問題解決と創造の知識

アイデアをカタチにする仕組み造り

プラットフォーム

最近私は、アイデアをカタチにする仕組み造りに取り組もうと思っています。「アイデア」は、「思い」、「発想」、「夢」、「目標」等とも言えますし、「カタチにする」は、「実現する」、「解決する」、「創造する」とも言えるでしょう。もともと発明分野で使われていたものが、ビジネスの分野でも使われるようになったものですが、さほど一般的な表現ではないでしょう。ただビッグバン・セオリーの登場人物ハワード・ウォロウィッツが自分のエンジニアという仕事を「アイデアをカタチにするものだ。」と言っている場面をどこかで見かけたので、それなりに使われているのでしょうか。

最初は、ブランディングをしている年若のデザイナーの友人と共同で取り組めないかなと考えていたのですが、すぐには準備が整いそうにないので、まず私がWeb上で、そのプラットフォーム造りをしようと思います。

今考えていること

ところで今、私が考えていることは、クライアントが「アイデアをカタチ」にする新しい商品、サービス、システム、事業等を創造、起動することを、法務面から支援することです。

創造、起動の対象は、①Things(モノ)、②IoT、③サービス、④システム、⑤事業(組織)のブランディング、⑥事業(組織)のスタートアップ、⑦表現等々に分別することができるでしょう。

共同事業者のデザイナーもいない状態では、「アイデア」はクライアントから持ち込まれるしかありませんが、態勢が整えば、自分でもアイデア造りに取り組もうと思います。

あらゆることの複雑化に伴い、ビジネスのみならず科学分野でも様々なアイデアも又、加速度的に生み出されていますが、カタチになるのはごく一部です。大部分はそれでいいのでしょうが、でも「あのアイデアがGoogleに!アーア」ということもありますよね。もっともカタチになったもののうち、ヒット、大ヒットするのはごく一部でしょうが、でもカタチにしないと消え去るだけ。今のビジネスは、数撃つしかないベンチャーキャピタルの投資と似通っています。結果はどうなるにせよ、少しでも充実したカタチを造ることが重要でしょう。

アイデアをカタチにする仕組みの方法・システム

アイデアをカタチにする仕組みの方法・システムを5W1Hの観点から検討すれば、WHEN、WHERE、WHOが、「今、ここで、私たち」であることは明らかですから、WHY、WHAT、HOWを検討することになります。

ところで、「アイデアをカタチにする」ということは、見方を変えれば、マイナスの「問題」であればその「問題を解決する」またはプラスの「価値を創造する」ということです。そこで、アイデアをカタチにするWHY、WHAT、HOWについて、従前「問題解決学」(佐藤允一さん)ないし「創造学」(中尾政之さん)として議論されてきたことを、その方法の中心として検討したいと思います。さらにその源泉には発明的な問題の解決手法である「TRIZ」があります。

ビジネスを支援する法務

アイデアをカタチにする事業について、さて弁護士は何ができるでしょうか。

調査

まず弁護士としては、持ち込まれたアイデアをよく理解する必要があります。そして特にそのアイデアがこれまでの歴史や経緯の中で、どう位置づけられるのか、新規性があるのか、関連分野でどのような研究が進展しているのか、そのアイデアと他の権利との関係はどうか、そのアイデアをカタチにするために必要となる技術や知財は何か等々を、調査する必要があります。

起案

対象事業の進展に応じて弁護士がすべきことは、ルール化、制度化でしょう。

①ルール(外部ルール(法令等)や外部との合意、内部ルール)の設定、及び当該ルールによって展開するビジネス(ゲーム)の追跡、ルール逸脱への対応等に係る実行態勢の確立と整備、運用

②内外の情報流通へ対応とコントロール

③当事者についての合理的な契約関係による規律の設定

④これらに係る法務全般

プラスαとして。

⑤資金調達のアシスト

⑥人材確保のアシスト

⑦必要となった技術・知財の獲得のアシスト

⑧多言語対応

⑨事業進展に応じた関与者の心身の健全性への留意

分業と全体の把握・統括

これらは、少し事業の規模が大きくなると、一人の弁護士ができるようなことでありませんから、適宜分業しなければなりませんが、全体は一人の弁護士が把握し統括しなければなりません。

これからの準備

まず調査方法を具体化し、「アイデアをカタチに法務」については典型的なケースをモデル化する必要があります。

アイデアをカタチにする対象

私が考えている、アイデアをカタチにする創造・起業の対象である「商品・サービス・組織」等は上述のとおりですが、でも考えてみれば、私たちの身の回りには、「アイデアをカタチ」にしたいことが、山のようにあります。

それを「健康」、「学習」、「社会制度」に分けて検討したいと思います。

アイデア倉庫

ところで、アイデアの湧出を活性化するアイデアツールを集めた本(内容によって「アイデア・デザイン編」、「IT・AI編」、「経営編」、「心身の向上技法編」、「世界の構造と論理編」、及び「冷水編」に分けています。)を整理した「アイデア倉庫」を作成しました。

重要な本については、具体的に紹介していきたいと思います。

 

本の森

「本の森」はなかなか増えていかないので、カテゴリーの見直しを契機に、各カテゴリーのお薦めの本を、適宜2、3、ピックアップしておきます。暫定的なものです。

 

Ⅰ 宇宙と科学…エネルギー・物質・情報・宇宙・地球

「情報と秩序」「宇宙からいかにヒトは生まれたか」

Ⅱ 生命と知能…生命・進化・遺伝・知能・言語・自然

「なぜ生物は誕生したのか」「生命、エネルギー、進化」

Ⅲ 人体・医療・健康…Ⅱから取り出したもの

「ジエンド・オブ・イルネス」「人体600万年史」

Ⅳ 人類と社会…人類・集団・社会・文化・政治・経済

「啓蒙思想2.0」「決断科学のすすめ」「繁栄」

Ⅴ 経営・アイデア・技術…Ⅳから取り出したもの

「経済的価値と社会的価値を同時実現する 共通価値の戦略」「創造はシステムである」

Ⅵ 国家と法制度…Ⅳから取り出したもの

「法と社会科学をつなぐ」「法哲学」「数理法務のすすめ」

Ⅶ 論理とIT…論理・数学・計算・データ・PC・IT・AI

「哲学入門」「インフォメーション」「<インターネット>の次にくるもの」

Ⅷ 文芸・登山・その他

「Born to Run」、「芭蕉連句集」

Ⅸ まとめ読み

 

社会と世界

「決断科学のすすめ」

「決断科学のすすめ」(矢原徹一著)は、「持続可能な未来に向けて、どうすれば社会を変えられるか?」という問題意識にたち、そのためのリーダーを養成しようというプロジェクトのためにまとめられたお薦めできる優れた内容の本であり、いずれ全体について紹介したいと思うが、これに欠けている基本的な問題がある

それは この本の著者が 大学の教員(研究者)であり、かつ対象が大学院の学生であることから、要するに個人が持続的に生活していくためにはどういう活動を営めばいいかという「身過ぎ世過ぎ」の観点が抜け落ちている

それについては様々な方向から考えられるだろうが、「幸福の「資本」論― あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」」(橘玲著)が、クセはあるが、実践的だと思う。ただ多分に主観的な議論なので、我が国の客観的な経済状況を、例えば「日本経済入門」(野口悠紀夫著)で押さえておくと、考えがまとめやすい。もちろんこれらの本の内容には、異論があるのが当然であるが、問題を基本から考えていくのによい。

私たちの3つの不安

たぶん、人にとっては、「身過ぎ世過ぎ」と健康(肥満、病気等)問題が、目の前に垂れ下がっている覆い、あるいはまぶたに突き刺さったとげになる大きな問題であろうが、それを乗り切ったとしても、私たちの不安は解消しないだろう。

一体私たちは何に怯えているのかについて、改めて考えてみた 私たちの3つの不安としてまとめることができよう。私たちの乗り物、入れ物の信頼性である。

ひとつめは、地球環境の問題である。地球温暖化、放射能・化学物質汚染等々。科学技術のコントロールがうまくいかないことによる。

ふたつめは、戦争だ。いくら戦争の大惨事を経験しても、民主主義はなかなかこれを避けられない。むしろ状況は悪化している。

みっつめは、経済-生産と分配の問題だ。どんどん生産性が落ち、労働人口は減り、政府が大赤字を抱えているという我が国の状況は、たまらない。どうすればこれを「身過ぎ世過ぎ」の問題の延長上で解決できるであろうか。

この3つの不安の先に、「持続可能な未来」を作るのは、至難の業だ。その根底には、直観と理性の相克と直観の優位、さらには政治過程における無内容なイメージ戦略の氾濫がある。AさんにもKさんにも、すべての人の子ども、孫のための社会作りを考えてもらいたいのだが。