法とルール

一口コメント

「法とルールの基礎理論」に関する本をまとめてみた。本棚にあって目についた本をまとめただけなので、決してこれが最良というわけではないし、網羅的でもないが、悪くない本が集まった。

1、2は、人類史の進化論的論点を踏まえた上で利他行為やルールの存在について解明しているので、視野を広げ、適切な出発点を設定するのに適している。2は、読むのに疲れるが。

3は、最近出たものだが、国家に関する幅広い論点を取り上げた上、わかりやすく説明しているので、とても参考になる。国家が適切に果たすべき役割がたくさんにあるということを冷静に理解させてくれる。国家と聞くと頭に血が上って感情的な議論をするだけではだめだと反省。

ただ、3の出発点はヨーロッパの近代国家なので、それ以前、それ以外の地域について、「法人類学」も研究しているという4が、多少古めかしい分析だが参考になる。

法のあり方を考察するためには、5ないし10が、それぞれ特色ある良書だと思う。特に6は、どうして、法哲学、法思想というマイナーな分野に、こんなにわかりやすく説明しようとした、受験のためのトピック集のような本があるのかびっくりだ。10は、ちょっと手に入らないかもしれない。

11は、ここで紹介するのが適切かどうかわからないが、5ないし10で法学者がご大層に語る日本の法律実務のレベルがどうなの(行政分野だが)という、日本文化論としても読めるお笑い「実務書」だ。12は、広い観点から日本の司法の現状を分析している。13、14は、元裁判官が日本の裁判所を痛烈に批判している。

15、16は、外国にも目を向けましょうということだが、どちらもとても面白い。

17から19は、日本で研究、教育をしている外国人の研究者、実務家の、裁判所、日本の法文化、弁護士論。いずれもとても面白い。

紹介

1

クリストファー ボーム 長谷川 眞理子
白揚社
売り上げランキング: 5,495
 
Basic Books (2012-05-01)

2

ルールに従う―社会科学の規範理論序説 (叢書《制度を考える》)
ジョセフ・ヒース
エヌティティ出版
売り上げランキング: 267,039
Following the Rules: Practical Reasoning and Deontic Constraint
Oxford University Press (2008-10-16)

3

国家の社会学

国家の社会学

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佐藤 成基
青弓社
売り上げランキング: 24,331

4

世界の法思想入門 講談社学術文庫

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講談社 (2014-11-28)
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5

法学入門

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星野 英一
有斐閣
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6

よくわかる法哲学・法思想 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)
深田 三徳 濱 真一郎
ミネルヴァ書房
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7

現代法哲学講義

現代法哲学講義

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高橋 文彦 桜井 徹 横濱 竜也 郭 舜 山田 八千子 浅野 有紀 鳥澤 円 藤岡 大助 石山 文彦
信山社
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8

法理学講義

法理学講義

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田中 成明
有斐閣
売り上げランキング: 508,222

9

法社会学 (NJ叢書)

法社会学 (NJ叢書)

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法律文化社
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10

法政策学―法制度設計の理論と技法

法政策学―法制度設計の理論と技法

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平井 宜雄
有斐閣
売り上げランキング: 272,601

11

行政法解釈学〈1〉実質的法治国家を創造する変革の法理論
阿部 泰隆
有斐閣
売り上げランキング: 683,595
行政法解釈学〈2〉実効的な行政救済の法システム創造の法理論
阿部 泰隆
有斐閣
売り上げランキング: 561,577

12

テキストブック 現代司法

テキストブック 現代司法

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木佐 茂男 佐藤 鉄男 川嶋 四郎 水谷 規男 宮澤 節生
日本評論社
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13

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

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瀬木 比呂志
講談社
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14

ニッポンの裁判 (講談社現代新書)

ニッポンの裁判 (講談社現代新書)

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瀬木 比呂志
講談社
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15

はじめてのアメリカ法 補訂版

はじめてのアメリカ法 補訂版

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樋口 範雄
有斐閣
売り上げランキング: 69,212

16

開発法学の基礎理論―良い統治のための法律学
松尾 弘
勁草書房
売り上げランキング: 105,631

17

名もない顔もない司法―日本の裁判は変わるのか (NTT出版ライブラリーレゾナント)
ダニエル・H. フット
NTT出版
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18

裁判と社会―司法の「常識」再考 (日本の“現代”)
ダニエル・H. フット
NTT出版
売り上げランキング: 116,535

19

手ごわい頭脳―アメリカン弁護士の思考法 (新潮新書)
コリン・P.A. ジョーンズ
新潮社
売り上げランキング: 259,969

組織の問題解決

弁護士と経営

経営法曹という古い言葉がある。一見、経営問題が分かる法曹という意味のようだが、昔は経営問題が分かる法曹ほとんどいなかったから、単に「経営寄り」の法曹を揶揄していう言葉だったと理解することが正しい。

もちろん、企業は、様々な法律問題を抱えているから、経営に関わる、例えば「商事法務」や「コンプライアンス」という分野もこなす弁護士は多くいたが、彼らが経営問題を理解しようとしていたかは、多分に疑問である。

こういう状況は、司法改革の一環としてロースクール制度が導入され、様々な専門的知識を有する人材が法曹に流入する中で、当然経営学を専攻する人材も確保され、一変することが予想されたが、残念ながら、弁護士増員数を市場原理ではなく、「理念」に委ねたため、供給過剰となってしまい、司法改革自体が相当部分で頓挫してしまったというのが現実である。

だから普通の弁護士が、経営問題を理解しようとして経営書を読もうというのは、今でも十分に意味がある。もちろん、経営書を読んで経営問題を理解することと、企業を経営することが、別物であることは十分に理解しなければならない。

今、経営学の本は百花繚乱だ

経営書といっても、「根性もの」や「技術もの」は横に置くとして、経営学の本を取り上げるだけでも百花繚乱だ。ということは、学問として十分に成熟していないということだが、そもそも経営学が、経験の体系化を超えて学問たり得るかどうかには根本的な疑問がある。それは今後考察していくとして、とりあえずどこからはじめるか。

これについては、最近、若い学者らが、経営学の全体を俯瞰するような何点かの経営書を刊行していて、鋭い分析をしているアメリカの経営学書のように心は揺さぶられないものの、ここらあたりが「入口」として適当だろうと思うので、そこから読みはじめよう。当面、6点の経営学書に目を通そう。

経済的価値と社会的価値を同時実現する-共通価値の戦略

ところが今日(2014年12月28日)、Kindle本を見ていて、「経済的価値と社会的価値を同時実現する 共通価値の戦略」という「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」の論文の短いKindle本を見つけた。著者の一人は、なんと、マイケル.E.ポーターである。

題名に惹かれて早速買って読んでみたが、ここには今私たちが「資本主義」に対して抱いている疑問の一つの回答があると思った。

これについてはまた検討したいが、Amazonに添って簡単に要約すれば、「共通価値」(shared values)という概念は、経済的価値を創出しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値も創出するというアプローチである。これまでの資本主義の考え方は、「企業の利益と公共の利益はトレード・オフである」、「低コストを追求することが利益の最大化につながる」といったものであり、もはや正しいとはいえない。共通価値の創造に取り組むことで、新しい資本主義が生まれてくる。成長の次なる推進力となるだろう。

共通価値がもたらすチャンスを見極める方法は、「製品と市場を見直す」、「バリューチェーンの生産性を再定義する」、「事業を営む地域に産業クラスターを開発する」の3つであるとして、検討している。

誰でも経営学は、企業のための言説でうさんくさいと思っているし、いつから経済が、多くの人の人生の大問題になったのだと疑問に思っている。一方、経済的な価値生産がうまくいかなければ人生が悲惨なことも理解している。経済的価値を創出しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値も創出するのが、新しい企業であり、仕事であるとすれば、楽しく仕事ができるであろう。これが「解決策」だとは思わないが、一つの回答案として評価したい。

今後のスケジュール

だいたい次のような順番で行こう。ゆっくり読んで行けば良い。

これだけ読めば経営問題についての「穏当妥当な理解」はできるだろう。でもあくまで「穏当妥当な理解」にとどまるだろう。独創的な経営は、どこにあるのか、多分足元だ。

 

日々雑感

 大竹29・30会イースト

2014年11月16日(日)に、大竹29・30会イーストという名の大竹小学校(中学校)の同窓会があった。29・30(ニーキューサンマル)というのは、昭和29年、30年生まれ、イーストというのは東日本である。大竹といってもほとんど知らないだろうが、大竹市は、山口県との県境にある「パルプ、化学繊維、石油化学等の大企業を誘致し、瀬戸内地域で有数の臨海工業地区に発展」したが、残念ながら今人口減少の一途をたどりつつある広島県の地方小都市である(今の人口は2万8000人くらい。)。一時は「公害の街」であったが、最近は相当改善されたものの、いまでも工場街を通ると「化学臭」がするようだ(でもすぐに慣れて気がつかなくなってしまう。)。しかし市の北部には自然が残されており、川遊びができる蛇喰岩や、栗が採れる栗谷、クライミングもできる三倉岳は、どれも楽しいスポットだ。子供達が小さいときには帰省してよく遊びに行ったし、三倉岳にも。2度は登ったかな。

同窓会にいた50年前の私

私は、中高は広島市内にある私立に行き、大学は東京に来たので、大竹小学校の同窓生とは、中高、大学で一緒だった人以外は、実に48年ぶりの再会になる。

当日会場の場所が分からずにうろうろとしていて少し遅れてしまったが、世話役として会場のビルの入口まで迎えに来てくれた5、6年の時に一緒のクラスだったS君の面影は分かったが、会場にはあと16人。S君以外には5、6年で一緒だった人はいないみたいで、あまりピンと来る人がいない。実は当時の大竹小学校は7クラスもあって、しかも、1、2年、3、4年、5、6年と持ち上がりなので、一緒のクラスにならなかった人も随分いる計算になるから、知らない人もいるのは当然なのだが、それにしてもわからない。大竹の方では、これまでにも数回同窓会が行われたようだし、連絡を取り合う人もいるようで、みんなの話は弾んでいるが、私には?

でも当時の先生の写真が紹介され、近況報告も兼ねて、どのクラスにいたとか、あんなことがあったとか、あいつはどうしているとかいう類の話が重なっていくにつれ、私もだんだんと小学生だった48年前から54年前に連れ戻された。飛び交う、広島弁、より正確には大竹弁。そして出席者の入学したときと卒業したときの写真が卒業アルバムから切り抜かれて、プロジェクターで映し出された。

私の写真。そこには50年前の私がいた。より正確には54年前の私と48年前の私がいた。何とまー・・・。

同窓会の本番はあっという間に終わって、2次会、3次会。本当に楽しい時間が過ごせた。だから飲み過ぎた。あのころは、少なくても大竹のような小さな街では、ドコドコのダレダレさんという位置づけが確かに生きていた。だから人の存在に、強いリアリティーがあるから確かに私も存在していたことが分かる。大竹弁に乗って。

反省会と忘年会

その後、法律関係の加除出版の会社に勤めているSM君から連絡があり、事務所に来てもらって、「整備場」唯一の「5時から居酒屋」の食堂「ブルーコーナー」で楽しくお酒を飲み、ずっと単身赴任をして頑張って仕事をしていることや、奥様とのなれ初め、やっとできた美人の娘さんの話等々を聞いた。私は孫の話かな。ミュージシャンのオサム君とも連絡を取り、今度一緒に飲もうということになった。そしてしこたま飲んだ。

でもそのとき、世話人の反省会に出席することを勧められ、昨日(2014年12月14日)、勝手に世話人の反省会へオブザーバーとして出席し、結局、S君、SM君、オサム君等々、11人の世話人と2度目の再会を果たした。まあたいしたことも反省しないまま、軽く一杯やったが、その段階で日本酒を飲み過ぎた匿名の奥様は脱落。オサム君がギターを持ってきて翌日誕生日のSM君へハッピーバースデイを歌ったが、そのことよりオサム君はその場にいた全員の誕生日を覚えていて披露。どういう記憶法か、能力か。異能の人だ。そのまま居酒屋で忘年会へ。

そして私の家のすぐ近くにあったガラの広場で野球をしたことや幼稚園の時代の話へ。幼稚園は、「大竹中央幼稚園」だ。Aさんが、幼稚園の写真まで持ってきていた。あ!これが私だ。56年前の私。またまた大竹弁で盛り上がった。そしてまた飲み過ぎた。

まとめ

大竹のもんは、ぶち、酒を飲むのお。