日々雑感

勝沼ぶどう郷 2012/10/7

今年の夏の日差しは強く、高山はともかく、近場の山を「健康管理」のために歩くには、余りにも暑くて出かけるのに二の足を踏んでいた。今年の夏の高山登山は、編笠岳、権現岳の日帰りぐらいであるが、それでも丹沢、箱根にボツボツ出かけていたが、8月に一度、箱根外輪山の半分(金時山→塔の峰→ヒメシャラの湯)を歩こうとして途中でくたびれてしまい、宮城野に降りてきて以来、自重して山は歩いていなかった。

少し涼しくなったので、勝沼の甲州高尾山に行った。といっても、当初は、奥さんを連れてブドウ狩りに行こう、市営の「天空の湯」が良さそうだ、でも時間が余りそうだ、勝沼に甲州高尾山という山があるようなので寄ってみようか、登山地図を見ると、大滝不動尊から上り65分、下り100分で大善寺というコースが、久しぶりの足慣らしにちょうどいいだろう、若いSさん夫婦が山に行きたいというので、私の奥さんと一緒に行ってまあちょうどいいかというような、すべてを詰め込んだ計画であった。ただ下りの方が長いこと、登山地図の途中2箇所に「急坂」という表示があること、解説に何故か「中級」とあることが若干気にはなったが。

振り返ってみると、甲州高尾山、途中の柏尾山自体は、何の変哲もない裏山だが、下りは本当に滑りやすい急坂が延々と続くので、いささか、くたびれた。私は、山歩きは、ここ何年もトレランシューズなので、歩きやすく滑りにくく、そうでもなかったが、重い登山靴だと大変だ。ほとんど山に行ったことのないSさんの奥さんは大変そうだった。私の奥さんも、今日は筋肉痛だといっている。慣れた人にはなんということはないが、初心者は、一度立ち往生すると大変だ。下に降りてブドウ園の人から、最近、登山者をヘリコプターで救助したという話を聞かされたが、確かに担架で下まで運ぶのは無理かも知れない。でもあくまで初級から中級の山だから、気を付ければ大丈夫だ。念のため。

さて、登山口の大滝不動尊は(勝沼ぶどう郷駅からタクシーで約2000円)、山奥にありながらなかなか立派な神社だ。大滝も風情がある。大善寺に降りる少し手前で老婦人2人が上るのとすれ違った。「上り優先はつらい」といっていたので登山者かも知れないが、信仰目的かも知れない。あるいは、大善寺直前のブドウ畑にブドウ2個の食べかすがあったので、食べ物好きで、栗でも探しに行ったのかも知れない。

大善寺は今回初めて名前を聞いたお寺だが、真言宗智山派に属し、創始は行基とされ、薬師堂、その中の厨子が国宝である。仏像も、ブドウを持った薬師如来(ただし、公開は5年に1度)を始め、公開されている12神将像も立派なものだ。ブドウも振る舞われ、自家製のワインを頂くこともできる。何とも楽しい寺である。

寺の近くにも、ぶどう園がたくさんあり、ブドウは試食をした上で、気に入れば買って帰ればよい。ブドウは時期によってできる品種が限られるようだ。もう巨峰は終わり、でもそれに代わる美味しい品種が目白押しだ。私たちは大善寺の近くの「早川ぶどう園」でたっぷりと試食をさせてもらった上、沢山買い込み、しかもタクシーを待つ間、甲州ワインの白を頂いた。

駅から歩いて20分ほどの「ブドウの丘」には、ショッピングコーナー、レストラン、ホテルもあり、「天空の湯」という温泉もある。いい湯だし、展望もいいのだが、ちょうどみんなが出かける時期なのだろう、少し混みすぎていて残念だった。もっとも、丹沢の「弘法の湯」はいつもこのぐらい混んでいるが。

「早川ぶどう園」で白1本、「天空の湯」の食堂で赤1本を、主として私とSさんと二人で飲んだので、私の計算ではまだワイン一本を飲んだぐらいだからたいして酔っていないといったら、そんなことはない、私一人でいっぱい飲んだというのが、皆さんの意見であった。

山ある日々,本の森

羽根田 治
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一口コメント

時々、単独行の、滑落と怪我の危険性を思い出し、自宅に必ず登山計画書を置いていこうと思う。終章の「単独行についての考察」は頭に入れたい。

詳細目次

山ある日々

山ある日々という言葉に、私はうっとりする。この言葉を思いついた頃は、「山ある日々」は、実際に登山している日々を指していた。でも今は、もっぱら街中にあって、思い出す登山の日々、思い出す山々の風景、あるいはもっと抽象的に、私が山の緑、紅葉に包まれているイメージを呼び起こす。

一方、その頃の日常を指す言葉は、「毎日がエベレスト」。でもこれはいささか羊頭狗肉で、あまり流行らなかった。

しかし毎日がエベレストだろうと、山ある日々だろうと、街中はうるさく汚い。ずっと頻度は減るがこれからも山に出かけるだろう。そして山から清らかな風と、汗だらけの身体を運んでくるのだ。