環境と世界

未読・半読・一読の本 3 (180607)

最近,コーポレートガバナンスについての本を読み,派生してドラッカーにいき,更にこのWebに手を入れたりで,なかなか購入済みの本を読めないが,たまたまこの2,3日で,Kindleストアを検索していて,今後の社会がどうなるかについて書かれた(のであろう)「面白そうな本」を4冊見つけた。未読の本がたまっているので全部は購入はしていないが,落ち着き次第,購入して目を通してみたい。したがって現状はほとんど未読の本なので,この投稿は備忘という趣旨でとなる。

いずれもIT化,テクノロジー,グローバリゼーションを軸に,世界経済,社会,人間のこれからを考察した本であり,サンプル部分を読み,目次を一覧するだけでも興味深い。いずれもそこそこの値段がするが,Thank You for Being LateのKindle本だけは,1000円ちょっとである。

4冊は,以下のとおりである。

遅刻してくれて、ありがとう

遅刻してくれて、ありがとう(上) (下)常識が通じない時代の生き方 

著者:トーマス・フリードマン

原書

Thank You for Being Late: An Optimist’s Guide to Thriving in the Age of Accelerations  By Thomas L. Friedman

目次

Part1 熟考

1 遅刻してくれて,ありがとう

Part2 加速

2 2007年にいったいなにが起きたのか /3 ムーアの法則 /4 スーパーノバ /5市場 /6母なる自然

Part3 イノベーティング

7 とにかく速すぎる /8 AIをIAに変える /9 制御対混沌 /10 政治のメンターとしての母なる自然 /11 サイバースペースに神はいるか? /12 いつの日もミネソタを探して /13 故郷にふたたび帰れる(それに帰るべきだ)

Part4 根をおろす

14 ミネソタから世界へ,そして帰ってくる /〈その後〉それでも楽観主義者でいられる

シャルマの未来予測

シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国

著者: ルチル・シャルマ

原書

The Rise and Fall of Nations: Ten Rules of Change in the Post-Crisis World By Ruchir Sharma

目次

プロローグ ジャングルの奥地へ

序章 有為転変――国家の盛衰を見抜く10の評価基準

第1章 【人口構成】 生産年齢人口が増えているか――ロボットは人口減少への救世主になる

第2章 【政治】 政治サイクル――改革者はいつ俗物に変わるのか

第3章 【格差】 良い億万長者、悪い億万長者――お金持ちを見ればその国の将来が分かる

第4章 【政府介入】 国家による災い――政府の干渉が増えているか、減っているか

第5章 【地政学】 地理的なスイートスポット――地の利を最大限に活かしているか

第6章 【産業政策】 製造業第一主義――投資の対GDP比率は増えているか、減っているか

第7章 【インフレ】 物価上昇を侮るな――住宅価格の上昇率が経済成長率を上回り続けていないか

第8章 【通貨】 通貨安は天使か、悪魔か――経常収支赤字の対GDP比が3%以上、5年連続なら要警戒

第9章 【過剰債務】 禁断の債務バブル――債務の伸び率は経済成長率より高いか、低いか

第10章 【メディア】 「過剰な報道」の裏に道あり――メディアから見放された時が絶好のチャンス

第11章 優秀、平均、そして劣等――注目国の将来展望を格付けする

拡張の世紀

拡張の世紀―テクノロジーによる破壊と創造

著者:ブレット・キング

原書

Augmented: Life in The Smart Lane By Brett King

目次

序章 スマート化された生活

第1部 ディスラプションの250年

第1章 テクノロジーによるディスラプションの歴史 /第2章 「拡張」の時代 /第3章 姿を消すコンピューター /第4章 ロボットの優位性

第2部 スマート・ワールドの進化の仕方

第5章 Human 2.0/第6章 人間の「拡張」/第7章 ライフストリーム、エージェント、アバター、アドバイザー

第3部 「拡張」の時代

第8章 鉄道、航空機、自動車、住宅 /第9章 スマートバンキング、決済およびマネー /第10章 「拡張」世界における信頼とプライバシー /第11章 「拡張」都市とスマート市民 /第12章 新時代のエンゲージメント

世界経済 大いなる収斂

世界経済 大いなる収斂 ITがもたらす新次元のグローバリゼーション

著者:リチャード・ボールドウィン

原書

The Great Convergence  By Richard Baldwin

目次

序章

第1部 グローバリゼーションの長い歴史をざっと振り返る

第1章 人類の拡散と第一のバンドリング /第2章 蒸気革命とグローバリゼーションの第一のアンバンドリング /第3章 ICTとグローバリゼーションの第二のアンバンドリング

第2部 グローバリゼーションのナラティブを拡張する

第4章 グローバリゼーションの三段階制約論 /第5章 何が本当に新しいのか

第3部 グローバリゼーションの変化を読み解く

第6章 グローバリゼーション経済学の基礎 /第7章 グローバリゼーションのインパクトその変化を解き明かす

第4部 なぜそれが重要なのか

第8章 G7のグローバリゼーション政策を見直す /第9章 開発政策を見直す

第5部 未来を見据える

第10章 グローバリゼーションの未来

 

考えるべきこと2題

 

こういう本は楽しいのだが,ともすれば彼岸の話として「へえ-」で終わってしまうか,商売ネタにしようとスケベ根性を出してしまう。しかしIT化,テクノロジー,グローバリゼーションは,今後,しかももうすぐ,間違いなく私たち一人一人の生活・仕事・文化を直撃し,この国の企業と政府,さらには環境も直撃する。漠然と,社会,経済の問題と捉えるのではなく,生活,仕事,企業,政府,環境と,多面的に捉えたい。

せっかくアメリカの俊才が4冊もよりどりみどりで書いてくれているのだから,私たち個人と私たちが属する組織の問題として,いかに問題解決と創造に結び付けるかという観点で読まないともったいない。

ところでアメリカと言えば,トランプ氏の政治論は横に置くとして,貿易論はどうなっているのか。我が国も含めて政治家の奇想天外な言動に歯止めが掛からない。貿易については,最近出た「実証から学ぶ国際経済」が良さそうだ。これも追って紹介しよう。

個人の問題解決,本の森

「知ってるつもり」と「武器化する嘘」

人の知能は,世界を(実験によって)観察し,論理的に思考・分析して,表現・評価し,「問題解決と創造」につなげることができるが,その過程に様々な誤りが紛れ込む。

最近入手した二つの本(「知ってるつもり 無知の科学」(著者:スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック)と「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン)は,人の知能・思考が世界をどのようにとらえるのか,世界をとらえる正しい方法論は何かについて,類似した視点と方法にたつ「総論」と「各論」ともいうべき本である。

両書とも非常に優れた内容を持つが,翻訳英書に共通する饒舌さや捩じれと翻訳の分かりにくさがあって,両書の構造,内容を正確にとらえるのが少しむつかしいようだ。

私としては両書を,「問題解決と創造の頁」の「方法論の基礎」の最初に位置づけたいと思っているので,その詳細な紹介をしたいと思っているが,今少し時間がとりにくい状態にあるので,ここでは備忘のために書名とさわりだけ紹介したい。

「知ってるつもり 無知の科学」を読む

「知ってるつもり 無知の科学」(著者:スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック)(Amazonにリンク)

この本のポイントは,「The Knowledge Illusion」であるが,これを「知能の錯覚」と訳されても,あまりピンとこない。

人の知能は,複雑な世界から行動(繁殖と生存だろう。)するために必要なもの,重要なものだけを取り出すように進化した。その知能のあり方が,「The Knowledge Illusion」である。そして行動するために重要なのは,原因と結果の因果的推論である。これには2種類(システム1とシステム2,あるいは直観と熟慮)ある。しかし人は,因果システムを自分が思っているほど理解していない(説明深度の錯覚)。直観は個人の頭にあり,熟慮は知識のコミュニティの力を借りている。後者がコミュニティの問題であるというのは,重要である。すなわち人は,体と世界,他者,テクノロジーを使って考える。

そして賢い人を育て,賢い判断をするための方法(ナッジ)がある。

後半は,行動経済学と重なっている。

この本の構成は英文の方がわかりやすそうなので,英書の目次を掲記しておく。

The Knowledge Illusion: Why We Never Think Alone

  • INTRODUCTION:Ignorance and the Community of Knowledge
  • ONE What We Know/TWO Why We Think /THREE How We Think /FOUR Why We Think What Isn’t So /
  • FIVE Thinking with Our Bodies and the World /SIX Thinking with Other People /SEVEN Thinking with Technology /
  • EIGHT Thinking About Science /NINE Thinking About Politics /
  • TEN The New Definition of Smart /ELEVEN Making People Smart /TWELVE Making Smarter Decisions
  • CONCLUSION:Appraising Ignorance and Illusions

「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」を読む

「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン)(Amazonにリンク)

「知ってるつもり」で分かるように,人の知能・思考は「The Knowledge Illusion」にあるから,これを悪意を持って利用しようとする人も多い。

それをどのように批判的に吟味するかという観点からまとめたのが「武器化する嘘」である。「数字を吟味する」,「言葉を吟味する」,「世の中を評価する」から構成されている。認知科学,論理学,自然科学等を踏まえている。ベイズ確率が重視されている,

ただ体系的にまとめたというより,事例集という面があるので,記述相互の関係が分かりにくい。これを参考にしながら,どのように正しく考えるのかを,まとめていく必要があるだろう。

これも内容は,英書の目次の方が分かりやすそうなので掲記しておく。

A field guide to lies and statistics: A Neuroscientist on How to Make Sense of a Complex World

  • Introduction: Thinking, Critically
  • PART ONE: EVALUATING NUMBERS
  • Plausibility /Fun with Averages /Axis Shenanigans /Hijinks with How Numbers Are Reported /How Numbers Are Collected /Probabilities
  • PART TWO: EVALUATING WORDS
  • How Do We Know? /Identifying Expertise /Overlooked, Undervalued Alternative Explanations /Counterknowledge
  • PART THREE: EVALUATING THE WORLD
  • How Science Works /Logical Fallacies /Knowing What You Don’t Know /Bayesian Thinking in Science and in Court /Four Case Studies
  • Conclusion: Discovering

これらの本の利用法

これらの本では,対象として検討している問題が政府の政策であったり,社会問題だったりすることが多い(科学の問題も多い。)。しかしそれらは,所詮,投票を通じてしか実現しない問題であるから,当面,悪意ある人たちに騙されないように,軽率に扇動されないようにという観点から,弁えれば十分だろう。

重要なのは,自分の生活,仕事にこれらを生かすことである。私としては,当面,自分の生活,仕事を充実させること,楽しむこと,社会との関係でいえば,あらゆる人の仕事の生産性を向上させるIT,AIの実際的な使用や企業統治の問題等の分析にこれらを生かしていきたいと考えている。

 

組織の問題解決

この投稿は,固定ページ「問題解決と創造の頁」「政府:力と公共政策」の記事を投稿したものです。固定ページは,その内容を,適宜,改定していますので,この投稿に対応する最新の記事は,固定ページ「政府:力と公共政策」をご覧ください。法を制定し(立法),適用する(行政,司法)ことも政府の役割ですから,この分野は,弁護士業務と密接な関係があります。

「政治」が注目される理由

私は,現代社会が抱える様々な「問題解決と創造の頁」,これを生活・仕事,政府・企業,環境の5つ要素から考えたいと思っている。

ところで,私たちは,普段,5要素の何が大切だと考えているだろうか。普通に考えれば,生活であり,それを支える仕事,更にはこれらの活動の場となる環境であろう。

しかし,私たちが一番興味を持つのは(あるいは持たされるというべきか),政府の支配者の選定,行動に係わる「政治問題」であろう。そうなるのは,ひとつは,政府を国家と同視することによるのだと思う(国家という用語は多義的であるが,5要素を含む構造である社会に比して,国家は5要素を含む歴史,地理的概念として使用されることがあり,その場合,すべての問題が,政府=国家に含まれることになる。)。

もう一つは,民主制を支える国民として,支配者の選定,行動についての正当な関心に基づくものであるが,支配者側の専門性,秘密性,権威性を盾にした権力の壁は厚く,国民はほとんどすべての面で情報操作されているという方が実態に近いだろう。更に,政府は,国民全体の代表として,外交の延長上に戦争を企て,実行する。戦争は,生活領域に近接ないし生活領域内で行なわれれば,生活,仕事,環境のすべてを破壊しかねない行為である。そんなことは分かっているはずだが,戦争が実行された後に,それに気が付くというのがお決まりの「歴史」である。政府の財政,社会福祉制度が破たんしようと,円が大暴落してハイパーインフレになろうと,立ち直る方法はあるが,戦争は立ち直り至難な問題である。だから私は,戦争だけには入り込まない「政府」を選定するのが,最低限の国民の「良識」だと思う。こんなことを考えなければならないこと自体,「政府」にはいい加減にしてもらいたいと思うが,どこの国の「政府」もレベルはあまり変わらない。

力と公共政策

政府の問題は,力と公共政策が基本的な問題である。これを,国内の支配・公共政策と,国際・戦争問題に分けて考察することができる。

支配の問題は,「行政学講義」(「行政学講義」を読む)を出発点にしたい。公共政策の問題は「入門 公共政策学」(「公共政策」という「窓」を通して社会の構造を理解する)で検討に着手した。

検討すべき本

今後検討すべき本を,紹介しておく。

支配・公共政策

  • 行政学講義
  • 入門 公共政策学
  • 自治体行政学
  • 自治体政策法務講義
  • 啓蒙思想2.0
  • ンプルな政府
  • 哲学と政治講義
  • 公共政策を学ぶための行政法入門

国際・戦争

  • 国際法
  • 国際法(大沼)
  • 国家興亡の方程式
  • 避けられたかもしれない戦争
  • 入門 国境学
  • 「教養」として身につけておきたい戦争と経済の本質
  • 戦略原論 軍事地平和のグランド・ストラテジー