日々雑感

ここ2週間ほど,土日も含めて,朝から晩まで,大半の時間をある事件の準備(陳述書及び準備書面作成)のために費やしてきた。内容は主として経理的な問題ではあるが,その背景に複雑な事情があるので,確認のために逐一当事者や証拠にあたる必要があり,膨大な時間を要した。私は1年に数回そのような書面書きがある。その間,このWeb記事には手がつかなかった。

このような状態になると何が起こるかというと,夜まで仕事をして終わった後「いっぱい」食べ飲んで帰る,朝は5時くらいまでには起き,事務所へ行く,を繰り返す。

結果,太る。最近よくいうのだが,飲まないと機嫌が悪い,飲むと体調が悪い,ということになってしまう。

この間にも,「テクニウム」や技術,科学畑の本を買ったほか,ロバート・H・フランクの「幸せとお金の経済学」,「ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益」,石津朋之らの「戦略原論 軍事と平和のグランド・ストラテジー」を買っている。材料はたくさんある。手が空いたら,もう少し社会の問題を多様に考えていきたい。

その関係で,これまで「新しい社会とビズネスを創る」としていたメニューを「問題解決と創造の頁」に変えることにした。これだけでは何のことか分からないであろうから,その説明を参照していただきたい。

本の森

未読・半読・一読の本 2 (180412)

先週金,土と仕事で長崎に行き,その行き帰りと宿泊先で,3冊ばかりのKindle本に目を通した(おいしい魚のお店で一杯やることも忘れなかった。)。今見ると,1冊は前日,もう一冊は滞在中に購入している。

教養としてのテクノロジー

教養としてのテクノロジー AI,仮想通貨,ブロックチェーン」( 著者:伊藤 穰一, アンドレー・ウール)は,今作成中の「これからの社会と経済を理解するためのこの4冊」の準備として目を通してみた。

私は,今現在の社会と経済を理解するために,「社会と経済の基礎となる8冊―試論」という記事を作成したが(「社会と経済」という言い方は見直したいと思っているが,制裁付きのルールの下で展開される仕事と生活ということである。),これを土台として「これからの社会と経済を理解するためのこの4冊」を作成中である。過去,現在を踏まえ,未来を展望しようという試みだ。

まず出発点として,未来の動向に大きな影響のあるテクノロジー(中心は,AI,IT,IoTの動向だ。)を概観する「この1冊」を取り上げようと思っている。

そしてそれを基盤にして,「限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭」(著者:ジェレミー・リフキン)に進み,さらにビジネスについては「プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか」(著者:アレックス・モザド, ニコラス・L・ジョンソン)に,社会の仕組みについては「ポストキャピタリズム」 (著者:ポール・メイソン)で,さらに詳細に検討しようという運びだ。

最初テクノロジーは,「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」(ケヴィン・ケリー。原書:The Inevitable: Understanding the 12 Technological Forces That Will Shape Our Future)で決まりと思っていたのだが,読み返してみると,これは「テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?」( What Technology Wants」の応用編という位置づけで,出発点としてはおそらく「テクニウム」の方がよさそうだが,これは翻訳のKindle本が4500円もする。外れだとつらい支出なので,まだ購入していない。そこで伊藤穣一さんの「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」もよかったなと思いだしたが,もっと基本なら最新刊で「教養としてのテクノロジー」があることに気が付いたので,これを読むことになった。

内容は網羅的だが(目次は,はじめに/「AI」は「労働」をどう変えるのか?/「仮想通貨」は「国家」をどう変えるのか?/「ブロックチェーン」は「資本主義」をどう変えるのか?/「人間」はどう変わるか?/「教育」はどう変わるか?/「日本人」はどう変わるべきか?/「日本」はムーブメントを起こせるのか?),切り取り方が簡潔,単純に過ぎ,「この一冊」としては適当でなさそうだ。伊藤穣一さんは,しばらく前から名前を聞いていたが(MITのメディアラボの所長),その立場で自由自在に人をつなげて動かし,大活躍していることが分かる。私にとって今一番うらやましい人だ。この本の中でも盛んにメディアラボは営利目的ではない,自由にいろいろな試みができることが繰り返されている。我が国にもこのようなものがあればいいなと思うのだが。ただ官僚的とは正反対の組織のようだから,この国では難しいかな。この本の中で,仮想通貨について詐欺的に使われるとして警戒しているのは,冷静だなと思った。

マネーロンダリング入門

次に「マネーロンダリング入門 国際金融詐欺からテロ資金まで」(著者:橘玲)だ。しばらく国際取引とは関わりを持っていなかったが,私が関与していた頃はあまりマネーロンダリングということは言われていなかったので,普段からよく読む橘玲さんの本を読んでみた(目次は,山口組の指南役になった日/世にも奇妙な金融犯罪/プライベートバンクの憂鬱/北朝鮮はなぜ核兵器が必要なのか/ 世界でいちばん短いマネロンの歴史/誰でもできるマネロン)。

「犯罪収益移転防止法」制定前の2006年の本で,その頃の実情が書かれているが,要は資産家がころりと騙される話,資金受入れ側も騙しながら自転車営業している話,ドル決済はどのように行われているかという話,脱税というけれど国境に何の意味があるのだろうという話等々,みんな面白いけど,10年ふた昔という感じだ。プライベートバンクとして出てくる,クレディスイス,シティバンク,そして犯罪銀行BCCIの名前は忘れるわけにはいかない。

英会話不要論

英会話不要論」(著者:行方昭夫)は国際取引にかかわる前に,またぞろ英語を勉強しなくてはと思って手に取った本だ。,一口でいえば,文法を頭に入れた英文読みができれば,なれれば英会話はできるよという本だ。ごもっとも。

 

 

本の森

イソップ寓話は英語の学習に役立つか

私は,これまでイソップ寓話(童話)に興味を持ったことはなかったが,その英訳(新訳)のKindle本とAudibleが手許にあったので,速読用にどうかなと思って試してみた。単語は基本的に簡単だが(ただし,動植物名は分からないものも多い。),修飾関係,構文はかなり複雑なので,英語の頭の体操(読解)用にいいかなと思い,勉強を始めている。

その帰趨は追ってということにして,目に入った話の中から二つほど紹介してみたい。人に言いたくて,黙っておられないほど面白い。紹介はKindle本の英訳(新訳)ではなく,「アイソーポス著作 イソップ物語寓話単位に英日対訳方式採用」を使用した。訳はそのままである。

The Man,the Horse,the Ox,and the Dog

人が馬と牛と犬を助けたら,動物たちが感謝の気持ちから,人間の寿命を3つに分けて,それぞれの時期の気質を受け持ってくれることになった。若い時期は馬で,激しく頑固で,執拗に自分の意見を主張し,中年は牛で,仕事を好み,冨を蓄え,倹約する。さあ,最後は犬だ。

The end of life was reserved for the Dog, wherefore the old man is often snappish, irritable, hard to please, and selfish, tolerant only of his own household, but averse to strangers and to all who do not administer to his comfort or to his necessities.

最後の部分はイヌが受け持った。それ故年寄りは,怒りっぽく,短気で気むずかしく,我が儘で,そして自分の家族には寛容だが,よそ者や,自分の好みでないものや, 自分に必要でないものは,全て嫌悪する。

自戒しよう。

The Man and His Two Sweethearts

これは訳がない方がいいだろう。

A MIDDLE-AGED MAN, whose hair had begun to turn gray, courted two women at the same time. One of them was young, and the other well advanced in years. The elder woman, ashamed to be courted by a man younger than herself, made a point, whenever her admirer visited her, to pull out some portion of his black hairs. The younger, on the contrary, not wishing to become the wife of an old man, was equally zealous in removing every gray hair she could find. Thus it came to pass that between them both he very soon found that he had not a hair left on his head.

Those who seek to please everybody please nobody.

要は,二股かけてつきあった女性に会うたびに,年上の女性は黒い毛を抜き,若い女性は白髪を抜くので,禿げちゃったということだ。私が,"no hair left on my head"であっても,これが原因ではない。

読者プレゼント?

動植物名の英語を頭に入れるために,イソップ寓話の表題とその訳の一覧表を作ったので,私がイソップ式英語学習法に挫折しても,どなたかに使用していただくために「読者プレゼント.pdf」?として掲載しておく。

これは,上記した「アイソーポス著作 イソップ物語 寓話単位に英日対訳方式採用」によって作成したものである。なおこの本は値段が100円ちょっとなのであまり文句は言えないが,一部編集がおかしい。最初は,英語,和文の順で対応しているが,164話あたりで対応関係がおかしくなり,和文が次の英文の訳になっている(リンクが間違っている。)。そして282話あたりから正常に戻っているので,嫌にならずに取り組もう。もちろん私は犬のように,いったんは嫌になりかけた。

英語の勉強やイソップ寓話自体の研究が進んだら,また報告しよう。