フェーズ

・計画フェーズにおいては、作業を分解して本当ににやるべきことをWBS(作業分解図)にし、これを実施順序に従って論理的に並べたネットワーク図を作成する。更に所要期間を見積もり、予算を作り、強力なチームを作り、資源を確保し、そのすべてをまとめて、プロジェクト計画書を作り、取締役会(運営委員会)の承認を得る。
・ネットワーク図(P153)が参考になる。

その後のフェーズ

・ 実行フェーズにおいて重要なのは、プロジェクトを正しく起動させ、プロジェクト・マネジャーがリーダーシップを発揮してチームを活性化し、コミュニケーションをとること等である。

・ コントロールフェーズにおいて重要なのは、スケジュールとコストを監視・コントロールし、計画の変更管理プロセスを確立し、プロジェクト成果物を通常業務に移管すること等である。

・ 終結フェーズにおいては、プロジェクトを振り返り、最終報告書を作成する。

組織・社会。世界

私は今、日本においてビジネスジェット機を利用するエアーアンビュランスを立ち上げる仕事に、弁護士として関与しているが、そもそもエアーアンビュランスとはどのようなものかについては、日本ではほとんど知られていないので、世界で実際に行われているエアーアンビュランスを調べるのが手っ取り早い。

限られた分野の話なのでなかなか文献を探すのが面倒だが、ウィキペディアで検索して得られた情報(記事)を集めた何ともお手軽な「AIR AMBYURANCE SERVICES」(HEPHAESTUS BOOKS)という本があり、そこに収録された記事のアドレス一覧も収録されているのでこれを備忘のために掲載しておく。。ワード文書も添付しておく。

air ambulanceリンク集

それぞれの記事に深みはないが相当に網羅的であり、これを基にしてさらに調査すればよい。

なお、世界のエアーアンビュランスという場合、国境が接したりしているので、ビジネスジェットを利用するだけでなく、日本のドクターヘリと同様に、ヘリコプターを利用する救出も大きな位置を占めている

組織・社会。世界

最近、①「遊牧民から見た世界史 増補版」(杉山正明・日経ビジネス人文庫)、②「中夏文明の誕生-持続する中国の源を探る」(NHK「中国文明の謎」取材班・講談社)、③「中国化する日本-日中「文明の衝突」一千年史」(與那覇潤・文藝春秋)を読み、「イスラーム 文明と国家の形成」(京都大学学術出版会・小杉泰)が控えている(別途、「イスラム飲酒紀行」(髙野秀行・Kindle本)も読んだが、これでイスラムを語るのは、いささか・・・)。

これらを読むと、人びとのエネルギーとその時間・空間の雄大さに圧倒されてしまうが、大事なことはこれらの本を整合的に理解することではない。

①「遊牧民から見た世界史」によると、遊牧騎馬軍団が、ユーラシア大陸の東端から、アジア西端まで、少なくても16世紀までは、ほぼ「支配」していたこと、中国も例外的な時期、地域を除き、遊牧騎馬民が「支配」していたことになる。遊牧騎馬軍団が非常に強力な戦闘力を持ち、あるときわずか十数騎で2000人の地上軍を蹴散らしたという記述があって、「ほう」と思うのだが、「征服した後」を支えるのは、交易であり、安定した治世であろう。②「中夏文明の誕生」を読むと、最近の発掘で分かってきたこととして、夏に端を発した、中華=中夏の思想が中国を支えてきたという話になる。③の「「中国化する日本」では、宋以降の中国が「世界標準」だということらしい(内藤湖南で確認したが、確かに宋以降が近代だということらしい。)。

それらの関係はともかく、ユーラシアに焦点を当て、古代オリエントは横に置くとすると、中夏、遊牧騎馬軍団、イスラム、それとヨーロッパ(含むアメリカ)が4大勢力であるが、遊牧騎馬軍団はその軍備が重火器に圧倒されたことから勢いを失い、ほぼイスラムに飲み込まれている。そうすると、中夏、イスラム、ヨーロッパの争いだが、近代になってやっと力を持ち重火器の大量生産で他を押さえつけていたヨーロッパが、中夏、イスラムの逆襲に遭っているというのが現状であろうか。

もちろん、軍備でも経済力でもなく、文明・文化によってである。

こういう話しは、どうしても床屋政談、居酒屋放談になってしまうが、それにしても、どこにも日本の「物作りの技術力」自慢など入り込む余地がないように見える。

それに本当に日本は「物作りの技術力」が優れていたことがあるのだろうか。私のイメージでは、江戸時代までの工芸品、美術品の伝統はさておき、50年前からの高度成長期には粗製濫造で市場を広げ、その後は、物真似、更には物真似はそのままで小型化、高度化によって市場を確保してきたが、結局、根本のところで創造性のある商品、サービスを提供できないまま、敗退しているというのが事実ではないか。

まずユーラシアやアメリカを駆け巡るしかないじゃないか、そこで人と出会ってはじめてまともな商品、サービスのアイディアが生まれ、「物作りの技術力」をいかした、普遍的な価値を生むことができるのではないか。

このままうじうじと国内で発想しているのではね、というのが壮大な歴史に向き合った私のとりあえずの感想です。さて私はどうしよう。