DX・AI・IT法務へのアクセス

未だDX・AI・IT法務という固有の分野があるとはいえないだろう。これまでは,IT法務として,主として,個人情報,インターネット上のトラブル,システム開発等が取り上げられ,今AI法務として,「今後,IoTやAIが普及すれば何が問題となるか」を,既存の法的な枠組(行政畑の人たちは,様々な「審議会文書」)に基づいて検討しようとする試みがなされている。

それはそれでやむを得ないが,私はこれだけでは不満だ。「これからの社会を切り拓くDX・AI・ITを支えるプラットフォームとなるルール」こそ,DX・AI・IT法務である。一番の基本は,DX・AI・ITの現実の開発や使用の実態に即した「ルール」(合意)である。例えば我が国のこれまでのシステム開発をめぐる紛争の多発,惨状は,現実の開発や使用の実態に即した適切な「ルール」(合意)を,法律家が理解していなかったことが大きい。そこでは「要件定義」が不十分だったといわれるが,ではこれからのアジャイル開発手法によるDX・AIはどうなるのか。民法の改正が重大問題のようにいわれるが,それは「ルール」(合意)がなかった場合の処理に過ぎない。何度でもいうが,大事なのは,「今後,IoTやAIが普及すれば何が問題となるか」という仮想の問題ではなく,DX・AI・ITの現実の開発や使用の実態に即した「ルール」(合意)づくり,すなわち契約書の起案である。その検討は緒に就いたばかりである。

しかし既存の問題をマスターしておかなくてはならないのは,当然であるので,検討しよう。

DX・AI・IT法務実務書・体系書一覧

①法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典

②インターネット新時代の法律実務Q&A<第3版>

③IoT・AIの法律と戦略

④インターネットにおける誹謗中傷 法的対策マニュアル

⑤裁判例から考えるシステム開発紛争の法律実務

⑥Iotビジネスを成功させるための法務入門

⑦ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門

簡単なコメント

まずこの分野全体の「言葉」を理解するために,①「法律家・法務担当者のためのIT技術用語辞典」(影島広泰編著)をお勧めする。用語だけでなく,間に挟まれた「法令・判例と実務」が参考になる。

②「インターネット新時代の法律実務Q&A<第3版>」(田島正広編著),ⅲ「IoT・AIの法律と戦略」(西村あさひ法律事務所)は,問題を網羅的に取り上げている。

インターネットトラブル対応には④「インターネットにおける誹謗中傷 法的対策マニュアル」(中澤佑一著)が,システム開発上のトラブルには⑤「裁判例から考えるシステム開発紛争の法律実務」(桃尾・松尾・難波法律事務所)がよい。IoTは,⑥「IoTビジネスを成功させるための法務入門」(中野友貴著)を紹介しておこう。

IoTやAIが喧伝される前にIT全般について緻密に検討した当事務所の石井邦尚弁護士著の⑦「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」も紹介させていただこう。