法とルール

人工知能が法務を変える?

2017年11月29日(水)、日弁連法務研究財団と、第一東京弁護士会総合法律研究所IT法研究部会共催の、標記のシンポジウムを聞いた。

登壇して話をしたのは、マイクロソフトのエンジニア、日本カタリスト及びレクシスネクシス・ジャパンのそれぞれ外国人弁護士、日本人弁護士2名の、計5名である。

「AIと法」に関わる新しい話が聞けてそれなりに面白かったが、登壇者の誰も「人工知能が法務を変える?」ということをまともに考えている訳ではなく、ふらふらと「題名」につられて顔を出した人には拍子抜けだったかもしれない。ざっと内容を概観する(なお当日用いられた資料が法務研究財団のWebにアップされていたが、2021年3月の時点ではそこにはないようだ。)。

マイクロソフトのエンジニアの人

現時点でのAiとは何かということを、地に足のついた議論として紹介してくれた。現にAIビジネスを魚化している人の話は、信頼できる。

ビジネス分野でAIが理解できている人は10人に1人だ。

画像や音声の分野はどんどん進むが、自然言語の意味の処理はむつかしい。ただし検索ということでいえば、先日公開されたアメリカのJFKの資料をデジタル化し、あっという間に処理、分析した。「犯人」とFBIのある人物との「関係」が浮かびあがった。人が見ていくと何年かかっても処理できない膨大な量だ。

AIというより機械学習という捉え方の方がわかりやすい。

日本カタリストの人

AIを利用したドキュメントレビューの紹介である。

アメリカの電子情報開示制度の下で、開示の対象となる電子情報(メール、チャット、LINE、FACEBOOK、電子ファイル、会計データ、Web等々)についてのドキュメントレビュー(関連あり・なし、秘匿特権あり・なし)が、AIシステムを利用して行われている。これによって大幅な弁護士費用の削減が可能だ。

まず、関連性あり・なしのレビューをする。AIシステムが、文書全体を関連する文書にグループ化し、そのサンプルを取り出し、レビューワーが、レビューすることで、グループ文書の関連性あり・なしのランク付けができる。

また関連性がある文書について、秘匿特権のレビューをし、提出する、しないを決定する。

これはアメリカでは現に利用されており、法廷におけるTAR(technology assisted review)の利用として連邦民事規則にも取り入れられている(のだと思う)。

日本の法廷でこういう形の立証が取り入れられるかどうかは疑問だが、例えば、今、証拠にするため電子メールを検討すると、返信が様々な送信メールになされているので送受信の全体の流れを把握するのがとても大変だ。それだけでも、工夫が欲しいところだ。でもそれはAIか?

レクシスネクシス・ジャパンの人

レクシスネクシス・ジャパンのトルコ人弁護士は、リーガルテックという観点から弁護士業について検討したる。その内容は、以下のとおりだが、きわめて刺激敵だ。

AI/Legal Techの現在の環境

リーガルリサーチ&情報収集

法改正及びインパクトへ対応

コンプライアンスリスク監視

 e Discovery

顧客ニーズ分析を含む業務支援

自動紛争解決(ODR)

資料/契約文書のレビュー

3分間でドラフティング

リーガルテックの成長

2012年リーガルテックに関する特許出題数:2012年99件から2016年579件に大幅増加 38% アメリカ 34% 中国 15% 韓国

法律家への影響

顧客開拓

ニッチ・専門分野へのニーズに対応

Data driven lawyerになり、best lawyerとなる

ネイティブ弁護士と競争

ビジョンを持つ信頼できるアドバイザーになる

真の付加価値を提供する

値段競争に陥らないサービス差別化

ワークライフバランス

レクシスネクシスの取り組み

検索、分析、可視化

その後、レクシスネクシスの「判例検索に加え、法令や立法、行政情報といった、リーガル情報を一元的に収録」したデータベース「Lexis Advance」のデモがあった。アメリカは、州ごとに法が違うこと、陪審があること等から、リーガルリサーチ&情報収集は徹底する必要があるから、これは有益だろう。日本ではまず情報がでてこないし、そもそもこのようなシステムを構築・提供するような市場もないというのが現実だろう。

我々は、当面。各種の判例検索、その他のデータベースを有効活用するしかない。

日本の弁護士ふたり

日本の弁護士ふたりは、これから「AIと法」に取り組みたいというところだろうか。

高橋弁護士は、「チャットボット」を作ってみたことの紹介である。すぐに「ボットの理解を超える」、人間は5回の入力で飽きることの報告は貴重だ。オタクレベルだが、AIを切り開くのはオタクである。

齋藤弁護士は、まだ見ぬAI法務の紹介である。講演に備えて十分な準備をされたのだろうが、その問題はどこにあるのと思ってしまう。この種の議論をする弁護士は多いが、私は他にすることがあるのではと思う。ただアメリカでの利用の報告は貴重である。

今後

いずれにせよこの時点で、このシンポジウムを試みたことは、高く評価されるべきだ。今後とも、このような企画があれば参加しよう。

 

問題解決と創造の知識

この記事は、「アイデアをカタチにする」の各論にあたる「商品・サービスを創る」、「健康になる」、「学ぶ・学習する」、「社会制度を改革する」の最初のたたき台として作成したものを投稿したものです。内容は今後順次、充実、改定していきますので、「アイデアをカタチにする」の該当項目を参照してください。

商品・サービスを創る

これから様々な「アイデアをカタチにする」商品・サービスを創り出す仕事に関与していきたいと思う。

すべて今後の課題だが、これまでに関与した一事例を紹介したい。

国際医療搬送事業(エアー・アンビュランス・サービス)の計画に関与したとき、個人についてどうすれば当該サービスを提供できるかという課題があった(料金を採算ベースで徴収すれば、一回最低2000万円程度になる。)。

これについて、個人に有償で効果的な健康管理アプリを利用してもらい、海外滞在時に病気となった会員の共済として必要性の高い順に、当該サービスを安価ないし無償で提供することを企画したことがある。これ自体は、運営会社、代表者の不祥事で立ち消えになったが

そのラフな試案を紹介しておく。具体的な事業化には着手していない。

健康になる

健康になる方法と理論

ここでなすべきことは、「健康になりたい」という「思い」を、できるだけ容易に継続して「実現できる」スキームを創りだすことである。

そのスキームは、抽象的には「食動考休」であるが、その内容を具体化するにあたって、科学的でなければならない。

そのために、健康・医療に関わる本、資料を十分に検討する必要がある。とりあえず人間の心身が複合的なシステムであることを前提とする「ジエンド・オブ・イルネス」を、出発点にしてもよい。

各論的には、「代謝」、特にATPとミトコンドリア、「DNAとエピジェネティクス」、「腸内細菌」あたりを研究する必要がある。

これらを踏まえ、「特別問題」として、「肥満とダイエット」及び「老化」を検討する。

食動考休

食については、「多様なものを、新鮮なうちに(特に野菜・果実)、腹八分で」、という以上になすべきことはないであろう。

動(運動)は、有酸素運動(エアロビクス)、筋肉トレーニング、ストレッチを万遍なくこなすことだが、これではやりきれないので、簡易な運動+ウオーキング、あるいは「多動」でもいいだろう。

考は、「学ぶ・学習する」の活性化である。

休は、体の弛緩、瞑想及び睡眠である。

改めて思うが、私には知識だけあって実践していない「ヨガ」に取り組めばこのうちの多くがカバーされる。一方で、日本のヨガ指導者の多くが早死しているという事実も忘れるわけにはいかない。

学ぶ・学習する

「学ぶ・学習する」方法と理論

「学ぶ・学習する」方法と理論として、「使える脳の鍛え方」(Make it Stick)、「脳が認める勉強法(How We Learn)あたりを出発点にするのがよいだろう。

この分野は、やたらと「ノウハウ」の多い分野であるから、その有効性を見極める必要性がある。

各分野の学習法

読書

数学

英語

ビジネス

学習する手段

ここでは、例えば、MOOC、Podcast、iTunes U等を検討していきたい。

社会制度を改革する

社会制度の改革

私が若いころは、「過剰」な政治が時代であり、私は一時期から「政治」と弁護士の仕事と関係する限りで関わりそれ以上にはみ出さないこととし、以後、基本的にそのようにしてきた。もちろん、投票はしている。

ただ最近は、「政治」の変質が目に余るようになったので(「啓蒙思想2.0」参照)、私は改めて「政治」を含む社会制度の改革について、提言・実現する必要があるのではないかと考えるようになってきた。「遅れてきた元青年」である。とはいえ、すぐに用意できる現実的な提言があるわけでもないので、しばらく準備をしたいと思っている。

私がこれまで何らかの関与をしたのは、せいぜい次のとおりだ。

政治資金規正法の改正提言をした。「その内容は、「自由と正義」の論文を参照されたい。同時に、公職選挙法の改正提言もした。

太陽光発電設備を規制する条例策定に関与した。

ジェフリー・サックスの「貧困の終焉」を高く評価した。

「社会制度を改革する」方法と理論

これについては数理的な分析を含め、非常に有効な方法と理論が生み出されつつあると理解している。ゆっくりと整理していきたい。

問題解決と創造の知識

アイデアをカタチにする仕組み造り

プラットフォーム

最近私は、アイデアをカタチにする仕組み造りに取り組もうと思っています。「アイデア」は、「思い」、「発想」、「夢」、「目標」等とも言えますし、「カタチにする」は、「実現する」、「解決する」、「創造する」とも言えるでしょう。もともと発明分野で使われていたものが、ビジネスの分野でも使われるようになったものですが、さほど一般的な表現ではないでしょう。ただビッグバン・セオリーの登場人物ハワード・ウォロウィッツが自分のエンジニアという仕事を「アイデアをカタチにするものだ。」と言っている場面をどこかで見かけたので、それなりに使われているのでしょうか。

最初は、ブランディングをしている年若のデザイナーの友人と共同で取り組めないかなと考えていたのですが、すぐには準備が整いそうにないので、まず私がWeb上で、そのプラットフォーム造りをしようと思います。

今考えていること

ところで今、私が考えていることは、クライアントが「アイデアをカタチ」にする新しい商品、サービス、システム、事業等を創造、起動することを、法務面から支援することです。

創造、起動の対象は、①Things(モノ)、②IoT、③サービス、④システム、⑤事業(組織)のブランディング、⑥事業(組織)のスタートアップ、⑦表現等々に分別することができるでしょう。

共同事業者のデザイナーもいない状態では、「アイデア」はクライアントから持ち込まれるしかありませんが、態勢が整えば、自分でもアイデア造りに取り組もうと思います。

あらゆることの複雑化に伴い、ビジネスのみならず科学分野でも様々なアイデアも又、加速度的に生み出されていますが、カタチになるのはごく一部です。大部分はそれでいいのでしょうが、でも「あのアイデアがGoogleに!アーア」ということもありますよね。もっともカタチになったもののうち、ヒット、大ヒットするのはごく一部でしょうが、でもカタチにしないと消え去るだけ。今のビジネスは、数撃つしかないベンチャーキャピタルの投資と似通っています。結果はどうなるにせよ、少しでも充実したカタチを造ることが重要でしょう。

アイデアをカタチにする仕組みの方法・システム

アイデアをカタチにする仕組みの方法・システムを5W1Hの観点から検討すれば、WHEN、WHERE、WHOが、「今、ここで、私たち」であることは明らかですから、WHY、WHAT、HOWを検討することになります。

ところで、「アイデアをカタチにする」ということは、見方を変えれば、マイナスの「問題」であればその「問題を解決する」またはプラスの「価値を創造する」ということです。そこで、アイデアをカタチにするWHY、WHAT、HOWについて、従前「問題解決学」(佐藤允一さん)ないし「創造学」(中尾政之さん)として議論されてきたことを、その方法の中心として検討したいと思います。さらにその源泉には発明的な問題の解決手法である「TRIZ」があります。

ビジネスを支援する法務

アイデアをカタチにする事業について、さて弁護士は何ができるでしょうか。

調査

まず弁護士としては、持ち込まれたアイデアをよく理解する必要があります。そして特にそのアイデアがこれまでの歴史や経緯の中で、どう位置づけられるのか、新規性があるのか、関連分野でどのような研究が進展しているのか、そのアイデアと他の権利との関係はどうか、そのアイデアをカタチにするために必要となる技術や知財は何か等々を、調査する必要があります。

起案

対象事業の進展に応じて弁護士がすべきことは、ルール化、制度化でしょう。

①ルール(外部ルール(法令等)や外部との合意、内部ルール)の設定、及び当該ルールによって展開するビジネス(ゲーム)の追跡、ルール逸脱への対応等に係る実行態勢の確立と整備、運用

②内外の情報流通へ対応とコントロール

③当事者についての合理的な契約関係による規律の設定

④これらに係る法務全般

プラスαとして。

⑤資金調達のアシスト

⑥人材確保のアシスト

⑦必要となった技術・知財の獲得のアシスト

⑧多言語対応

⑨事業進展に応じた関与者の心身の健全性への留意

分業と全体の把握・統括

これらは、少し事業の規模が大きくなると、一人の弁護士ができるようなことでありませんから、適宜分業しなければなりませんが、全体は一人の弁護士が把握し統括しなければなりません。

これからの準備

まず調査方法を具体化し、「アイデアをカタチに法務」については典型的なケースをモデル化する必要があります。

アイデアをカタチにする対象

私が考えている、アイデアをカタチにする創造・起業の対象である「商品・サービス・組織」等は上述のとおりですが、でも考えてみれば、私たちの身の回りには、「アイデアをカタチ」にしたいことが、山のようにあります。

それを「健康」、「学習」、「社会制度」に分けて検討したいと思います。

アイデア倉庫

ところで、アイデアの湧出を活性化するアイデアツールを集めた本(内容によって「アイデア・デザイン編」、「IT・AI編」、「経営編」、「心身の向上技法編」、「世界の構造と論理編」、及び「冷水編」に分けています。)を整理した「アイデア倉庫」を作成しました。

重要な本については、具体的に紹介していきたいと思います。