山ある日々

冬は里山歩きだ

冬は、雪が積もっていたり、道が凍っていたりするので、できれば里山歩きか、初級の低山がいい。それでも下りは、軽アイゼンを付けたいときもあるが、さて今のトレランシュ-ズに付くかどうかも、試していない。去年だったか、いつものように最乗寺から明星が岳に登ったときに、下は何ともないのに、登るにつれてかなりの積雪(15㎝ぐらい。しかも凍っている。)となったので、帰ろうかとも思ったが、下手に引き返して下るのも危なそうだったので。そのまま頂上に行ったが、案の定(これは、多少強気だが)、宮城野への下りは南面なのでほとんど雪がなく、難なく下ることができた。このときは、軽アイゼンを持っていなかったことを大いに反省した(早く付くかどうかを確かめよう。)。そうすると冬は、鎌倉の里山が手軽で、無難だ。

鎌倉のハイキングコースを歩く

鎌倉の里山歩きは、要するにハイキングコースを歩くといってよい。鎌倉には、大仏コース、祇園山コース、天園コース、衣張山コース、六国見コース、極楽寺坂コース、朝比奈コースの7つあるといわれている(紹介は、このページ。)私は、おおむね、大仏コース、祇園山コース、天園コースを歩く。元気なときはすべて行くし、今日はちょっとと、大仏コースだけの時もある。もちろん私は「コースつぶしマニア」のところもあるから、全部行った。金沢八景に抜ける朝比奈コースもなかなか素晴らしい。

4時間強の少しきついコースだ

2014年12月7日(日)は、前日お酒を飲まなかったので、うちを6時半に出ることができたので、7時30分に北鎌倉駅に着いて、すぐに出発することができた(鎌倉に行くときは、うちから保土ケ谷駅まで30分弱を歩き、電車が30分弱だ。)。

今日は、天園から市民の森を抜けて港南台に行き、そこでスポーツクラブのお風呂に入ろうとも思ったが、この日は太陽が昇るまでは本当に寒くて汗もかきそうになかったので、北鎌倉から、大仏コース、祇園山コース、天園コースを行通って、北鎌倉に戻ることにした。

7時半に北鎌倉駅を出て源氏山を経て大仏までが1時間(大仏コース)、そこから祇園山コースの登り口の八幡神社まで30分、山道が30分、降り口から瑞泉寺までが30分、天園を経て建長寺ではなく(構内を通ると有料ということになっている。)明月院の方に下りて(天園コース)、北鎌倉までが1時間40分。合計で、4時間強である。ゆっくり歩きしっかり休憩を取りたければ、5時間は見た方がいいかも知れない。天園からの富士山がとても大きく見えた日だった。

草履

天園から建長寺方面への半ばだったろうか、何人かの引率者に引き連れられた10人程度の子供の集団がいた。幼稚園から小学校1年生ぐらいだろうか、山道をしっかり素速く歩いていてとても感心した。引率の若い青年に「速いですね。」というと、「本当はもっと速いんです。」とまるで大人の「健脚自慢」である。早々に追い抜こうと思うと、私は見た。草履を履いている子がいる。しかも二人も。私は凍え上がった。

山ある日々

日向山から見た八ヶ岳

2014年最後の山行になるかどうか分からないが、11月30日(日)に北杜市にある南アルプスの前山の日向山に登った。

登山口まではずっと林道を行かなければならないので車がほぼ必須だが、北杜市在住の人に運転してもらって、3人での登山となった。

登山口から上り1時間半で、二日酔いでなければ楽に登れる。木々は完全に落葉していて、回りの山々の八ヶ岳甲斐駒ヶ岳もよく見える。八ヶ岳の裾野に広がる北杜市の町や村もよく見える。本当に美しい。

山頂はいわば一方に崩落していて(これが糸魚川静岡構造線と関係がある)、登山道からいきなり絶景の中に飛び出す。しかも山頂は花崗岩が風化して白い砂となっており、歓声を上げるのもわからないではないが、ガイドブックどおりに歓声を上げていた4、5人の集団はいささかねえと思った。

砂の上を歩けるのだが、崩落しているので、万が一「転けたら」、どこまでも落ちていく。私は臆病なのが登山で生き延びる道だと思っているので、危なそうな所には一切近寄らない。特に下っているところは、くわばらくわばらだが、ある父親が4、5歳の男の子を励まして砂地を下らしていたのには、「ホーッ」というしかなかった。

私は日向山は初めてだが、どうも何回か登山を検討したことがあり、滝の方の道は下りはだめで、上りにとろうという会話をした記憶があって、ひょっとしたら小淵沢の人と登ったことがあるかも知れないと思っていたのだが、幻想だった。

帰りに行った白州の「尾白の湯」は何度行っても最高である。

写真はいまいちなので、かわりといっては何だが、春に鞍掛山にも登っている「日向山・鞍掛山とクモイコザクラ140531」という記事がすばらしい。

山ある日々

丹沢と箱根

明神ガ岳からの富士山

今年(2014年)の11月22日(土)から24日(月)までは連休だったが、24日に宴席があり「過食」が予想されたので、22日、23日と、近場の山に行くことにした。最近は「さあ明日は山に行こう」というかけ声止まりが多くて、どうしても山行の間が空くので、いつも「リハビリの山」の繰り返しになる。

1日目は、丹沢で、日向薬師から大山に登り、蓑毛越えを経て蓑毛に、2日目は、箱根で、最乗寺から明神が岳、明星が岳を経て、箱根湯本に下るコースだ(縦走ではありません。念のため)。

どちらも初心者ないし初中級のコースではあるが、5時間から6時間は歩くので、そこそこきつい山ともいえる。特に日向薬師から大山は、3時間弱の上りのうち、最初の40分弱は舗装路の上りだが、あとは見晴台を除きほとんどが階段状の登山道を上り詰めなので、山頂付近になるとかなり苦しい。実はこれまでも体調によって見晴台で嫌になって大山に登らずに、阿夫利神社下社を経て、蓑毛や鶴巻温泉まで行くことも多かった。でも今回はちゃんと登った。

両日とも快晴で、大山からも明神が岳からも、まだ少し薄めの雪を被っている富士山が大きくくっきりと見えたこと、一方、山頂から見下ろす下界の街が冬の霧(あるいは靄?)に覆われていて幻想的だったこと、更には、登山道の至る所で紅葉にこころ奪われることが重なり、どちらも本当に気持ちのよい山行であった。

どうして登りが

ただ・・・。どうも登りが思うように進まない。思えば、10年くらい前に始めた登山の、初心者の頃は、下りは本当にきつかったけど、上りは好きだった。毎週のように山に行っていたときは、上りで抜かれるのは、若いセミプロの男性ぐらいだった。でも、今回は、太めのおじさん、父親と小学生、女性を含む3人連れ等々、どんどん抜かれてしまうし、なにより足が上がらない。要するに加齢プラス怠慢による体力の劣化が甚だしいということだ。

こういうとき、昔の栄光のイメージできつい山に行くと、遭難するんだろうなと妙に納得してしまう。

さてどうするか

私の登山は、快楽登山だ。山に登る、そして下山して温泉に入る、そのあと、お酒をいただき、酒肴に酔う。こんな楽しいことはない。快楽の極みである。それで山に行ってもほとんど痩せない。というよりも、結果的に太ってしまうことも多かった。でもそれは私だけではないと思う。女性は知らないが、山好きのおじさん達には、ぽっちゃり系が多い。

でも考えてみると、それはそれができる年齢と体調だったからだろう。お酒を飲みすぎると辛くなり、山に行くと登りも辛いとなると、考え直すしかない。

要するに山に行きこと自体が快楽にプラスして「健康」に役立たないだろうか。

なぜ「山に登る前に読む本」を手に取ったのか

24日、宴席に出かける前に、ふと最近買って本棚に積んでおいた山に登る前に読む本 運動生理学からみた科学的登山術 (ブルーバックス)“>「山に登る前に読む本」(能勢浩著)というブルーバックスをポケットに入れ、行き帰り目を通した。少し山に行く前の「体力作り」を考える必要があるかなと思ったからだ。

そして次の記述に巡り合った。

「(承前)加齢による体力の低下を防止することが、より安全で、充実した登山になることがわかっていただけたと思う。
一方、この体カの低下が中高年の生活習慣病の根本原因であることをご存知であろうか。私たちの体カは10歳代後半をピークとし、30歳以降10歳加齢するごとに5~10%ずつ体力が低下するのだが、これと医療費が見事に相関するのだ。
私たちは松本市を中心に、5400名の中高年者を対象に、「ィンターバル速歩トレーニング」を実施し、5ヶ月間で体カが10%向上すれば、高血圧、高血糖、肥満などの生活習慣病の諸症状が20%の人で改善し、うつ症状、膝痛閲節症の症状がそれぞれ50%の人で改善することを明らかにした。これらの結果は、中高年者の加齢による体力低下こそが、生活習慣病の根本原因であるということを示している。
生活習慣病のメカニズムについては諸説あるが、加齢、運動不足によって体力が低下すると、体全体に慢性炎症が起こり、これが脂肪細胞に起これば糖尿病、免疫細胞に起これば高血圧、脳細胞に起これば認知症、うつ病、がん抑制遺伝子に波及すればがんになる、という説が有力である。慢性炎症とは、風邪を引いたときにのどが痛くなって発熱したり、傷口にばい菌が入ったりすると局所が痛くなって発熱する、といった具合に、外部から体内に微生物などが侵入すると、それを撃退しようとする生体反応である。むろん、体力低下による炎症はこれほど顕著なものではなく、非常に低レベルだが、全身性に起こることに特徴がある。
では、この慢性症はなぜ起こるのか。一言でいえば、筋肉細胞内で筋収縮のための「ガソリン」に相当するATPを産生する「工場」であるミトコンドリアの劣化である。ミトコンドリアが劣化すると、炎症を引き起こすサイトカインというホルモン様物質が筋肉やその他の臓器で産生され、それが血液中に放出され、生活習慣病の諸症状を引き起こすというのだ。非常に単純明快な学説である。
では、どうすればよいか。答えは簡単。運動トレーニングをして、加齢による体力の低下を防げばよい。実際、私たちと共同研究をおこなつているグループは、中高年者を対象に、5ヶ月間、「インターバル速歩トレーニング」を実施し、その前後に、炎症反応関連遺伝子の活性を測定した。その結果、炎症を促進する遺伝子はことごとく不活性化を引き起こし、逆に炎症を抑制する遺伝子はことごとく活性化していること発見した。すなわち、体力アップのための運動は生活習慣病の症状を改善するが、それが遺伝子レべルでも立証されたのだ。」

どうだろうか。これは私にとってとても新鮮であった。

私は山に早く登れるのは、何となくもともと体力がある人が、上ることに慣れるからだという風に思っていた。快楽登山の影響で、山に行った翌日は、アルコールの影響プラス疲れで、余り体調の良さを感じることもなかったから、登山=体力作りとは余り考えなかった。しかもときどき痛風まで起きていたから。

でも冷静に考えればこれはかなりゆがんだ考えで、頻繁に山に行くことによって「体力作り」ができるのは明らかだ。スポーツクラブに行けば体力作りで、それの何倍も時間を費やす登山が疲れるだけで体力作りにならないはずがない。

私は毎週のように山に行くことでそのときは十分な体力を身につけることができたが、100名山を全部登ったことであまり熱心に山に行かなくなり、行く間隔ももだんだん間遠くなることで、すっかり体力が落ちて上りがダメになったというのが事実であろう。普段から著者推奨の「インターバル速歩トレーニング」を取り入れるかどうかはさておいても、頻繁に山に行けば、体力がつき、生活習慣病を追い払うことができるだろう。登山を体力作りに利用しよう。そのためには、下山後の「快楽」を少しひかえればいいだろう。もうそういう年齢だな。

思い出したこと

そういえば、大雄山線の電車、最乗寺までのバスに、80歳で山に行くという「老人」がいた。誰彼なしに話しかけ、とりとめのない話をするので、立派だなとは思いつつ、少し敬遠していた。「明星が岳まで行って今日は早く下りる。」といっていたが大丈夫だったろうか。私が80歳になったときに山に行けるかどうかはわからないが、行けるのであれば余り人にもたれかからないで行きたいと思う。それでふと思い出したのだが、5、6年前になるだろうか、西丹沢の犬越路から大室山、加入道山をぐるっと回ったときのバスの中に同じように話好きの「老人」がいた。詳細は忘れたが、どこかで「やはり無理だから引き返す。」というようなことを聞いたような記憶がある。ひょっとしたら同じ人かも知れない。

とにかく高齢になっても山に行くことは素晴らしいことだが、体力の維持に努めること、ぼけないこと、そして余り人もたれかからないことが大切だろう。自分にしかと言い聞かせよう。