日々雑感

上野の森では

2012年10月20日(土)、奥さんと一緒に上野公園に出かけた。本当は、山に行くのに絶好の季節だが、ここ何日か少し足の裏が痛くて、万が一を考えて町歩きにした。こういう時のお供が、登りが嫌いで下りが好きな奥さんだ。

東京国立博物館では、「特別展中国 王朝の至宝」(~12/24)、「特別展出雲-聖地の至宝-」(~11/25)、東京都美術館では、「メトロポリタン美術館展-大地、海、空-4000年の美への旅」(~1/4)をやっている。ほかに、国立西洋美術館では、「企画展 手の痕跡 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描」、上野の森美術館ではエジプト考古学博物館所蔵ツタンカーメン展~黄金の秘宝と少年王の真実~」(~1/20)、国立科学博物館では、「企画展日本鳥学会100周年記念鳥類の多様性 日本の鳥類研究の歴史と成果(~12/9)もある。私たちは、「中国 王朝の至宝」、「出雲-聖地の至宝-」、「メトロポリタン美術館展」を見るつもりだった。

「中国 王朝の至宝」

「中国 王朝の至宝」は、主催者の紹介によれば、「13億以上の人口を持ち、世界で4番目に広い国土を持つ中国。現在も50を越える民族を抱えながら、巨大な国家として6千年ともいわれる歴史を現代につなげています。黄河や長江といった大河の恵みのもとで高度な文明を発展させてきた中国では、他国にはない独自の文化や思想が脈々と受け継がれてきました。そして、それは私たち日本人の精神的・文化的ルーツにもつながっています。本展では、中国に誕生した歴代王朝の都ないし中心地域に焦点を当て、それぞれの地域の特色ある文物を対比しながら展示し、多元的でダイナミックに展開してきた中国文化の核心に迫ります。国宝級の「一級文物」約60%というスケールで貴重な文物168件をご紹介します。」という内容である。構成は、「第1章 王朝の曙 「蜀」と「夏・殷」」、「第2章 群雄の輝き 「楚」と「斉・魯」」、「第3章 初めての統一王朝 「秦」と「漢」」、「第4章 南北の拮抗 「北朝」と「南朝」」、「第5章 世界帝国の出現 「唐」-長安と洛陽」」、「第6章 近世の胎動 「遼」と「宋」」である。

紹介されるのは、宋までであるが、とにかく広い地域で、多様な民族が、多様な国家を作り、凝縮した、壮麗な文明を築き上げようとする営みに圧倒される。現在の中国が何となくモノクロに見えるというのは、薄皮に包まれた虚構に過ぎないのだろう。NHKで「国文明の謎―中国四千年の始まりを旅する」という特集をしているが、併せて見るとよい(といっても私は1回目は見過ごしたが。あとは、11月11日、12月16日である。)。会場の所々で上映されている映像は、現在のその地域(都市)の様子と出土場所、当該文物が紹介されていて、とても役立ちそうだった。時間的にも会場で逐一見ることはできないが、まとめたものが販売されるといい(売店で見てみたが、ないようだった。)

私が気に入ったのは、最初の紀元前12世紀頃の「蜀」だ。最近、発掘された遺跡(国)で、今の四川あたりだが、その出土品は、とてもおおらかでよい。それと、この頃の文物は、夏・殷も含めて、多くが酒のための容器であることがとてもうれしい。総じて北のものの方は私の感性には合うようだ。

今回の特別展のポスターで紹介されているものは、あれやこれや細かいものが雑多に集まっていて、どこが至宝?という感じだが、実際に見る方がはるかによい。兵馬俑がメインになっているのは、選択ミスだと思う。

そのほか

そのあと、「日本の考古」という展示があったので急ぎ足で見た。埴輪から始まるさまざまな出土品を、網羅的に整理、展示していて、日本史の理解にとても役立つ。時間があるときにまたじっくりと見たい。

「出雲-聖地の至宝-」のメインは、「天にそびえる神殿を支えた巨大柱」だ。出雲大社について「平安時代に書かれた貴族のための教科書『口遊』には、当時の巨大建築物のベスト3として『雲太(出雲大社)』、『和二(東大寺大仏殿)』、『京三(平安宮大極殿)』の記述があります。伝承によると、古代出雲大社は16丈(約48メートル)の高さがあったと言われています。」は、ここ10年ぐらいで有名になった話だ。ただ展示自体は、2室しかなく、内容は、興味のある人向きというところだろう。

それから、「メトロポリタン美術館展」に行く予定だったが、お昼になってしまい、お腹はすくし、次の予定があったので、今日は中止。またの機会にしよう。VIVA上野の森!

法とルール

会社設立と定款作成

弁護士が会社設立の手続をするときは、当然、定款も作成することになる。会社設立時の定款作成、会社設立登記、その他若干の問題についてまとめておく。

会社定款モデル案

会社定款を作成するとき、基本とするのは、日本公証人連合会のWebサイトに掲載されている「定款記載例」だ。

①「小規模会社(非公開、取締役1名、監査役・会計参与非設置)」

②「小規模会社(非公開、取締役1名以上、取締役会非設置、監査役非設置会社」

③「中規模会社(非公開、取締役3名以上、取締役会設置会社、監査役設置会社)」

④「大会社(公開会社、取締役会設置、会計監査人設置、委員会設置会社)」

の4例が出ている。最初から④を設立することは余りないだろうが、設立する会社を①~③のどのタイプにするかは、その会社がどの程度の仕事をし、どのように運営されるかを、よく考えてから決めた方がいい。③より②を選択すべき場合も多い。

会社の設立

会社の設立手続の種類

発起設立と募集設立。通常は、発起設立の方法による。

事前準備

  • 定款案の作成(発起人の実印押印)+発起人の印鑑証明書+委任状(発起人の実印押印)
  • 代理人が公証役場へ出頭(代理人は、「発起人本人がその記名押印を自認している旨、陳述」する。)
  • 会社代表者印等の作成
  • 出資金振込のための発起人の個人口座の準備
  • 出資金の振り込みが先行しても、フォロー可

会社設立の際の費用について

  • 公証役場の費用は9万円強(定款の認証費用…5万円、印紙…4万円、定款謄本作成費用…約2千円)
  • 法務局に納付する登録免許税は、出資金の1000分の7(最低15万円以上)
  • 会社代表者印等の作成費用
  • 代理人の手続費用

会社設立登記の若干の問題

  • 法人登記については、法務省に書集式がある。
  • 登記の事由は、「発起設立の終了」、登記すべき事項は「別添CD-R」のとおりとする。
  • 定款で取締役、監査役を定めたときは、就任承諾書。代表取締役を選任するときは選任決議書と就任承諾書。定款に定めがない場合は、発起人による取締役、監査役の選任決議書。
  • 取締役がひとりの場合でも、登記にあたっては「取締役」、「代表取締役」両方を記載し、登記申請も代表取締役で行う(会社法349条1項)。
  • 添付書類は、定款、代表取締役の印鑑証明書、払込みがあったことを証する書面+発起人決定書、就任承諾書である。
  • 資本金の額が会社法及び会社法計算規則の規定にしたがって計上されたことを証する書面(資本金の額の計上に関する証明書)を作成する。

定款作成で注意すべきこと

  • 英文表記は、Co.,ltd.が普通だろうが、Co.Ltd.でいいのではないか。最後のピリオドの不要節もある(Limitedの最後のdで終わっているので)。
  • 会社の目的は登記官の審査の対象にならないが、営利性、明確性、適法性が必要とされる。完全子会社を有するときは子会社の目的も含まれなくてはならないとされる。
  • 発行可能株式総数につき、公開会社では、設立時発行株式総数の4倍を超えてはならない。公開会社でなければOK.
  • 株券は原則不発行であるが(会社法214条)、しっかりしたビジネスをするのであれば、発行しておいた方がいいのではないか。
  • 株主総会の招集の通知について、会社法299条参照。
  • 取締役会の招集の通知について、会社法368条。短縮を考える。
  • 取締役会の決議の省略については、会社法37条参照。
  • 監査役会を設置するのは相当大規模な会社である。

参考文献

私が主として参照するのは、「会社法実務解説」、「商業登記書式精義」、「会社設立の登記マニュアル (新商業登記シリーズ)」、「新会社法の定款モデル―定款作成・変更の記載実務」、「「会社設立」書式ハンドブック―一人でできる会社設立!」、「ダンゼン得する 個人事業者のための会社のつくり方がよくわかる本」である。

法とルール

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一口コメント

企業法務で何が問題となっているか、概要を把握するのに最適だろう。すべての分野を「フェーズ0~4+特殊な課題・新たな課題」で分析する方法は、少しくどい気がするが、著者の頭の整理にはこれが不可欠なのだろう。

2013年12月に第2版が出ているが、次の詳細目次は初版のものである。追って改訂する。

詳細目次