本の森

「まとめ読み」を作る

個別の本を取り上げて<「・・・」を読む>という記事を作成するのにはかなりエネルギーが必要なので、特に重要な本や何かの理由で是非とも紹介したい本に限られることになるだろう。そのためこれから「読む」を作成するとか、記憶に止める必要のある本(以下「登録本」という。)について、「本の森」の「カテゴリー」に添って、その下位の「カテゴリー」別、あるいは話題や内容別の「まとめ読み」=「一覧」を作成することとする。例えば、「本を読む本」まとめ読み、「進化論の本」まとめ読み、「樹木の本」まとめ読み等々である。

そのための準備として登録本については、「私本管理」と、WEB上の「メディアマーカー」に登録する。

「私本管理」は私のパソコン上で行い、①新規購入(過去に購入したものも含める)と、②作成中(「まとめ読み一覧」作成作業中)、③一覧・リンク(「まとめ読み一覧の作成済みないし記事中でリンしたものの)、投稿(「読む」を作成済み。)に分け、シールを貼る。「メディアマーカー」には、作成中の本を登録する。「メディアマーカー」に登録すると公開され、EVERNOTEに読み込まれるので、EVERNOTEで読書メモを作成することができる。

「本を読む本」まとめ読み

最初に「本を読む本」で試作してみる。

まとめ読み一覧

カテゴリーや、その下位のk手子リーは次のようになる。

自然と科学

「化学」、「物理」、「生物学」、「宇宙と地球」、「数学」、「統計学」、「工学」、「医学」、「生化学」

社会の構造

「経済学」、「経済分析」、「開発経済学」、「開発法学」、「経営学」、「政治」、「世界史」、「日本史」、「社会学」、「人類学」

ヒトの内的世界

「哲学」、「論理学」、「心理学」、「芸術」、「仏教」、「本を読む本」、「勉強法の本」、「英語の勉強法の本」

その他

「山の本」、「山の本(ガイド本)」、「山の本(技術本)」、「旅の本」、「花の本」、「樹木の本」、「筋トレとストレッチ」、「健康になる本」、「HTMLとCSSの本」、「WEBの本」、「ITの本」、「私の嫌いな本」

法とルール

「公法」、「刑事法」

様々なビジネス

「健康管理システム」、「エアーアンビュランス」

世界に向けて

「Kindle本」を読む、「Audible」を聞く、「開発経済学」、「開発法学」、

本の森

未来予測を嗤え! (oneテーマ21)

posted with amazlet at 15.01.05
神永 正博 小飼 弾
KADOKAWA/角川書店
売り上げランキング: 11,320

一口コメント

冒頭部は切れ味鋭く世界の現在を垣間見せてくれる。ただ、その後は、雑多な親父トークも多く、多少迷路のようだ。ともあれ、使えるアイディアに満ちているので一読をお勧めする。

私的書評

この本の構成

この本は、数学者である神永氏とプログラマー・投資家で書評家の小飼氏の対談に、「はじめに」を書いている構成担当の山路氏が加わった鼎談ともいえるが、帯に「いま最強の理系講義」とあるように、神永氏と小飼氏がよってたかって質問者に「講義」していると見るほうがわかりにくい。数学については神永氏の、経営については小飼氏の発言の方が安心できるが、両氏とも入り混じって発言しているし、多少なりとも異論を述べている部分はごくわずかなので、両氏を区別することにはあまり意味がない。最近この手の発言者が区別しにくい「対談」が多いが、どう考えたらいいのだろうか。

すばらしい冒頭部

さて、両氏は冒頭部で、「未来は確定しているけれど人間が予測できないケースが多い」、例えば「カオスが、ランダムではなく現象は完全に決定論的だが、振る舞いが複雑すぎて長期的な予測は不可能だ」、「私たちが考えているほとんどは外界の刺激に対応しているだけだが、全体としてみると複雑すぎてわからないだけかも知れない。自由意思も単なるカオスなのかもしれない」、「統計学の回帰分析も、本当の説明変数は複雑な関係になっているかもしれないが、それを単純な式(多くは一次式)で表してみたというだけで、これで本質的に何が分かるかはかなり難しい問題で実際にはおまじないが進化したようなものかも知れない」、「経済や株価のデータを精密に研究したところ、分散(ランダムネス(無作為の度合い)がおとなしいこと)が存在しないことが分かってきたので、統計は意味がない、唯一そこに挑戦しているのはフラクタル理論を築いたマンデルプロたちくらいだ」、「物理的な制約の中にあるものは観測の精度を上げることで大体予測出来るが、人間の社会は幻想を共有することで成り立っているため、物理的な制約に縛られない変な制約が出てくる」等々と畳みかける。

そして第1講の最後で神永氏は「予測出来ない現象について価値を最大化したいなら、方法は一つ。手堅い商売をしつつ、確率は低いけど大当たりするかも知れないポジティブな結果をもたらすブラックスワンにも掛金を積むということしかない」と述べる。

わずか数ページの中に述べられた指摘は、きわめて重要だと思う。

その他印象に残った議論

第2講以降は、この冒頭部を踏まえた議論もあるし、そうでないものもあって、雑然としている印象を受ける。神永氏が情熱をもって語る教育論や、小飼氏が展開する経済政策論としての「ベイシック・インカム」、「オーナーシップを分配するベーシック・アセット」論は、やはり異論もあるだろう。面白いのは神永氏が 日本の国家が基礎科学の研究支援をおろそかにしているとの指摘の中で「分野によって優れているところはないか」、「国文学研究などであれば勝てるでしょう」は嗤える。

その中で印象に残った議論を何点か指摘したい。

  • ビッグデータの時代では理論モデルが不要となることはないが、部分から全体を推定するという意味での推測統計学の価値が下がる。
  • 株の超高速取引(裁定取引)にとって重要なのは証券取引所のホストコンピューターとの距離であるが、証券取引所が行っているコロケーションサービスは「買付け者間の公平性確保」を謳う金融商品取引法に違反しているのではないか。
  • 優秀な人材と強力なコンピュータ技術の両方を握った企業が圧倒的な商勝者社になる。Google,Apple,Amazon,Facebookといった企業に、オセロの4隅を押さえられた状態になっている。
  • 少し前まで弁護士は無敵の資格であったが、それは国家が差を作って需給のバランスをとっていたからである。弁護士を増やしたことで需給バランスが崩れてしまい、魅力的な資格でなくなった。
  • 経済活動は「差」を見つけて儲けることである。今の資本主義社会ではcomparableな(比較可能な)差をめぐって争うが、どうでもよい差に悩まされていてはダメで、incomparableで(比較不可能な)nontrivialな(自明ではない、重要な)差に目を向けるべきだ。視点をばらけさせないとダメだ。
  • 自分がやっていることが人の役に立つためには、2つの条件がある。一つは、人の話を聞き、自分のやっていることを説明出来るコミュニケーション能力、もう一つは他人が「へえーっ」といいたくなるもの(incomparableな差)
    を持っていることだ。
  • 仕事の究極の形は、要するに人を動かすことだから、本質的に詐欺師がやっていることと同じだ。
  • みんな世の中のことを大して分かっていない。調べて初めて分かることがいっぱいある。科学技術が発達したことで人間は何でも分かっているような、できるような気になっているが、実際はまだ探求されていない「穴」はたくさんある。分かっていることの方がわずかだ。

 

本の森

6冊?

2014年の大晦日なので、今年、読んだ本のうち記憶に深くとどめるべき本についてまとめておこう。ただしこれは今年刊行された本という意味ではない。私が今年少しまじめに取り組んで示唆を受けたぐらいの意味だ。

といっても、ホームページの整理を考えはじめたのが2ヶ月前なので、まだ本のことにまで十分な手が回らない。だからとにかく最近読んで今の私にとって(仕事や社会貢献等を含んで)重要だと思った本6冊について簡単にまとめておこう。6冊なのは、思いつくままで、適当な数だ。

ただ重要だと考える基準は、知的好奇心を満たすとか、面白いとかよりも(もちろんいずれもそうなのだけれども)、私が現在取り組もうと思っている、価値と健康の創造に添ったものになっている。人も多少は進歩するのだ。

この本6冊

次の6冊だ。

  1. 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史
    マット・リドレー、
    The Rational Optimist by Matt Ridley
  2. 暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る
    山極 寿一
  3. 貧困の終焉: 2025年までに世界を変える
    ジェフリー サックス
    The End of Poverty: Economic Possibilities for Our Time by Jeffrey Sachs
  4. 経済的価値と社会的価値を同時実現する 共通価値の戦略
    マイケル.E.ポーター
  5. GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス
    ジョンJ.レイティ、 リチャード・マニング
    Go Wild: Free Your Body and Mind from the Afflictions of Civilization by John J. Ratey and Richard Manning
  6. 哲学入門
    戸田山 和久

簡単なメモ

私が、世界における価値創造ということに目を開かれたのが1だ。これをもう少し遡って動物としてのヒトから考える基本が2だ。更に国際的な経済展開として開発途上国の現在の価値創造を実践しているのが3で、それをより深く考える視点を4が与えてくれる。

これらは3、4はともかく、進化論を基本とするものだが、それをもとにヒトの心身論を考察している最新の本が5である(ただし、この本の糖と炭水化物に関する議論は、単純すぎる。)。さらにこれらを、原理的に考察しているのが6だ。

これらの分野は日々新しい成果生まれている。私の本のストックもたくさんある。来年は、自分自身で少しでも創造に足を踏み入れたい。